東日本大震災:福島第1原発事故 健康調査検討委、内部被ばく議論を当初削除 公開後に議事録追加
毎日新聞 2012年11月20日 東京朝刊東京電力福島第1原発事故を受け福島県が実施している県民健康管理調査の検討委員会を巡る一連の問題 で、県は19日、情報公開請求後に一部の議論を削除して公開した検討委の議事録を修正し改めて請求者に開示した。内部被ばくの検査で精度が高いとされる尿 検査の実施を国側から提案されながら県側が難色を示すやりとりが追加された。修正前の議事録に全くなく、専門家は「被害を低く評価するため(少しの内部被 ばくでも検出する)尿検査をやりたくないとの本音を見せたくなかったからでは」と批判している。【日野行介】
尿検査を巡るやりとりがあったと修正されたのは、昨年6月18日に開かれた第2回検討委(非公開)の議事録。
この検討委では同県浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区の住民約2万8000人を対象とする被ばくの先行 調査について議論した。修正された議事録によると、ホールボディーカウンター(WBC)と呼ばれる大型機器と尿検査による内部被ばく検査を巡り、オブザー バーとして出席した内閣府幹部らが「尿検査を本流に位置づけるべきだ」と指摘。だが、県側は「尿検査よりWBCとみんなが言っている状況で、尿に舵(か じ)を切れない」などと難色を示していた。
結局、検討委後の昨年6月末から、県は百数十人のみを対象にWBCと尿検査による内部被ばく検査を行 い、健康に影響が出るレベルの放射線量は測定されなかったとした。その後、県は一部住民を対象にWBCでの内部被ばく検査を続けているが、尿検査について は一貫して導入に慎重な姿勢を示している。
議事録を巡っては第1〜3回の検討委について、県民からの情報公開請求時に実際には作成していなかった のに、職員の手持ちメモに基づき急きょ作成し開示していたことが発覚。県が先月公表した内部調査では「職員の手持ちメモから一部を除いて作成し開示したと いう不適切な処理があった」と、議論の一部を削除していたことを明らかにしていた。
県によると、公開請求時には既に、今回改めて開示したのと同じ内容の「議事メモ」が作成されていたにも かかわらず、部分的に削除して議事録として開示していたという。県健康管理調査室の佐々恵一室長は「元々の議事メモはここ(調査室)にあったが、誰がどう いう意図で(情報公開時に)削ったかは分からない」と話している。
福島県の玄米から基準値超える放射性セシウム 当該の米は流通せず
福島県は11月22日、24年産米に対して実施している全量全袋検査で基準値を超える放射性セシウムが検出されたことを公表した。福島市旧立子山村の1戸の農家から出荷された11袋(全量)の検査で4袋からスクリーニングレベル(60ベクレル /kg)を超えた4袋についてゲルマニウム半導体検出器で分析した結果、11月22日に1袋から基準値を超える110ベクレル同の放射性セシウムが検出さ れた。
また、川俣町旧飯坂村の1戸の農家から出荷された15袋(全量)から8袋はスクリーニングレベルを超えたため、ゲルマニウム半導体で分析したところ11月22日、5袋から基準値を超える110〜160ベクレルが検出された。
いずれも県は市町村と集出荷業者に当該地域で生産された米の出荷自粛を要請した。基準値を超過した米については福島市と川俣町が隔離・保管し流通はさせない。
【狙い場・買い場】モミ合い良好の東洋建設、セシウム除去で上昇場面近そう
第2四半期(4~9月)は予想は下回ったものの、今3月期通期では前期比23.2%増収、営業利益80.0%増益、1株利益16.2円の見通し。配当は年5円の予定。
とくに、同社株にはセシウム等の除染の大きい材料がある。得意の浚渫技術で河川、海などの底に溜まったセシウム等を除去する技術を開発してい る。除染は陸から水底といわれ膨大な需要が見込まれる。モミ合いが1ヶ月半におよび、そろそろ上値追いが見込めそうである。中間値に近い230円ていどな ら好買い場といえるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関西電力も家庭料金値上げを申請
関西電力は26日、家庭向けで平均11・88%の電気料金値上げを政府に申請した。認可がいらない企業向けの値上げ幅は平均19・23%で、とも に来年4月実施を目指す。原発停止が長期化し、代替の火力発電に使う燃料費が急増して経営を圧迫していることが原因。料金を原価から見直す抜本的な値上げ は1980年以来、33年ぶり。
九州電力は27日に値上げを申請。北海道、東北、四国の各電力も値上げ検討を表明しており、東京電力に続く値上げの動きが本格化してきた。家計や企業への打撃は大きく、後退局面に入った景気をさらに悪化させる恐れがある。
関電は26日午前の取締役会で値上げ申請を決めた。午後に八木誠社長が経済産業省に申請書を提出、夕刻に大阪市の関電本店で記者会見して申請内容などを説明する。
関電の値上げ幅は、9月に実施した東電(平均8・46%)を上回っており、審査する経産省の専門家委員会などが値上げ幅をどこまで圧縮できるかが焦点となる。(共同)
[2012年11月26日16時23分]関電、値上げ申請=家庭用11.88%
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関西電力は26日電気料金の値上げ認可を政府に申請した。上げ幅は家庭用で平均11.88%。13年4月の実施を目指す。写真は、資源エネルギー庁の高原長官(左)に料金値上げを申請する関西電力の八木社長。 【時事通信社】
関西電力が電気料金11.88%の値上げ申請
最終更新:2012年11月26日 16時00分 経済産業省は26日、関西電力から電気料金の平均11.88%の値上げ認可申請を受けたと発表した。
これは、電気事業法第19条1項の規定に基づく電気供給約款の変更認可申請で、電気料金の寝亜がについては、外部専門家、国民の意見を聞きながら客観性の高い審査を行っていくという。
申請が認められれば2013年4月から実施されるもので、値
経費削減など焦点=電力値上げ29日から査定―経産省
関西電力の家庭用電気料金の値上げ申請を受け、経済産業省は29日に専門家による審査委員会を開き、料金原価の査定を開始する。関電は平均11.88%の値上げを申請しているが、人件費や燃料費の削減努力に対する評価次第では、上げ幅を圧縮する可能性がある。
電気料金の査定で、人件費は1000人以上の大企業や他の公益企業が基準となる。関電は給与の引き下げなどにより、人件費を年345億円削減する方針を示しており、審査委が妥当性を審議する。
燃料費に関して、関電は火力発電所の高効率化などで年486億円を削減するとしたが、審査委ではさらなる削減余地がないか検討する。5月に値上げを申請した東電の場合、審査委が火力発電所の運用改善や液化天然ガス(LNG)の購入方法の見直しを指摘した。
[時事通信社]枝野経済産業大臣談話・声明
関西電力株式会社による電気料金値上げ認可申請について
平成24年11月26日- 本日、関西電力から電気料金値上げ認可申請が行われた。現行の規制部門の電気料金を、来年4月から平均11.88%引き上げる内容となっている。
- 電気料金の値上げは、広範な利用者に影響を与えるものであり、電気事業法に基づく審査を直ちに開始する必要がある。
- 具体的には、東京電力の電気料金審査と同様、「電気料金審査専門委員会」において検討を行う。複数社からの申請を同時に審査する可能性もあるため、今回、新たに3名の委員を追加した。再開後第1回は平成24年11月29日(木)に開催する。
- また、電気事業法に基づく公聴会を平成25年1月28日(月)に大阪市で開催するとともに、インターネットを通じた「国民の声」も募集し、幅広い意見を審査に反映する。
- 電気料金は国民生活及び産業活動に大きな影響を与えるものである。規制部門の電気料金値上げ認可申請に関しては、こうしたプロセスを通じて、電気事業法に基づき厳正に審査を行う。
- また、今般、関西電力は自由化部門の電気料金値上げも表明したが、自由化部門の需要家に対する電気料金は、電気事業 法による料金規制の対象外であり、当事者間の合意によって決定されるものである。契約期間の途中で、相手側の了承なく一律的かつ機械的に供給を停止すると いった対応は社会通念上許されず、関西電力には、個別の顧客の置かれた状況を踏まえ、柔軟かつ丁寧な交渉を行っていくことを求めてまいりたい。
【問い合わせ先】
電話:03-3501-1748(直通)最終更新日:2012年11月26日関電、値上げ申請=来年4月、家庭用11.88%
関西電力は26日、電気料金の値上げ認可を政府に申請した。上げ幅は家庭用で平均11.88%、認可が不要な企業用で19.23%。いずれも2013年 4月の実施を目指す。実施されれば、関電にとって、料金原価の見直しを伴う本格的な値上げは第2次石油危機後の1980年以来33年ぶりとなる。
原発停止に伴う火力発電用の燃料費負担が経営を圧迫しているためで、値上げにより業績悪化に歯止めをかけたい考え。ただ、上げ幅は今後の政府の査定次第 で圧縮される可能性がある。関電の八木誠社長は、資源エネルギー庁の高原一郎長官に「徹底した経営効率化を大前提とした上で(値上げを)申請した」と述 べ、合理化に取り組む姿勢を強調した。
関電は値上げ幅算出の前提として、現在稼働中の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に加え、高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働を織り込んでいる。
[時事通信社]関電、家庭向け電気料金11・88%値上げ申請
関西電力は26日午前に開いた取締役会で、家庭向け電気料金の11・88%値上げを経済産業省に申請することを決め、同日午後に申請した。来年4 月の実施を目指す。値上げ幅は国の審査を経て小さくなる可能性もあるが、来春の値上げが認可されれば1980年以来33年ぶりとなる。関電は国の認可が不 要な企業向けも同時に値上げする。上げ幅は19%台前半になる。
八木誠社長が夕方に大阪市内で記者会見して説明する。
関電は申請に伴い、2013~15年度の事業計画も提出する。計画では現在稼働中の大飯原子力発電所3、4号機(福井県)に加え、来夏以降、高浜原発3、4号機(同)を想定し、新たに2基の原発の再稼働を見込む。人件費や広告費などの効率化策も盛り込む。
関電は保有する11基の原発のうち、大飯3、4号機を除く9基が運転を停止している。代替の火力発電用の燃料費がかさみ、2012年9月中間決算では1167億円の税引き後赤字を計上し、財務が急激に悪化している。
(2012年11月26日 読売新聞)
関電:電気料金値上げを申請-高浜原発稼働を原価算定に反映
11月26日(ブルームバーグ):関西電力 は26日、増大した燃料費負担を軽減するため、来年4月からの家庭向け電気料金11.88%の値上げを経済産業省に申請した。値上げの申請に必要になる電 気料金の原価算定に、高浜原子力発電所(福井県高浜市)3、4号機を来年7月以降に再稼働する計画を織り込んだ。
八木誠社長は、同省資源エネルギー庁の高原一郎長官と会い、「原発の再稼働の遅れで火力発電用の燃料費負担が増えており、徹底した経費削減に取り組む」と の決意を伝えた上で、値上げ申請の審査を高原長官に求めた。同時に、政府の認可を必要としない企業向けの料金を19.23%値上げする方針も明らかにし た。
関電は、採用抑制による人員削減や卸電力取引所からの安価な電力購入を実施することで、2013年度から3年間で1553億円相当の経営合理化を進めると の方針も発表した。この効率化を含んだ電力料金の原価(3年間の平均)が2兆6786億円になると試算。一方、現行の料金を継続した場合の収入見込みは2 兆3145億円と、原価を3641億円下回ることから、収入不足を補うために値上げが必要と訴えた。
同社は、現在稼働している大飯原発3、4号機のほか、高浜原発3、4号機を再稼働することで13-15年度の3年間の原子力利用率が34.5%になると想 定。火力燃料費は9120億円になるとの見通しを示した。同社が08年に値下げの料金改定を実施した時の原価算定では、原子力利用率が77.4%で火力燃 料費は4685億円だった。
東電の値上げ申請は圧縮家庭向け料金の値上げをめぐっては、東京電力 が5月に10.28%の値上げ幅で申請。しかし、経産省は一層の原価低減を同社に対し求め、7月に8.46%に圧縮される形で認可された。原価を見直したことで、東電はすでに4月から実施していた16.7%の企業部門の値上げ幅も14.9%に圧縮した。
関電はこれまで発表を見送っていた今期(13年3月期)の純損益予想も発表。今期は過去最大の2650億円の純損失になるとの見通しを示した。前期の 2423億円の純損失から赤字幅が拡大する。中間配当に続いて期末配当の見送りも決定。同社が年間を通じて無配になるのは1951年の設立以来初めて。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 岡田雄至 yokada6@bloomberg.net;東京 Tsuyoshi Inajima tinajima@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Alexander Kwiatkowski akwiatkowsk2@bloomberg.net
更新日時: 2012/11/26 16:55 JST
関電、家庭用11.88%値上げを申請
関西電力は、大飯原発以外の原発を停止している影響で、火力発電用の燃料費が膨らみ、今年度上半期は過去最大1167億円の純損失を計上しています。こ のため、関電は人件費などコストの削減を進めるとともに、収益の確保に向けて、家庭用の電気料金を11.88%、企業向けを19.23%値上げする必要性 があると判断。26日朝の取締役会の決定を経て、国の認可が必要な家庭向け電気料金の値上げについて、申請を行いました。
値上げは来年4月から始めたい考えですが、今後、国による査定で値上げ幅の圧縮や追加の合理化策などを求められる可能性があります。(26日14:07)
関西電力株式会社の電気料金値上げ認可申請を受理しました
本件の概要
当該申請は、現行の電気料金を平均11.88%引き上げる等の認可申請であり、経済産業省は、外部専門家の知見や広く国民の皆様のご意見をいただきながら、客観性・透明性の高い審査を行ってまいります。
担当
公表日
発表資料名
- 関西電力株式会社の電気料金値上げ認可申請を受理しました(PDF形式:159KB)
- 別紙1:供給約款変更認可申請書(PDF形式:4,390KB)
- 別紙2:一般電気事業供給約款料金算定規則に基づく事業者設定基準および燃料費調整制度関係事項届出書(PDF形式:219KB)
- 別紙3:消費税等相当額並びにその額に係る表示及び請求の方法に関する説明書(PDF形式:85KB)
- 別紙4:電気料金の値上げ申請について(PDF形式:564KB)
- 別紙5:料金算定の前提となる需給関係資料(PDF形式:1,479KB)
- 別紙6:経営効率化の取組みについて(PDF形式:1,651KB)
- 別紙7:電気料金の改定について(PDF形式:118KB)
- 参考1:電気料金認可手続き(PDF形式:195KB)
- 参考2:総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委員会について(PDF形式:111KB)
関連リンク
- 関西電力株式会社による電気料金値上げ認可申請等に係る公聴会を開催します
- 関西電力株式会社の電気料金値上げ認可申請等に係る「国民の声」を募集します
関西電、電気料金引き上げを申請 家庭向け11.88%
- 2012/11/26 14:13
関西電力(9503)は26日、家庭向けの電力料金引き上げを政府に申請した。八木誠社長が26日午後に高原一郎資源エネルギー庁長官に申請書類を手渡した。値上げ幅は、規制分野とされる家庭向けが平均11.88%、自由化分野の企業向けが19.23%とした。値上げ時期は2013年4月1日を 予定している。原子力発電所の再稼働が遅れていることを背景に、火力発電向け燃料費の負担が大幅に増えたため。現行料金を続けた場合、3641億円の収入 不足が見込まれる。東京電力が9月1日から実施した家庭向け料金の引き上げ幅は平均8.46%だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
関電、値上げ申請=来年4月、家庭向け11.88%
関西電力は26日午前、大阪市の本社で取締役会を開いて電気料金の値上げを決め、同日午後、政府に認可申請した。上げ幅は家庭用で平均11.88%、認可が不要な企業用で20%前後。いずれも2013年4月の実施を目指す。
原発停止に伴う火力発電用の燃料費負担が経営を圧迫しているためで、値上げにより業績悪化に歯止めをかけたい考え。ただ、上げ幅は今後の政府の査定次第で圧縮される可能性がある。
13年に実施されれば、関電にとって本格的な値上げは第2次石油危機後の1980年以来33年ぶりとなる。
[時事通信社]
特集ワイド:訂正続き、信頼失墜 放射性物質拡散予測地図 「最悪」想定、もっと公開を
毎日新聞 2012年11月26日 東京夕刊原子力規制委員会が公表した全国16原発の事故時の放射性物質拡散予測地図に、専門家や地元自治体から批判が相 次いでいる。度重なる訂正で信頼を失ったばかりでなく、複雑な試算方法が影響を小さく見せているというのだ。公表されたのは膨大なデータのごく一部で 「もっと公開を」との声も出ている。【柏崎通信部・高木昭午】
◇「風吹く回数により試算値無視」「最高値避け平均で計算」
地図は、国の原子力災害対策指針に基づき原発周辺自治体(21道府県135市町村)が策定する地域防災 計画の「参考情報」として公表された。福島第1を除く16原発について(1)福島第1の1〜3号機と同量の放射性物質を放出(2)全原子炉内の放射性物質 を福島第1と同じ割合で放出−−の2通りを想定。昨年の気象データを用い、国際原子力機関が定める緊急避難の判断基準(事故後1週間の累積線量が100ミ リシーベルト)に達しうる地点(以下「100ミリシーベルト地点」)を16方位のそれぞれで、(1)(2)2種類の地図上に示した。
注目されたのは、事前に避難を準備する範囲を、従来の原発8〜10キロ圏から30キロ圏(緊急防護措置 区域=UPZ)に拡大した新指針との整合性だ。結果的には0・2〜10・2キロオーバーした4原発を除く12原発の被ばく地点はUPZ内。規制委は「地形 を考慮していないなど信頼性に限界はあるが、安全を見込んだ予測。防災計画作りの目安にしてほしい」としている。
ところが−−。「放射性物質の影響は(予測地図より)もっと遠くに及ぶ恐れがあります」。そう指摘する のは滋賀県琵琶湖環境科学研究センター環境監視部門長の山中直さん。滋賀県が美浜など4原発の放射性物質拡散を予測した際、データをまとめた研究者だ。ど ういうことか。「規制委の試算方法だと、年間に風が吹く回数の少ない方向で100ミリシーベルト地点が原発に近く見えたり、地図から消えたりしているので す」
例えば、事故の影響が全国最大とされた新潟県の柏崎刈羽原発。最も遠い100ミリシーベルト地点は「東方向に40・2キロ(長岡市内)」だった。その決め方はこうだ−−。
同原発で昨年、東向きの風が吹いたのは1年8760回(24時間×365日)のうち約960回(公表済 みのグラフから推定)。その全回で0・2〜99・9キロ間の20地点の累積線量を試算。その際、高い方から数えて1〜261位の試算値は「極端な気象条件 による」として無視した。各地点の262位の値を調べ、累積線量が100ミリシーベルトになる地点が40・2キロだった。
一方、100ミリシーベルト地点が原発から「8・7キロ(柏崎市内)」の北東方向の場合、風が吹いたのは年間約300回。従って1地点につき300通りの試算値が存在する。やはり上位261の数値を省き、262位が100ミリシーベルトとなる地点を選び出した。
ここにカラクリがある。総数960の262位は全体の中間より上だが、総数300の中の262位は下か ら約1割の低さだ。この方法を用いる限り、風の吹く回数が少なければ少ないほど高い試算値が無視される割合が大きくなる。261回以下だと全ての試算値が 無視される。事実、年間180回しか風の吹かない大飯原発(福井県)の東南東方向は100ミリシーベルト地点が地図上にないのだ。
このデータ処理法は旧原子力安全委員会の指針に記されており、無視の対象は試算値の上位3%。今回は8760×0・03=約261とした(試算対象の方角に風が吹かない時刻は線量ゼロとみなすが、形式上の計算回数は1地点につき8760回のまま)。
「風の回数が少なければ放射性物質が遠くまで飛ばないというわけではない。少ない方向で防災計画が不要との印象を与えるのは問題です」。山中さんはそう語る。
試算値1〜261位は非公表だが、1位を用いた場合の100ミリシーベルト地点の距離は、予測地図に付 随する資料の中にごく小さく「すそ値」として記されている。しかも16方位中1方位のみだ。ちなみに柏崎刈羽原発の東方向は88・1キロ。地図に示された 40・2キロ地点の2倍以上の距離だ。
16方位で261の試算値を除くと合計約4000、全体の半分弱を無視することになる。規制委の事務 局・原子力規制庁は「いろいろな価値観があると思うが、今回は旧原子力安全委の指針に従った」と説明するが、大気の拡散予測などを手がける民間研究機関 「環境総合研究所」(東京都品川区)顧問の青山貞一さんは「極端な値だけを除いたとは言えず、高濃度の試算値を意図的に切り捨てたとしか思えない」と批判 する。
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他にも疑問がある。
一つの発生源から出た放射性物質は風に乗って扇形に広がるが、その濃度は扇の中心線上で高く、端では低 くなるのが普通だ。ところが規制委は中心も端も同じとみなし、平均濃度で試算した。「中心の線量を高く計算するのは保守的(安全重視)過ぎる」との理由だ が、「平均を使うことで、本来より低い値で試算している」と青山さん。規制庁自体、中心線の放射線量は「試算に使った平均値より3〜4割高い」と認める。 こちらで計算すれば100ミリシーベルト圏はさらに広がったはずだ。
「最悪の事故を想定してほしい」。新潟県の泉田裕彦知事は先月、規制委に予測のやり直しを求めた。今回の予測は福島第1の事故と同程度、原子炉内 にある放射性セシウムの2%程度が放出されたとの想定だが、86年のチェルノブイリ原発事故では約30%が放出された。元原子炉格納容器設計技術者の後藤 政志さんは「水蒸気爆発やベント(圧力低下操作)の失敗によって、福島第1では起きなかった格納容器の爆発が起きれば、想定よりはるかに大量の放射性物質 が出る」と危惧する。
泉田知事のみならず「最悪の事態」への周辺自治体の関心は高い。規制委がネット上に公表したグラフを見 ると、柏崎刈羽の東1キロで累積被ばく量は約7万ミリシーベルトと致死量に達する。4キロでも約1万ミリシーベルトだ。前述のように年間262位の値なの に、だ。5キロ圏内には柏崎市、刈羽村の計約1万6500人が住む。村の担当者は「これだけ高いと外部から(救援に)来られるのか疑問。村内で相談するが 年間1位の値や、季節ごとのデータも知りたい」と訴える。
規制庁は「試算条件の影響で近距離は高い値が出た」と言うが、他の原発も1キロで約5000〜3万ミリ シーベルト。東海第2原発のある茨城県東海村は「距離別の線量公表は1原発で1方位だけ。全方位で知りたい。100ミリシーベルト以下の地点も知りたい」 と規制委に要望中。拡散予測に詳しい大原利真・国立環境研究所地域環境研究センター長は「今回の予測法は簡易。専門家の支援を受け、より高度な方法で計算 すべきではないか。地域住民に大きく影響するので、多くの情報を分かりやすい形で示すことが重要です」と話す。
規制委は予測の全データを公開すべきだ。
関西電、今期最終赤字2650億円に 原発稼働率低下で赤字幅拡大
- 2012/11/26 14:34
関西電力(9503)は26日、2013年3月期の連結最終損益が2650億円の赤字になりそうだと発表した。前期の赤字額である2422億円よりも赤字 幅が拡大する見通し。原子力発電所の稼働率が17%と、前期の37%から20ポイント低下することが主因。売上高は前期比1%増の2兆8400億円、営業 損益は3500億円の赤字(前年同期は2293億円の赤字)を見込む。営業、最終とも損失額は過去最大。
また、期末配当は無配とし、今期の配当は見送る。年間無配は同社の創業年度である1951年度以来。通期業績、期末配当とも従来予想は未定としていた。
収益予想の算定には最近の電力需給状況を踏まえたうえで、大飯原子力発電所の3号機、4号機以外の原子力発電所が通年で停止するとの前提を置いた。前期は 多くの原子力発電所が定期検査に入るまで稼働していたため、今期は稼働率が低下した。同社は原子力発電所の稼働率が1%低下すると営業損益に100億円程 度響くという。これがコスト削減などで吸収しきれないもようだ。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
給水量が一時急増=福島第1原発3号機-東電
東京電力は26日、事故を起こした福島第1原発3号機の注水量が毎時5.8トンから同7トンに 急増し、保安規定で定める1時間当たりの変化量(1トン)を超えたと発表した。給水量が増えると中性子が減速されやすくなり、核分裂反応が促進される恐れ がある。東電は格納容器内に、臨界時に生じるキセノン135の濃度変化がないため、未臨界の状態は維持されているとしている。
東電によると、午前11時ごろ、作業員が3号機の注水量を確認したところ、同10時の毎時5.8トンから同7トンに増えていた。10分後に流量を調整し、同6トンに戻した。(2012/11/26-13:25)
滋賀知事、「卒原発」で新党検討 午後に見解表明へ
2012年11月26日 12時25分滋賀県の嘉田由紀子知事滋賀県の嘉田由紀子知事が、衆院選に向け新党の立ち上げを検討していることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する 「卒原発」や「環境」を訴えるとしている。河村たかし名古屋市長が共同代表を務める「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」は嘉田氏の新党との合流を 模索しており、脱原発を軸とした第三極勢力が結集する可能性が出てきた。嘉田氏は26日午後、県庁で新党に関する見解を表明する。
関係者によると、呼び掛け人として歌手の加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。
嘉田氏は知事のまま代表に就き、辞職はしない。(共同)
脱原発:「なくそう原発 市民のつどい」−−長岡・市民団体 /新潟
毎日新聞 2012年11月26日 地方版東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を認めず即時廃炉を求めている長岡市の市民団体「原発ゼロ長岡市民ネッ ト」は25日、同市の長岡商工会議所で「なくそう原発 市民のつどい」を開いた。福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされている福島県浪江町の馬場有町 長が講演。「原発事故の原因究明なしに再稼働はあり得ない」と話した。
馬場町長は原発事故の際、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)のデータを公表しなかった国の対応を批判。「原発事故は町民の暮らしや家族をバラバラにし、人生を狂わせた」と怒りをぶちまけた。
また、同県郡山市の菅野正志さんは、家族が避難した新潟市との二重生活の厳しさを報告。「家族と一緒に過ごせないつらさは計り知れない」と涙ながらに訴えた。
同団体は柏崎刈羽原発の廃炉を求め、2万人を目標にした署名活動を展開することを決めた。【湯浅聖一】
福島第1原発、お先真っ暗!燃料取り出しに着手するも廃炉のメドはつかず【目がテン】
[2012/11/26]
放ったらかしは危険、作業は困難福島第1原発3号機・使用済み燃料の取り出し準備が本格的にスタートすると、11月24日の産経新聞が報じた。
使用済み燃料は高熱のため、建屋上部にある冷却用プールに保管されている。しかし再び震災が起きてプールが損傷する可能性もあるため、原子力規制委員会の田中俊一委員長は
早く降ろして、乾式キャスク(金属製の容器)に移すべきだ(「MSN産経ニュース」より引用)
と指摘している。
鉄骨落下事故を教訓に、慎重な作業東電は今年9月、がれきをクレーンで撤去する際に重さ約470キロの鉄骨を落下させており、今後の燃料取り出し作業には、十分な安全対策が求められる。
クレーンを遠隔操作するための作業訓練を今月中にも開始するほか、放射性物質の拡散を防ぐために、原子炉建屋に1500トンの鉄骨カバーを設置する計画もあるという。
3号機のプールには事故のがれきや、燃料交換機(重さ約30トン)が水没している。プール内はがれきが散乱しているため2メートル強しか視界が効かない。このため、プール内の566体に及ぶ燃料を損傷させずに、がれきを撤去するのは至難の業だ。
1~6号機のプールに保管されている燃料は5000体以上を数え、全ての取り出しを完了させるには10年以上かかると言われる。しかし燃料取り出しは、廃炉作業の初歩段階に過ぎない。
福島第1原発の3、4号機以外は、具体的な取り出し計画すら未だ決められないのが実情だ。さらに取り出した燃料の移送先や処理など、解決しなければならない課題が山積しており、廃炉への道のりは遠い。
極めて困難な長い道のりに、ため息……Twitterにも、先行きの見えない収束作業を嘆息するツイートが寄せられている。
改めて困難な現実を突き付けられて気が遠くなる…。
原発事故は、収束していません。 子や孫の代まで続きます。
もう何を聞いても驚かない。こんなニュースに慣れてしまった。悲しい。もう二度と事故前には戻れない。 それでも原発動かしたいなんて異常。
日本を自然災害事故や北朝鮮からのミサイルに晒されるような原発だらけにしたのは自民党。
東電にまかせっぱなしじゃ無理だよ。権限放棄させて、国でコントロールする。工事等の費用がいくらなのかも開示しないのだから、公的に契約管理しなきゃだめ。。
▼外部リンク
中長期ロードマップ進捗状況のポイントについて
http://www.tepco.co.jp/nu.pdf
MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121124
Twitter / 検索 - http://sankei.jp.msn.com
https://twitter.com/search
原発社員の議員99人中91人が給与二重取り!平均収入2千万円【目がテン】
[2012/11/26]
原発会社に籍を置く議員99人原発を持つ電力会社に在籍しながら、地方議員になっている「社員議員」が99人存在し、そのうち91人は議員報酬とは別に、会社から給与を受けていた。
さらに関西電力や東北電力など6社の52人は、議会活動で会社を休んでも有給となる「特例」を受けていることがわかった。11月25日、朝日新聞が報じた。
社員議員は違法ではないが、議員へ支払われた給与は電気料金に含まれているため、電気料金と税金を支払う市民が活動を支える格好になっている。
電力会社の社員議員の多くが、原発を推進する会社の方針に沿った活動をしていることにも批判が集まりそうだ。
朝日新聞の取材によると、社員議員99人のうち91人が給与を受けており、社員給与と議員報酬を合わせた所得は、計2千万円前後が多いという。
議会活動で会社を休んだ時にも給与が支払われる「特例」は、北海道、東北、関西、中国、四国、日本原電の社員52人が受けていた。東電は今年8月、九電は2009年からこの「特例」を廃止している。
Twitterには「呆れた(怒)!」の声朝日新聞の記事を読んだツイッター民からも、社員議員の存在に憤るツイートが相次いでいる。
やりたい放題ですね。
それも驚きですが、原発マネーの息のかかった国会議員の多さを考えると、小さな話かもしれないですね(笑)
規制産業は政治力が重要だから似たようなことはいろんな業界で…
原発利権を守るシロアリ議員。 原発を続けようとする勢力「民自公+石原維新」の下部組織。シロアリが新しい エネルギー政策の邪魔をしている。
これで東電や議員を信用しろと言われても。これで増税や救済と言われても。現場はどんどんお給料減らされているってことなのに。悪魔だ…。
これ酷過ぎる。よくここまで厚顔無恥なことができるなー?電力会社の社員って(怒)。
政治家になる前に、厳格なお金の流れの身体検査が必要かも…
公正な政治を望む声が、相次いだ。
▼外部リンク
朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/politics/intro/OSK201211240154.html
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原発国民投票:市民グループが説明 松江で初会合 /島根
毎日新聞 2012年11月26日 地方版原発の是非を問う国民投票の実施を全国各地で訴えている市民グループのメンバーらが25日、松江市内で県内では初めての会合を開いた。今後、署名運動などを通じて島根、鳥取両県に活動を広げていく。
会合を呼びかけたのは浜田市出身で兵庫県在住の会社員、森恭子さん(34)。市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」(事務局・東京都)の賛同人で、関西電力管内の原発の再稼働についての賛否を問う大阪市の住民投票条例の直接請求運動にも加わっている。
この日は森さんの呼び掛けで集まった松江市民らに、全国各地での活動内容や運動の意義などを説明。森さんは「原発に関心を持ち、いろんな考えの人が議論できる空気を作ることが大切。原発がある島根でも情報を発信していきたい」と話した。【曽根田和久】
“脱原発”を旗印、第三極結集の動き
衆議院選挙へ向けての第三極をめぐる動きです。小沢代表率いる「国民の生活が第一」が、脱原発を旗印にして、名古屋の河村市長や滋賀県の嘉田知事らとともに、日本維新の会とは一線を画した第三極の結集に向けて協議を進めていることが分かりました。
関係者によりますと、「国民の生活が第一」と河村・名古屋市長側の関係者は、先週から合流を含めた連携について、具体的な話し合いを複数回にわたって行っているということです。
この中では、小沢氏が代表に就かない形での新党結成の可能性についても話し合っており、衆議院選挙の公示前までに結論を出したいとしています。
河村市長は先週、民主党を離党した山田前農水大臣や亀井静香氏らとの新党の立ち上げを発表していますが、社民党やみどりの風などにも連携を呼びかけていく考えです。
「フレンドリーというか、気さくな市長として、引き続き市民の皆さまのために」(河村たかし 名古屋市長)
こうした中、名古屋市の河村たかし市長は26日朝、次の衆議院選挙に立候補せず、市長を続ける意向を明言しています。(26日11:47)
ふるさと:原発事故20カ月 「危険」に慣れたくない 「放射能と人権」教育呼びかけ
毎日新聞 2012年11月26日 東京朝刊「放射能の危険性を訴えることは、私を含め、福島で暮らし放射能に慣れつつある人間にとって、傷口に塩をすり込まれるようなことかもしれない」
東京電力福島第1原発事故から20カ月。福島県で避難区域になっていない地域の学校では除染が進み、制限されていた屋外活動や運動会も事故前同様に行われるようになった。
福島県教職員組合書記次長の国分俊樹さん(50)は苦悩の日々を送る。事故後、放射能への対応を紹介する組合ニュースを発行し続けてきた。行政と保護者らとの板挟みになっている現場の教師向けで、危険性を指摘する内容も少なくない。
そして今、放射線教育が気がかりと言う。県内では福島市が先頭を切る形で2学期から始まった。「学ぶことは大切」と国分さんも考える。しかし、「『放射能を気にすることが問題』と心の問題にすりかえられている面がある」と懸念する。
「セシウム137だけでも表面汚染密度が1平方メートルあたり4万ベクレル以上の地域が福島県の東半分に広がっている。これは放射線管理区域に相当するベクレル数。そんな場所で暮らす異常さより、適応できない不安を問題視するのはおかしくないですか」と話す。
「給食の食材の線量検査など、組合としても全力で取り組んできた。でも、給食は年間180食。子供たちは除染された学校に24時間いるわけじゃない。健康に影響がないと言い切れるのか」
東日本大震災が発生した昨年3月11日は、福島市の組合事務所にいた。その日は同県郡山市の自宅には戻れず、帰宅は翌日。原発爆発の報を聞いた時は「死を覚悟した」。
翌朝から異変が表れた。朝、安達太良山などいつもと変わらぬ景色を眺めていると、涙が止まらなくなった。通勤途中に川や山を見ても涙した。
特に阿武隈川は幼い頃はカニとりに夢中になり、教員になっても趣味の自転車で堤防道路を疾駆した川。妻と出会ったのも上流の白河市だった。その川沿いに放射性物質は拡散した。「放射能の運河になってしまった」と悲しげに語る。
爆発を受け、大学1年の息子と中3の娘を熊本の妹宅に逃がした。事故収束が見通せず、一家の沖縄移住も検討した。だが、教員仲間の妻と出した結論は「残る」だった。
5月の連休明け、友人と会いたいという子供らが福島に戻ってくると、悲しみはさらに強くなった。吐き出せば改善するかと出勤前に大声で泣いた。だが、よくならない。6月に医師の診察を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言われた。通院は今も続く。
1年を過ぎたこの夏、「子どもたちのいのちと未来のために学ぼう 放射能の危険と人権」(明石書店)という本を市民団体と出し、被ばく量低減化、人権の回復、差別をしない許さない−−そうした教育に取り組もうと呼びかけた。
「報道も少なくなり、風化を感じる。自分でも慣れてきたと思う。でも危険なものは危険。慣れていってはいけないと思うんです」。ふるさとの山河を奪われた、無念の思いを胸に、静かにそう語った。【湯谷茂樹】
◇
「ふるさと」は毎月1回掲載予定です。2012年11月26日15時35分
嘉田新党、生活・みどり・脱原発と連携も 第三極二分化
嘉田由紀子滋賀県知事 滋賀県の嘉田由紀子知事(62)が「脱原発」を旗印とする新党を結成する意向を固め、27日に大津市内で記者会見して正式に発表する。国民の生活が第一 やみどりの風などとの合流も視野に連携を検討している。脱原発色が薄まった日本維新の会と一線を画す動きで、第三極の二分化が鮮明になってきた。
新党名は「日本(にっぽん)未来の党」を軸に最終調整している。脱原発を掲げる環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長も政策づくりに参画。総選挙公約の柱には「原発ゼロ」「環太平洋経済連携協定(TPP)参加凍結」「消費増税凍結」を据える方針だ。
脱原発を主張する生活(小沢一郎代表)やみどり(谷岡郁子共同代表ら)に加え、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党(脱原発)」(河村たかし、山 田正彦両共同代表)との連携を検討。嘉田氏は24日夜、小沢氏と会談し、合流も含めた連携の可能性について意見交換した。
新党には社民党に離党届を出した阿部知子前政審会長が参加する意向。みどりの谷岡氏は26日午前のフジテレビの番組で「嘉田さんがヘッド(党首)を引き受ける方向だと聞いている」と述べ、脱原発の小泉俊明幹事長代理は記者団に「あとは政治的決断だけだ」と語った。
新党との連携をめぐっては、合併して単一政党になる方式が有力。ただ、「協力したいが直ちにみどりを解体することはない」(亀井亜紀子共同代表)との異論もあり、新たな政治団体を作って統一比例名簿に候補者の名前を連ねる案も検討されている。
嘉田氏は現在2期目。昨年の福島第一原発事故以来、「卒原発」を提唱してきた。維新の橋下徹大阪市長とは原発再稼働問題で同一歩調をとったが、原発維持の石原慎太郎氏が率いる太陽の党との合流で「仲間を失った」と語っていた。
嘉田・滋賀県知事:新党結成を検討 「生活」「脱原発」が合流模索
毎日新聞 2012年11月26日 東京夕刊滋賀県の嘉田由紀子知事(62)が「脱原発」を掲げた新党結成を検討していることが、26日分かった。脱原発を訴える他の「第三極」政党との連携も検討している。26日午後、報道陣に説明する。
嘉田知事の周辺によると、国民の生活が第一やみどりの風など脱原発を掲げる各党幹部から連携の呼びかけがあるという。
嘉田知事は「卒原発」を主張し、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題でも、政府に慎重な判断を求めてきた。また、今年4月には地方選を目指す人材育成を視野に自らが塾長となり「未来政治塾」を開講した。
一方、生活と「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(略称・脱原発)は合流して新党を結成することを検討していることが分かった。
両党は政策が近く、生活の小沢一郎代表と、脱原発の河村たかし、山田正彦両共同代表との関係も近い。このため、日本維新の会を中心とした動きとは別に「脱原発」を軸に第三極の結集をはかる。
生活と脱原発側は、みどりの風にも合流を呼びかけている。また、脱原発の前衆院議員は「新鮮なイメージをアピールするトップは嘉田知事がふさわしい」と、嘉田知事が設立する新党に合流することも視野に入れている。ただ、嘉田知事が受け入れるかは不明だ。
小沢氏は合流による党名変更をみすえ、衆院選用の選挙ビラの印刷を一時中断するよう、24日に党内に指示した。【姜弘修、中島和哉】
嘉田由紀子知事が党首?生活・脱原発合流へ調整
「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(共同代表・山田正彦元農相、河村たかし名古屋市長)は、脱原発の第3極勢力を結集する新党結成に向けた調整に入った。
「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子参院議員ら)にも参加を呼びかけている。原発再稼働に慎重な姿勢をとってきた嘉田由紀子滋賀県知事を党首に迎える案が出ており、嘉田氏の動向が焦点だ。嘉田氏は26日夕、記者団に対して態度を表明する予定だ。関係者によると、嘉田氏はすでに「脱原発」の河村氏らと東京都内で会談し、原発政策など をめぐって意見交換した。河村氏は、新党が結成された場合、嘉田氏に党首に就任するよう打診したという。嘉田氏は、党首に就任した場合でも知事を辞職しな い考えという。周辺では、新党の名称を「日本未来の党」とする案が出ている。
脱原発の小泉俊明前衆院議員は26日朝のフジテレビの番組で、「別々の政党では、選挙戦は事実上できない。新しい党にひとつになるという方向を目 指していきたい」と述べ、3党合流に意欲を示した。「みどりの風」の谷岡氏も同番組で、合流について「連携の必要性がある」として、検討する考えを明らか にした。
(2012年11月26日15時14分 読売新聞)
滋賀・嘉田県知事が新党結成を検討
原子力発電所の再稼働に慎重な姿勢をとってきた滋賀県の嘉田由紀子知事が、原発ゼロ社会の実現を訴える「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子参院議 員ら)などを巻き込んだ形での新党結成を検討していることがわかった。党名は「日本未来の党」で調整している。新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現す る党」(共同代表・山田正彦元農相、河村たかし名古屋市長)と「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)が脱原発の第3極勢力の結集を目指していることを受 け、合流も視野に入れているという。
嘉田知事は26日夕、報道陣に対して態度を表明する予定。関係者によると、嘉田知事は数日前に上京し、河村市長らと会談し、「脱原発」の政策など について意見を交わした。この席で、河村市長らから「脱原発」と「生活」が合流して新党が結成された場合、嘉田知事に対し、党首に就任するよう要請があっ たという。
嘉田知事は原発依存からの脱却を目指す「卒原発」を提唱しており、発言権を確保するには、第3極勢力への参加が有効と判断したとみられる。関係者によると、嘉田知事は知事を辞職しない考えという。
(2012年11月26日 読売新聞)
滋賀知事、新党代表就任「申し上げる段階にない」
- 2012/11/26 14:44
滋賀県の嘉田由紀子知事は26日、自民党県議団との会合に出席し、「今回の衆院選は、知事の責務の延長として国政に意見を言う貴重な機会 だ」と発言。取り沙汰される新党代表への就任については「臆測も多く、いま責任を持って申し上げられる段階にない」と語った。会合後、記者団の質問に対し て「知事は辞めない」とだけ述べた。滋賀知事が新党検討 「脱原発」政党の連携図る
滋賀県の嘉田由紀子知事が「脱原発」を旗印に新党結成を検討していることが分かった。衆院選に向けては、脱原発を打ち出す第三極政党が乱立しており、連携の核となる方向で調整を進めている。嘉田氏は二十六日夕に記者会見して説明する考えだ。脱原発を掲げる「みどりの風」の谷岡郁子共同代表は二十六日のフジテレビ番組で、第三極の「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)や「減税日本・反 TPP・脱原発を実現する党」(河村たかし名古屋市長らが共同代表)との合流検討に関し「そういうことだ」と認めた。「嘉田さんがヘッド(党首)を引き受 ける方向だと聞いている」とも述べた。「脱原発」の小泉俊明幹事長代理も同番組で「別々の党で選挙戦はできない。一つの新しい党になる方向を目指したい」と強調した。嘉田氏は知事のままで党首に就く案が浮上。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長ら有識者との意見交換も続けている。ただ、十二月四日の衆院選公示まで時間が少なく、他の政策のすり合わせが難航する可能性もあり、谷岡氏は「全部一緒になることには疑問もある。今は微妙な段階だ」とも指摘した。嘉田氏は、政府が再稼働させた関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)の隣接県という立場から「再稼働は時期尚早」と主張。早期の原発ゼロ達成を訴え、原発政策を衆院選の最大の争点にするよう求めていた。【衆院選】嘉田滋賀知事が“脱原発”新党検討 坂本龍一さんにも要請、「生活」「みどり」合流も2012.11.26 14:10滋賀県の嘉田由紀子知事(62)が衆院選に向け、脱原発を旗印にした新党を結成する方向で最終調整していることが26日、関係者への取材でわかっ た。一方、減税日本・反TPP・脱原発を実現する党(脱原発)の小泉俊明幹事長代理表らは26日午前、フジテレビの番組で、嘉田氏を代表とし、同党と国民 の生活が第一、みどりの風が合流した新党の旗揚げを検討していることを明らかにした。
原発政策に絡み、脱原発など3党は、段階的に原発を 縮小する「卒原発」を掲げる嘉田氏と理念が一致している。衆院選前の合流が実現すれば、日本維新の会やみんなの党とは一線を画した第三極勢力となりそう だ。嘉田氏は26日夕にも記者会見を開き、態度を表明するとしている。
関係者によると、嘉田氏は脱原発を掲げる政党や政治勢力の結集を模 索し、新党構想が浮上。自身が塾長を務める「未来政治塾」にちなみ、新党の名称に「未来」や「日本」の言葉を入れることを検討し、呼び掛け人として歌手の 加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。嘉田氏は知事のまま代表に就く見通し。
一方、小泉氏は26日の番組で「国 民の生活が第一、みどりの風と組んで新党になるという方向で頑張っていきたい」と表明。みどりの風の谷岡郁子共同代表は、合流後の新党について「嘉田知事 が代表を引き受けられる方向だと聞いている」と明かした。ただ、谷岡氏は「連携の必要性はあるが、一緒になることには疑問もある」と慎重な姿勢も示した。このニュースの写真
'12/11/26
「脱原発」軸に結集模索 滋賀知事が新党検討
滋賀県の嘉田由紀子知事が、衆院選に向け新党の立ち上げを検討して いることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する「卒原発」や「環境」を訴えるとしている。河村たかし名古屋市長が共同代表を 務める「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」や谷岡郁子参院議員が共同代表の「みどりの風」は新党との合流を模索、「国民の生活が第一」(小沢一郎 代表)も嘉田氏の対応を注視しており、脱原発を軸とした第三極勢力が結集する可能性が出てきた。嘉田氏は26日午後、県庁で新党に関する見解を表明する。
関係者によると、嘉田氏の新党は党名に「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整。呼び掛け人として歌手の加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。
嘉田氏は知事のまま代表に就き、辞職はしない。政策方針に一致する国会議員らに参加を呼び掛ける考えだ。生活が第一の関係者は「合流できる準備は しているが、嘉田知事の対応を見守りたい」としている。河村氏は衆院選には出馬しない一方、選挙応援を通じ生活やみどりの風との連携を進める考えを表明し た。
「生活」「脱原発」が合流検討=「みどり」、滋賀知事にも呼び掛け【12衆院選】
来月16日投開票の衆院選に向け、国民の生活が第一(小沢一郎代表)と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(共同代表・ 河村たかし名古屋市長、山田正彦元農林水産相)が合流し、新党旗揚げを検討していることが26日、分かった。「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子氏ら)に も参加を呼び掛けている。生活の関係者が明らかにした。
「第三極」陣営では、日本維新の会の代表に石原慎太郎前都知事が就き、保守色を強 めている。小沢氏らには、消費増税や環太平洋連携協定(TPP)、原発再稼働への反対を明確にし、差別化を図る狙いがある。脱原発で主張が重なる滋賀県の 嘉田由紀子知事も「みどりの風」との連携を視野に新党結成を検討しており、小沢氏は嘉田氏にも合流を打診している。関電、企業向け料金19.23%値上げへ 家庭用は11.88%認可申請
2012.11.26 14:08
関西電力は26日に開いた取締役会で電気料金の値上げを正式決定し、政府に認可申請した。値上げ幅は家庭向けが平均 11・88%。来年4月からの実施を目指す。決定すれば33年ぶりの値上げとなる。また政府の認可が必要ない企業向け電気料金についても平均19・23% を値上げする。同社は原発停止で代替となる火力発電用の燃料費が経営を圧迫され、深刻な赤字経営が続いており、値上げで平成25年度の黒字転換を目指す。
値上げの認可申請にあたり、大企業平均の1・35倍に上る社員の給与水準の大幅削減、新卒採用の抑制、広告宣伝費や寄付金の圧縮などを盛り込んだ経営合理 化策も提出する。7月に再稼働した大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に加え、高浜原発3、4号機(同高浜町)の再稼働を想定している。
政府は申請を受けたあと、料金改定の基となる人件費や燃料費などのコストが妥当か査定する。9月1日に家庭用電気料金を値上げした東京電力は、当初10・ 28%の値上げ幅を申請していたが、査定で8・46%に値上げ幅が圧縮された。関電も経営合理化に余地があると判断されれば、値上げ幅が申請よりも圧縮さ れる可能性がある。
一方で、今後、計画通りに再稼働が進まなければ、再び値上げを行う必要に迫られることにもなる。
関電に続き、九州電力も27日に家庭向け電気料金の値上げを政府に認可申請する。値上げ幅は8・5%程度で最終調整している。企業向け料金も15%前後値上げする方針だ。-
- 関電・八木社長が電気料金の値上げ表明 中間決算発表の席上で
関電、家庭値上げ11・88% 企業向け19・23%申請
2012年11月26日 14時03分関西電力本店ビル=大阪市北区で関西電力は26日、家庭向けで平均11・88%の電気料金値上げを政府に申請した。認可がいらない企業向けの値上げ幅は平均19・23%で、とも に来年4月実施を目指す。原発停止が長期化し、代替の火力発電に使う燃料費が急増して経営を圧迫していることが原因。料金を原価から見直す抜本的な値上げ は1980年以来、33年ぶり。
九州電力は27日に値上げを申請。北海道、東北、四国の各電力も値上げ検討を表明しており、東京電力に続く値上げの動きが本格化してきた。家計や企業への打撃は大きく、後退局面に入った景気をさらに悪化させる恐れがある。
関西電力 11.88%の値上げ申請
11月26日 13時58分関西電力は、急激に悪化している経営状況を改善するため、資源エネルギー庁に対して、来年4月から家庭向けなどの電気料金を平均で11.88%値上げすると申請しました。
また、企業など大口向けの電気料金も、来年4月以降、平均で19.23%値上げする方針を明らかにしました。関電値上げ:火力発電の燃料費が経営を圧迫
毎日新聞 2012年11月26日 13時03分(最終更新 11月26日 13時20分)関西電力は全国の電力会社で最も原発比率が高く、火力発電の燃料費の負担増が経営の屋台骨を揺るがして きた。14年3月期にも債務超過に陥る可能性があるとの政府試算もあり、料金値上げやコスト削減を早急に進めなければ、経営不安が現実味を帯びる。社債発 行や借り入れに支障が出れば、電気の安定供給が脅かされるため、値上げは不可避の状態だ。
政府の認可手続きに約4カ月かかるため、来年4月に値上げするには11月中の値上げ申請がギリギリのタ イミングだった。総選挙が迫っているため、関電には「電気料金値上げの争点化は避けるべきだ」と先送りの声も出たが、「申請時期にかかわらず、批判は避け られない」(首脳)ため、当初予定通りの申請となった。
ただ値上げで問題が解消するわけではない。稼働中の大飯原発2基に加え、高浜原発3、4号機の再稼働による燃料費の軽減を料金算定の前提としているが、実際には再稼働の見通しは立っていない。稼働中の大飯原発も破砕帯(断層)問題を抱え、運転停止のリスクがある。
日本の景気の後退局面入りが確実な中、企業や家庭にとっては大きな負担増となる。関電には丁寧な説明と、火力発電の高効率化技術の導入や燃料調達の多様化によるコスト抑制など、さらなる効率化が求められる。【横山三加子】
関電、11%程度値上げを午後申請
燃料費の膨張が経営を圧迫している関西電力は、午前の取締役会で家庭用の電気料金の値上げを申請を決定しました。11%程度の値上げとみられ、26日午後、国に認可を申請します。
関西電力は、大飯原発以外の原発を停止している影響で、火力発電用の燃料費が膨らみ、今年度上半期は過去最大1167億円の純損失を計上しています。
このため関電は人件費などコストの削減を進めるとともに、収益の確保の向けて、家庭用の電気料金を11%程度、企業向けを20%程度値上げする必要性があると判断。26日朝の取締役会で値上げの申請を決定し、認可が必要な家庭用料金については午後、国に申請します。
値上げは来年4月から始めたい考えですが、今後、国による査定で値上げ幅の圧縮や追加の合理化策などを求められる可能性があります。(26日11:54)関電、来春の値上げを申請 家庭12%、企業20%前後
2012.11.26関西電力は26日、家庭向けで平均12%程度の電気料金値上げを政府に申請する。認可がいらない企業向けの値上げ幅は平均20%前後で、ともに来年4月実施を目指す。九州など電力各社も値上げの方向で、東京電力に続く値上げの動きが本格化してきた。
原発停止が長期化し、代替の火力発電に使う燃料費が急増して各社の経営を圧迫しているが、家計や企業への打撃は大きく、景気をさらに悪化させる恐れがある。関電、値上げ申請へ=来年4月、家庭向け12%程度
関西電力は26日午前、大阪市の本社で取締役会を開き、電気料金の値上げを決めた。午後に政府に認可申請する。上げ幅は家庭用で平均12%程度、認可が不要な企業用で20%前後。いずれも2013年4月の実施を目指す。
原発停止に伴う火力発電用の燃料費負担が経営を圧迫しているためで、値上げにより業績悪化に歯止めをかけたい考え。ただ、上げ幅は今後の政府の査定次第で圧縮される可能性がある。
13年に実施されれば、関電にとって本格的な値上げは第2次石油危機後の1980年以来33年ぶりとなる。
[時事通信社]関電が値上げ申請を決定 2012/11/26 11:51
関西電力は取締役会で、家庭向け電気料金の値上げを国に申請することを正式決定した。関電、午後に値上げ申請 家庭向け平均11.88%
【津阪直樹】関西電力は26日午後、家庭や商店などの電気料金について、2013年4月から平均11.88%値上げする計画を経済産業省資源エネルギー 庁に申請する。同時に、国の認可が不要な企業向けの料金も平均で20%程度値上げする方針を発表する。家庭向けの値上げ幅は、国の審査次第で圧縮される可 能性がある。来春からの値上げが認められれば、第2次石油危機後の1980年以来33年ぶりとなる。東京電力福島第一原発の事故以降、電力会社の料金値上げの申請は東電に次いで2例目。家庭向けの電気料金は基本料金と、使った量に応じて決まる従量料金からなり、今回の値上げは従量料金を見直す。東日本大震災の発生前、関電は発電量の45%を原発が占めていた。関電の原発は震災後、定期検査などを機に相次いで停止し、一時は全11基が止まった。 代わりに動かした火力発電の燃料費がかさみ経営が急速に悪化。12年9月中間決算で過去最悪の1167億円にのぼる純損益の赤字を計上し、13年度にも債 務超過になる可能性があった。電気料金:関電が家庭向け11.88%値上げ午後申請
毎日新聞 2012年11月26日 11時59分(最終更新 11月26日 12時58分)関西電力は26日午前の取締役会で、電気料金値 上げの方針を決めた。家庭向けが平均11.88%前後、企業向けが平均19%前後で、来年4月の実施を目指す。午後に八木誠社長が政府認可が必要な家庭向 けの値上げ申請を経済産業省資源エネルギー庁に提出する。原発停止の長期化で火力発電の燃料費が急増しており、九州電力も27日に家庭向けで平均8.5% 程度の値上げを申請する予定。北海道、東北、四国の各電力も値上げ検討を表明しており、9月に東京電力が先行した値上げが全国に波及する。関電の値上げ申請は東京電力に次いで2社目。燃料費の変動に対応した料金の変更は制度化されているが、 人件費などを含めた原価を抜本的に見直す値上げは第2次石油ショック後の1980年以来33年ぶりとなる。原発比率が約5割(10年度)と高い関電は、火 力発電用の燃料費負担増のため、12年3月期に過去最悪の最終(当期)赤字2422億円を計上した。9月中間決算でも最終赤字1167億円となり、13年 3月期も大幅赤字が確実で、同社は値上げが不可避と判断した。関電は10月下旬に値上げの検討に入ることを表明。稼働中の大飯原発3、4号機(福井県おおい町、出力 計236万キロワット)に加えて来年7月以降に高浜原発3、4号機(同県高浜町、同174万キロワット)も再稼働させて燃料費負担増を抑える想定とし、社 員の年収1〜2割カットなどの経費削減策を盛り込んで値上げ幅を圧縮したとみられる。政府は今後、燃料費や人件費など料金のベースとなる「原価」が適切かの審査や、利用者の意見を求める公聴会を開催するなどして値上げ幅の妥当性などを判断する。【横山三加子】関電、家庭向け11.88%値上げ 取締役会で決定
- 2012/11/26 11:14 (2012/11/26 12:13更新)
関西電力は26日午前、取締役会を 開き、家庭向け電気料金の11.88%引き上げを政府に申請することを決めた。政府認可が要らない企業向けも20%弱値上げする。いずれも2013年4月 の実施をめざす。関電が毎月の燃料費調整以外で電気料金を引き上げるのは、第2次石油危機で燃料費が高騰した1980年以来、33年ぶりとなる。関連記事
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家庭向け料金は午後に申請する。その後に経済産業省の専門委員会による査定などを経るため、実際の値上げ幅は圧縮される可能性がある。関電は原子力発電所の再稼働の遅れに伴う燃料コストの増大などを背景に、12年4~9月期の連結最終損益が1167億円の赤字(前年同期は204億円の黒字)に転落するなど、深刻な業績悪化に陥っている。申請時に政府に提出する14年3月期からの3カ年計画には、現在稼働中の大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町、出力計236万キロワット)に加え、高浜原発3、4号機(同県高浜町、同174万キロワット)の再稼働も盛り込む。値上げとあわせて採算改善をめざす。また人件費を1割以上カットするなどコスト圧縮に向けた姿勢を鮮明にするほか、13年3月期の年間配当は61年ぶりに無配(前期は60円)とする方針だ。四電が料金値上げへ 29日表明の予定
2012年11月26日(月)四国電力が電気料金を引き上げる方針を固めたことが25日までに分かった。千葉昭社長が29日の会見で表明する予定。伊方原発(愛媛県伊方町)全基停止で代替の火力発電の燃料費が急増して業績が悪化しているため。
千葉社長は10月31日の会見で、値上げの是非を「近いうちに判断する」と述べる一方、値上げ回避の条件に「年明けの早い段階の再稼働」を挙げていた。現在の情勢では早期再稼働は困難とみて、値上げに踏み切る。
値上げの実施時期や幅は未定。政府の認可が必要な家庭向けとともに、認可が必要ない企業向けも値上げを検討する。来年の値上げとなれば、33年ぶりとなる。
四電はコスト削減のために本年度の投資と経費を合わせて250億円圧縮するとし、さらに経営効率化特別委員会を10月に設置して上積みを協議している。関電、給与1割以上減
関西電力が電気料金の値上げ申請とともに政府に提出する経営合理化策の概要が二十四日、分かった。社員の給与水準は大企業平均を目安に一割以上引き下げる。新卒採用の抑制や保養所の売却を検討し、広告宣伝費や寄付金も圧縮する方針だ。関電は値上げ申請を二十六日に予定している。例外を設けずに経費を削ることで、値上げ幅を抑える姿勢を示す。関電の年間給与は平均八百万円程度。これを大企業平均の約六百万円を目安に下げていく。労働組合に方針を提示し、具体的な削減幅などは今後、労使交渉により決める。二〇一四年春の新卒採用は抑制する方向。ただ、電力の安定供給に支障が出ないよう、早期退職の募集などは当面見送る。社員の福利厚生として保有する二カ所の保養所は売却を検討する。広告宣伝費や自治体などへの寄付金の削減を検討する。経営責任を明確にするため、今年三月から実施している役員報酬の減額幅の上積みも検討するとみられる。関電は大半の原発が停止し、火力発電の燃料費が経営を圧迫している。風力などによる発電を増やして、燃料費の増加を抑えることも盛り込む。申請する値上げ幅は家庭向けが平均12%程度、企業向けは同20%前後とする方向で詰めの調整をしている。関電の合理化策が判明
[2012年11月24日 18:31]関西電力が電気料金の値上げ申請とともに政府に提出する経営合理化策の概要が24日、分かった。社員の給与水準は大企業平均を目安に1割以上引き下げる。新卒採用の抑制や保養所の売却を検討し、広告宣伝費や寄付金も圧縮する方針だ。
関電は値上げ申請を26日に予定している。例外を設けずに経費を削ることで、値上げ幅を抑える姿勢を示す。
関電の年間給与は平均800万円程度。これを大企業平均の約600万円を目安に下げていく。労働組合に方針を提示し、具体的な削減幅などは今後、労使交渉により決める。
2014年春の新卒採用は抑制する方向。九電値上げ幅、家庭向けは8・5%
九州電力は、27日に予定している電気料金の値上げ申請で、家庭向けの上げ幅を平均8・5%程度とする方針を固めた。来年4月からの実施を目指 す。経済産業省などが料金の妥当性を審査するため、実際の上げ幅は申請時より引き下げられる可能性がある。政府の認可が必要ない企業などの大口向けは平均 14%程度値上げする方向で、家庭向けと同時に実施したい考えだ。値上げ申請に伴い、九電は社員の給与や各種手当のカット、新卒採用の抑制による人員減などで人件費を1割以上削減する。2011年度の九電単体の 人件費1679億円に対し、新料金の原価算定期間(13~15年度)の3年間で平均200億円程度減らす方針だ。高水準との批判が強い人件費を削り、利用 者に理解を求める。発電所の補修費用や広告宣伝費などのコスト圧縮策も申請時に盛り込むほか、社宅や保養所などの資産売却も進める考えだ。(2012年11月23日 読売新聞)関電12%、九電8.5% 値上げ申請へ最終調整 4月実施
関西電力は電気料金の値上げ申請に関し、家庭向けの上げ幅を平均12%程度とする方向で詰めの調整をしていることが二十三日、分かった。九州電力 が同8・5%程度で最終調整していることも判明した。両社とも来年四月からの実施を目指す。関電は二十六日、九電は二十七日に申請する予定だ。九電、関電共に値上げが実施されれば、一九八〇年以来。経済産業省の専門家委員会などが査定を行い、実際の値上げ幅は申請より圧縮される可能性がある。政府の認可が必要ない企業向けは関電が平均20%前後、九電は15%前後の上げ幅とする方向だ。関電は値上げ申請と同時に事業計画も示す。保有する原発十一基のうち、今年七月に再稼働した大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に加え、高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働を想定している。社員の給与水準引き下げによる人件費削減などの経営合理化策を打ち出し、二〇一三年度の黒字転換を目指す。原発の再稼働が進まない場合は、再値上げの可能性も残る。一方、九電は人件費を一割以上削減する。基本給に加え、手厚い手当や福利厚生の大幅なカット、新卒採用数の抑制などを実施。取締役の報酬削減幅もこれまでの35%から50%程度に広げる。九電の値上げ幅は、保有する原発六基のうち四基程度を来年度以降に再稼働させると想定し算定した。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機を早期に再稼働し、玄海原発(佐賀県玄海町)も順次再稼働させ、燃料費の圧縮を図る。両社は原発停止に伴い、代替する火力発電の燃料費が増加し、収支が大幅に悪化している。関電は一二年九月中間連結決算の純損益が千百六十七億円の大幅赤字。九電は過去最大の千四百九十五億円の赤字だった。関電は当初、二十六日の取締役会で値上げ申請を決定、二十七日に九電とともに申請する方向だったが、二十六日に前倒しする。関電が来春の値上げ申請 家庭11・88%、企業20%弱 景気悪化の要因に
2012.11.26 12:48
関西電力は26日、家庭向けで平均11・88%の電気料金値上げを政府に申請する。認可がいらない企業向けの値上げ 幅は平均20%弱で、ともに来年4月実施を目指す。原発停止が長期化し、代替の火力発電に使う燃料費が急増して経営を圧迫していることが原因。料金を原価 から見直す抜本的な値上げは1980年以来、33年ぶり。九州電力は27日に値上げを申請。北海道、東北、四国の各電力も値上げ検討を表明しており、東京電力に続く値上げの動きが本格化してきた。家計や企業への打撃は大きく、後退局面に入った景気をさらに悪化させる恐れがある。
関電は26日午前の取締役会で値上げ申請を決めた。午後に八木誠社長が経済産業省に申請書を提出、夕刻に大阪市の関電本店で記者会見して申請内容などを説明する。生活・みどり 嘉田知事との連携模索
11月26日 13時8分国民の生活が第一やみどりの風は、来月の衆議院選挙に向けて、脱原発などを目指す勢力の結集が必要だとして、脱原発を訴えている滋賀県の嘉田知事との連携を模索していて、知事が新党を結成するならば合流を検討すべきだという意見も出ています。いわゆる第3極の政党のうち、国民の生活が第一、みどりの風、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」の中からは、来月の衆議院選挙で、勢力を拡大するためには、脱原発の主張を鮮明にすべきだという意見が出ています。
こうしたなかで、滋賀県の嘉田知事は、次の衆議院選挙について、福島の原発事故以降、初めて実施されることを踏まえ、原子力政策を最大の争点にすべきだという考えを示していて、周辺に「民間人と一緒に脱原発を訴えたい」という意向を示しています。
このため、国民の生活が第一やみどりの風などからは、嘉田知事との連携を模索する動きが出ており、知事が新党を結成するならば合流を検討すべきだという意見も出ていて、嘉田知事の対応が焦点となっています。■ “脱原発” 第三極結集の動き
関係者によりますと、「国民の生活が第一」と河村・名古屋市長側の関係者は、先週から合流を含めた連携について、具体的な話し合いを複数回にわたって行っているということです。
この中では、小沢氏が代表に就かない形での新党結成の可能性についても話し合っており、衆議院選挙の公示前までに結論を出したいとしています。
河村市長は先週、民主党を離党した山田前農水大臣や亀井静香氏らとの新党の立ち上げを発表していますが、社民党やみどりの風などにも連携を呼びかけていく考えです。
「フレンドリーというか、気さくな市長として、引き続き市民の皆さまのために」(河村たかし 名古屋市長)
こうした中、名古屋市の河村たかし市長は26日朝、次の衆議院選挙に立候補せず、市長を続ける意向を明言しています。(26日11:47)除染作業員の日当5500円の例も明らかに
最終更新:2012年11月26日 10時30分 福島県楢葉町の除染作業で作業員が、日当を5500円しか受け取っていないという例が、全国一般労働組合全国協議会が立ち上げた「被ばく労働を考えるネットワーク」の調査で明らかになった。
同ネットワークによると、労働者2人は口頭の労働契約で日当1万円(宿泊費なし)として雇用されたが、危険手当がつくことになったことから、この日当を福島県の最低賃金相当である
「危険手当ピンハネされた」 除染作業員 怒りの訴え
2012年11月26日 07時20分危険手当のピンハネなど除染の労働実態を訴える作業員ら(手前)=25日、福島県いわき市で(片山夏子撮影)東京電力福島第一原発の収束作業をする作業員や除染作業員を支援しようと、労働問題に取り組む「被ばく労働を考えるネットワーク」が二十五日、福 島県いわき市で第一回の相談会を開いた。除染作業員の男性らが訪れ、「国から支払われた特殊勤務手当(危険手当)がピンハネされている」と訴えた。
労働相談に訪れたのは、福島県田村市の国が除染を進める地域で、除染をした青森県の五十八~六十一歳の男性作業員五人。男性らは九月から約二カ月、約八百 人の作業員とともに山の草刈りなど除染作業をした。国が除染を進める年間放射線量が高い地域では、危険手当が一日一万円ほど出るが、五人には支払われてい なかったという。
五人は大手ゼネコンの三次下請け会社に勤務していた。「危険手当があるのを知った時は驚いた。どこでピンハネされているか分からない。健康診断も除染の講習も自費。当初はマスクの支給もなかった」と説明した。
会場では、阪南中央病院の村田三郎副院長が原発作業員らの被ばく問題について講演。「長期にわたる作業員の徹底した被ばく線量と健康管理が必要。被ばくとの関係が否定できない健康被害が出た時は、国と東電が補償すべきだ」と話した。
会場では生活相談も行われ、避難生活をする人や地元住民も訪れた。大熊町の女性は「収束作業をする作業員は、国が年金まで補償すべきだ」と話した。
(東京新聞)
除染作業ピンハネ常態化!「もうイヤだ」元作業員が記者会見【目がテン】
[2012/11/24]
「ピンハネは常態」作業員の訴え東京電力福島第1原発事故による除染作業で、作業員に支払われるはずの危険手当「特殊勤務手当」のピンハネが11月5日に明らかになり、環境省が実態調査を進めることになった。
この問題で22日、福島県楢葉町で除染作業を行っていた男性が環境省で記者会見を行い、不当なピンハネの現状を訴えた。
誰がピンハネをしているのか、明らかにせよ男性は
一緒に働いていた誰一人として手当てをもらっていなかった(「テレビ朝日」より引用)
と語り、
作業員は声を上げにくく、手当が支払われていない人はほかにもたくさんいる。誰がピンハネをし、なぜこんな構造になっているのか明らかにしてほしい(「47NEWS」より引用)
と、不払いが当たり前である実態を訴え、徹底した調査を求めた。
危険を伴う原発事故の除染作業。しかし現場作業員の待遇は、ないがしろにされがちだ。「誰がピンはね」をしているのか、政府の調査報告が待たれる。
▼外部リンク
テレビ朝日
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/
47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012112201001787.html
除染特別地域内における等工事に係る設計労務単価について (通知)
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/no120509003.pdf
除染作業員 怒りの訴え 「危険手当ピンハネされた」
危険手当のピンハネなど除染の労働実態を訴える作業員ら(手前)=25日、福島県いわき市で(片山夏子撮影)東京電力福島第一原発の収束作業をする作業員や除染作業員を支援しようと、労働問題に取り組む「被ばく労働を考えるネットワーク」が二十五日、福 島県いわき市で第一回の相談会を開いた。除染作業員の男性らが訪れ、「国から支払われた特殊勤務手当(危険手当)がピンハネされている」と訴えた。労働相談に訪れたのは、福島県田村市の国が除染を進める地域で、除染をした青森県の五十八~六十一歳の男性作業員五人。男性らは九月から約二カ 月、約八百人の作業員とともに山の草刈りなど除染作業をした。国が除染を進める年間放射線量が高い地域では、危険手当が一日一万円ほど出るが、五人には支 払われていなかったという。五人は大手ゼネコンの三次下請け会社に勤務していた。「危険手当があるのを知った時は驚いた。どこでピンハネされているか分からない。健康診断も除染の講習も自費。当初はマスクの支給もなかった」と説明した。会場では、阪南中央病院の村田三郎副院長が原発作業員らの被ばく問題について講演。「長期にわたる作業員の徹底した被ばく線量と健康管理が必要。被ばくとの関係が否定できない健康被害が出た時は、国と東電が補償すべきだ」と話した。会場では生活相談も行われ、避難生活をする人や地元住民も訪れた。大熊町の女性は「収束作業をする作業員は、国が年金まで補償すべきだ」と話した。
福島・楢葉町で除染していた作業員、特殊勤務手当の実態を明かす福島・楢葉町で除染をしていた作業員が記者会見を開き、特殊勤務手当が支払われていない実態を明らかにした。
特殊勤務手当を払われていなかった作業員は「働いている中で、いろんな会社の人にも聞いて、誰一人もらっている人はいなかった。構造を明らかにして、払われるようにしてほしいと思います」と話した。
特殊勤務手当は、放射線量が高い場所で作業する場合、1日最大で1万円が環境省から元請け企業に対して支払われているもの。
しかし、楢葉町で除染作業をした30代の男性作業員によると、給与明細の「手当」の欄は空欄で、支払われることはなかったという。
その後、企業と交渉の結果、この作業員には手当が支払われたが、同じように除染をしていたほかの作業員には、現在も支払われていないという。
作業員を支援している団体は、「下請けが多すぎる。手当が作業員に直接渡るような仕組みにしてほしい」と話している。 (11/22 20:34黄金色の試験田での稲刈り
写真・文/寺島英弥 (河北新報編集委員)83回目 ~除染に挑む・飯舘/その8
10月13日の土曜朝は快晴でした。自宅の最寄駅のJR常磐線・南仙台駅から8時49分発の上り電車に乗り、20分と少しの亘理駅から代行バスに 替えて、国道6号を南下して相馬へ。ここから田園の街道風景の中、1時間10分の長旅です。昨年3月11日の津波で防潮林が消えた海岸線には、立つ白波が 遠目にも見えます。
津波からほぼひと月後に代行バスの運行が始まり、昨年末に相馬~原ノ町(南相馬市)間が電車の折り返し運転の形で復旧しましたが、それ以南は福島第1原発事故の後、電車の音が絶えたままです。
< 東日本大震災で被災したJR常磐線の復興調整会議が12 日、仙台内で開かれ、国と関係自治体、JR東日本は、運休中の相馬-亘理(宮城県亘理町)間(27.6キロ)のうち、相馬-浜吉田(亘理町)間(22.6 キロ)の運転再開を2017年春とすることで合意した。(中略)亘理-仙台間、原ノ町(南相馬市)-相馬間で折り返し運転が続く原ノ町以北の常磐線は、約 4年半後に全線復旧する見通しとなった >(10月22日の河北新報記事)
8日後、こんなニュースが載りました。問題の相馬-亘理間は、浜沿いの線路を津波が直撃した区間で、再開には線路を、内陸を並行して走る国道沿いに敷き直す工事が必要で、その用地買収交渉もこれからです。
17年春といえば、、我が身に照らせば60歳。震災があって以来、「きょう、あす」しか考えられなくなった(信じられなくなった)自分にとっても 想像のつかない時間です。それまであと何度、代行バスに揺られる旅を続けるのか。被災地には、「復興」というにはあまりに長い時間を待たねばならぬ状況が 続いています。
< 1200人余りが死亡・行方不明となった大槌町の人口は、 9月末現在で1万3101人。震災直前より2906人減り、人口減少率は18パーセントと県内で最も高い。震災後からことし9月末までの転出者は1967 人に上る。住民票を移さずに町外へ移った人もいるとみられ、町を出た人はさらに膨らむ >
との記事がありました。
待つのでも離れるのでもなく、希望を自ら、どう創りだせるか-。その闘いは北でも南でも続いています。
◇
佐須地区に入ると、目指す菅野宗夫さん(61)宅の田んぼがパッと目に飛び込みました。いつも「似ているなあ」と思うスコットランドの風景のよう な緑の谷にまぶしく映える、黄金色の稲穂のせいでした。「飯舘村再生モデル事業 イネ栽培試験」の看板が立つ、田車(除草機)による土壌の除染実験が行わ れた田んぼ(条件を変えた4区画、計約500平方メートル)です(『余震の中で新聞を作るVol.73 ~除染に挑む・飯舘/その7』参照)。
大きな納屋や作業小屋が並ぶ宗夫さんの家の茶の間には、首都圏から泊まりがけで福島入りした「ふくしま再生の会」=田尾陽一さん(70)を代表に研究者ら有志約150人のNPO法人・昨年6月から宗夫さんら住民と協働の除染実験など独自の再生プロジェクトに取り組む=のメンバーや新顔のボランティアの老若男女15人ほどが集いました。
試験田は、再生の会と独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市/農研機構)」との研究協定(稲へのセシウムの移行の有無を調査)が結ばれており、この日は稲刈りが行われるのでした。
6月下旬、大勢の参加者でにぎわった田植え(『余震の中で新聞を作るVol.66 ~田の神、飯舘にふたたび』参照)と同様、「ただ研究や実験の目的ばかりでなく、飯舘の暮らし、農家の文化を肌で知ってもらいたい。そこから本当の協働が始まる」という宗夫さんの希望もあり、再生の会が体験希望のボランティアを募っていました。
それぞれに持参した昼の弁当、果物類などと、宗夫さんの妻千恵子さん(60)の味噌汁で腹ごしらえをした後、宗夫さんは師匠になりました。田んぼ から取ってきた稲穂をひとつかみ、テーブルの上に掲げ、もう片方の手に鎌を持ち、「手刈りに挑戦してもらいます。このくらいの束にして、気をつけて手前に 引く。そして、3束くらいを稲わらでくくる」。
はせを組む、再生の会のメンバー作業班は3つ。稲刈りのチーム、刈った稲束を懸ける「はせ」(相馬地方では『はせ懸け』といいます)の組み立てチーム、そして、天日干しされた稲 のもみを取る脱穀(もみすり)チーム。稲刈りには女性陣や初めての参加者、はせ作りには土木作業のベテランの男手が集まり、もみは放射線量計測にそのまま 供されるため、放射線専門家の岩瀬広さん(37)=高エネルギー加速器研究機構・つくば市=が担当することになりました。私は脱穀の手伝いです。
作業開始直前の時間が、私は好きです。宗夫さん宅の前庭に参加者たちが一斉に繰り出し、それぞれに作業の準備にかかります。
納屋から「すごいものを見つけた」と年季の入った工具農具を出してきて驚かれたり、「どこから来られたのですか」と声を掛け合ったり、日ごろ菅野 家の留守を守る猫たち(外飼いで現在3匹)としばし遊んで下界のことを忘れたり。宗夫さんから土地の季節季節の面白い話、昔語りなどを聞けるのも、こんな 時です。
「最近、イノシシばかりでなく、キツネが増えている。伝染病でめっきりと数が減ったんだが、今年の春から子ギツネが道路を横断しているのをよく見かけるようになった。夏には大人の姿になって」
まるで、心配していた仲間が帰ってきたように宗夫さんは語りました。放射能のために人間たちの不在が続く中でも、自然の循環は続いているのでした。
◇試験栽培の稲の脱穀は、通常なら自動の脱穀機で済ませられるのですが、宗夫さんは宮城県丸森町でもコメを作っており、万が一にも放射性物質が付着することがないよう、いわば手動で行うことになりました。
脱穀の場所は、納屋の2階。昔の農家なら、養蚕をしていたような広い部屋でした。そこには、稲刈りに先立ってサンプル採取の刈り取りをされていた稲穂がずらりと干してありました。
稲のサンプル採取には、作況(コメの出来)などを調べる「坪刈り」という抽出方法があります。今回は、小熟期(9月下旬)と完熟期(10月)の2 回、田車除染の道具や、セシウムを含んだ泥水の排出方法(強制排水と自然流水による排水)といった条件の違い、セシウム吸収抑制剤ともなるカリウム散布の 有無も加えて、4つの区画でそれぞれ5ヵ所ずつ(1ヵ所で15株のみ)の刈り取りが行われました。
それらのもみは、試験に協力する東大農学部の研究室に運ばれ、詳しく測定される予定でした。
< 福島第1原発事故で、政府原子力災害現地対策本部と福島県 飯舘村は19日、村の避難指示解除見込み時期を2014~17年とすることで合意した。(中略)帰還困難区域の長泥地区を17年3月、居住制限区域の中で 線量の高い3地区を16年3月、その他の居住制限区域12地区と避難指示解除準備区域4地区の計16地区を14年3月に解除する見込み >(10月 20日の河北新報)
< 復興庁は2日、東京電力福島第一原発事故でほぼ全ての住民 が避難している福島県飯舘村の公共施設の復旧工事について、2013年度以降に本格化させるとした工程表を発表した。(中略)12年度は除染やがれき処理 を優先させる。道路や上下水道といったインフラや小中学校などの文教施設は一部を除いて13年度から復旧に向けた事前調査に着手。復旧の完了はインフラが 13年度以降、文教施設などが14年度以降となる見通し >(11月3日の河北新報)
稲刈りの後に載った2つのニュース。原発事故被災地の避難区域の市町村で、解除見込み時期が決まったのは初めてです。国とゼネコンによる本格的な 除染作業は村内の一部地区で始まっていますが、多くの行政区で、実施の前提となる住民への説明会の段階から進んでいないのが現状です。
避難指示解除準備区域にある佐須地区などの避難指示を、14年3月には解除する-という国の方針を実現するには、実質、来年の雪解け後から秋まで の期間しかありません。同村小宮にある村の飯舘クリアセンター(放射性廃棄物仮置き場)も拡張工事が遅れており、「果たして、再来年3月など可能なの か?」という国への疑問が、宗夫さんら住民にはあります。
しかも、家周りなど生活場所の除染が急ピッチで行われたとしても、それだけで「帰村」の条件は整いません。農地があり、家々を取り巻く屋敷林があ り、霞が関の役所発注の統一仕様では対処不能な環境が地区ごと、家ごとにあり、それゆえに住民たちは「地元を一番よく知る自分たちの声を聴き、意見を取り 入れ、協働してほしい」と訴えています。
宗夫さん、比曽地区の菅野啓一さん(57)=本ブログ71回「除染に挑む・飯舘/その6」、同81回「除染に挑む・飯舘/その7」参照=らと、支援するふくしま再生の会のさまざまな実験は、そのために住民が立ち上がっての自助の活動であり、田んぼの除染と稲作付の実験とその結果にも、これも国の統一仕様にはない、村民が「生きるための業」の再生が掛かっていました。
◇手による脱穀のため、岩瀬さんが考案したのは、板の上に稲穂を載せ、ご飯茶碗の縁を押し当てて、もみをこすり落とすという方法でした。やってみる と、なるほど、もみだけがばらばらと取れます。大量にスピーディーに効率的に-が当たり前の時代から、単純でも手間暇を掛けた確実な、太古の脱穀法に一度 に立ち戻ったような思いがしました。薄暗く、時を忘れて夜話を聴く遠野の南部曲がり屋の部屋のような雰囲気もあって、なおのこと。
「どうして、『高エネルギー』の世界を選んだのです?」
岩瀬さんは、私の勤め先と同じ仙台の東北大工学部・大学院で9年学んだとの縁で、作業中に自然、そんな問いが出ました。
所属先の高エネルギー加速器研究機構は、ホームページを引用すれば「加速器と呼ばれる装置を使って基礎科学を推進する研究所。高エネルギー加速器は、電子や陽子などの粒子を光の速度近くまで加速して高いエネルギーの状態を作り出す装置」です。
一周1.6キロの巨大な円形施設シンクロトロンを用いて、粒子を最も高いエネルギーに加速させ、衝突させ、そこで飛び散り、生まれるさまざまなものを計測することで、未知の素粒子や原初の宇宙の状態などを調べる場所、というのが素人の理解です。
クォークという素粒子の新しい集まりの存在を提唱した小林誠、益川敏英両博士(2008年ノーベル物理学賞)の理論を実証したり、話題のヒッグス粒子探 求の計画にも参加したりしている機関です 実験過程で多様な放射線が飛び出し、岩瀬さんは当然ながら放射線の専門家です。
「本当は、ものづくりをやりたくて工学部を選んだが、学部の研究室がたまたま原子炉工学になって。大学院では別のことをやりたい、と加速器の研究に進んだ」
道が少し違えば、原子炉の設計技術者、「原子力ムラ」の一員となったかもしれません。
昨年6月から、ふくしま再生の会の協力メンバーとして車で飯舘村に通い、放射線測定や除染実験を担っています。代表の田尾さん(東大の物理出身) の理科学世界の人の縁を通じて参加の誘いが掛かった、といいますが、「自分は栃木出身だが、東北にゆかりができ、震災の被災地の役に立ちたいと思った」。
飯舘村で宗夫さん、啓一さんら地元農家と関わり、「自然や暮らしの深い知恵と技を持ち、自らの手足を動かし何でもできる、その生きる力に感動した。今まで出会えなかった人々。自分も、ここでずっと一緒に活動できたら」。
震災はさまざまな人の人生を変えましたが、岩瀬さんもその一人でししょう。原子核の世界の研究者が、ご飯茶碗のもみすりを考え、原初の農作業に没頭していました。
◇
四角い板の上部に鉄製の歯がぎざぎざに並び、すき間に稲穂を挟んで引くと、もみだけがぼろぼろと取れる、という元禄期に生まれた農具。日本史の教科書にも、江戸時代の農村の技術革新の例として紹介されていました。
さすがに初めて見る人ばかりで、脱穀チームの参加者たちは目を輝かせて作業を試し、勢いよく飛び散るもみに「弥生から千数百年が、一夜で進んだよ うだ」。東大農学部卒の70代も、20代のボランティアの若者も、子どものように声を上げ、農村の知恵を代わる代わる体験しました。千歯扱きに新しさ、便 利さを感じるほど、前日からの脱穀の作業は、心までも原点にリセットしてくれたのでした。
田んぼでは、千恵子さんが手本になって、10人ほどの稲の手刈り作業が進んでいました。刈り手が、稲穂の束を三つ、四つと切り株の上に残していく 後から、それを一束に結付ける役が追いかけます。わらを3、4本使い、稲穂の束をくくるのですが、これが、慣れないとなかなか難しい。私は駆け出しの通信 部記者のころから山形県北村山地方の田舎に縁があり、田植え、稲刈りの経験は多少ありました(取材に行くと、それで済まず、手伝わされて)。
組まれた「はせ」に、稲束を懸けていく稲束を、わらをふた回しして絞り、それから結び目を持って、くるりと時計回りに回転させます。わらがギュッと稲束を締めたら、結び目から余った端 を裏側に挟み込みます(手順を文章にすると、ネクタイの結び方と同じくらい難しいです)。ひと束ひと束、太陽が空をぐるりと動いていくのと同じくらいの速 さ、着実さで刈っていく農家流がむしろ自然に、こちらのリズムも変わってきます。都会暮らしをしようと、体のどこかに記憶されていたリズム。
田んぼの隅では、再生の会で土木作業を引き受けている大永貴規さん、野々垣旦さん(70年安保のころ、東大ボート部で鳴らしたメンバー)らの自称"工兵隊"チームが、木材を組んで長い「はせ」を組み、刈り取られた稲束を女性たちから受け取って、掛けていきました。
稲刈りを終えて、牧草地での宴
牧草そのものは昨年の原発事故の後、宗夫さんが刈り取り、再生の会が何種類もの植物のセシウム吸収試験を行いました。それが今、高原のような美しさです。
その一角に青い大きなビニールシートが敷かれ、一人一人の手に抱えられてきた料理が並べられました。マッシュト・パンプキン、鶏肉とゴーヤとレタ スのサラダ、ローストポーク、イカと大根の漬け物、キンピラゴボウ、栗ご飯、信州の大粒のブドウ・・・。千恵子さんと女性の参加者たちが手作りしたごちそ うでした。
6月の田植えの後の「さなぶり」(田の神と分かち合う宴)の様子を本ブログ74回でを紹介しました。この日の秋空の宴も、それに劣らぬにぎわいとなりました。
◇試験田の稲刈りから約2週間後の10月27日。紅葉マークの愛車は、秋の衣を一層濃くした峠を越えて佐須に入りました。土の色に戻った試験田のは せに干された稲束は、ほどよい枯れ色になり、朝方に降った雨に湿っていました。宗夫さんの家には、ふくしま再生の会のメンバーやボランティアが集い、なん と「サル」の話で盛り上がっています。
「サルが一匹、はせの上にちょこんと載って、稲を引き抜きては食べて、ぽいぽいと捨てていた」と、田んぼの土壌調査をしている東大准教授(大学院 農学生命科学研究科)の西村拓さんが目撃談を語りました。サルが稲を食べる? と一瞬、信じられませんでしたが、宗夫さんは「穂のもみだけを歯でしごくよ うにして、食べるんだ」。
稲刈りの田んぼ脇で土壌を調査をする東大の西村さん(右端)ら
宗夫さんは、隣の伊達市への避難生活とともに昨年春から宮城県丸森町筆甫に借りている田んぼで、2年目の脱穀作業をこの日午後に完了する予定でした。5月25日に行った筆甫での田植えの様子は本ブログ74回で紹介しました。
脱穀を終えた丸森町筆甫の田んぼ「帰村までの生きがいのために作りたい」と、同じく伊達市で避難生活を送る佐須地区の集落営農組合の仲間、阿部勝男さん(64)と共同で借りた計 50アールの田んぼに峠越えの道を通い、コシヒカリを育てていました。田植えの際も新聞に記事を書かせてもらった筆甫に、私も同行しました。
試験田とは違って、こちらでは自走式の脱穀機が主役でした。残っていた20アールほどの田んぼから刈り取られた、はせ懸けの稲穂をどんどんすり上げ、強い風とともに、もみを袋に吐き出していきます。
収穫されたコシヒカリ私は、すり上げた後の稲束を並べていく役を引き受けましたが、細かいわらくず混じりの風を顔に、髪に吹きつけられ、目も開けていられないほど。つい2週間前の「弥生」のもみすり体験から、農具の歴史の旅は一気に現代へと飛びました。
約1時間で脱穀は終わり、田んぼの角にあった軽トラックの荷台には30キロ詰のコメ袋が積み上げられました。「11俵(計660キロ)というところだな。でも、量が問題じゃないから」と、阿部さんは笑って言いました。
「こんな状況でも、作り続けることが大事なんだ」と宗夫さん。田植えの折に「農家として1年でも、田んぼと切り離された生活は考えられない。辛抱も苦労も、仲間と一緒なら半分になる」と語ったのを思い出しました。
2人はそれから、田んぼの端に稲わらの束で、野趣たっぷりの宴の席を設けました。阿部さんの妻セツ子さん(65)が、「朝5時に起きて仕込んだん だから、いっぱい食べてよ」と、遅い昼食のごちどうを並べます。メーンは稲荷ずし、厚切りの大根や新鮮なゆで卵を煮込んだ、おでん。おつゆ代わりのカップ ラーメンも、農作業の後の空腹に吸い込まれていきました。
農家であり続けようとする人々が、わが村の秋空の下で笑い合う日はいつか。
●関連・河北新報連載「飯舘 再生への協働」(11月14~19日)=KOLNETよりリンク=
(1)仲間集う/「農」と「知」新たな挑戦
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20121114_03.htm
(2)田の実験/肥えた土守る、除染工夫
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20121115_04.htm
(3)宝を守る/歴史共有、常につながる
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20121116_02.htm
(4)村人の力/除染法、自ら試し提案
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20121119_01.htm
(5完)種をまく/再び住める方策探る
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20121119_02.htm
『悲から生をつむぐ 「河北新報」編集委員の震災記録300日』
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寺島英弥(てらしま・ひでや)このコラムは寺島さんのブログ「Café Vita」から転載掲載しています。
河北新報社編集局編集委員
1957年、福島県相馬市出身。早稲田大法学部卒。
東北の人と暮らし、文化、歴史などをテーマに連載や地域キャンペーン企画に長く携わる。「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)、「時よ語れ 東北の20世紀」など。フルブライト奨学生として2002~03年、デューク大に留学。主な著書「シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙」日本評論社、「地域メディアが地域を変える」(共著)日本経済評論社など。
【千葉】
民有地除染「市民で」 柏市長方針 来月に支援強化
柏市の秋山浩保市長は二十二日の記者会見で、住宅など民有地の除染問題について「放射線不安の払拭(ふっしょく)には市民に実感していただくこと が大切」と述べ、業者などを派遣せず市民の手による除染を進める方針をあらためて示した。市は十二月から道具の貸し出しや除染方法を説明する映像の公開な どを通じ、除染支援を強化する。民有地除染をめぐっては、県内で汚染状況重点調査地域に指定された九市のうち、松戸、流山、野田、我孫子、印西、白井の六市が業者派遣など市主体 の除染を実施している。柏市も同様の対応を求める声があったが、国の財政支援の対象が不十分で効果が見込めないことなどを理由に、市民主体で進める考えを 示していた。秋山市長は会見で、住宅周りの除染は市民で可能な軽作業と指摘し、「除染は放射線の知識を深めるチャンス。イメージではなくきちんと理解してほしい」と協力を求めた。除染方法の映像は十二月一日から市ホームページで公開する。 (横山大輔)
福島 除染農地試験栽培 稲、野菜で効果確認 農水省 (2012年11月23日)
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い農地除染対策実証事業を進める農水省は22日、福島県で行った除染後の試験作付けの結果を発表した。収穫した水稲と野菜の放射性セシウム濃度は全て検出限界値未満となり、除染の効果を確認した。
除染開始時期は未定
2012年11月22日
環境省福島環境再生事務所は21日、浪江町の除染実施計画を発表した。対象は町全体の91%にあたる6540世帯。仮置き場が確保できて いないため、除染のスタート時期は未定となっている。ただ、同事務所は他の市町村と同様に、2014年3月までに除染は完了できると説明した。
除染の対象は年間の被曝(ひばく)線量が50ミリシーベルト以下の地域で、浪江の場合、東部、南部、西部の計3地域にある建物や道路、田畑などで、面積は町全体の約2割の4千平方メートル。
このなかには、避難指示区域が見直された場合、年50ミリシーベルトを超える帰還困難区域が含まれる。このため、実際の対象面積は今回の計画より縮小する可能性があるという。
同町内の仮置き場の候補地は1カ所も決まっていない。同事務所の試算では、帰還困難区域も含め町全体を除染した場合、必要な仮置き場は100ヘクタール超という広大な土地が必要になる。
浪江の対象世帯は、これまで最多だった南相馬市の3980世帯を大きく上回り、住民への説明や仮置き場の同意をとる作業は難航が予想される。
国直轄の除染区域で計画ができたのは浪江で8市町村目。国の除染実施計画がまだできていないのは大熊、富岡、双葉の3町になった。
32年度までに森林除染を完了
新計画は平成25年度から32年度までの8年間。国直轄の「除染特別地域」の除染の進捗(しんちょく)率は23年度で1%。政府は森林除染を全面的に実施する方針を打ち出していないが、県は完了を掲げた。
計画にはバイオマス燃料用の作物栽培も盛り込む。避難区域の農地保全対策として、非食用米などの栽培を想定している。一方、除染推進の拠点として構想を示 した「県農林水産再生研究センター(仮称)」の記載は見送った。国が整備費を確保していないためで、「必要な研究拠点を整備する」にとどめた。
計画案はパブリックコメントなどを経て来年3月までに決定する。
(滋賀知事、「卒原発」で新党検討 午後に見解表明へ
主要/2012年11月26日 12:25 滋賀県の嘉田由紀子知事
関係者によると、呼び掛け人として歌手の加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。
嘉田氏は知事のまま代表に就き、辞職はしない。
小沢・河村氏、脱原発で結集探る 党首に滋賀知事案
- 2012/11/26 13:06
12月4日公示の衆院選に向け、脱原発や反消費増税を掲げる第三極勢力が合流を探っている。河村たかし名古屋市長と山田正彦元農相が共同 代表を務める「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(略称・脱原発)は、小沢一郎代表の「国民の生活が第一」や、谷岡郁子共同代表らの「みどりの 風」と新党結成を検討。党首に滋賀県の嘉田由紀子知事を迎える案も浮上している。
「脱原発」の小泉俊明幹事長代理は26日午前、都内で記者団に、生活との合流について「政策が一致している。一緒に組むのが国民にわかりやすい」と意欲を示した。河村氏が小沢氏と協議を進めていることを明らかにしたうえで「代表同士で決断をしてもらいたい」と述べた。小沢氏は26日までに、生活の衆院選公認候補者にビラ作製を中断するよう指示。生活内には「小沢氏が新党結成を考えている」との見方が浮上している。河村氏や小沢氏は脱原発や反消費増税、反TPPなど主張が近い勢力を結集することで、中小政党の乱立に伴う票の分散を避けたい考え。脱原発で一致する「みどりの風」との合流も視野に入れる。滋賀県の嘉田知事はかねて再生可能エネルギーの拡大や原発依存度の低下を主張している。「消費税、外交まとまったか」=「生活」「脱原発」合流に維新幹事長【12衆院選】
日本維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)は26日、国民の生活が第一と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」が合流しての新党結成を検討 していることについて、「消費税や環太平洋連携協定(TPP)の問題、外交・安全保障の部分がしっかりまとまったのかどうかだ。(そこが)一番重要なポイ ントではないか」と指摘した。府庁内で記者団の質問に答えた。
[時事通信社]「生活が第一」と「減税日本・反TPP」が合流検討
【社会】
2012年11月26日 12:32 更新衆院選に向け、「国民の生活が第一」と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」が合流し、新党旗揚げを検討していることが分かった。「みどりの 風」にも参加を呼びかけているという。「第三極」では、日本維新の会が保守色を強めているのに対抗し、反増税や反TPP、脱原発の姿勢を明確にしようとい う狙いがある。脱原発どころか「卒原発」を唱える滋賀県の嘉田由紀子知事も「みどりの風」との連携を視野に新党結成を検討しており、嘉田氏にも合流を打診 しているという。
「国民の生活が第一」と「減税日本」、新党結成を検討
- 「国民の生活が第一」と「減税日本・反TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)・脱原発を実現する党」
が、「脱原発」などを基軸に合流し、新党結成を検討していることが明らかになった。「みどりの風」にも参加を呼びかけていて、党首には、滋賀県の嘉田
由紀子知事が就任する方向で検討されていることもわかった。
みどりの風の谷岡共同代表は「(生活とか減税と一緒にやっていく?)たぶん、そういうことだと思います。(滋賀県知事の)嘉田さんが、ヘッドを引き受けられる方向だと聞いています」と述べた。
減税日本・反TPP・脱原発を実現する党の小泉幹事長代理は「減税日本は、国民の生活と、みどりの風の谷岡先生と一緒に組んで選挙できるように頑張ってまいります」と述べた。
小沢代表率いる「国民の生活が第一」と、河村 たかし名古屋市長が共同代表を務める「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」が合流して旗揚げを目指す新党は、脱原発や反消費税増税などの政策を掲げる見通し。
小沢氏は、党所属の立候補予定者に、現時点での選挙用のポスターの印刷を中断するよう指示していて、「党名変更」などを見据えた動きとみられる。
両党は、「脱原発」などで主張が重なる「みどりの風」にも、新党への参加を呼びかけているほか、滋賀県の嘉田知事を党首にする方向で検討していて、保守色の強い「日本維新の会」とは別に、「第3極」勢力の結集を目指す考え。 (11/26 12:36
ページ更新時間:2012年11月26日(月) 12時40分
■連携模索か 小沢氏と嘉田知事が会談滋賀県の嘉田由紀子知事が、「脱原発」を掲げた新党の立ち上げを検討していることがわかりました。
関係者によりますと、滋賀県の嘉田知事が結成を検討しているのは「脱原発」を目指す新党で、脱原発を政策に掲げるグループの受け皿になることを目指すものとみられます。
嘉田知事は先週末、脱原発を掲げる「国民の生活が第一」の小沢代表と会談していて、合流を含めた連携について話し合ったものとみられます。
関係者によりますと、合流する場合は嘉田知事を代表とする新党を結党する案も浮上しているということです。
嘉田知事は去年3月に起きた福島第一原発の事故直後から、原子力に頼らず、太陽光や風力などの自然エネルギーに転換していくべきという「卒原発」を提唱していました。
(11/26 12:39)脱原発、小林興起氏擁立へ…愛知13区に国替え
「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(略称・脱原発)は25日、衆院選の東京10区で立候補を予定していた小林興起前衆院議員(68)を愛知13区(安城市など)で擁立する方針を固めた。
複数の党幹部が明らかにした。小林氏はいったん旧減税日本に離党届を出し、日本維新の会公認で東京10区から出馬する意向だったが、公認は得られず、脱原発に参加した。
(2012年11月26日12時28分 読売新聞)日立、英国の原発会社を買収完了 892億円で
2012.11.26 11:46日立製作所は26日、英国の原子力発電事業会社の「ホライズン・ニュークリア・パワー」の買収を完了したと発表した。買収額は6億9600万ポンド(約892億円)。東京電力福島第1原発事故を受け、国内の新設需要が見込めないなか、海外に新たな収益源を求める。
日立は、ホライズンの計画を引き継ぎ、英国の2カ所で130万キロワット級を計4~6基建設する。1基目については、2020年代前半の運転開始を目指す。
ホライズンは、ドイツ電力大手のRWEとエーオンの2社が09年に設立したが、ドイツ政府の脱原発方針を受け、今年3月に売却する方針を表明。日立は2社 から全株式を取得したが、今後、エンジニアリング会社などからの出資を募り、ホライズンへの出資を1割程度にとどめる考え。
日立は海外事 業の強化で20度には原発事業の売上高を12年度見通しに比べ2.5倍の3600億円に引き上げる計画を打ち出す。ただ受注がほぼ内定していたリトアニア の建設計画が白紙となるなど、海外事業の先行きに不透明感が強まっていた。日立は今回の買収で原発輸出に弾みをつけ、収益計画の達成を目指す。日立、英国の原発会社を買収完了 892億円で
2012.11.26 11:48
日立製作所は26日、英国の原子力発電事業会社の「ホライズン・ニュークリア・パワー」の買収を完了したと発表した。買収額は6億9600万ポンド(約892億円)。東京電力福島第1原発事故を受け、国内の新設需要が見込めないなか、海外に新たな収益源を求める。日立は、ホライズンの計画を引き継ぎ、英国の2カ所で130万キロワット級を計4~6基建設する。1基目については、2020年代前半の運転開始を目指す。
ホライズンは、ドイツ電力大手のRWEとエーオンの2社が09年に設立したが、ドイツ政府の脱原発方針を受け、今年3月に売却する方針を表明。日立は2社 から全株式を取得したが、今後、エンジニアリング会社などからの出資を募り、ホライズンへの出資を1割程度にとどめる考え。
日立は海外事 業の強化で20度には原発事業の売上高を12年度見通しに比べ2.5倍の3600億円に引き上げる計画を打ち出す。ただ受注がほぼ内定していたリトアニア の建設計画が白紙となるなど、海外事業の先行きに不透明感が強まっていた。日立は今回の買収で原発輸出に弾みをつけ、収益計画の達成を目指す。-
- 日立、9月中間の最終益40.9%減 ルネサス大幅赤字が響く
嘉田知事、新党を検討 脱原発勢力の結集目指す
2012年11月26日 12時04分滋賀県の嘉田由紀子知事が「脱原発」を旗印に新党結成を検討していることが分かった。衆院選に向けては、脱原発を打ち出す第三極政党が乱立しており、連携の核となる方向で調整を進めている。嘉田氏は26日夕に記者会見して説明する考えだ。
脱原発を掲げる「みどりの風」の谷岡郁子共同代表は26日の民放番組で、第三極の「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)や「減税日本・反TPP・脱原発を 実現する党」(河村たかし名古屋市長らが共同代表)との合流検討に関し「そういうことだ」と認めた。「嘉田さんがヘッド(党首)を引き受ける方向だと聞い ている」とも述べた。
「脱原発」の小泉俊明幹事長代理も同番組で「別々の党で選挙戦はできない。一つの新しい党になる方向を目指したい」と強調した。
嘉田氏は知事のままで代表に就く案が浮上。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長ら有識者との意見交換も続けている。
衆院選公示まで時間が少なく、他の政策のすり合わせが難航する可能性もあり、谷岡氏は「全部一緒になることには疑問もある。今は微妙な段階だ」とも指摘した。
嘉田氏は、政府が再稼働させた関西電力大飯原発(福井県おおい町)の隣接県という立場から「再稼働は時期尚早」と主張。早期の原発ゼロ達成を訴え、原発政策を衆院選の最大の争点にするよう求めていた。
(中日新聞)
滋賀知事、原発・環境で新党検討 河村氏「脱原発」が合流模索
関係者によると、政党名には「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整。呼び掛け人として歌手の加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。
2012/11/26 11:37 【共同通信】
電力会社「原発活断層隠し」原子力規制委ウソ見抜けるか?
2012/11/26 12:00
福島原発事故後、再稼働に踏み切った関西電力の福井・大飯原発はやはり早過ぎた運転再開だった。原発施設の地下を走る活断層の有無について、国の原子力規制委員会の専門家グループが現地調査を行った結果、「活断層の可能性がある」との指摘が相次いだ。追加調査で最終的な結論を出すことにしており、「グレーが濃い場合でも原発を止めていただく」(規制委)というが、地元の要望を受けて簡単に再稼働に踏み切った経緯を思うと政府への不信が募る。大飯原発の他にも、全国にある原発の地下には活断層と思われる断層がある。これが動けば福島原発事故の二の舞になる。規制委がどう判断し対処するかが問われる問題だ。関西電力・大飯原発「証拠スケッチ」提出せず
活断層は12~13万年前以降に動いた痕跡があり、今後も動く可能性のある断層のことをいう。当然ながら、国の安全指針で活断層の上には原発の重要施設の設置を認めていない。大飯原発でも今月2日(2012年11月)に規制委の専門家グループが現地調査を行った。地面を掘ってF―6と呼ばれる断層地層の断面を調べ るトレンチ調査で、関電が掘った原子炉に近い山側と原子炉から離れた海側の2か所のトレンチを結ぶ線上には、緊急時に原子炉を海水で冷やすための配管が 通っている。調査の結果、山側のトレンチでは断層がかつて動いた形跡が確認された。問題はいつ動いたか。断層が動くと岩石同士が摩擦しあって細かく砕け、断層の間に粘土ができる。断層が長い間動かないとこの粘土は固まってくる。関電は「粘土はかたく、動いたのは12~13万年前より古く活断層とは見られない」と主張しているが、専門家グループによる現地調査では「粘 土はそれほどかたくない」と、関電とは異なる意見が相次いだ。メンバーの一人、渡辺満久・東洋大教授は「粘土は非常に柔らかいしツルツル滑りそうだし、あ れだけ見てもギュッと潰されたら動くのではないか」と見る。また、原子炉から離れた海側のトレンチでも活断層の可能性を示す「地層のズレ」が発見された。このズレについて、関電は「地滑り」が原因とし ていて、岡田篤正・立命館大教授も「地滑りに見える」としたが、他のメンバーからは「活断層と見た」(渡辺教授)、「あの構造から地滑りで説明するのはお かしい」(廣内大助・信州大准教授)など反対意見が相次いだ。現地調査をもとに行われた評価会合では、関電が行った過去の調査の信憑性について疑問視する声も噴出した。関電は原子炉に近いトレンチで断層 を確認したものの、その延長線上の海側のトレンチとの間はボーリング調査を行っただけで、「F―6は見つからなかった」と結論付け、断層は配管付近で途切 れていると主張してきた。専門家グループは「調査がずさんだ」という。40年近く断層調査を行ってきた金折裕司・山口大教授も「断層は一つの面がずっと繋がっているわけではないし直線的でもない。飛んだり歪曲したりする」と指摘する。関電には大飯原発3、4号機を建設する際に行ったトレンチ調査の地層断面スケッチが残っている。そこにはF―6の境に、動いた形跡のある断層 があり、「黄褐色の粘土が付着」という記述があった。原子力安全・保安院は今年7月、大飯原発を再稼働する直前にこのスケッチと当時のトレンチの写真を提 出するように関電に求めたが、提出されたのはブルーシートで覆われた写真だけだった。その翌日、再稼働が始まった。当時の保安院も現在の規制委も、電力会社に資料を提出する法的根拠はなく行政指導だけだという。これで「(再稼働に当たって)安全は私が責任を持つ」(野田首相)とよくも言えたものだ。原子力規制庁職員の8割が元保安院
キャスターの国谷裕子「今後、どんな追加調査が行われるのでしょうか」NHK科学文化部・岡田玄記者「関電が地滑りと主張する海側のトレンチの部分をさらに子細に調べるほか、3号機の近くの山側に新たに300メートルにわたってトレンチ調査を行うことになっています」国谷「新たな調査で判断が付くと思われますか」東北大災害科学国際研究所の遠田晋次教授は「活断層かどうかの重要な調査は3号機近くの新たなトレンチ調査で判断されます。地層のずれが地滑りだと局所的になり、延々と続くことは考えにくい」という。規制委は法的整備など権限の強化を図ることにしている。また、現在は原子力規制庁職員の8割が旧保安院の職員で頼りにならず、電力会社の調査の不備を見抜く人材の養成や確保も行うという。頼りの規制委の事務局である規制庁が、電力会社のかつてのようなアノ手コノ手の懐柔策に乗らず、どこまで中立性を保ち抗し得るか。出だしから手腕が問われている。
「消費税、外交まとまったか」=「生活」「脱原発」合流に維新幹事長【12衆院選】
また、嘉田由紀子滋賀県知事が脱原発を掲げた新党結成を検討していることに関しては、「自分の地域で約束したことを成し遂げようとするなら、今の中央集権は打破しなければならない」と述べ、一定の理解を示した。(2012/11/26-11:51)
第4極“小沢新党”で画策 脱原発で「減税」などと合流か 滋賀県知事代表案浮上
2012.11.26
次期衆院選を見据えて、「国民の生活が第一(生活)」(小沢一郎代表)と、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党(減税)」(共同代表・山田 正彦元農水相、河村たかし名古屋市長)、「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子参院議員ら)などが、「脱原発」を旗印にした新党結成を検討していることが分 かった。代表に、滋賀県の嘉田(かだ)由紀子知事を迎える案も浮上している。実現すれば、第3極の中核である「日本維新の会」(石原慎太郎代表)と距離を 置く、第4極結集といえそうだ。
「(新党構想は)あります。『脱原発』で死に票を出さないためには重要なことだと思う。1つの党になることには(党内に)意見がある。微妙な段階だが、嘉田さんがトップを引き受けると聞いている」
みどりの風の谷岡代表は26日朝、フジテレビ系「とくダネ!」に出演し、新党結成の動きについて、こう語った。減税の小泉俊明幹事長代理も「別々の政党では戦えない。新しい第3極をどう作るかが仕事だ」と前向きに語った。
関係者によると、新党は「脱原発」のほか、「消費税増税反対」「反TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」を訴えるという。朝日新聞は26日朝刊で、嘉田氏が知事のまま代表に就き、新党名に「未来」という言葉を入れることを検討していると報じた。
報道各社の世論調査でも、維新以外の第3極は埋没感が強い。
朝日新聞と読売新聞の最新調査で、次期衆院選での比例区の投票先を聞いたところ、朝日では、生活2%、減税0%、みんなの風0%。読売では、生活2%、減税1%、みどりの風0%。このままでは、中小政党が乱立して共倒れしかねない状況なのだ。
第4極結集の動きを受けてか、生活の小沢代表は、党所属の衆院選立候補予定者に対し、選挙用ビラの作成を中断するよう指示したという。陸山会裁判で無罪確定を受けた小沢氏が、また水面下で動いているようだ。'12/11/26
滋賀知事が新党検討 「脱原発」軸に第三極結集か
滋賀県の嘉田由紀子知事が、衆院選に向け新党の立ち上げを検討して いることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する「卒原発」や「環境」を訴えるとしている。河村たかし名古屋市長らが率いる 「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」は、嘉田氏の新党への合流を模索しており、脱原発を軸とした第三極勢力が結集する可能性が出てきた。
関係者によると、政党名には「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整。呼び掛け人として歌手の加藤登紀子さんや音楽家の坂本龍一さんらに参加を要請している。
嘉田氏は知事のまま代表に就き、辞職はしない。政策方針に一致する国会議員らに参加を呼び掛ける考えだ。
衆院選:滋賀県知事が「卒原発」で新党設立検討
毎日新聞 2012年11月26日 11時36分(最終更新 11月26日 11時45分)滋賀県の嘉田由紀子知事(62)が「脱原発」を掲げた新党結成を検討していることが、26日分かった。脱原発を訴える他の「第三極」政党との連携も検討している。
嘉田知事の周辺によると、国民の生活が第一やみどりの風など脱原発を掲げる各党幹部から連携の呼びかけがあるという。
嘉田知事は「卒原発」を主張し、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題でも、政府に慎重な判断を求めてきた。また、今年4月には地方選を目指す人材育成を視野に自らが塾長となり「未来政治塾」を開講した。
一方、生と「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(略称・脱原発)は合流して新党を結成することを検討していることが分かった。
両党は政策が近く、生活の小沢一郎代表と、脱原発の河村たかし、山田正彦両共同代表との関係も近い。このため、日本維新の会を中心とした動きとは別に「脱原発」を軸に第三極の結集をはかる。
生活と脱原発側は、みどりの風にも合流を呼びかけている。また、脱原発の前衆院議員は「新鮮なイメージをアピールするトップは嘉田知事がふさわしい」としており、嘉田知事が設立する新党に合流することも視野に入れている。ただ、嘉田知事が受け入れるかは不明だ。
小沢氏は合流による党名変更をみすえ、衆院選用の選挙ビラの印刷を一時中断するよう、24日に党内に指示した。【姜弘修、中島和哉】
新党トップに嘉田滋賀県知事?みどり、減税、生活(11/26 10:53)
第三極が二分化です。当初は、日本維新の会やみんなの党などを含めた連携を模索していた「国民の生活が第一」の小沢代表でし たが、これを断念。そこで、河村名古屋市長や亀井元金融担当大臣らの「脱原発」、同じく脱原発を旗印にする「みどりの風」を巻き込んだ新党を検討していま す。
新党の顔には、原発に代わる再生エネルギー政策に積極的な滋賀県の嘉田知事を据えることを検討しています。みどりの風幹部は26日 朝、「嘉田知事がトップを務める方向だ」と語りました。また、河村市長の周辺は「ラーメンのスープのように同じ思いの人をまとめていきたい」と新党への決 意を示しました。さらに、国民の生活が第一は25日、候補者に対し、党の名前が変わる可能性があるため新たな党のチラシの印刷を止めるよう指示するなど、 新たな第三極新党に向けて最終調整が進んでいます。
「生活」「脱原発」が合流検討=「みどり」、滋賀知事にも呼び掛け【12衆院選】
来月16日投開票の衆院選に向け、国民の生活が第一(小沢一郎代表)と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(共同代表・河村たかし名古屋市 長、山田正彦元農林水産相)が合流し、新党旗揚げを検討していることが26日、分かった。「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子氏ら)にも参加を呼び掛けて いる。生活の関係者が明らかにした。
「第三極」陣営では、日本維新の会の代表に石原慎太郎前都知事が就き、保守色を強めている。小沢氏らには、消費増税や環太平洋連携協定(TPP)、原発 再稼働への反対を明確にし、差別化を図る狙いがある。脱原発で主張が重なる滋賀県の嘉田由紀子知事も「みどりの風」との連携を視野に新党結成を検討してお り、小沢氏は嘉田氏にも合流を打診している。
[時事通信社]
滋賀知事が新党検討=脱原発掲げ「日本未来の党」【12衆院選】
滋賀県の嘉田由紀子知事が「脱原発」を掲げた新党結成を検討していることが26日、分かった。政党名は「日本未来の党」を軸に調整しており、「みどりの風」などとの連携を目指す。27日に記者会見する方向だ。
関係者によると、新党結成の呼び掛け人として音楽家の坂本龍一さんや歌手の加藤登紀子さんらが名を連ねる予定で、脱原発を前面に押し出したい考え。
[時事通信社]
嘉田滋賀知事が新党設立検討
[2012年11月26日 10:10]嘉田滋賀知事が新党設立検討滋賀県の嘉田由紀子知事が、新党の立ち上げを検討していることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する「卒原発」などの政策を訴えるとしている。27日にも記者会見を開き、正式に表明する予定。
関係者によると、知事のまま代表に就き、辞職はしない。政策方針に一致する議員らに参加を呼び掛ける。
政党名には「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整しているという。
滋賀知事が新党検討 2012/11/26 09:41滋賀県の嘉田由紀子知事が新党の立ち上げを検討。原発依存からの脱却を図る「卒原発」など訴える。
生活と脱原発が合流検討…みどりにも呼びかけへ
「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(共同代表・山田正彦元農相、河村たかし名古屋市長)が、脱原発の第3極勢力の結集を目指し、新党結成を検討していることがわかった。
複数の両党関係者が25日、明らかにした。両党は、脱原発、環太平洋経済連携協定(TPP)参加反対、消費増税反対な どを訴える考えで、「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子参院議員ら)や無所属の前衆院議員らにも参画を呼び掛ける方針だ。「生活」と「脱原発」両党は、 12月4日の衆院選公示を控えて連携を模索してきたが、合流せずに選挙協力を進めるのは難しいと判断したとみられる。ただ、「みどりの風などが加わらず、 生活と脱原発だけなら合流のメリットが少ない」として慎重な意見があり、調整が難航する可能性もある。小沢氏は周辺に、新党結成の場合、党首に就かない可能性を示している。「生活」の幹部の中には、嘉田由紀子滋賀県知事らとは脱原発政策で共闘できるとみて、党首に迎えたいとの声がある。
(2012年11月26日06時26分 読売新聞)政治を問う 原子力政策 改革の道筋を見極めたい(11月25日)
東京電力福島第1原発事故を経験した国民にとって、原発を含むエネルギー政策は生命と健康にかかわり、暮らしのありようを左右する重要な争点だ。
福島を中心に依然、多くの住民が先の見えない避難生活を強いられている。
除染のめどは立たず、広範囲に拡散した放射性物質が各地の農水産物から検出され、生活を脅かす。
行く手には、炉心溶融を起こした原子炉の廃炉作業という気の遠くなるような険しい道のりも待ち構えている。
公示が近づき、有権者の関心は景気や社会保障に向けられがちだ。
もちろん大きな論点だが、福島の事故がいまだ収束していないことを忘れてはならない。
この現実から目をそらさずに将来の原子力政策を考え、各党の主張を吟味する必要がある。
*総合的な対応が必要
民主党政権は「2030年代の原発稼働ゼロ」を掲げながら、政策の見直しを中途で放り出した。
ただ、その過程で、政府が実施した国民的議論を通じ、脱原発を支持する民意が鮮明になっている。
いつ終わるとも知れぬ福島の惨状を目の当たりにした国民の当然の選択だろう。
国会事故調査委員会は、政府、電力会社が一体となった原子力推進体制とその責任感の欠如を糾弾し、福島の事故を人災と断定した。
その報告書には、事故の未解明な部分を究明する第三者機関の設置や、新たに発足した原子力規制委員会を国会が監視する体制の構築などの貴重な提言が記されている。
各党はどんなエネルギーの将来像を描くにせよ、脱原発を望む民意と、憲政史上初めて国会が独自に設けた調査委の成果を尊重すべきだ。
民主党は、実現への具体策を先送りした「原発ゼロ目標」をマニフェスト(政権公約)で打ち出す方針だ。同様に、多くの政党が脱原発を目指すとしているが、いずれもその道筋は不明確だ。
工程表抜きでは、脱原発もかけ声倒れに終わる。
再生可能エネルギーの普及を軌道に乗せる環境整備、原発比率を下げた場合の電力安定供給対策、節電・省エネ技術の開発、電力システムの改革などを網羅した総合的な政策体系を示さなければならない。
原発ゼロは無責任と批判する自民党の態度はあいまいだ。原発再稼働の可否を3年以内に決め、電源構成の最適な組み合わせを10年で確立するという。
あまりに悠長だ。電力会社と二人三脚で安易に原発建設を推進してきた過去を総括しようとしない姿勢は、真剣さを疑わせる。
太陽の党と合流した日本維新の会も脱原発を後退させた。国民生活に密着した課題を大同につくための小異として切り捨てるなら、まさに野合だ。
*東電処理の見直しを
各党の構想には、実質国有化された東電の扱いが欠けている。
賠償、除染などあらゆる責任を東電に負わせ、いったん国が肩代わりした費用を最終的に返済させるというのが現在の枠組みだ。
一見もっともらしいが、計画は早くもつまずき、東電は返済の必要がない巨額の追加支援を求めた。電気料金の値上げや税金による国民負担は際限なく膨らむ恐れがある。
納得できないのは、株主や金融機関などの責任が不問に付されたまま、加害者である独占企業の要求をいや応なしにのまされる点だ。
しかも、この負担には事態を打開する展望も、再生可能エネルギー普及といった前向きな目標もない。
国、東電、利害関係者の責任分担を明確にする新たな枠組みと、地域独占の解体や発送電分離を含む電力改革の設計図が求められる。
*廃棄物問題は不可避
日本の原子力政策が出発点から棚上げし続けた放射性廃棄物の処分問題にも、結論を出す必要がある。
破綻した核燃料サイクルから撤退する場合も、使用済み核燃料を再処理せず、直接処分する方法と場所を決めるのが前提だ。
日本学術会議は、こうした放射性廃棄物を地中深く埋める現行の地層処分計画の見直しを提言した。
地震国・日本で安定した地層を見いだすのは困難であり、安全な処分技術を確立するまで暫定的に保管し、併せて使用済み燃料を増やさないよう規制するとしている。
科学の立場から、現行計画の安全性に根本的な疑問を呈した提言の意味は重い。
原発に対する立場はどうあれ、無反省に増やしてきた放射性廃棄物を、もはや見ぬふりはできない。各党は明確な方針を示すべきだ。
行き場のない原発のごみの後始末について、これ以上、将来の世代に先送りしないという覚悟も問われている。
原子力規制庁もんじゅで保安検査 発足後初めて
1995年のナトリウム漏れ事故で停止したもんじゅは2010年5月に運転を再開したが、燃料交換用装置を原子炉容器内に落下させる事故を起こし、再び停止。今年8月に復旧作業を終えていた。
保安検査では、装置落下事故の原因分析や防止対策のほか、東京電力福島第1原発事故を踏まえた安全対策が適切に実施されているかなどを確認。
2012/11/26 11:07 【共同通信
エンタープライズ退役へ=初の原子力空母、佐世保寄港阻止闘争も-米軍
【ワシントン時事】現代米海軍の主力として活躍してきた空母「エンタープライズ」が12月1日、事実上退役する。1961年11月に世界初の原子力空母 として就役し、キューバ海上封鎖やベトナム戦争など、時代を画する軍事作戦に参加。米軍艦船の中では、儀礼・宣伝用の帆船「コンスティテューション」に次 ぐ古参艦は、半世紀以上にわたった活動を終える。
エンタープライズは4日、25回目の作戦展開を終え、バージニア州ノーフォークに帰投した。 12月1日に同地で予備役編入式典が催される。海軍はその後、8基の原子炉から核燃料を取り出した上で、エンタープライズを西部ワシントン州にえい航。船 体を解体して原子炉を撤去する予定だ。この時点で正式に退役となる。
エンタープライズは62年のキューバ危機で海上封鎖任務に就き、64年には燃料無補給での世界一周航海を成功させた。ベトナム戦争中は北爆の出撃拠点となり、米同時テロ後に始まったアフガニスタンでの対テロ作戦「不朽の自由」でも航空支援に当たった。
日本との関係では、68年に米海軍佐世保基地に初寄港する際、反核やベトナム戦争反対を掲げる新左翼系学生団体などによる大規模な寄港阻止闘争に直面。米軍を象徴する存在として知られた。(2012/11/24-14:21)
「常陽」平成27年度再開の意向 原子力機構の高速実験炉
2012.11.21 23:01日本原子力研究開発機構は21日、トラブルのため停止中の高速実験炉「常陽」(茨城県、熱出力14万キロワット)の運転を平成27年度に再開させたいとの意向を文部科学省の作業部会で示した。
常陽は高速増殖炉開発で原型炉もんじゅ(福井県)の前段階に当たる。発電設備はなく、プルトニウムを増やす「増殖」の研究は既に終了、「高速中性子」を 使った研究目的の原子炉に改造された。19年に原子炉内の実験装置が正常に収納されず燃料の交換ができなくなり、運転停止が続いている。
原子力機構は26年度中に復旧を終え、放射性廃棄物の量を減らす実験などをしたいとしている。
また原子力機構は、もんじゅで廃棄物の量を減らす約10年間の研究計画を作業部会に示した。2016年に太陽光が原子力発電を上回るか、ルーマニア
- 2012年11月20日 16:37 発信地:ブカレスト/ルーマニア
写真は仏トゥル・ロジエール(Toul-Rosieres)にある国内最大の太陽光発電所(2012年11月13日撮影、本文とは関係ありません)。(c)AFP/JEAN-CHRISTOPHE VERHAEGEN
同国エネルギー規制局(ANRE)高官のゾルタン・ナギ(Zoltan Nagy)氏は、太陽光エネルギーに関する会議で「わが国の太陽光発電所の発電容量は年内に5万~10万キロワットに達し、2013年末には50万~100万キロワット、そして2016年には150万キロワットを上回ると見込んでいる」と語った。
一方、チェルナボーダ(Cernavoda) にあるルーマニア唯一の原子力発電所の原子炉2基の発電量は合計約140万キロワットで、同国のエネルギー需要の18%に相当する。このチェルナボーダで は、さらに原子炉2基の建設が計画されているが、建設に必要な40億ユーロ(約4150億円)を調達するにあたっては目処が立っていない。
ルーマニアではこの2年間で風力発電プロジェクトが大幅に増加し、今度は太陽光エネルギーへの投資急増を目の当たりにしている。韓国のサムスン・グループ(Samsung Group)は現在、発電量4万5000キロワットを見込む太陽光発電所の建設をルーマニア南部2か所で検討している。
ANREのNicolae Havrilet長官によれば、ルーマニアにおける再生エネルギー利用の割合は現在8~9%で、2020年までにこの数字を20%にすることを目指している。
「風力発電が最大限に達した今、太陽光が最高の投資機会を提供している」(同長官)
太陽光関連情報専門サイト「PVルーマニア(PV Romania)」が引用した米コンサルティング大手アーンストアンドヤング(Ernst and Young)による今年5月の調査では、ルーマニアは欧州で6番目に太陽光発電への投資が魅力的な国となっている。(c)AFP
福島第一原子力発電所の状況(11月21日現在)
2012年11月23日(金) 08時00分
※11月20日午後6時27分、1号機原子炉への注水量の変動が確認されたため、給水系からの注水量を約2.2立方メートル/hから約2.5立方メートル/hに調整、炉心スプレイ系からの注水量は約2.0立方メートル/hで継続中。
※11月18日午前10時6分、2号機タービン建屋地下から3号機タービン建屋地下への溜まり水の移送を開始。11月21日午前9時25分、移送を停止。
※11月21日 午前9時47分、6号機補機海水系ストレーナ切替弁修理に伴い、使用済燃料プール冷却系を停止(停止時プール水温度:18.8度)し、残留熱除去系による 原子炉停止時冷却運転(原子炉側の冷却)と非常時熱負荷運転(使用済燃料プール側の冷却)を交互に切り替えて冷却する運用を開始。ただし、11月21日か ら23日の間は、原子炉停止時冷却系の切り替え操作(A系からB系)を行うことから、非常時熱負荷運転は23日以降開始予定。
なお、使用済燃料プールの冷却を3日程度停止しても、冷却停止時のプール水温度の上昇率は、0.2度/hで、停止中のプール水温度上昇は約11度であることから、保安規定に定める運転上の制限値65度に対して余裕があり、使用済燃料プール水温管理上の問題はなし。2012/11/22(木曜) 22:57
スイスで、原発の原子炉1基が運転を停止
生粋の「脱原発」議員は誰だ?-東京新聞が前職議員の「脱原発活動」を調査
2012年11月26日 10:00
■衆議院選の参考に「脱原発」の本気度チェック2012年11月23日、東京新聞が国会での活動実績のある前職議員に対し「原発政策」の行動調査結果を発表した。
衆議院選の争点の人となる「原発政策」に関して、口先だけではなく行動でどのようなことを行ってきたのかを調べたものである。
「原発ゼロの会」原発危険度ランキング
観点は4つ「脱原発基本法案」、「原発ゼロの会」、「さようなら原発一千万人署名」、「原子力規制委員会人事案の見直しを求める要望書」となっている。
この4点について超党派で活動を行ってきた議員の名簿を発表したものだ。
東京新聞発表内容⇒こちら
■生粋の「脱原発」議員は誰だ?上記4点全てに対し積極的なアクションを起こしている前職議員は以下のようになる。
【小選挙区】
太田和美(福島2) :国民の生活が第一
初鹿明博(東京16) :みどりの会
加藤 学(長野5) :国民の生活が第一
佐藤夕子(愛知1) :減税日本・反TPP・脱原発を実現する党
牧 義夫(愛知4) :国民の生活が第一
杉本和巳(愛知10) :みどりの会
中川 治(大阪18) :無所属
照屋寛徳(沖縄2) :社民党
瑞慶覧長敏(沖縄4):無所属
【比例区】
相原史乃(南関東):国民の生活が第一
安倍知子(南関東):無所属
石田三示(南関東):国民の生活が第一
山崎 誠(南関東):みどりの会
橋本 勉(東 海):減税日本・反TPP・脱原発を実現する党
服部良一(近 畿):社民党
中島隆利(九 州):社民党
東京新聞の上げた4つの観点の妥当性はさておき、少なくともこの4つに反対している議員は生粋の反原発であることは間違いないであろう。
投票するかどうかは各人の判断次第である。
【naka773】
東京新聞:脱原発本気度 議員活動で検証:政治(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK201211
原発危険度ランキングについて
http://www.taro.org/%E2%91%A0%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%83%A9
野田首相 TPP推進を明記 原発ゼロも公約に「政策資源を総動員する」
テレビ朝日の番組に出演した野田首相
Photo By 代表撮影野田佳彦首相は25日のテレビ朝日番組で、27日に発表する民主党のマニフェスト(政権公約)に、環太平洋連携協定(TPP)の推進や2030年代の原発ゼロ目標を盛り込むと明言した。
同時に、09年マニフェストで実現できなかった政策が目立ったことを念頭に「総括、反省を踏まえて項目数は減る。その分、実現する固い決意で取り組むものを整理する」と述べた。
TPPに関しては、日中韓自由貿易協定(FTA)、アジア広域のFTAである域内包括的経済連携(RCEP)と同時推進する表現を基本とするよう細野豪志 政調会長に指示していると説明。原発政策は9月に政府が決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に沿って「30年代の原発ゼロを目指す。そのために政策資源 を総動員する」と強調した。[ 2012年11月25日 12:27福島・鮫川村 放射性廃棄物焼却の実験施設 住所すら非公開
環境省が、原発事故で生じた高濃度放射性廃棄物を焼却する実験的施設の建設を福島県鮫川村で始めた。各地で処分が滞っている汚染稲わらや牧草の処 理モデルを目指すという。ところが村は建設予定地の住所さえ公開せず、近隣住民からは「恒久的な施設になるのでは」と不安の声が上がっている。 (出田阿 生、佐藤圭)
ずさんな原発運営のツケに苦しむ電力業界
再稼働のハードルは高い
関西電力・大飯原子力発電所の敷地内に走る断層をめぐる調査が迷走している。
「大飯原発の最重要施設の直下に活断層は存在する」──。11月4日に開かれた原子力規制委員会の評価会合で、渡辺満久・東洋大学教授は断言した。 同教授を含む5人の有識者調査団はその2日前、規制委によって大飯原発へ送り込まれ、地層の調査をしていた。以前から活断層の疑いを指摘していた渡辺氏は 現地調査で「クロ」を確信し、全国で唯一稼働中の大飯原発3、4号機の即時運転停止を主張。「現在になって問題が顕在化した理由は、電力会社の不適切な調 査と、非科学的な解釈に基づく国のずさんな審査にある」と批判した。
活断層「クロ」なら廃炉
2度にわたる評価会合では調査団内部でデータ不足との指摘があり、結論持ち越しで追加調査となった。ただ、「活断層と考えても矛盾はないが、地滑り の可能性もある」というのが調査団のコンセンサス。規制委の田中俊一委員長は調査前、「クロか濃いグレーなら、原発を止めてもらう」と言明していただけ に、渡辺氏と同様、現段階で運転停止すべきとの声は高まっている。
原子力施設敷地内における活断層の存在が疑われているのは大飯に限らない。今後、敦賀、東通、志賀、美浜の各原発および高速増殖炉もんじゅの敷地内でも追加調査が予定される。活断層が確認されれば、規制委が行政指導で運転停止を求め、その後廃炉となる可能性が高い。
一方、ずさんさが指摘されてきた原発規制の抜本的見直しに向けても、来年7月を期限に原発の新たな安全規制の策定が進んでいる。福島第一原発事故が 証明したように、シビアアクシデント(過酷事故)対策など日本の安全基準は、国際標準から大きく立ち遅れていた。それを世界最高水準へ高めようというわけ だが、航空機墜落やテロへの対策なども含め、内容は依然定かではない。今後、原発の再稼働は新基準を基に判断されることになり、電力会社にとっては基準の 厳格度いかんで、バックフィット(適合化対応)に多大なカネと時間がかかるため、各社とも戦々恐々としている。
再稼働については原発が立地する地元の反発もある。「現状では再稼働の問題は議論すらできない」。東京電力・柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は、福島原発事故の徹底検証こそ先決と繰り返す。
電力会社は原発再稼働の前に、地元自治体と原子力安全協定を結ぶ必要がある。法的根拠はないものの、地元の同意は不可欠だ。だが、東日本大震災を機 に原発の安全性や電力会社に対する信頼は失墜。福島、新潟両県や浜岡原発のある静岡県をはじめ、地元自治体における再稼働・新増設への反対論、慎重論が広 がっている。
国の新たな原子力災害対策指針では広域避難の目安が原発30キロメートル圏内に拡大され、防災計画策定が必要な自治体数も急増。こうした中、原子力 規制庁が10月下旬に公表した放射線拡散シミュレーションで相次ぎ誤りが露見したことは、原発行政に対する不信感を一段と増幅した。
人件費カットが焦点に
混沌とした状況下、原発の再稼働は早くても2013年夏以降となり、原子炉によっては再稼働できなくなる公算が大きい。運転再開が遅れることで代替として燃料費の高い石油、ガス火力を増やすと電力会社の収益は低下する。
特に原発依存度の高い電力6社は12年4~9月期は営業赤字と苦しい経営が続いている(表)。こうした中、今期営業赤字が2500億円を超すとみら れる関電と九州電力は東電に続き、電力料金値上げ申請の準備に入った。また、北海道、東北、四国各電力も値上げ検討を示唆。値上げ実施なら、オイルショッ ク後の1980年以来約30年ぶりとなる。
しかし、言い値でスンナリ通らないのが料金改定だ。値上げ申請の場合、電気事業法に基づき、経済産業省が設置する電気料金審査専門委員会の審査や一 般の公聴会などを経て、認可まで約4カ月かかる。電力会社は原則として先行き3年間の年平均総原価をベースに値上げ申請幅を決めるが、東電のように、査定 で原価が追加カットされ、値上げ幅も圧縮される可能性は高い。
原価の中でも特に焦点となるのが人件費。今年3月末に決まった審査要領では、常用従業員1000人以上の企業平均(10年度は年収596万円)を基 本に査定を行うとされる。平均年収806万円の関電、829万円の九電との開きは大きい。電力会社の平均年齢は高めとはいえ、相当な削減を求められる可能 性は高い。はたしてそれがのめるのか(東電は590万円まで圧縮した)。
ここに来て政局も風雲急。衆院解散となり、エネルギー政策の行方にも不透明感が高まっている。各世論調査で伝えられる次期総選挙での自民党優勢は、 原発推進を望む電力業界にとり朗報かもしれないが、「脱原発」を掲げる野党第三極の台頭、大同団結、政権参画いかんで政策の方向性は大きく変化しかねな い。
電力会社の経営は混迷の渦中。だが政権がどう変わろうと、原発事故を境に、業界と規制当局がもたれ合う「原子力村」の論理は通用しなくなった。規制の枠組みが激変する大転換期において、電力業界は旧体質との決別を迫られている。
(本誌:中村 稔 =週刊東洋経済2012年11月24日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
李大統領 未来の有望事業に原発建設挙げる
2012年11月26日09時27分
[ⓒ聯合ニュース]
【ソウル聯合ニュース】李明博(イ・ミョンバク)大統領は26日のラジオ演説で、「韓国が成長し続けるには、新たな成長エンジンを発掘しなければならない」と話し、その一つとして原子力発電所を挙げた。
李大統領は18日から22日まで、カンボジアとアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。UAEで韓国が受注した大型原発建設事業の着工式に出席したことに 言及。「フランスと激しく競い合った末に史上初の韓国型原発輸出に至ったことを、今も奇跡のように感じる」と感慨深げに語った。韓国は原発工事費の200 億ドル(約1兆6500億円)に加え、60年間の原発運営費でも200億ドルを得ることになると説明した。
李大統領はカンボジアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議に出席した。タイでは来年、韓国の4大河川整備のような事業が予定されており、韓国は日本、中国と受注合戦を繰り広げていると紹介した。
ASEANについては、「来年の韓国の輸出を拡大させ、韓国経済に活気を与える地域」としながら、今後もASEANとの経済協力が欠かせないとの見方を示した。
また、「グローバルコリアとなった今、『外交こそが経済で、経済が外交』の時代」と強調した。李大統領自身、大統領就任後に49回、海外を訪問している。
一方、海上の軍事境界線と位置付けられる北方限界線(NLL)に近い延坪島が北朝鮮の砲撃を受けてから2年たったことに関連し、「NLLを守ることが国の 安保を守り、平和を守る道。しっかりした安保なくしては経済もなく、国民の安らかな暮らしも保障することができない」と強調した。
橋下徹大阪市長 原発の安全基準「経済リスクを考慮に入れる規制思想」こそが事故を招く要因とツイート
[ 2012/11/26 ]2012年11月21日、橋下徹大阪市長は自身のtwitterにおいて「経済リスクを考慮に入れる規制思想はありません。そのような思想こそが事故を招く要因にも繋がります」とツイートした。
(参照:橋下徹大阪市長 国政選挙に向け「いよいよだ」と気を引き締めるツイート。)
一つの見解ですね。ただ世界標準の原発規制行政で、経済リスクを考慮に入れる規制思想はありません。そのような思想こそが事故を招く要因にも繋がります RT @kazuo_ishikawa: 需給リスクは勿論ですが私は政府においては経済損失抑制も大飯再稼働の判断根拠にあったと信じています
橋下氏は石川氏のツイートに対し「一つの見解ですね」と前置きした上で、「原発規制行政に経済リスク判断を持ち込むことを止めようとなったのですがこれまで染み付いた原発規制思想から抜け出すにはまだまだ時間がかかりそうですね」と、これまでの安全基準や原発稼動の可否の判断には経済リスクが加味されており、現在もまだ経済リスクを加味するという体質から抜け出せないでいるとの考えを示した。
そして「原発安全基準に関しては、経済リスク判断を入れないというのが、今後日本が目指そうとしている世界標準の安全基準です」と、安全基準は経済問題と切り離し判断されるべきとの考えを示した。
原発と経済。日本の原発は、その発電コストが低い等の経済性の高さを理由に推進され、増えてきたという一面もある。となると原発と経済は切っても切れない縁のようにも思われるが、それは間違いだろう。原発も経済を支える一部であることには間違いないが、その安全性は経済性と独立した別個のものとして考えねばなるまい。
橋下氏の考えは至極全うで当たり前のものだと思うが、この当たり前の議論が現在の国会ではなされていないという。今後、日本維新の会を通じ国政にも影響力を持つであろう橋下氏がこの問題にどう取組むか。一国民として注目して見守りたい。
九州電力が大幅反発、「13年夏以降、原発4基を再稼働へ」
九州電力【日足】九州電力【日中足】
報道によると「27日に家庭向け電気料金の引き上げを政府に申請する際、提出する13年春からの3ヵ年計画に盛り込む」としている。4基が年間を通じて稼動した場合、およそ年3000億円もの収益改善効果があるという。
停止した原発の代替で火力発電を行っているが燃料コストが重く、収益を圧迫していた。原発が稼動することで同社の収益改善につながるとの期待から本日は買いが優勢となった。
(「株探」編集部)
12神奈川衆院選:17区の露木氏、脱原発加入へ
2012年11月26日 衆院17区から無所属での出馬を表明していた露木順一氏が「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(脱原発)に加入する方向で最終調整していることが25日、分かった。露木氏が同党幹部の亀井静香氏と会談し、政策面で一致した。
神奈川新聞社の取材に対し、露木氏は「地域再生にはこの政党が掲げる三つの政策の実現が絶対に必要だ」と述べ、近く正式に公認を得られるとの見通しを示した。
露木氏は開成町長4期目の途中で昨年の知事選に出馬。落選後は「県西部を新日本創造のモデルへ」と掲げ、次期衆院選への立候補に向けて活動していた。東日本大震災:風評被害払拭へ放射線量を測定−−伊達・大根まつり /福島
毎日新聞 2012年11月26日 地方版伊達市霊山町の「りょうぜん里山がっこう」で25日、町で採れた大根の収穫祭「いのちの大根まつり」が開かれた。1000本以上の新鮮な大根のほか、白菜やリンゴなどが並び、訪れた家族連れら約200人が競って買い求めていた。
廃校となった中学校の校舎で里山体験や交流活動を進めているNPO法人「りょうぜん里山がっこう」が毎 年企画し、今年で13回目。福島第1原発事故による風評被害を払拭(ふっしょく)しようと、同学校で今年6月に導入した放射性物質測定器2台を使い、農家 自らが測定して検出限界値以下の農産物を販売した。
親子で訪れた福島市野田町の主婦、木村民子さん(54)は「今日は大根の煮物にします」と、太い大根2本を両手で抱えていた。
同法人の高野金助理事(62)は「昨年の祭りでは来場者から『本当に安全なのか』と不安の声があった。測定して結果を伝え続けることが、風評被害をなくす唯一の方法だと思う」と話した。【神保圭作】
東日本大震災:原発事故子ども・被災者支援法、施策巡り座談会 避難者の要望を国へ−−山形 /山形
毎日新聞 2012年11月26日 地方版今年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」を考える座談会が25日、山形市市民活動支援セン ターで開かれた。主催は福島第1原発事故の被災者、避難者を支援する全国23団体でつくる「311受入全国協議会」。主に県内で生活する避難者と、その支 援活動を行っている人々ら約25人が参加し、支援法に基づいた具体施策についての要望をまとめるワークショップなどを行った。
座談会では「福島の子供たちを守る法律家ネットワーク」の吉峯真毅弁護士(東京)が支援法について解 説。被災者の不安解消及び安定生活の実現を目的としており、自らの意思で居住、移動、帰還ができる「避難の権利」や、「健康被害の未然防止」を基本理念に 掲げていることを説明した。
支援法は、具体的な支援対象地域や支援策は盛り込まれていない「理念法」で、国は来年1月に基本方針を策定する予定。吉峯弁護士は「方針が固まる前に被災者の要望をいかに国へ伝えるかが重要だ」と指摘した。
参加者によるワークショップでは、「借り上げ住宅の入居期間を延長してほしい」「家族に会うための山形−福島間の交通費を補助してほしい」などの声が上がった。要望は同協議会を通じ、国に伝えられる。【鈴木健太】
福島・鮫川村 放射性廃棄物焼却の実験施設 住所すら非公開
環境省が、原発事故で生じた高濃度放射性廃棄物を焼却する実験的施設の建設を福島県鮫川村で始めた。各地で処分が滞っている汚染稲わらや牧草の処 理モデルを目指すという。ところが村は建設予定地の住所さえ公開せず、近隣住民からは「恒久的な施設になるのでは」と不安の声が上がっている。 (出田阿 生、佐藤圭)
2012年11月26日10時17分
原発賛成派「自民に投票」多め 朝日新聞世論調査
争点の賛否と比例区投票先の関係を3党で見てみると…
原発利用については賛成34%、反対50%だった。比例区投票先に自民を挙げた人は全体では23%だが、原発利用賛成派では34%にのぼった。比例区投票先で民主を選んだのは全体では13%。原発利用反対派では民主を選んだ人も自民を選んだ人もともに14%で並んだ。
消費税を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることに賛成は39%、反対は52%だった。消費増税賛成派の比例区投票先は自民30%、民主20%と、いずれも多めだった。
日本のTPP参加は、賛成41%、反対33%。TPP参加賛成派の比例区投票先は民主は16%と少し高め。反対派は自民30%と多めだった。
維新を比例区投票先に選んだ人は全体で9%。原発利用や消費増税の賛否では差がなかったが、TPP参加賛成派は12%とやや多めで、反対派は7%だった。
一方、第三極の政党同士が連携する時、政策の一致がどの程度重要かを四択で聞くと、「大いに重要だ」32%(前回36%)、「ある程度重要だ」46% (同45%)だった。比例区投票先に維新を挙げた人をみると、「大いに重要だ」は25%と低めだった。維新が合流を打診しているみんなの党を比例区投票先 に選んだ人では4割が「大いに重要だ」を選択した。
維新と太陽の党の合併は「よかった」38%で、「そうは思わない」47%だったが、原発利用反対派では「そうは思わない」が54%と多かった。
滋賀知事が「卒原発」新党検討 加藤登紀子、坂本龍一に参加要請
滋賀県の嘉田由紀子知事が、衆院選に向け新党の立ち上げを検討していることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する「卒原 発」や「環境」を訴えるとしている。河村たかし名古屋市長らが率いる「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」は、嘉田氏の新党への合流を模索してお り、脱原発を軸とした第三極勢力が結集する可能性が出てきた。嘉田氏は27日にも記者会見し、正式表明する見通し。
関係者によると、政党名には「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整。呼び掛け人として歌手の加藤登紀子や音楽家の坂本龍一らに参加を要請している。
嘉田氏は知事のまま代表に就き、辞職はしない。政策方針に一致する国会議員らに参加を呼び掛ける考えだ。
嘉田氏は2期目。昨年3月の東京電力福島第1原発事故後、「卒原発」を掲げ、関西電力大飯原発の再稼働問題でも慎重姿勢を取った。20日の記者会見で、日 本維新の会が太陽の党と合流し、脱原発依存の方針が大幅に後退したことについて「(代表代行の橋下徹大阪市長は)2011年3月11日の東日本大震災以 降、原子力政策が問題だと関西を引っ張ってきた。ともに戦う仲間を失い残念だ」と述べていた。[ 2012年11月26日 11:08「生活」「脱原発」が合流検討=「みどり」、滋賀知事にも呼び掛け【12衆院選】
「第三極」陣営では、日本維新の会の代表に石原慎太郎前都知事が就き、保守色を強めている。小沢氏らには、 消費増税や環太平洋連携協定(TPP)、原発再稼働への反対を明確にし、差別化を図る狙いがある。脱原発で主張が重なる滋賀県の嘉田由紀子知事も「みどり の風」との連携を視野に新党結成を検討しており、小沢氏は嘉田氏にも合流を打診している。
小沢氏は、「脱原発」などとの合流による党名変更な どを見据え、生活の立候補予定者に対して選挙用ビラの作成を中断するよう指示した。関係者によると、小沢氏は「脱原発」などとの合流で新党を結成した場 合、自らは党首に就かないことも検討しているという。(2012/11/26-11:17)
滋賀知事が新党検討=脱原発掲げ「日本未来の党」【12衆院選】
滋賀県の嘉田由紀子知事が「脱原発」を掲げた新党結成を検討していることが26日、分かった。政党名は「日本未来の党」を軸に調整しており、「みどりの風」などとの連携を目指す。27日に記者会見する方向だ。
関係者によると、新党結成の呼び掛け人として音楽家の坂本龍一さんや歌手の加藤登紀子さんらが名を連ねる予定で、脱原発を前面に押し出したい考え。(2012/11/26-10:46)
2012年11月26日(月)原発ゼロ 欧州で進む
国民投票、建設反対が62% リトアニア
再生可能エネルギーの普及も ドイツ
世界を震撼(しんかん)させた福島第1原発事故から1年半余り。事故後、欧州では、ドイツ、スイスが原発からの撤退を決定、イタリアでは時の政府の原発復活の意図を覆し、国民投票で原発凍結政策の維持を決めました。今年も脱原発への着実な動きが出ています。(片岡正明)
リトアニアでは、旧ソ連時代からあったチェルノブイリ原発と同型のイグナリナ原発を2009年に閉鎖。その一方で、新しいビサギナス原発を計画していました。
ところが、福島原発事故後、反対派が「危険で、廃棄物を処理できず、コストも高い」と批判。10月14日の国民投票では建設反対が62%を占め、賛成の34%を大きく上回りました。
国民投票の結果は法的拘束力を持ちませんが、国民の意思は明確に示されました。同時に行われた議会選で勝利を収め、22日に首相に就任した社会民 主党のブトケビチュス党首は11月、「原発を建設しないという法案を議会は近く審議しなければならない」と民意を尊重する構えを示しています。
■ □昨年、22年までに原発の稼働完全停止を決定したドイツ。稼働していた17基の原発のうち比較的古い8基を直ちに停止したのに続き、15、17、19年に1基ずつ、さらに21年に3基、22年に最後の3基の稼働を止めます。
このため、急いでいるのが風力や太陽光・熱などの再生可能エネルギーの利用です。
福島原発事故前の10年の原発による電力量は、全体の20・3%ですが、11年には17・7%に低下。これに対し、再生可能エネルギーの割合は16・4%から20・3%に上昇。さらに今年は、政府発表によると第3四半期までで前年同時期比8%増となっています。
ドイツは20年までに全発電量の35%を再生可能エネルギーでまかなう計画を立てています。
課題もあります。再生可能エネルギー普及を促進してきた買取制度に必要な額が増え、来年から電気料金が値上げになります。また主力となる洋上風力発電建設や海底ケーブル敷設には巨額の費用がかかります。
しかし、ドイツ国民の脱原発への意思は変わりません。昨年、福島原発事故直後に実施された同国南西部バーデン・ビュルテンベルク州議会選挙では原 発の早期廃止を求める90年連合・緑の党が躍進し、同党出身の初の州首相が誕生。同州では今年10月にも、州都シュツットガルトでやはり緑の党出身の市長 が選挙で選出されています。
■ □原発推進国でも変化が生じています。
フランスでは国内の総発電量に占める原発の割合を75%から50%に引き下げると選挙公約でうたったオランド大統領が誕生しました。
福島原発事故を受け、原発問題が同国の大統領選で初めて争点に浮上したのです。4月には、国民の8割以上が原発の大幅削減に賛成、6割以上が段階的廃止に賛成との世論調査も発表されました。
最古のフェッセンハイム原発について、オランド氏は選挙で「耐用年数の30年が過ぎた」「投資するなら原発存続より再生可能エネルギーだ」と廃炉を公約。その後、9月には16年までに閉鎖すると具体的な時期も明らかにしました。
現在、26基を建設中の中国では、内陸部で事故が発生すれば膨大な被害が出ると安徽省望江県などで住民の反対運動が広がりました。中国政府は、昨年3月から凍結していた原発新設計画の審査を解除する一方、10月には内陸部での原発建設を停止することを明らかにしました。
嘉田滋賀知事が新党設立検討 「卒原発」掲げる
(11/26 10:43)滋賀県の嘉田由紀子知事滋賀県の嘉田由紀子知事が、新党の立ち上げを検討していることが26日、関係者への取材で分かった。段階的に原発依存から脱却する「卒原発」などの政策を訴えるとしている。27日にも記者会見を開き、正式に表明する予定。
関係者によると、知事のまま代表に就き、辞職はしない。政策方針に一致する議員らに参加を呼び掛ける。
政党名には「日本」や「未来」という言葉を盛り込む方向で調整しているという。
2012年11月26日(月)ツイッターで「原発なくせ」の思いつながった
名古屋
若者が太鼓響かせ
主催はTwitNoNukes758(ツイートノーニュークス名古屋)で、7月に続く3回目。飛び入りで参加する人や「すげえな」などの感嘆の声もあがりました。
呼びかけ人の林晃佑さん(27)は「当初は名古屋でデモを盛り上げるために、あちこちの新聞社に知らせに行くなどの苦労があったが、今では他の団体の協力もあり、メディアの注目度も上がってきている」と語ります。
8歳の子どもと歩いた瀬戸市の女性(34)は「東電は福島で原発事故を起こした。中電の原発は静岡にある。原発は危険。子どもに影響がないか、とても心配」と話しました。
東京 渋谷・原宿
未来救う「即時ゼロ」
参加者は、「原発即時停止」「バイバイ原発」などと書いたプラカードを手に持ち、ドラムやトランペットなどの演奏とともにアピールし行進しました。「飛び入りOK!」の看板に応えて途中まで一緒に歩く通行人の姿もありました。
都内の大学生(23)は、「今すぐ廃炉へ決断してほしいです。時間がかかるといわれる廃炉作業を先延ばしにするということは、半永久的に原発を残すことと同じだと思います」と話します。
「即時ゼロ 今この勇気が未来を救う」と印刷されたTシャツを着た神奈川県藤沢市の会社員の男性(49)は、「“即時ゼロ”はやる気しだいだと思 う。このぐらいかかげないとね。誰かがやってくれるじゃなくて、一人ひとりから声をあげていかないと社会は変わらないと思う」と話していました。カナダ:広島・長崎原爆ウラン精製の町、4800軒線量調査へ 土壌除染、住民に逆効果の声
毎日新聞 2012年11月26日 東京朝刊第二次世界大戦中、広島・長崎に投下する原爆開発のためのウラン精製が行われたカナダ・オンタリオ州 ポートホープで、カナダ政府は12月にも市街地の全不動産を対象に放射線量調査を始める。過去の低レベル放射性廃棄物の影響を調べるのが狙い。規制値を超 えた物件は除染し、15年完成予定の新処分場に移す。カナダで最大規模の除染事業となるが、住民からは環境汚染を招くと反発の声も上がっている。
ポートホープでは1932年にラジウムの精製を開始。第二次世界大戦中は国営企業がウラン鉱石を精製し、原爆を開発する米英加のマンハッタン計画の加工工場として使われた。
当時は放射性物質への危険性の認識は低く、ラジウム226、ウラン、ヒ素などを含んだ廃棄物は埋め立て用の土として宅地整備などに用いられた。
1970年代半ばに放射能汚染が問題化し、80年代にかけて除染が行われたが、処分場が満杯になり、 「もはや健康への影響はないレベルになった」として作業を中断したまま、先延ばしにされてきた。国営企業はその後、民営化され世界有数のウランメーカー 「カメコ」となり、今も同市でウラン転換工場などが稼働している。
市街地の全軒と周辺地域の一部を含む計約4800軒が調査の対象で、土壌のサンプル調査も行う。カナダ政府は今夏、うち約450軒に発がん性のあるラドンガスの検出器を1軒あたり2個以上配布。線量調査は12月にも着手する。
同事業を進めるポートホープ地域イニシアチブ管理事務所によると、ラドンが1立方メートルの空気中 125ベクレル(カナダ政府の規制値は200ベクレル)、年間の放射線量の増加分が0・3ミリシーベルト(同1ミリシーベルト)を超える不動産について汚 染源を調査し、過去の廃棄物が原因と判明すれば政府の負担で除染する。
本格調査に先立ち、すでにラドン濃度が200ベクレルを超える物件も出ているといい、約1割が何らかの除染の対象になると推計されている。
カナダ政府は今年1月、中断していた同地域周辺の除染を再開するため、10年間にわたって12億8000万カナダドル(約1024億円)の予算を投じると発表。浜辺やふ頭など港湾の除染も行われる予定という。
規制値を超えた場合、建物は壊さないものの、民家の庭先や床下など地中に埋まっている低レベル放射性廃棄物を掘り返し、除染する。このため、複数の市民 団体が、ウランなどの有害物質が空中に散って内部被ばくを引き起こしたり、オンタリオ湖の水質を汚すなど環境汚染につながったりする可能性を指摘し、批判 している。【ポートホープ(カナダ南東部)吉富裕倫】カナダ ウラン精製地で放射線量調査
11月26日 9時8分第2次世界大戦中、原子爆弾を開発するためのウラン精製が行われたカナダ東部の町で、低レベルの放射性廃棄物が宅地整備などに使われたままになっている可能性が高まり、カナダ政府は、新たな処分場の建設計画を立て、およそ4800棟の建物の放射線量の調査を進めています。調査が始まっているのは、カナダ東部のオンタリオ州ポートホープの宅地などおよそ4800棟の建物です。
ポートホープは、第2次世界大戦中、日本の広島や長崎に投下された原爆を開発した「マンハッタン計画」の中で、ウラン鉱石の精製が行われた町で、ウラン精製の過程でできた放射性廃棄物は、当時、土などに混ぜられ、宅地整備の土台などに使われていたということです。
その後カナダ政府は、1980年代まで、放射性廃棄物を含む土壌などの除去作業を行っていましたが、危険性が下がったなどとして作業を中断していました。
しかし、住民らの不安の声が高まったため、カナダ政府と地元自治体などは、ポートホープとその周辺の建物およそ4800棟の放射線量の調査をことしの夏から始めました。
調査は5年かけて行われ、基準値を超えた場合には廃棄物を掘り起こし、2015年に建設予定の新たな処分場に運ぶ計画です。
ただ、これらの作業については、放射性物質が空気中に拡散するのではとの批判が市民団体などから出ているということです。河村氏、衆院選出馬を断念 「脱原発」共同代表
- 2012/11/26 9:37
新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(脱原発)の共同代表に就任する河村たかし名古屋市長は26日、次期衆院選への出馬を断 念する意向を明らかにした。名古屋市役所で記者団に「市長として任期中はがんばる。(衆院選では)仲間を応援する」と述べ、市幹部にも伝えた。河村市長をめぐっては国政政党化した減税日本の国会議員が衆院選出馬を強く要請し、河村氏も検討していた。減税日本は河村氏の出馬を想定し、愛知2区には候補者の擁立を見合わせていた。
カナダ:除染計画 今も残る放射能汚染 地元に政府不信
毎日新聞 2012年11月26日 東京朝刊第二次世界大戦中、米英カナダのマンハッタン計画で広島・長崎に投下する原爆を製造するため、ウラン精 製が行われたカナダ・オンタリオ湖に面した工場。汚染された周辺の土地や浜辺にはいまも低レベルの放射性廃棄物が埋まる。カナダ史上最大規模とされる除染 計画。事業本格化を控える地元では市民の一部に政府への不満が渦巻いていた。【カナダ・ポートホープで吉富裕倫】
「高校の裏手の土地を掘り返したら、生徒たちが放射性物質を吸い込んで内部被ばくしかねない」。ポート ホープの住民らで作る「放射線被ばくに反対する家族の会」のデリック・ケリー会長(50)は政府の除染計画に反発する。廃棄物が埋められた高校近くの高台 には放射線を抑えるため土砂がかぶせられ、草地が広がる。記者が持参した線量計は毎時0・10マイクロシーベルト前後を示した。カナダ政府の規制値の年間 1ミリシーベルトを時間換算した数値を下回っている。
埋まっているのは「ピッチブレンド」と呼ばれたウラン鉱石の精製後の廃棄物。政府は水を散布して粉じん が舞い上がらないように土砂を掘り市内の新しい処分場に運搬すると主張する。だが、ケリー会長は強いアルファ線を出すウラン粒子が土中から粉じんとなって 体内に取り込まれればさまざまな病気を引き起こすと懸念する。
周辺住民の中には放射性廃棄物に長年苦しめられてきたと訴える人たちがいる。廃棄物は湖岸や湖底など市 民の憩いの場にも残る。同市で生物学などを教える高校教師だったモリー・ムロイさん(54)は99年に悪性の脳腫瘍と診断された。自宅は政府の直営企業 だったウラン精製工場(現「カメコ」ウラン転換工場)から約1・5キロ。「低レベル放射線に長期間被ばくすると流産や出生異常を招くと聞く。高校の友達も 多くが子どもを持てないでいる」と話した。政府は「疫学調査などの結果から、健康への悪影響は起きていない」と主張、健康被害を訴える住民団体とは平行線 のままだ。
戦前から核物質を扱い続けてきたウラン転換工場は、煙突から日々もうもうと白煙を上げる。鉄道を挟んで目と鼻の先に住むポーラ・エバンズグールドさん(60)の自宅の窓には、黄色い粉じんがたまるときがある。
自宅を売り転居することにしたが、希望の値段では買い手が見つからず、値を下げた。一帯は全戸が除染の ための放射線調査の対象地区。ポートホープ地域イニシアチブ事務所から、ラドン検出器を取り付けるよう協力を求められたが断った。除染事業に伴い不動産価 格が下落したとして政府の補償プログラムの適用を求めている。
湖に面した公園で線量を測ると突然、毎時0・31マイクロシーベルトに上昇した。年間規制値の約2・7倍にあたる。近くのふ頭に目を向けるとシートをかぶせて保管されている背後の廃棄物を気にもせず釣り人たちが糸を垂れていた。
同事務所は、住民の84%が「ある程度」または「とても」計画に満足しているとのアンケート調査を示し、事業の推進に自信を示す。だが、カメコの「企業城下町」と呼ばれるポートホープでは、「共存」してきた核廃棄物への不安が染みついている。
2012年11月26日5時42分
滋賀県知事、新党結成を検討 脱原発掲げる
嘉田由紀子滋賀県知事 |
滋賀県の嘉田由紀子知事(62)が「脱原発」を旗印とする新党の結成を検討していることがわかった。脱原発を掲げる政党を含む政治勢力の受け皿となることを模索し、知事のままで代表に就く案が浮上している。新党の名称に「未来」という言葉を入れることを検討している。
嘉田氏の周辺によると、嘉田氏は脱原発を掲げる政党幹部や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らと意見交換し、調整を続けている。連携する政党は 「みどりの風」などを念頭に置いているとみられ、やはり脱原発を掲げる国民の生活が第一の小沢一郎代表との連携も模索しているとみられる。
嘉田氏は4月には2015年の統一地方選を視野に自らが塾長を務める「未来政治塾」を開講。新党名にも「未来」を入れたい考えとみられる。
嘉田氏の周辺によると、嘉田氏は脱原発を掲げる政党幹部や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らと意見交換し、調整を続けている。連携する政党は 「みどりの風」などを念頭に置いているとみられ、やはり脱原発を掲げる国民の生活が第一の小沢一郎代表との連携も模索しているとみられる。
嘉田氏は4月には2015年の統一地方選を視野に自らが塾長を務める「未来政治塾」を開講。新党名にも「未来」を入れたい考えとみられる。
生活と脱原発が合流検討…みどりにも呼びかけへ
「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)と新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(共同代表・山田正彦元農相、河村たかし名古屋市長)が、脱原発の第3極勢力の結集を目指し、新党結成を検討していることがわかった。
複数の両党関係者が25日、明らかにした。両党は、脱原発、環太平洋経済連携協定(TPP)参加反対、消費増税反対な
どを訴える考えで、「みどりの風」(共同代表・谷岡郁子参院議員ら)や無所属の前衆院議員らにも参画を呼び掛ける方針だ。「生活」と「脱原発」両党は、
12月4日の衆院選公示を控えて連携を模索してきたが、合流せずに選挙協力を進めるのは難しいと判断したとみられる。ただ、「みどりの風などが加わらず、
生活と脱原発だけなら合流のメリットが少ない」として慎重な意見があり、調整が難航する可能性もある。
小沢氏は周辺に、新党結成の場合、党首に就かない可能性を示している。「生活」の幹部の中には、嘉田由紀子滋賀県知事らとは脱原発政策で共闘できるとみて、党首に迎えたいとの声がある。
(2012年11月26日06時26分 読売新聞)
COP18が26日に開幕 日本、原発停止で発言力低下も
COP18が26日に開幕 日本、原発停止で発言力低下も
- 2012/11/25 19:51
【ドーハ=福士譲】2020年以降の温暖化対策の国際枠組みを話し合う第18回国連気候変動枠組み条約締
約国会議(COP18)が26日、カタールのドーハで開幕する。15年の合意を目指し、今後3年間の交渉の進め方を定める作業計画をつくれるかどうかが焦
点となる。「脱原発依存」政策で温暖化ガスの排出削減力が衰える日本は発言力低下も懸念され、次期枠組みで国益を確保できるかどうか、交渉力が問われる。
先進国に温暖化ガスの排出削減を義務づけた京都議定書は今年末で期限が切れる。国際社会は昨年のCOP17で、新たな法的枠組みを20年に発効させることで合意し、枠組み構築に向けた「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会」の設置を決めた。COP18では新枠組みを決めるまでの作業計画を作るのが目標だ。
ただ意見の隔たりは大きい。日本や欧州連合(EU)などの先進国は、詳細な計画を作り全ての国の参加を担保したい考え。一方、枠組みへの不参加の可能性もちらつかせる中国など新興国の一部は、作業を縛る詳細な計画には反対姿勢だ。
新興国の温暖化ガスの累計排出量は先進国と肩を並べ始め「歴史的責任も増す」(外務省幹部)。先進国対途上国という単純な図式ではなく、先進国、途上国、新興国がもつれ合う新たな構図となりつつある。
日本は「20年までに90年比25%減」の公約は達成が事実上不可能だが、政局混乱などで新目標を作れず、説得力に欠ける25%減を維持する方針。各国が日本の発言に耳を傾けるかは微妙で、日本に不利な枠組みをのまされる恐れもある。
原発事故20カ月:「放射能と人権」教育呼びかけ
毎日新聞 2012年11月25日 22時11分(最終更新 11月26日 01時13分)
「放射能の危険性を訴えることは、私を含め、福島で暮らし放射能に慣れつつある人間にとって、傷口に塩をすり込まれるようなことかもしれない」
福島県教職員組合書記次長の国分俊樹さん(50)は苦悩の日々を送る。事故後、放射能への対応を紹介する組合ニュースを発行し続けてきた。行政と保護者らとの板挟みになっている現場の教師向けで、危険性を指摘する内容も少なくない。
そして今、放射線教育が気がかりと言う。県内では福島市が先頭を切る形で2学期から始まった。「学ぶことは大切」と国分さんも考える。しかし、「『放射能を気にすることが問題』と心の問題にすりかえられている面がある」と懸念する。
「セシウム137だけでも表面汚染密度が1平方メートルあたり4万ベクレル以上の地域が福島県の東半分に広がっている。これは放射線管理区域に相当するベクレル数。そんな場所で暮らす異常さより、適応できない不安を問題視するのはおかしくないですか」と話す。
「給食の食材の線量検査など、組合としても全力で取り組んできた。でも、給食は年間180食。子供たちは除染された学校に24時間いるわけじゃない。健康に影響がないと言い切れるのか」
東日本大震災が発生した昨年3月11日は、福島市の組合事務所にいた。その日は同県郡山市の自宅には戻れず、帰宅は翌日。原発爆発の報を聞いた時は「死を覚悟した」。
翌朝から異変が表れた。朝、安達太良山などいつもと変わらぬ景色を眺めていると、涙が止まらなくなった。通勤途中に川や山を見ても涙した。
特に阿武隈川は幼い頃はカニとりに夢中になり、教員になっても趣味の自転車で堤防道路を疾駆した川。妻と出会ったのも上流の白河市だった。その川沿いに放射性物質は拡散した。「放射能の運河になってしまった」と悲しげに語る。
爆発を受け、大学1年の息子と中3の娘を熊本の妹宅に逃がした。事故収束が見通せず、一家の沖縄移住も検討した。だが、教員仲間の妻と出した結論は「残る」だった。
5月の連休明け、友人と会いたいという子供らが福島に戻ってくると、悲しみはさらに強くなった。吐き出せば改善するかと出勤前に大声で泣いた。だが、よくならない。6月に医師の診察を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言われた。通院は今も続く。 1年を過ぎたこの夏、「子どもたちのいのちと未来のために学ぼう 放射能の危険と人権」(明石書店)という本を市民団体と出し、被ばく量低減化、人権の回復、差別をしない許さない−−そうした教育に取り組もうと呼びかけた。
「報道も少なくなり、風化を感じる。自分でも慣れてきたと思う。でも危険なものは危険。慣れていってはいけないと思うんです」。ふるさとの山河を奪われた、無念の思いを胸に、静かにそう語った。【湯谷茂樹】
東京都台東区の「浅草すしや通り商店街」に23日、千葉工業大が開発した原発災害対応ロボット「ローズマリー」が登場し、がれきに見立てた木材などの上を進んでいく操縦実演が行われた。
ローズマリーは、東京電力福島第一原発に投入される予定で、テレビゲーム機のコントローラーをつないで遠隔操縦することができ、原子炉建屋内の写 真撮影や線量調査を担うことが期待されている。戦車のような走行用ベルトが装着され、60度の急斜面を上ることも可能だという。
この日は、同商店街の「大感謝祭」の会場で、同大の開発チームによるデモンストレーションが行われ、地元住民や観光客が興味深そうにロボットの動きを見ていた。
◇「危険」に慣れたくない
東京電力福島第1原発事故から20カ月。福島県で避難区域になっていない地域の学校では除染が進み、制限されていた屋外活動や運動会も事故前同様に行われるようになった。福島県教職員組合書記次長の国分俊樹さん(50)は苦悩の日々を送る。事故後、放射能への対応を紹介する組合ニュースを発行し続けてきた。行政と保護者らとの板挟みになっている現場の教師向けで、危険性を指摘する内容も少なくない。
そして今、放射線教育が気がかりと言う。県内では福島市が先頭を切る形で2学期から始まった。「学ぶことは大切」と国分さんも考える。しかし、「『放射能を気にすることが問題』と心の問題にすりかえられている面がある」と懸念する。
「セシウム137だけでも表面汚染密度が1平方メートルあたり4万ベクレル以上の地域が福島県の東半分に広がっている。これは放射線管理区域に相当するベクレル数。そんな場所で暮らす異常さより、適応できない不安を問題視するのはおかしくないですか」と話す。
「給食の食材の線量検査など、組合としても全力で取り組んできた。でも、給食は年間180食。子供たちは除染された学校に24時間いるわけじゃない。健康に影響がないと言い切れるのか」
東日本大震災が発生した昨年3月11日は、福島市の組合事務所にいた。その日は同県郡山市の自宅には戻れず、帰宅は翌日。原発爆発の報を聞いた時は「死を覚悟した」。
翌朝から異変が表れた。朝、安達太良山などいつもと変わらぬ景色を眺めていると、涙が止まらなくなった。通勤途中に川や山を見ても涙した。
特に阿武隈川は幼い頃はカニとりに夢中になり、教員になっても趣味の自転車で堤防道路を疾駆した川。妻と出会ったのも上流の白河市だった。その川沿いに放射性物質は拡散した。「放射能の運河になってしまった」と悲しげに語る。
爆発を受け、大学1年の息子と中3の娘を熊本の妹宅に逃がした。事故収束が見通せず、一家の沖縄移住も検討した。だが、教員仲間の妻と出した結論は「残る」だった。
5月の連休明け、友人と会いたいという子供らが福島に戻ってくると、悲しみはさらに強くなった。吐き出せば改善するかと出勤前に大声で泣いた。だが、よくならない。6月に医師の診察を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言われた。通院は今も続く。 1年を過ぎたこの夏、「子どもたちのいのちと未来のために学ぼう 放射能の危険と人権」(明石書店)という本を市民団体と出し、被ばく量低減化、人権の回復、差別をしない許さない−−そうした教育に取り組もうと呼びかけた。
「報道も少なくなり、風化を感じる。自分でも慣れてきたと思う。でも危険なものは危険。慣れていってはいけないと思うんです」。ふるさとの山河を奪われた、無念の思いを胸に、静かにそう語った。【湯谷茂樹】
原発ロボ「ローズマリー」、間もなく福島に投入
東京都台東区の「浅草すしや通り商店街」に23日、千葉工業大が開発した原発災害対応ロボット「ローズマリー」が登場し、がれきに見立てた木材などの上を進んでいく操縦実演が行われた。
ローズマリーは、東京電力福島第一原発に投入される予定で、テレビゲーム機のコントローラーをつないで遠隔操縦することができ、原子炉建屋内の写 真撮影や線量調査を担うことが期待されている。戦車のような走行用ベルトが装着され、60度の急斜面を上ることも可能だという。
この日は、同商店街の「大感謝祭」の会場で、同大の開発チームによるデモンストレーションが行われ、地元住民や観光客が興味深そうにロボットの動きを見ていた。
(2012年11月26日08時53分 読売新聞)
【群馬】
2012衆院選ぐんま 脱原発などで持論展開 高崎で公開討論会
公開討論会に登壇した4区の立候補予定者3人=高崎市で
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衆院群馬4区の立候補予定者三人による公開討論会(高崎青年会議所主催)が二十五日、高崎市のJU群馬で開かれ、来場した八十四人を前に脱原発などをテーマに持論を展開した。
出席者はいずれも新人で、元衆院議員秘書の福田達夫(45)=自民党、元高崎市議の宮原田綾香(28)=日本維新の会、元中学教諭の萩原貞夫(63)=共産党=の三氏。
脱原発とエネルギー政策について、福田氏は「理想は目指すべきだが、今すぐ原発ゼロにするのは非現実的で、政治は現実に向き合わねばならない。エネルギーを使う側も生活を見直すべきだ」と指摘した。
宮原田氏は「一番譲れない政策。核のごみは放射性物質(の危険性)がなくなるまで十万年以上必要とされ、そんな責任を取れない技術に手を出してしまった」と強調した。
萩原氏は「地震や津波の恐れがあるのに、原発を再稼働させる神経が分からない。この夏は原発なしでも乗り越えられた。今すぐ原発ゼロの政治判断が必要だ」と主張した。
4区ではこの他、民主党県連が、他区へ転出した国民の生活が第一前職、三宅雪子氏の秘書を務めた青木和也氏(24)を擁立する。 (菅原洋)
カナダ:いまも残る放射能汚染…除染計画、地元に政府不信
毎日新聞 2012年11月26日 02時32分(最終更新 11月26日 02時41分)
第二次世界大戦中、米英カナダのマンハッタン計画で広島・長崎に投下する原爆を製造するため、ウラン精
製が行われたカナダ・オンタリオ湖に面した工場。汚染された周辺の土地や浜辺にはいまも低レベルの放射性廃棄物が埋まる。カナダ史上最大規模とされる除染
計画。事業本格化を控える地元では市民の一部に政府への不満が渦巻いていた。【カナダ・ポートホープで吉富裕倫】
「高校の裏手の土地を掘り返したら、生徒たちが放射性物質を吸い込んで内部被ばくしかねない」。ポート ホープの住民らで作る「放射線被ばくに反対する家族の会」のデリック・ケリー会長(50)は政府の除染計画に反発する。廃棄物が埋められた高校近くの高台 には放射線を抑えるため土砂がかぶせられ、草地が広がる。記者が持参した線量計は毎時0.10マイクロシーベルト前後を示した。カナダ政府の規制値の年間 1ミリシーベルトを時間換算した数値を下回っている。
埋まっているのは「ピッチブレンド」と呼ばれたウラン鉱石の精製後の廃棄物。政府は水を散布して粉じん が舞い上がらないように土砂を掘り市内の新しい処分場に運搬すると主張する。だが、ケリー会長は強いアルファ線を出すウラン粒子が土中から粉じんとなって 体内に取り込まれればさまざまな病気を引き起こすと懸念する。
周辺住民の中には放射性廃棄物に長年苦しめられてきたと訴える人たちがいる。廃棄物は湖岸や湖底など市 民の憩いの場にも残る。同市で生物学などを教える高校教師だったモリー・ムロイさん(54)は99年に悪性の脳腫瘍と診断された。自宅は政府の直営企業 だったウラン精製工場(現「カメコ」ウラン転換工場)から約1・5キロ。「低レベル放射線に長期間被ばくすると流産や出生異常を招くと聞く。高校の友達も 多くが子どもを持てないでいる」と話した。政府は「疫学調査などの結果から、健康への悪影響は起きていない」と主張、健康被害を訴える住民団体とは平行線 のままだ。
戦前から核物質を扱い続けてきたウラン転換工場は、煙突から日々もうもうと白煙を上げる。鉄道を挟んで目と鼻の先に住むポーラ・エバンズグールドさん(60)の自宅の窓には、黄色い粉じんがたまるときがある。
自宅を売り転居することにしたが、希望の値段では買い手が見つからず、値を下げた。一帯は全戸が除染のための放射線調査の対象地区。ポートホープ地 域イニシアチブ事務所から、ラドン検出器を取り付けるよう協力を求められたが断った。除染事業に伴い不動産価格が下落したとして政府の補償プログラムの適 用を求めている。 湖に面した公園で線量を測ると突然、毎時0.31マイクロシーベルトに上昇した。年間規制値の約2.7倍にあたる。近くのふ頭に目を向けるとシートをかぶせて保管されている背後の廃棄物を気にもせず釣り人たちが糸を垂れていた。
同事務所は、住民の84%が「ある程度」または「とても」計画に満足しているとのアンケート調査を示し、事業の推進に自信を示す。だが、カメコの「企業城下町」と呼ばれるポートホープでは、「共存」してきた核廃棄物への不安が染みついている。
●支援団体の相談会に160人
過酷な労働環境にさらされている廃炉や除染現場の作業員を支援しようと、労働組合や医師らが今月設立した「被ばく労働を考えるネットワーク」が25日、いわき市で初めて相談会を開いた。同ネットワークによると、原発作業員ら家族ら160人が集まった。
旧警戒区域を除染している50代の男性は職場の仲間4人と訪れ、「自分がどのくらい被曝(ひばく)しているか分からない」「マスクは自腹で用意させられた」「宿舎はすし詰め状態だ」などと惨状を訴えた。
広島、長崎の原爆被爆者の健康問題に取り組んできた阪南中央病院(大阪府)の村田三郎副院長は「放射線被害として認定されるには被曝線量 や作業時間、場所などの記録が必要だ」と助言。原発の下請け作業員で労組をつくった斉藤征二さん(72)は「労働者が命を削って作業しないと廃炉もできな い。原発は稼働をゼロにするだけではだめで、なくさないといけない」と語った。
米国エネルギービジネスの終焉は本当か
「スマートシティ リアルビジネスの胎動」より
今年に入って、「クリーンテックブームは終わった」との声も出てきた。スマートグリッドや再生可能エネルギー、EV市場をけん引しつつあった米国市場は、どこにいくのか、見方が分かれている。[全文を読む]
「伊藤元重「瀬戸際経済を乗り切る日本経営論」」より
カナダでの経済界の人たちの討議の中で、彼らの日本へのエネルギー資源輸出への強い関心を実感した。原発事故がそうした関心を強めているという面もあるが、北米に比べて非常に高い価格でガスの輸入を増やしている日本の置かれた立場にも注目が集まっているようだ。[全文を読む]
再生可能エネルギーの問題は、化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その鍵を握るものとして、日米両国 で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なのだろうか。それとも、障壁なのだろう か。[全文を読む]
天然ガスが恒久的に原発を代替できるこれだけの理由
「ニュースを斬る」より
2カ月以内に日本のすべての原子力発電所が稼働停止する可能性が非常に高くなってきた。このままでは夏場に電力不足で工場などの操業に大きな障害が生じる可能性は高い。[全文を読む]
太陽光発電、2年前の半額以下で設置可能に
「「燃やさない文明」のビジネス戦略」より
今年7月1日の再生可能エネルギー買い取り制度(FIT)導入以来、予想通り太陽光発電が大ブームとなっている。太陽光が全体の約80%を占め、他を圧倒している。[全文を読む]
風力発電拡大へ動き出す日本型インフラ整備
「再生可能エネルギーの真実」より
風力発電開発を進めるために不可欠な送電線整備を、国・事業者が特別目的会社(SPC)を作って進めるという政策が動き出そうとしている。ただ、推進するには多くの課題がある。[全文を読む]
潜在能力高い風力発電、FITの条件次第で普及へ
「再生可能エネルギーの真実」より
遅ればせながら、日本でも再生可能エネルギーブームが到来しそうである。政府も「2012年は再生可能エネルギー元年」という言葉を使い始めた。固定価格買い取り制度(FIT)の条件が5月にも提示される。[全文を読む]
世界に“周回遅れ”の再生可能エネルギー
「再生可能エネルギーの真実」より
世界ではすさまじい勢いで再生可能エネルギーの導入が進んでいる。周回遅れの日本だが、震災を経て導入機運が高まった。政府はようやく重い腰を上げ、支援策の整備に乗り出す。[全文を読む]
エネルギー政策のスピードをドイツから学べ
「再生可能エネルギーの真実」より
日本のエネルギー政策を考えるに当たって、参考になるのがドイツである。3.11の震災後、ただちに脱原発を宣言し、4カ月で中長期の見通しとそれを実現する道筋や施策を決め、立法化した。[全文を読む]
クリーンテックブームの終焉を最も印象付けたのは、全米第3位の太陽電池パネルメーカー、ソリンドラが昨年9月に破綻したことだった。同社は、米政府か
ら約400億円の融資を受けた太陽電池ベンチャーの成長株とされていた。しかし、中国製の太陽光パネルとの価格競争に巻き込まれ、急速に業績が悪化した。
米国市場では昨年から今年にかけ、太陽光パネルの価格が3分の1になったと言われる。
同社に限らず欧米の太陽電池メーカーの業績は、中国メーカーの低価格攻勢によって業績が悪化、複数企業が破綻した。太陽光発電と並んで成長が見込まれて いる集光型太陽熱発電(CSP)で実績のあったブライト・ソース・エナジーも、土壇場で株式公開(IPO)を取りやめた。CSPは太陽熱で蒸気を作り、 タービン発電機を回すシステム。大規模化すれば太陽光発電より発電コストは安いと言われていた。しかし太陽光パネル価格の予想外の下落が逆風になった。
中国メーカーの攻勢に加え、米国政府の再生可能エネルギー促進策への不透明感も出てきた。非在来型のシェールガスの生産が本格化してきたことが背景にあ
る。シェールガスの可採埋蔵量には諸説あるが、最大のものでは米国のエネルギー消費量の400年分という。少なくても100年だ。これまで認めなかった輸
出も認める方向だという。
すでにシェールガスの影響を受けているのが、原子力発電だ。米国では、2000年代に入りスリーマイル島原発事故以来、止まっていた、原発の新設気運が 盛り上がり、「原子力ルネサンス」と呼ばれた。だが、ここ数年、シェールガス生産によって天然ガス発電のコスト競争力が高まり、原発新設計画の凍結が相次 いでいる。
米国の再生可能エネルギー促進策は、温暖化対策以上に、エネルギーの海外依存を下げるエネルギー安全保障の側面が強いだけに、シェールガス革命によって政府による再生可能エネルギー促進策が後退するとの読みも出ている。
「スマートグリッド関連で成功したのは、大規模事業所向けのデマンドレスポンス(DR=需要応答)だけ」というのが、米国のベンチャーキャピタル(VC)における評価だ。
これは1970年代以降、原発利用を拡大してきた日本のエネルギー政策の大転換である。
過去30年以上にわたって日本が原発利用を拡大してきたのは、資源に関する安全保障上の理由が大きい。国内にエネルギー資源がほとんどない日本にとって、化石燃料だけに依存するリスクは大きい。そう判断した日本は、原発の利用拡大を進めてきたのである。
福島の原発事故はこうした方針に大きな転換を求めることになった。原子力以外の分野でのエネルギー利用を増やしていかなくてはならない。長期的には風力や太陽光のような再生可能エネルギーに期待が寄せられる。
しかし、現実的にみて再生可能エネルギーの本格利用にはまだ相当な時間がかかる。当面は天然ガスなど化石燃料への依存を増やさざるをえない。
石油はそれでもまだ備蓄があるが、天然ガスについては備蓄機能をほとんど持っていない。イランとイスラエルの衝突などでホルムズ海峡が閉鎖されれば、大変な状況が予想される。
天然ガスの調達先の分散には時間がかかる。今すぐに動いたからと言って、イラン問題への対応になるわけではない。それでも、早急に調達の分散化を進めて行く必要がある。
シベリアは天然ガスの供給先として有力な存在である。ただ、成熟した民主主義国家であるカナダ、オーストラリア、米国などのガスを日本に輸入するルートを強化することがきわめて重要だと思われる。
北米ではシェールガス革命が起き、天然ガスの価格が大幅に低下している。石油の価格と連動した契約になっている中東の天然ガスは価格がきわめて高くなっている。こうした価格差を埋めるためにも、北米でのガス資源を積極的に導入するように動いていく必要がある。
印象的だったのは、どこへ行っても日本のエネルギー政策の転換について強い関心を持っていることだった。カナダのエネルギー資源の日本への輸出を拡大したいという思いが伝わってくる。
カナダの西部地区、特にカルガリーなどはエネルギー開発で活況を呈しているという。西部で開発した資源をパイプラインで運んで米国に売るという選択肢もあるようだが、長距離のパイプライン建設については環境面からの課題も大きいという。住民の反対も強いようだ。
そこで、より距離の近い太平洋側に持ってくることが考えられる。その場合に想定する市場は、アジア諸国ということになる。
もっとも、こうした資源が日本に来るという保証はない。中国の存在があるからだ。急速に経済の拡大が続く中国は、世界中から資源を買いあさっている。これはカナダについても例外ではない。
またカナダの経済界の間でも、中国に対する関心が非常に高い。カナダにいる日本関係者の間では、カナダの中国熱が強く、日本への関心が薄れていることに危機感を抱いている人も多い。
カナダで最近話題になっている問題に、中国国営企業・中国海洋石油(CNOOC)によるカナダ・エネルギー企業ネクセンの買収問題がある。中国企業が高い価格でカナダのエネルギー会社を買収しようとしていることに、カナダ側にも懸念を表明する人が増えているようだ。
こうした論議が電力だけにとどまるものでないことは明らかだ。火力発電が天然ガスの利用に依存するものであるなら、天然ガスの流通ネットワークにも大きな改革が求められる。
日本のガスのネットワークは、都市部での都市ガス利用のために進化したものである。必要に応じてガスのパイプラインが引かれるという、きわめてパッチワーク的な要素が強いと言われる。
ガスの輸入基地やパイプラインについても、ガス会社だけでなく電力会社なども含めた込み入った所有形態になっているようだ。電力と同じようにガスの分野においても「アンバンドリング」が必要であるという主張をする専門家も少なくない。
アンバンドリングとは、電力の分野で言えば「発送電分離」を意味するものであるが、ガスの分野で言えば「ガスのパイプライン網を広域で組織化し、いろい ろな業者がそのパイプラインを透明で差別のない形で利用できるようにインフラ化すること」である。 欧米に比べて、日本のパイプライン網の延長距離は圧倒 的に短い。それだけパイプライン網の整備が遅れているということだ。短い時間で欧米並みにすることは難しいとしても、日本全体でガスを有効活用できるよう なパイプラインの強化が求められる。
こうしたインフラ投資のどこまでを民間企業に委ねるのか、どこまで政府が関与するのか、ここで議論する準備はない。ただ、ガスの輸入と流通のネットワークを強化することが、急務であることは明らかだ。また、その中にガスの備蓄基地の整備も含まれると考えてよい。
原発事故を受けて、日本の商社は海外での天然ガス関連の投資に積極的に動こうとしている。北米での積み出し基地やガス資源への投資の動きも出始めてい る。こうした海外での資源への投資は、基本は商社などの民間の投資が中心になるとしても、国家としての何らかの取り組みも必要となるはずだ。
カナダでの経済界の人たちの討議の中で、彼らの日本へのエネルギー資源輸出への強い関心を実感した。原発事故がそうした関心を強めているという面もあるが、北米に比べて非常に高い価格でガスの輸入を増やしている日本の置かれた立場にも注目が集まっているようだ。
今こそ、天然ガスの利用を巡る日本のあるべき姿について、きちっとした議論を整理しておく必要がある。
日米両国とも、エネルギー源の確保と同時に化石燃料からの脱却を図っている。化石燃料から脱却して向かう先は再生可能エネルギーであるが、再生可能エネ ルギーの問題は化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その上、大規模に展開すれば現段階ではコストも大 きい。ではどのようなプロセスをたどれば、再生可能エネルギーへの軟着陸は可能なのだろうか。
その鍵を握るものとして、日米両国で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なの だろうか。それとも、障壁なのだろうか。この記事では、現在米国で起こっている“天然ガス革命”を見ながら、この問題を考える。
東日本大震災以前の日本では、エネルギー政策は温室効果ガス削減による低炭素化社会の達成が大きなウエイトを占めていた。温室効果ガスを排出しない原子 力が一番費用対効果が優れていると評価され、30%の発電量を占めていた。2020年には40%に増加しようという計画ですらあった。福島第一原発の事故 以来、この計画は変更を余儀なくされた。
しかし日本政府内部からは、現在停止された原子炉をすべて廃棄する即脱原発なのか、一時的にでも一部を再稼働しながら代替エネルギーを開発して暫時廃止 していき最終的に全部の原子炉を廃棄するのか、その場合にどれくらいの時間をかけるのか、という議論がいまだに聞こえてこない。はっきりしていることは、 すべてを再稼働し、また新規の原発を建設することは今後不可能だということだろう。
これを書いている4月中旬、国内にある54基の原子炉のうち、北海道の泊原発3号基を除きすべての原子炉は停止したままだ。大飯原発の再稼働に関しても 政府内の意見統一が見られず、再稼働する条件が日々変更されているように見え、はっきりとした方向性が見えない。このままでは5月5日とも報道されるよう に、泊3号基が停止して、すべての原子炉が停止する。その場合、今夏の電力事情はどうなるのだろうか。
原発なしでも、電力需要に耐え得るだけの電力確保は可能だという意見もあるが、原発を停止し続けるのであれば、短期間でそれを代替できるエネルギーとしては、再生可能エネルギーがまだ十分に成熟していない以上、化石燃料に頼らざるを得ない。
2カ月以内に日本のすべての原子力発電所が稼働停止する可能性が非常に高くなってきた。
この事態に、「原発が3基しか動いていない状況で何とか厳冬期を乗り切ったので、このままでも脱原発は十分可能だ」という楽観論が、一部で声高に言われるようにもなっている。
しかし、夏の電力ピーク需要は冬場よりずっと高く、このままでは夏場に電力不足で工場などの操業に大きな障害が生じる可能性は高い。しかも原発代替の突 発的な火力発電所フル稼働で、日本の発電コストは大きく上昇し、これが今後電力料金の大幅値上げとなってツケが近いうちに国民全体に回ってくることにな る。
3.11前は全電源の約3割であった天然ガス・LNG(液化天然ガス)発電は、現時点で日本の全電源の約4割、東京電力や中部電力管内では5割前後にまで急上昇している。自家発電の急遽のフル活用も同様だ。
原発の発電コストの大半は設備コストという固定費用(=埋没費用)であり、発電量に応じて新たにコストがかかる燃料費(=可変費用)ではない。逆に、火力発電、特に石油火力発電や天然ガス発電、自家発電は、設備コスト=固定費用は安く、燃料コストが高い。
既に設備投資が終わっていて、発電の有無にかかわらず発電コストはさほど変わらない、いまだに使用可能な原発をわざわざ止めて、発電量に応じて燃料費が比例的にかかる火力や自家発電を急きょフル稼働させれば、当然発電コストは一時的に大幅に上昇する。
しかし、原発停止によって発電コストが上昇するというのは短期の一時的現象であって、中長期の構造的な問題では全くない。中長期的に、老朽原発や危険度 の高い原発を次々と廃炉にして、すべて火力や自家発電に切り替えても、コスト上昇は原理的に生じない。まず、このことをしっかり認識する必要がある。
意識的かどうか知らないが、この短期の一時的問題と中長期の問題を一緒くたにした議論をよく見かける。
今年7月1日の再生可能エネルギー買い取り制度(FIT)導入以来、予想通り太陽光発電が大ブームとなっている。開始から2カ月間で、経済産業省の設備 認定を受けた再生可能エネルギー案件は全国で7万2660件、出力合計は約130万kWに達した。政府が2012年度(2012年7月~2013年3月) に見込む250万kWの50%をすでに超えたことになる。
内訳は太陽光が約103万kW(全体の約80%)で他を圧倒している。2位は風力で約26万kW。3位のバイオマス以下はずっと小さくなる。筆者は、再 生可能エネルギーのうち、太陽光発電だけで2012年度の新規設置容量は250万kWを軽く突破すると予想している。その中心は発電出力10kW以上の業 務用だ。
このようなメガソーラーブームは久々に日本に活気をもたらしている。特に地方の工事業者からの期待が大きい。しかし、今後さらに普及を加速していくためにはいくつかのハードルがある。その1つが用地確保の難しさだ。
埼玉県杉戸町では、町所有の未利用地であるスーパー堤防(木津内高規格堤防)を有効活用するという。大洪水の時にどうなるのかと心配ではあるが、意欲的 な試みだ。実際に建設するのはメガソーラー建設で実績のある日本アジアグループ傘下のJAG国際エナジーで、この発電所は「(仮称)埼玉・杉戸ソーラー ウェイ」と呼ばれるという。
また、熊本県では、三菱商事主導により地元企業が集結して空港にメガソーラーを建設することになった。熊本県の住宅向け太陽光発電システムの普及率は5.63%で、全国第2位(2010年度)。これから、メガソーラー設置にも力を入れていくようだ。
筆者は、日本中の全ての土地を総動員するべきと考える。狙い目は全国に40万ha(国土面積の1%強)ある耕作放棄地。その3分の1を投入する。それか ら、山林を考えている。日本は国土の67%が森林。その67分の1(国土面積の1%)程度を使うのだ。耕作放棄地と併せて、国土面積の1.3%になる。
風力発電開発を進めるために不可欠な送電線整備を、国・事業者が特別目的会社(SPC)を作って進めるという政策が動き出そうとしている。電力インフラ に国が直接資金を出すのは画期的といえるが、推進するには多くの課題がある。本来は、電力会社が送電線を建設して、投資回収を工夫する方が確実で望まし い。今回はこの問題を取り上げる。
再エネ発電は、2010年時点の1060億kWhから3000億kWhへと発電量(アワー)ベースで3倍増を明示している。内訳は、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを含むその他--であり、特に太陽光、風力、地熱が大きく増加する(資料1)。
20年足らずの期間でこのボリュームはかなり野心的であり、想定しうる目一杯の数値を掲げたとされている。その中で潜在的に余裕・伸び代があるのが風力 である。目標値の665億kWhは、約16倍の伸びだ(ドイツは2011年で約500億kWh)。設備利用率2割を前提とすると3600万kWの新規開発 が必要になる。風力発電協会は、長期的に5000万kWの開発も目指している。
風力発電はコスト、1事業当たりのボリューム、開発速度などの面で優位にあり、目標の実現が日本の再生可能エネルギ-普及のカギを握っている。最近の世 界の動向を見ても、再エネ開発の主役は風力であり、これと符合する。2011年末で既に2億4000万kWと原発240基分の容量に達している。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)での風力の買い取り価格は1kWh当たり22円である。従来からの開発事業者に加えて、多くの事業 者が新規参入を表明している。各電力会社の募集枠をはるかに超える応募が常態化している。昨年度の東北電力の募集枠30万kWに対して324万kWと10 倍超の応募があった。
遅ればせながら、日本でも再生可能エネルギーブームが到来しそうである。政府も「2012年は再生可能エネルギー元年」という言葉を使い始めた。固定価 格買い取り制度(FIT)が7月より導入され、買い取り条件を決める委員会を経て、5月中旬までには条件が提示される予定である。
本連載は奇しくも、委員会での検討時期と重なる。しばらくは、委員会の検討状況をも横目に、個々の再生エネ技術に焦点を当てながら、再生エネ普及のあり方を探っていくこととする。
前回はイントロダクションであったが、今回から各論に入る。まずは、最も潜在的な可能性が高いと期待されている風力である。シリーズのはじめの段階であることや他エネルギーと比較して理解することが重要なので、横並びの記述も多くなるが、ご容赦いただきたい。
新規に設置された発電設備では、その10%以上は風車である。米国とEUでは35%以上を占め、発電設備の4%以上は風力発電となっている。こうした動きは、今後も続いていくと予想されている。多くの国は、電力需要の20%を風力で賄おうとの目標を掲げている。
風力発電が急速に普及している背景は、再生エネのなかではコストが低い(経済性)、資源が豊富にある(潜在性)、開発から運転までの期間が短い(迅速性)という長所が評価されているからである。ライフサイクルでみたときの二酸化炭素の排出も少ない。
資料1は、前回も 掲載したが、IPCCが2011年5月に公表した種類別のコスト比較である。ライフサイクルベースのコストであり、最小値、中間値、最大値が示されてい る。黄色い部分は既存の大規模発電のコストであるが、ほぼ火力発電と考えていい。再生エネのなかでは水力や地熱が低位にある。これは、超長期にわたる耐用 年数ベースでは、そのメリットを発揮できることを意味している。一方で、民間資本が想定する事業期間を超える場合が一般的で、初期投資負担が重く、それを 軽減する支援措置が必要になる。風力は比較的投資回収期間が短い種類の中では、高い経済性を誇っている。
1年前の今頃は、供給力不足の短期、脱原子力依存を睨んだ長期、その間をつなぐ中期と分けて議論する必要がある、ということであった。計画を白紙から見
直し、そのためにシステムも変革していかなければならないとして、新時代を迎える一種の高揚感があった。筆者は、昨年の6月に「エネルギー復興計画」を上
梓し、拙速ながらもその考えるところを提言した。
ミックスに関しては、識者と称される方でも、自らの領域は目一杯主張するが、全体を眺めてベストミックスを主張する方は少ない。原子力の選択肢が0から (当初案では)35%まで乖離があった。これは、真剣に構成の議論をしてきたのかと言われても仕方があるまい。原子力は、基本計画のベースであり、使用済 み燃料を含めた安全・安心の考え方を提示して、スケジュールの理解を得なければならない。リアルコストがどの程度なのかも明示する必要がある。
自然エネルギーは、大きな役割を果たさざるを得ないが、一定期間での大量設置には限界があり、超長期の視点が必要となる。シェールガス革命をよりどころ に、天然ガスを最大限利用すればいいとの主張もあるが、その前に化石燃料を使う火力発電全体の割合をどう考えるか、という基本線があろう。
安価で豊富にあり技術もある石炭の利用は簡単に減らせるものとは思えないし、クリーンコール技術への期待も強い。炭素価格が下がっている現実をどう解釈 するか。天然ガスが増加するためには国内インフラ整備や分散型システム在り方の整理が不可欠である。中国がLNG市場に参入するケースも想定する必要があ る。目標値に至る過程のなかで依存が強まることは理解できるが、あくまでも本命普及までの代替手段であり、最終的な姿ではないのではないか。
そうした道筋を具体的に示すべきである。少なくとも大規模発電所については一つひとつ、建設・廃止などの予想を積み上げることになる。
県は、平成25年度に開始する県内民有林の間伐による除染で、森林の土壌に付着した放射性物質が生活圏に拡散することを防ぐ防護柵を設置する方針
を25日までに固めた。間伐に先行して作業する。初年度は約3千ヘクタールを除染対象とし、設置地点は最大1万カ所に上る見込み。県内で東京電力福島第一
原発事故による森林内部の放射性物質が雨や間伐、除染作業で沢水などに混入し、下流域の住民生活、農業への影響を懸念する声が出ていることを受けての対
応。ただ、使用後の放射性物質を含んだ吸着材の処分方法などの課題が残る。
県による防護柵の設置イメージは【図】の通り。間伐に伴う作業道整備や伐採作業で、土壌表面の土が崩れたり、雨水が斜面を流れる際に汚染され、放射性物質を含む土砂や水が沢に入り生活圏に拡散するのを防ぐ。
防護柵は木製で幅三メートル、高さ40センチ程度。ゼオライトや顔料のプルシアンブルーなど放射性セシウムの吸着効果がある物質を入れた袋を斜面上部に敷 き詰める。間伐作業を始める地域で、雨水などが通る場所を選んで設置し、防護柵を通過する水に含まれる放射性物質の量を抑制する。
県は設置費用を一カ所当たり1万円程度、1万カ所で1億円と見込み、国の森林再生の関連事業費を充てる方向で関係省庁と協議している。
県によると、一つの防護柵に土のう12袋分の吸着材を置いた場合、一カ所当たり1万3000~2万5000ベクレルの放射性セシウムの吸着効果があるとい う。一定の期間を過ぎた後は交換することになるが、現時点で使用後の吸着材や木材の搬出先は決まっていない。森林内に一時的に保管することになるため、県 は作業時の被ばく防止など安全対策を検討する。
県内の森林は約97万ヘクタールで、このうち約56万3千ヘクタールが民有林。県は年間被ばく線量が一ミリシーベルト以上の民有林約18万3千ヘクタールを対象に間伐による除染に取り組む方針。県土の1割を超える面積で、実施期間は20年程度を想定している。
一方、国有林は約41万ヘクタールだが、国は森林除染の明確な方向性を示さず、防護柵の設置方針も打ち出していない。県農林水産部は「県民生活の安心を確保するために防護柵が必要。林野庁と協議した上で設置したい」としている。
「高校の裏手の土地を掘り返したら、生徒たちが放射性物質を吸い込んで内部被ばくしかねない」。ポート ホープの住民らで作る「放射線被ばくに反対する家族の会」のデリック・ケリー会長(50)は政府の除染計画に反発する。廃棄物が埋められた高校近くの高台 には放射線を抑えるため土砂がかぶせられ、草地が広がる。記者が持参した線量計は毎時0.10マイクロシーベルト前後を示した。カナダ政府の規制値の年間 1ミリシーベルトを時間換算した数値を下回っている。
埋まっているのは「ピッチブレンド」と呼ばれたウラン鉱石の精製後の廃棄物。政府は水を散布して粉じん が舞い上がらないように土砂を掘り市内の新しい処分場に運搬すると主張する。だが、ケリー会長は強いアルファ線を出すウラン粒子が土中から粉じんとなって 体内に取り込まれればさまざまな病気を引き起こすと懸念する。
周辺住民の中には放射性廃棄物に長年苦しめられてきたと訴える人たちがいる。廃棄物は湖岸や湖底など市 民の憩いの場にも残る。同市で生物学などを教える高校教師だったモリー・ムロイさん(54)は99年に悪性の脳腫瘍と診断された。自宅は政府の直営企業 だったウラン精製工場(現「カメコ」ウラン転換工場)から約1・5キロ。「低レベル放射線に長期間被ばくすると流産や出生異常を招くと聞く。高校の友達も 多くが子どもを持てないでいる」と話した。政府は「疫学調査などの結果から、健康への悪影響は起きていない」と主張、健康被害を訴える住民団体とは平行線 のままだ。
戦前から核物質を扱い続けてきたウラン転換工場は、煙突から日々もうもうと白煙を上げる。鉄道を挟んで目と鼻の先に住むポーラ・エバンズグールドさん(60)の自宅の窓には、黄色い粉じんがたまるときがある。
自宅を売り転居することにしたが、希望の値段では買い手が見つからず、値を下げた。一帯は全戸が除染のための放射線調査の対象地区。ポートホープ地 域イニシアチブ事務所から、ラドン検出器を取り付けるよう協力を求められたが断った。除染事業に伴い不動産価格が下落したとして政府の補償プログラムの適 用を求めている。 湖に面した公園で線量を測ると突然、毎時0.31マイクロシーベルトに上昇した。年間規制値の約2.7倍にあたる。近くのふ頭に目を向けるとシートをかぶせて保管されている背後の廃棄物を気にもせず釣り人たちが糸を垂れていた。
同事務所は、住民の84%が「ある程度」または「とても」計画に満足しているとのアンケート調査を示し、事業の推進に自信を示す。だが、カメコの「企業城下町」と呼ばれるポートホープでは、「共存」してきた核廃棄物への不安が染みついている。
原発作業員ら窮状訴え
2012年11月26日
過酷な労働環境にさらされている廃炉や除染現場の作業員を支援しようと、労働組合や医師らが今月設立した「被ばく労働を考えるネットワーク」が25日、いわき市で初めて相談会を開いた。同ネットワークによると、原発作業員ら家族ら160人が集まった。
旧警戒区域を除染している50代の男性は職場の仲間4人と訪れ、「自分がどのくらい被曝(ひばく)しているか分からない」「マスクは自腹で用意させられた」「宿舎はすし詰め状態だ」などと惨状を訴えた。
広島、長崎の原爆被爆者の健康問題に取り組んできた阪南中央病院(大阪府)の村田三郎副院長は「放射線被害として認定されるには被曝線量 や作業時間、場所などの記録が必要だ」と助言。原発の下請け作業員で労組をつくった斉藤征二さん(72)は「労働者が命を削って作業しないと廃炉もできな い。原発は稼働をゼロにするだけではだめで、なくさないといけない」と語った。
原発依存度はどうしたら下げられるか? 改めてその方策と可能性を考えてみよう
2012年11月26日
衆院選のテーマに原発問題が挙がっている。ところが各党の主張を判断しようにも、その根拠は必ずしも明確ではなく、単なるスローガンにしか思えないもの
も……。有権者は、まずは代替エネルギーの現状をできるだけ詳しく理解することが大切だ。天然ガス、太陽光、風力を中心に代替エネルギーについて論じたコ
ラムをピックアップした。
米国エネルギービジネスの終焉は本当か
再エネに手厚い政策支援、シェールガス革命でCNG車に脚光
「スマートシティ リアルビジネスの胎動」より今年に入って、「クリーンテックブームは終わった」との声も出てきた。スマートグリッドや再生可能エネルギー、EV市場をけん引しつつあった米国市場は、どこにいくのか、見方が分かれている。[全文を読む]
伊藤元重:天然ガスの利用拡大に備えた日本の戦略を練るべき
カナダでの経済界の人たちの討議の中で、彼らの日本へのエネルギー資源輸出への強い関心を実感した。原発事故がそうした関心を強めているという面もあるが、北米に比べて非常に高い価格でガスの輸入を増やしている日本の置かれた立場にも注目が集まっているようだ。[全文を読む]
米国で起きている“天然ガス革命”
「天然ガスを考える」より再生可能エネルギーの問題は、化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その鍵を握るものとして、日米両国 で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なのだろうか。それとも、障壁なのだろう か。[全文を読む]
天然ガスが恒久的に原発を代替できるこれだけの理由
ホルムズ海峡への依存はゼロに近づく
2カ月以内に日本のすべての原子力発電所が稼働停止する可能性が非常に高くなってきた。このままでは夏場に電力不足で工場などの操業に大きな障害が生じる可能性は高い。[全文を読む]
太陽光発電、2年前の半額以下で設置可能に
設置コスト削減、適地確保で進化する
「「燃やさない文明」のビジネス戦略」より今年7月1日の再生可能エネルギー買い取り制度(FIT)導入以来、予想通り太陽光発電が大ブームとなっている。太陽光が全体の約80%を占め、他を圧倒している。[全文を読む]
風力発電拡大へ動き出す日本型インフラ整備
官民共同で送電線網を拡充
「再生可能エネルギーの真実」より風力発電開発を進めるために不可欠な送電線整備を、国・事業者が特別目的会社(SPC)を作って進めるという政策が動き出そうとしている。ただ、推進するには多くの課題がある。[全文を読む]
潜在能力高い風力発電、FITの条件次第で普及へ
世界は5年間で発電量3倍に
「再生可能エネルギーの真実」より遅ればせながら、日本でも再生可能エネルギーブームが到来しそうである。政府も「2012年は再生可能エネルギー元年」という言葉を使い始めた。固定価格買い取り制度(FIT)の条件が5月にも提示される。[全文を読む]
世界に“周回遅れ”の再生可能エネルギー
東日本大震災を契機に導入機運高まる
「再生可能エネルギーの真実」より世界ではすさまじい勢いで再生可能エネルギーの導入が進んでいる。周回遅れの日本だが、震災を経て導入機運が高まった。政府はようやく重い腰を上げ、支援策の整備に乗り出す。[全文を読む]
エネルギー政策のスピードをドイツから学べ
3.11から4カ月で中長期戦略を法制化
「再生可能エネルギーの真実」より日本のエネルギー政策を考えるに当たって、参考になるのがドイツである。3.11の震災後、ただちに脱原発を宣言し、4カ月で中長期の見通しとそれを実現する道筋や施策を決め、立法化した。[全文を読む]
米国エネルギービジネスの終焉は本当か
再エネに手厚い政策支援、シェールガス革命でCNG車に脚光
2012年10月22日(月)
米オバマ大統領の掲げた、環境エネルギー産業による経済活性化政策によって一躍、脚光を浴びたクリーンテック分野。スマートグリッド(次世代電力網)が
「第2のインターネット」になるとの見方が広がり、太陽光発電やEV(電気自動車)が普及期を迎え巨大なビジネスチャンスを生むとの期待感が膨らんだ。多
くのベンチャー企業が登場し、投資家から資金を呼び込んだ。だが、今年に入って、「クリーンテックブームは終わった」との声も出てきた。スマートグリッド
や再生可能エネルギー、EV市場をけん引しつつあった米国市場は、どこにいくのか、見方が分かれている。その行方は世界の新エネルギービジネスにも大きく
影響する。
同社に限らず欧米の太陽電池メーカーの業績は、中国メーカーの低価格攻勢によって業績が悪化、複数企業が破綻した。太陽光発電と並んで成長が見込まれて いる集光型太陽熱発電(CSP)で実績のあったブライト・ソース・エナジーも、土壇場で株式公開(IPO)を取りやめた。CSPは太陽熱で蒸気を作り、 タービン発電機を回すシステム。大規模化すれば太陽光発電より発電コストは安いと言われていた。しかし太陽光パネル価格の予想外の下落が逆風になった。
すでにシェールガスの影響を受けているのが、原子力発電だ。米国では、2000年代に入りスリーマイル島原発事故以来、止まっていた、原発の新設気運が 盛り上がり、「原子力ルネサンス」と呼ばれた。だが、ここ数年、シェールガス生産によって天然ガス発電のコスト競争力が高まり、原発新設計画の凍結が相次 いでいる。
米国の再生可能エネルギー促進策は、温暖化対策以上に、エネルギーの海外依存を下げるエネルギー安全保障の側面が強いだけに、シェールガス革命によって政府による再生可能エネルギー促進策が後退するとの読みも出ている。
VCの多くが手を引き始めている
スマートグリッド分野で“ブーム”に水を差したのが、米マイクロソフトやグーグルなどによるスマートメーター(次世代電力計)派生ビジネスのとん挫だ。 両社は、家庭のエネルギー使用情報の分析を基にした省エネサービスを試みたが、プライバシーの観点などから、消費者に受け入れられなかった。「スマートグリッド関連で成功したのは、大規模事業所向けのデマンドレスポンス(DR=需要応答)だけ」というのが、米国のベンチャーキャピタル(VC)における評価だ。
天然ガスの利用拡大に備えた日本の戦略を練るべき
2012年10月18日
原発事故が転機となりエネルギー政策を大転換へ
福島の原発事故がきっかけで、関西電力・大飯原発3、4号機を除く日本中の原発が停止している。今後の原発政策についてはその方向性がまだ確定しておらず不確定な面が大きいが、いずれにしても原発の利用を縮小していく方向になると思われる。これは1970年代以降、原発利用を拡大してきた日本のエネルギー政策の大転換である。
過去30年以上にわたって日本が原発利用を拡大してきたのは、資源に関する安全保障上の理由が大きい。国内にエネルギー資源がほとんどない日本にとって、化石燃料だけに依存するリスクは大きい。そう判断した日本は、原発の利用拡大を進めてきたのである。
福島の原発事故はこうした方針に大きな転換を求めることになった。原子力以外の分野でのエネルギー利用を増やしていかなくてはならない。長期的には風力や太陽光のような再生可能エネルギーに期待が寄せられる。
しかし、現実的にみて再生可能エネルギーの本格利用にはまだ相当な時間がかかる。当面は天然ガスなど化石燃料への依存を増やさざるをえない。
天然ガスの備蓄機能はほとんどない
天然ガスの利用を拡大しながらも、安全保障面からのエネルギー資源の調達のあるべき姿を考えると、調達先の分散を早急に進めていかざるをえない。日本は中東地域に化石燃料の多くを依存しているが、この地域に何か起きたときには大変なことになる。石油はそれでもまだ備蓄があるが、天然ガスについては備蓄機能をほとんど持っていない。イランとイスラエルの衝突などでホルムズ海峡が閉鎖されれば、大変な状況が予想される。
天然ガスの調達先の分散には時間がかかる。今すぐに動いたからと言って、イラン問題への対応になるわけではない。それでも、早急に調達の分散化を進めて行く必要がある。
シベリアは天然ガスの供給先として有力な存在である。ただ、成熟した民主主義国家であるカナダ、オーストラリア、米国などのガスを日本に輸入するルートを強化することがきわめて重要だと思われる。
北米ではシェールガス革命が起き、天然ガスの価格が大幅に低下している。石油の価格と連動した契約になっている中東の天然ガスは価格がきわめて高くなっている。こうした価格差を埋めるためにも、北米でのガス資源を積極的に導入するように動いていく必要がある。
中国国営企業によるカナダ・エネルギー企業の買収問題
先週、カナダを訪問する機会があった。日本への資源の輸出に期待を寄せる太平洋側のバンクーバー、経済の中心トロント、 政治の中心オタワと、短期間でカナダを横断する忙しい旅であった。印象的だったのは、どこへ行っても日本のエネルギー政策の転換について強い関心を持っていることだった。カナダのエネルギー資源の日本への輸出を拡大したいという思いが伝わってくる。
カナダの西部地区、特にカルガリーなどはエネルギー開発で活況を呈しているという。西部で開発した資源をパイプラインで運んで米国に売るという選択肢もあるようだが、長距離のパイプライン建設については環境面からの課題も大きいという。住民の反対も強いようだ。
そこで、より距離の近い太平洋側に持ってくることが考えられる。その場合に想定する市場は、アジア諸国ということになる。
もっとも、こうした資源が日本に来るという保証はない。中国の存在があるからだ。急速に経済の拡大が続く中国は、世界中から資源を買いあさっている。これはカナダについても例外ではない。
またカナダの経済界の間でも、中国に対する関心が非常に高い。カナダにいる日本関係者の間では、カナダの中国熱が強く、日本への関心が薄れていることに危機感を抱いている人も多い。
カナダで最近話題になっている問題に、中国国営企業・中国海洋石油(CNOOC)によるカナダ・エネルギー企業ネクセンの買収問題がある。中国企業が高い価格でカナダのエネルギー会社を買収しようとしていることに、カナダ側にも懸念を表明する人が増えているようだ。
日本国内の制度改革とインフラ整備
エネルギー分野での大きな方向転換は、エネルギー政策の変更や制度改革などを要求するものである。すでに電力分野では電力システム改革について多くの論議が行われている。発送電分離、小売り完全自由化、卸売市場活性化策など、重要な問題についての議論が展開されている。こうした論議が電力だけにとどまるものでないことは明らかだ。火力発電が天然ガスの利用に依存するものであるなら、天然ガスの流通ネットワークにも大きな改革が求められる。
日本のガスのネットワークは、都市部での都市ガス利用のために進化したものである。必要に応じてガスのパイプラインが引かれるという、きわめてパッチワーク的な要素が強いと言われる。
ガスの輸入基地やパイプラインについても、ガス会社だけでなく電力会社なども含めた込み入った所有形態になっているようだ。電力と同じようにガスの分野においても「アンバンドリング」が必要であるという主張をする専門家も少なくない。
アンバンドリングとは、電力の分野で言えば「発送電分離」を意味するものであるが、ガスの分野で言えば「ガスのパイプライン網を広域で組織化し、いろい ろな業者がそのパイプラインを透明で差別のない形で利用できるようにインフラ化すること」である。 欧米に比べて、日本のパイプライン網の延長距離は圧倒 的に短い。それだけパイプライン網の整備が遅れているということだ。短い時間で欧米並みにすることは難しいとしても、日本全体でガスを有効活用できるよう なパイプラインの強化が求められる。
民間投資のほかに国家の取り組みも必要になる
天然ガスを日本のエネルギー源として本格的に活用するためには、それに見合ったきちっとしたインフラの整備が必要となる。これにはパイプライン網だけでなく、液化天然ガスの積み入れ基地の整備も含まれる。こうしたインフラ投資のどこまでを民間企業に委ねるのか、どこまで政府が関与するのか、ここで議論する準備はない。ただ、ガスの輸入と流通のネットワークを強化することが、急務であることは明らかだ。また、その中にガスの備蓄基地の整備も含まれると考えてよい。
原発事故を受けて、日本の商社は海外での天然ガス関連の投資に積極的に動こうとしている。北米での積み出し基地やガス資源への投資の動きも出始めてい る。こうした海外での資源への投資は、基本は商社などの民間の投資が中心になるとしても、国家としての何らかの取り組みも必要となるはずだ。
カナダでの経済界の人たちの討議の中で、彼らの日本へのエネルギー資源輸出への強い関心を実感した。原発事故がそうした関心を強めているという面もあるが、北米に比べて非常に高い価格でガスの輸入を増やしている日本の置かれた立場にも注目が集まっているようだ。
今こそ、天然ガスの利用を巡る日本のあるべき姿について、きちっとした議論を整理しておく必要がある。
伊藤元重(いとう・もとしげ)
東京大学大学院経済学研究科教授
総合研究開発機構(NIRA)理事長
東京大学大学院経済学研究科教授
総合研究開発機構(NIRA)理事長
現在、「財務省の政策評価の在り方に関する懇談会」メンバー、財務省の「関税・外国為替等審議会」会長、公正取引委員会の「独占禁止懇話会」会長を務める。著書に『入門経済学』(日本評論社)、『ゼミナール国際経済入門』『ビジネス・エコノミクス』(以上、日本経済新聞社)、『ゼミナール現代経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。
米国で起きている“天然ガス革命”
日米両国とも、エネルギー源の確保と同時に化石燃料からの脱却を図っている。化石燃料から脱却して向かう先は再生可能エネルギーであるが、再生可能エネ ルギーの問題は化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その上、大規模に展開すれば現段階ではコストも大 きい。ではどのようなプロセスをたどれば、再生可能エネルギーへの軟着陸は可能なのだろうか。
その鍵を握るものとして、日米両国で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なの だろうか。それとも、障壁なのだろうか。この記事では、現在米国で起こっている“天然ガス革命”を見ながら、この問題を考える。
日本の今後のエネルギー政策
現在考慮できる発電のためのエネルギー源は、大きく分けると、化石燃料(原油、天然ガス、石炭)、再生可能エネルギー(太陽光、太陽熱、風力)、原子力などがあるが、日本と米国ではエネルギー政策にいくぶんか違いがあるようだ。東日本大震災以前の日本では、エネルギー政策は温室効果ガス削減による低炭素化社会の達成が大きなウエイトを占めていた。温室効果ガスを排出しない原子 力が一番費用対効果が優れていると評価され、30%の発電量を占めていた。2020年には40%に増加しようという計画ですらあった。福島第一原発の事故 以来、この計画は変更を余儀なくされた。
しかし日本政府内部からは、現在停止された原子炉をすべて廃棄する即脱原発なのか、一時的にでも一部を再稼働しながら代替エネルギーを開発して暫時廃止 していき最終的に全部の原子炉を廃棄するのか、その場合にどれくらいの時間をかけるのか、という議論がいまだに聞こえてこない。はっきりしていることは、 すべてを再稼働し、また新規の原発を建設することは今後不可能だということだろう。
これを書いている4月中旬、国内にある54基の原子炉のうち、北海道の泊原発3号基を除きすべての原子炉は停止したままだ。大飯原発の再稼働に関しても 政府内の意見統一が見られず、再稼働する条件が日々変更されているように見え、はっきりとした方向性が見えない。このままでは5月5日とも報道されるよう に、泊3号基が停止して、すべての原子炉が停止する。その場合、今夏の電力事情はどうなるのだろうか。
原発なしでも、電力需要に耐え得るだけの電力確保は可能だという意見もあるが、原発を停止し続けるのであれば、短期間でそれを代替できるエネルギーとしては、再生可能エネルギーがまだ十分に成熟していない以上、化石燃料に頼らざるを得ない。
天然ガスが恒久的に原発を代替できるこれだけの理由
ホルムズ海峡への依存はゼロに近づく
2012年3月22日(木)
2カ月以内に日本のすべての原子力発電所が稼働停止する可能性が非常に高くなってきた。
この事態に、「原発が3基しか動いていない状況で何とか厳冬期を乗り切ったので、このままでも脱原発は十分可能だ」という楽観論が、一部で声高に言われるようにもなっている。
しかし、夏の電力ピーク需要は冬場よりずっと高く、このままでは夏場に電力不足で工場などの操業に大きな障害が生じる可能性は高い。しかも原発代替の突 発的な火力発電所フル稼働で、日本の発電コストは大きく上昇し、これが今後電力料金の大幅値上げとなってツケが近いうちに国民全体に回ってくることにな る。
3.11前は全電源の約3割であった天然ガス・LNG(液化天然ガス)発電は、現時点で日本の全電源の約4割、東京電力や中部電力管内では5割前後にまで急上昇している。自家発電の急遽のフル活用も同様だ。
原発停止による発電コスト上昇は一時的
ここで誤解していけないのは、この大幅コストアップは元来、原発のコストが安く、火力や自家発電が高いということでは全くないことだ。原発の発電コストの大半は設備コストという固定費用(=埋没費用)であり、発電量に応じて新たにコストがかかる燃料費(=可変費用)ではない。逆に、火力発電、特に石油火力発電や天然ガス発電、自家発電は、設備コスト=固定費用は安く、燃料コストが高い。
既に設備投資が終わっていて、発電の有無にかかわらず発電コストはさほど変わらない、いまだに使用可能な原発をわざわざ止めて、発電量に応じて燃料費が比例的にかかる火力や自家発電を急きょフル稼働させれば、当然発電コストは一時的に大幅に上昇する。
しかし、原発停止によって発電コストが上昇するというのは短期の一時的現象であって、中長期の構造的な問題では全くない。中長期的に、老朽原発や危険度 の高い原発を次々と廃炉にして、すべて火力や自家発電に切り替えても、コスト上昇は原理的に生じない。まず、このことをしっかり認識する必要がある。
意識的かどうか知らないが、この短期の一時的問題と中長期の問題を一緒くたにした議論をよく見かける。
北米や極東ロシア、東アフリカから調達
もう一つの短期的な問題は、イランの核開発問題が夏場にかけてこじれ、万が一ホルムズ海峡が一定期間以上、通行不能な事態に陥った場合に、日本中で大電力危機になる可能性である。太陽光発電、2年前の半額以下で設置可能に
設置コスト削減、適地確保で進化する
2012年11月15日(木)
今年7月1日の再生可能エネルギー買い取り制度(FIT)導入以来、予想通り太陽光発電が大ブームとなっている。開始から2カ月間で、経済産業省の設備 認定を受けた再生可能エネルギー案件は全国で7万2660件、出力合計は約130万kWに達した。政府が2012年度(2012年7月~2013年3月) に見込む250万kWの50%をすでに超えたことになる。
内訳は太陽光が約103万kW(全体の約80%)で他を圧倒している。2位は風力で約26万kW。3位のバイオマス以下はずっと小さくなる。筆者は、再 生可能エネルギーのうち、太陽光発電だけで2012年度の新規設置容量は250万kWを軽く突破すると予想している。その中心は発電出力10kW以上の業 務用だ。
このようなメガソーラーブームは久々に日本に活気をもたらしている。特に地方の工事業者からの期待が大きい。しかし、今後さらに普及を加速していくためにはいくつかのハードルがある。その1つが用地確保の難しさだ。
スペース争奪戦激化
実際、今、日本中の業者がメガソーラー用の土地探しに血眼になっている。当然、フラットでアクセスも容易な使い勝手の良い土地から順に使われていく。しかし、狭い日本ではそういう土地は急速に減り、かつ賃料が急騰している。そこで様々な場所を使う努力がなされている。埼玉県杉戸町では、町所有の未利用地であるスーパー堤防(木津内高規格堤防)を有効活用するという。大洪水の時にどうなるのかと心配ではあるが、意欲的 な試みだ。実際に建設するのはメガソーラー建設で実績のある日本アジアグループ傘下のJAG国際エナジーで、この発電所は「(仮称)埼玉・杉戸ソーラー ウェイ」と呼ばれるという。
また、熊本県では、三菱商事主導により地元企業が集結して空港にメガソーラーを建設することになった。熊本県の住宅向け太陽光発電システムの普及率は5.63%で、全国第2位(2010年度)。これから、メガソーラー設置にも力を入れていくようだ。
筆者は、日本中の全ての土地を総動員するべきと考える。狙い目は全国に40万ha(国土面積の1%強)ある耕作放棄地。その3分の1を投入する。それか ら、山林を考えている。日本は国土の67%が森林。その67分の1(国土面積の1%)程度を使うのだ。耕作放棄地と併せて、国土面積の1.3%になる。
風力発電拡大へ動き出す日本型インフラ整備
官民共同で送電線網を拡充
2012年11月15日(木)
風力発電開発を進めるために不可欠な送電線整備を、国・事業者が特別目的会社(SPC)を作って進めるという政策が動き出そうとしている。電力インフラ に国が直接資金を出すのは画期的といえるが、推進するには多くの課題がある。本来は、電力会社が送電線を建設して、投資回収を工夫する方が確実で望まし い。今回はこの問題を取り上げる。
高まる風力発電への期待
9月に政府が発表した「革新的エネルギ-・環境戦略」は、閣議決定が見送られ、電力供給に関して、原子力・火力を含めてあいまいな点が残った。しかし、 節電・再エネについては、2030年時点の具体的な数値目標が示されるとともに、12月末までに具体的な「グリーン政策大綱」をまとめることとなった。再エネ発電は、2010年時点の1060億kWhから3000億kWhへと発電量(アワー)ベースで3倍増を明示している。内訳は、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを含むその他--であり、特に太陽光、風力、地熱が大きく増加する(資料1)。
20年足らずの期間でこのボリュームはかなり野心的であり、想定しうる目一杯の数値を掲げたとされている。その中で潜在的に余裕・伸び代があるのが風力 である。目標値の665億kWhは、約16倍の伸びだ(ドイツは2011年で約500億kWh)。設備利用率2割を前提とすると3600万kWの新規開発 が必要になる。風力発電協会は、長期的に5000万kWの開発も目指している。
風力発電はコスト、1事業当たりのボリューム、開発速度などの面で優位にあり、目標の実現が日本の再生可能エネルギ-普及のカギを握っている。最近の世 界の動向を見ても、再エネ開発の主役は風力であり、これと符合する。2011年末で既に2億4000万kWと原発240基分の容量に達している。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)での風力の買い取り価格は1kWh当たり22円である。従来からの開発事業者に加えて、多くの事業 者が新規参入を表明している。各電力会社の募集枠をはるかに超える応募が常態化している。昨年度の東北電力の募集枠30万kWに対して324万kWと10 倍超の応募があった。
風力ゾーン形成とインフラ整備
風力発電は、風況のいい場所であっても、近くに送電線が通っていないと開発できない。日本は、現状では電源専用のインフラ(これを電源線あるいは接続線 という)は、風力発電の開発事業者が負担することになっており(起因者負担の原則)、電源線の距離が長くなると、採算が取れなくなるからだ。FITで想定 するコストにこの電源線建設が含まれている。潜在能力高い風力発電、FITの条件次第で普及へ
世界は5年間で発電量3倍に
2012年4月5日(木)
遅ればせながら、日本でも再生可能エネルギーブームが到来しそうである。政府も「2012年は再生可能エネルギー元年」という言葉を使い始めた。固定価 格買い取り制度(FIT)が7月より導入され、買い取り条件を決める委員会を経て、5月中旬までには条件が提示される予定である。
本連載は奇しくも、委員会での検討時期と重なる。しばらくは、委員会の検討状況をも横目に、個々の再生エネ技術に焦点を当てながら、再生エネ普及のあり方を探っていくこととする。
前回はイントロダクションであったが、今回から各論に入る。まずは、最も潜在的な可能性が高いと期待されている風力である。シリーズのはじめの段階であることや他エネルギーと比較して理解することが重要なので、横並びの記述も多くなるが、ご容赦いただきたい。
経済性、潜在性、迅速性、環境性の4拍子そろう
世界的には、ここ10年来再生エネブームが続いている。欧州が牽引し米国、中国などに伝播したが、主役は風力発電である。世界の電力需要の2.5%は風 力で賄われている。電力に占める風力の割合が高い国を挙げると、デンマーク20%、ポルトガル16%、スペイン16%、アイルランド12%、ドイツ7%で ある。EU全体では6%で、中国と米国が2%、そして日本は0.4%となっている。新規に設置された発電設備では、その10%以上は風車である。米国とEUでは35%以上を占め、発電設備の4%以上は風力発電となっている。こうした動きは、今後も続いていくと予想されている。多くの国は、電力需要の20%を風力で賄おうとの目標を掲げている。
風力発電が急速に普及している背景は、再生エネのなかではコストが低い(経済性)、資源が豊富にある(潜在性)、開発から運転までの期間が短い(迅速性)という長所が評価されているからである。ライフサイクルでみたときの二酸化炭素の排出も少ない。
資料1は、前回も 掲載したが、IPCCが2011年5月に公表した種類別のコスト比較である。ライフサイクルベースのコストであり、最小値、中間値、最大値が示されてい る。黄色い部分は既存の大規模発電のコストであるが、ほぼ火力発電と考えていい。再生エネのなかでは水力や地熱が低位にある。これは、超長期にわたる耐用 年数ベースでは、そのメリットを発揮できることを意味している。一方で、民間資本が想定する事業期間を超える場合が一般的で、初期投資負担が重く、それを 軽減する支援措置が必要になる。風力は比較的投資回収期間が短い種類の中では、高い経済性を誇っている。
資料1 再生可能エネルギーのコスト比較
エネルギー政策のスピードをドイツから学べ
3.11から4カ月で中長期戦略を法制化
2012年6月14日(木)
時間がかかりすぎる日本の政策決定
311大震災から1年3カ月が経過する。脱原子力依存、供給力不足の解消を背景に、エネルギー政策の白紙からの見直しが、(延々と)議論されている。よ うやく出た選択肢が、原子力0%、15%、20~25%までの3通りである。35%もあったが、脱原子力とならないという理由で却下された。この選択肢な ら、1年前でも提示できたという声も上がる(資料1)。
資料1.2030年の電源構成のイメージ
ベストミックスから遠い議論
しかし、1年以上経過するうちに、こうした段階的に検討する機運は薄れて、「当面の供給力不足をどうするか」と、それから一足飛びに「2030年のポー トフォリオ(ミックス)をどうするか」の2論に分かれた議論となっている。もっとも、長期ミックスの議論がまだまだ流動的で、中期をどうつなぐかの議論が できないという面もあったろう。いずれにしても、集約できていない。ミックスに関しては、識者と称される方でも、自らの領域は目一杯主張するが、全体を眺めてベストミックスを主張する方は少ない。原子力の選択肢が0から (当初案では)35%まで乖離があった。これは、真剣に構成の議論をしてきたのかと言われても仕方があるまい。原子力は、基本計画のベースであり、使用済 み燃料を含めた安全・安心の考え方を提示して、スケジュールの理解を得なければならない。リアルコストがどの程度なのかも明示する必要がある。
自然エネルギーは、大きな役割を果たさざるを得ないが、一定期間での大量設置には限界があり、超長期の視点が必要となる。シェールガス革命をよりどころ に、天然ガスを最大限利用すればいいとの主張もあるが、その前に化石燃料を使う火力発電全体の割合をどう考えるか、という基本線があろう。
安価で豊富にあり技術もある石炭の利用は簡単に減らせるものとは思えないし、クリーンコール技術への期待も強い。炭素価格が下がっている現実をどう解釈 するか。天然ガスが増加するためには国内インフラ整備や分散型システム在り方の整理が不可欠である。中国がLNG市場に参入するケースも想定する必要があ る。目標値に至る過程のなかで依存が強まることは理解できるが、あくまでも本命普及までの代替手段であり、最終的な姿ではないのではないか。
そうした道筋を具体的に示すべきである。少なくとも大規模発電所については一つひとつ、建設・廃止などの予想を積み上げることになる。
震災・原発避難者調査結果 住まいの不安5.9ポイント増
山形県は、東日本大震災や福島第1原発事故で県内に移った避難者全世帯を対象に実施したアンケートの結果をまとめた。避難から1年以上たっても今後の見通しが立たない中で、住まいに関する不安や要望が高まっている現状がうかがえる。
調査の実施期間は10月中旬~下旬。昨年10月に続き2回目となる。県内に避難する全3855世帯に調査票を郵送し、1275世帯から回答を得た。回答率は33.1%だった。
困りごとや不安なことは「生活資金」が前回と同様に最多の58.0%で、「避難生活の先行き」「放射線の影響」と続いた。「住まい」は前回比5.9ポイント増の28.9%で、前回は約半数が挙げた「雪かきなど冬の生活」は35.8%に減った。
避難生活の期間は「分からない・未定」が34.3%(4.6ポイント増)。県内での定住を望む人は17.3%と1年前から7.5ポイント増えたほか、住民票を異動した人も増加し23.8%(9.9ポイント増)となった。
住居に関する困りごとは、「県の借り上げ住宅に最大3年の入居期限があること」を挙げる人が5割以上に達した。住み替えに関する要望も3割の避難世帯から あがった。県内で求める支援も「住宅に関すること」が最も多く、前回の調査で上位だった「避難者同士の交流の機会の提供」は後退した。
今回の調査では就業形態も尋ねた。無職が最も多く、半数以上の51.8%だった。正規雇用のうち、避難前と同じ職場で働く人は13.3%、新しい職場に移った人が9.6%。臨時雇用はフルタイムとパートタイムを合わせ、20.2%だった。
借り上げ住宅の期限は災害救助法で定められている。県復興支援室は「調査結果を踏まえ、引き続き国に制度の改善を求めていく」としている。
調査の実施期間は10月中旬~下旬。昨年10月に続き2回目となる。県内に避難する全3855世帯に調査票を郵送し、1275世帯から回答を得た。回答率は33.1%だった。
困りごとや不安なことは「生活資金」が前回と同様に最多の58.0%で、「避難生活の先行き」「放射線の影響」と続いた。「住まい」は前回比5.9ポイント増の28.9%で、前回は約半数が挙げた「雪かきなど冬の生活」は35.8%に減った。
避難生活の期間は「分からない・未定」が34.3%(4.6ポイント増)。県内での定住を望む人は17.3%と1年前から7.5ポイント増えたほか、住民票を異動した人も増加し23.8%(9.9ポイント増)となった。
住居に関する困りごとは、「県の借り上げ住宅に最大3年の入居期限があること」を挙げる人が5割以上に達した。住み替えに関する要望も3割の避難世帯から あがった。県内で求める支援も「住宅に関すること」が最も多く、前回の調査で上位だった「避難者同士の交流の機会の提供」は後退した。
今回の調査では就業形態も尋ねた。無職が最も多く、半数以上の51.8%だった。正規雇用のうち、避難前と同じ職場で働く人は13.3%、新しい職場に移った人が9.6%。臨時雇用はフルタイムとパートタイムを合わせ、20.2%だった。
借り上げ住宅の期限は災害救助法で定められている。県復興支援室は「調査結果を踏まえ、引き続き国に制度の改善を求めていく」としている。
民有林除染で防護柵先行設置 放射性物質の拡散抑制
県による防護柵の設置イメージは【図】の通り。間伐に伴う作業道整備や伐採作業で、土壌表面の土が崩れたり、雨水が斜面を流れる際に汚染され、放射性物質を含む土砂や水が沢に入り生活圏に拡散するのを防ぐ。
防護柵は木製で幅三メートル、高さ40センチ程度。ゼオライトや顔料のプルシアンブルーなど放射性セシウムの吸着効果がある物質を入れた袋を斜面上部に敷 き詰める。間伐作業を始める地域で、雨水などが通る場所を選んで設置し、防護柵を通過する水に含まれる放射性物質の量を抑制する。
県は設置費用を一カ所当たり1万円程度、1万カ所で1億円と見込み、国の森林再生の関連事業費を充てる方向で関係省庁と協議している。
県によると、一つの防護柵に土のう12袋分の吸着材を置いた場合、一カ所当たり1万3000~2万5000ベクレルの放射性セシウムの吸着効果があるとい う。一定の期間を過ぎた後は交換することになるが、現時点で使用後の吸着材や木材の搬出先は決まっていない。森林内に一時的に保管することになるため、県 は作業時の被ばく防止など安全対策を検討する。
県内の森林は約97万ヘクタールで、このうち約56万3千ヘクタールが民有林。県は年間被ばく線量が一ミリシーベルト以上の民有林約18万3千ヘクタールを対象に間伐による除染に取り組む方針。県土の1割を超える面積で、実施期間は20年程度を想定している。
一方、国有林は約41万ヘクタールだが、国は森林除染の明確な方向性を示さず、防護柵の設置方針も打ち出していない。県農林水産部は「県民生活の安心を確保するために防護柵が必要。林野庁と協議した上で設置したい」としている。
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福島原発事故 がん増加可能性低い WHOが影響予測
東京電力福島第1原発事故による、周辺住民の健康への影響を検討している世界保
健機関(WHO)の報告書素案が25日判明した。福島県浪江町と飯舘村の乳児が将来、がんや白血病などを発症する危険性が上昇するとのデータも得られた
が、実際の発症数が統計学的にみて有意に増加する可能性は、乳児以外の子どもや大人を含めて低いとした。
素案が基にした被ばく線量推計は、付近 住民が事故後4カ月間現地に住み続け、地元産の食品のみを食べたと仮定。ほとんどの住民は避難しており「線量は過大評価だ」との指摘もある。専門家の中に は「将来の危険性は大きめに見積もってあるととらえるべきだ」との声もある。危険性の上昇についてWHOは「子どもの健康状態を監視する上で有益な情報に なる」としている。12月にも最終報告をまとめる。
素案では、WHOの別のチームによる住民の被ばく線量推計を基に、事故当時1歳と10歳、20歳の男女で、生涯と事故後15年間で乳がんや大腸がんなどの固形がんや甲状腺がん、白血病を発症する危険性を予測した。
危険性が顕著に増したのは、浪江町、飯舘村の1歳女児で、すべてのがんについて生涯での発症危険性が上昇した。1歳男児も白血病の危険性が増した。1歳女 児が16歳までに甲状腺がんになる可能性は、浪江町と飯舘村に加え、福島、二本松、南相馬、伊達の各市と川俣、楢葉両町、川内、葛尾両村でも高まった。
素案が基にした被ばく線量推計は、付近 住民が事故後4カ月間現地に住み続け、地元産の食品のみを食べたと仮定。ほとんどの住民は避難しており「線量は過大評価だ」との指摘もある。専門家の中に は「将来の危険性は大きめに見積もってあるととらえるべきだ」との声もある。危険性の上昇についてWHOは「子どもの健康状態を監視する上で有益な情報に なる」としている。12月にも最終報告をまとめる。
素案では、WHOの別のチームによる住民の被ばく線量推計を基に、事故当時1歳と10歳、20歳の男女で、生涯と事故後15年間で乳がんや大腸がんなどの固形がんや甲状腺がん、白血病を発症する危険性を予測した。
危険性が顕著に増したのは、浪江町、飯舘村の1歳女児で、すべてのがんについて生涯での発症危険性が上昇した。1歳男児も白血病の危険性が増した。1歳女 児が16歳までに甲状腺がんになる可能性は、浪江町と飯舘村に加え、福島、二本松、南相馬、伊達の各市と川俣、楢葉両町、川内、葛尾両村でも高まった。
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