2012年12月3日月曜日

2012/12/03

2012年7月24日21時49分

福島原発事故由来のストロンチウム、10都県で初確認


図:国内で観測されたストロンチウム90の変化(最大値)拡大国内で観測されたストロンチウム90の変化(最大値)
 東京電力福島第一原発の事故後、大気中に放出された放射性ストロンチウム90が福島、宮城両県以外の10都県で確認された。文部科学省が24日発表し た。茨城県では、2000年から事故前までの国内の最大値を20倍上回る1平方メートルあたり6ベクレルが検出された。これは大気圏内核実験が盛んだった 1960年代に国内で観測された最大値の60分の1程度になる。
 原発事故が原因と確認されたのは岩手、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の10都県。いずれも昨年3~4月に観測された。事故で 放射性セシウムが広範囲に拡散したことから、ストロンチウム90についても拡散が予想されていたが、国の調査で、宮城、福島両県以外で原発事故によるスト ロンチウム90が確認されたのは初めて。
 文科省が発表したのは、1カ月間に屋外の容器に降下してたまったちりに含まれるストロンチウム90の量。2010年4月から11年12月にかけ、47都道府県の測定所で月ごとに調べた。
 1平方メートルあたりの降下量が最も多かったのは茨城県(測定所・ひたちなか市)で6.0ベクレル。群馬県(前橋市)の1.9ベクレル、山形県(山形市)の1.6ベクレルと続いた。10都県で原発から最も遠い神奈川県(茅ケ崎市)は0.47ベクレルだった。
 00年から原発事故までの最大値は06年2月に北海道で観測された0.30ベクレルで、茨城県の観測値はその20倍。10都県の値はいずれも0.30ベクレルを上回り、事故直後に観測されたため、原発から放出されたものと判断した。
 過去のストロンチウム90の観測値は、1963年の仙台市での358ベクレルが最高。核実験の実施回数が減り、その後は減少を続けたが、86年、旧ソ連 のチェルノブイリ原発事故の影響で一時上昇し、秋田県で6.1ベクレルを観測した。今回の茨城県もほぼ同じ値で、健康への影響はほぼないと専門家はみてい る。
 文科省によると、宮城県は津波の影響で測定施設のデータが修復できず、福島県は施設が警戒区域内にあって分析環境が整わず、いずれも公表できなかった。 ただ、福島県分は今後集計する。両県では、昨年6月の文科省の土壌調査で原発から放出されたストロンチウムが確認されている。
 文科省はこれまで、ストロンチウム90の降下量をほぼ1年遅れで発表しており、昨年3月の観測値は今年1~3月ごろに公表されるはずだった。公表が遅れ た理由について、文科省の担当者は「事故の影響でセシウムやヨウ素など主要な核種の検査を優先したため、ストロンチウムの分析が遅れた」と説明している。 (石塚広志)

 

イラク:新生児の異常急増 04年以降

毎日新聞 2012年12月03日 11時12分(最終更新 12月03日 11時53分)








ファルージャの位置
ファルージャの位置

【ロンドン小倉孝保】イラク中部ファルージャで米軍による激しい軍事作戦が行われた04年以降、障害児の出生割合が急激に高まっている可能性があることがわかった。イラクや米国の研究者らが国際医療科学誌に論文を発表した。爆弾などに含まれた毒性金属が母体を通して新生児体内に蓄積された可能性を指摘している。
 論文は「シュプリンガー」の9月16日号に米ミシガン大の環境毒素学者、サバビエアスファハニ氏やバスラ医科大のサバック講師ら6人が連名で発表した。イラクの戦争被害については南部バスラなどで劣化ウラン弾の影響が疑われる事例が報告されているが、ファルージャでの出生異常に関する科学的報告は初めてとみられる。
 2010年にファルージャ総合病院に出産や産後治療に訪れた計56家族を対象に1991年から2010年までの20年間について、夫婦のほか双方の親や兄弟など親族も含めた出産状況を聞き取ってまとめた。
 その結果、91年から20年間に生まれた新生児は計202人。91〜00年では新生児58人のうち障害 があったのは1人(1.72%)、01〜03年では19人のうち2人(10.5%)だったのに対し、攻撃が激化した04〜06年では33人のうち10人 (30.3%)、07年以降は92人のうち50人(54.3%)に障害があった。「04年以降」の障害児出生割合(48%)は「03年以前」 (3.89%)の約12倍。主な障害は心臓疾患、神経系疾患などだった。
 また、新生児と両親の毛髪を分析した結果、障害を持つ新生児は障害のない新生児に比べ鉛含有量が5倍、水銀含有量が6倍だった。ウラン含有量に差はなかった。親の毛髪の鉛、水銀の含有量にも大きな差はなかった。
 障害児出生割合が高まった原因として、米軍が使用した爆弾などの毒性金属が水や食料から母体を通して新生児の体内に入った可能性を指摘している。爆弾や銃弾には、水銀や鉛などの毒性金属が含有されているという。
 ただ、ファルージャ総合病院で過去の出生記録が発見できず聞き取りで出生状況をまとめたため、過去にさかのぼるほど記憶違いが大きくなる可能性や、障害を持つ新生児の出生をより強く記憶している可能性もある。

福井・大飯原発:断層調査 野田首相、規制委の判断尊重

毎日新聞 2012年11月03日 大阪朝刊
 野田佳彦首相は2日の内閣記者会のインタビューで、原子力規制委員会が関西電力大飯原発(福井県おおい 町)の活断層に関する現地調査を始めたことについて「規制委の判断が出るなら、当然政府は尊重する」と述べた。規制委が「活断層」と判断して同原発の運転 停止を求めた場合、従う方針を示したといえる。【飼手勇介】

原発事故後初めて海外の高校生が教育旅行で福島県を訪問
東京電力福島第1原発の事故後初めて、海外の高校生が、教育旅行で福島県を訪れている。
福島・会津若松市の観光スポット、鶴ヶ城を訪れたのは、台湾の商業高校の生徒21人。
原発事故後、海外の高校生が、教育旅行で福島県を訪れるのは、初めてとなる。
台湾の高校生は「テレビで見た日本には驚きましたが、きれいな景色と穏やかな生活にびっくりした」と話した。
原発事故直後は、国内の高校も福島県への旅行をキャンセルするケースが相次いだが、最近は徐々に戻ってきている。
台湾の高校生たちは、福島県内の高校生と交流するなどして、12月7日まで日本に滞在する予定。

(12/03 12:41 福島テレビ)

焦点:原発論争が長期金利の低下圧力に、燃料コスト増に懸念

2012年12月03日(月)12時48分

[東京 3日 ロイター] 原発論争が長期金利の低下圧力になっている。「卒原発」を掲げた新党「日本未来の党」が存在感を高めて おり、エネルギーコスト上昇による企業の競争力低下や景気下押しへの懸念が強まっているためだ。電力債(SB)のスプレッドワイド化などクレジット市場に も影響を与えるとの見方も出ている。
<長期金利が一時0.7%割れ、景況感下振れ>
市場参加者が抱く景況感が下振れしている──。長期金利が低下基調を強めている背景について、大手証券の債券担当者はこう話す。為替市場や株式市場では自民党のリフレ政策をはやし円安・株高が進んでいるが、円債市場の景況感は上向くどころか逆に低下しているという。
そ の要因の一つが「日本未来の党」の登場だ。滋賀県の嘉田由紀子知事が11月28日に、新党「日本未来の党」を結成し、原発政策として10年後をメドに全原 発をゼロにする「卒原発」の政策を打ち出した。同党は2日発表した政権公約に、10年以内の原発完全廃炉・完全卒業の道筋をつくると急進的な原発ゼロ政策 を明記。同党は前衆院議員数で61人と自民、民主に次ぐ勢力に拡大し、その存在感を強めており、円債市場では国内景気に影響を与えかねないとして強く意識 されている。
各調査で現時点の支持率トップである自民党が10年以内に持続可能な電源構成のベストミックスを確立するとし、原発を事実上容 認しているが、民主党が2030年台に原発稼働をゼロを目指すなど、遅かれ早かれ原発稼働ゼロを打ち出す政党が目立つ。既得権益をなかなか断ち切れない既 成政党と異なり、10年以内と期限を区切って急進的に原発ゼロを打ち出す未来の党が総選挙で議席数を伸ばした場合、「原発再稼働問題を含めて電力行政に大 きな影響を及ぼしかねない」(大手証券の債券担当者)との見方が出ている。
脱原発論争が高まる一方で、燃料コスト増を理由に電力料金の値上 げが相次いでおり、円債市場では「電力料金の値上げが今後も続くようだと、経営体力が弱く、コスト増を吸収できない中小企業は倒産に追い込まれるのではな いか。景況感下押しへの懸念が意識されている」(大手証券の債券関係者)との声が多い。
長期金利が上がらないリスクを認識し、買い遅れてい る幅広い投資家が買いに動き出しており、長期金利は一段と低下。週明け3日の市場では、前週までの反動から、10年最長期国債利回り(長期金利)はやや上 昇しているが、前週末30日は一時0.695%と9年5カ月ぶりの低水準まで買い進まれた。国債先物中心限月も145円の大台に接近し、2003年6月に 付けた取引時間中の史上最高値(145円09銭)更新も射程圏に捉えている。
<脱原発論争を警戒、電力債のスプレッドにワイド化圧力>
社 債市場でも、脱原発論争が電力債にも影響を及ぼしている。関西電力<9503.T>債の流通スプレッドは残存期間7年半で、国債利回りプラス 120─130ベーシスポイント(bp)付近にまでワイド化しているもようだ。電力債は今春にようやく起債が再開されたばかりだが、ここにきて総選挙の争 点になったため、「政治リスクを伴う電力債をポートフォリオから外そうという動きはあっても、新たに投資しようという状況になくなっているのではないか」 (市場関係者)との声が聞かれる。
原発が再稼動しなければ電力料金を10%程度の引き上げたとしても、電力会社の収支黒字化には程遠い。市 場筋によると、電力会社の黒字化には、30%程度の値上げが必要との試算もある。このまま原発が再稼動がおぼつかないようであれば、電力会社の存続すら危 うくなる。「自民党政権をもってしても原発再稼働を大きく前進させるとは言えない状況にあるため、再稼動のハードルはかなり高い。電力会社の経営はますま す厳しくなる」(国内金融機関)との懸念は強い。
ただ、メリルリンチ日本証券のチーフクレジットストラテジスト、上田祐介氏は「実際にこれ から5年間、原発再稼動をまったく認めないと言っている政治勢力はほとんどいないという事実に着目すべきだ」とも指摘する。足元では総選挙に向けて国民受 けする脱原発を政権公約に掲げる政党が多いが、将来の脱原発・卒原発という話をする一方で、足元のエネルギー需給維持をぼかして選挙争点化しようとしてい るため、不透明感を強める要因になっているという。
電力債には総選挙に絡んだ政治リスクのほかに、電力行政への警戒感もある。「経済産業省 の電力システム改革専門委員会の第9回会合の議事録によると、一般担保に関してはほぼなくしていく方向がすでに前提条件になっているかのように感じられ る」(メリルリンチ日本証券・上田氏)との指摘も出ている。一般債権よりも弁済が優先される一般担保が付されているからこそ、原発事故が起きても社債の信 用力を大きく毀(き)損しないという微妙な安心感が働くが、それをなくした場合には、新たに電力債を購入しようとするインセンティブは働きにくくなるとい う。
(ロイターニュース 星裕康 片山直幸 編集:伊賀大記)
2012年12月 3日 12:25

広がる原発事故の深刻な被害 ドキュメンタリー映画「ソドムの嘘ゴモラの呪縛」試写会

右京原発ゼロネットワーク 原発ドキュメンタリー映画「バベルの塔」の続集「ソドムの嘘ゴモラの呪縛」(監督:高垣博也)が完成し1日、中京区の中京いきいき市民活動センターで京都初の上映試写会が開かれ、50人が参加しました。右京革新懇・京都映画人9条の会・右京原発ゼロネットワークの共催。
 「ソドムの嘘 ゴモラの呪縛」は7月1日のおおい町から始まります。「再稼働はまだ止められる」と、本気であきらめていない人たちの「日本でいちばん熱い場所」で35時 間太鼓をたたく若者、「再稼働反対」と1人ひとりが自由な表現で訴える人、そして京都の関電京都支店前の抗議行動など、全国に広がる「原発ゼロ」の運動が 映し出されます。福島県いわき市、郡山市、東京都、仙台市…原発事故のあと体調不良などが続々と語られ、若者にも突然死が増えており、死亡者数が原発事故 前より全体に断然増えているとか。知らされていない現実が、多くの証言で見る人に訴えかけてきます。
 「ストップ・ザ・もんじゅ」代表の池島芙紀子さんは「相次ぐトラブルで運転停止中の高速増殖原型炉『もんじゅ』を運転させたい」との動きに、「長く止め ていたものを動かすというだけでもキケンなこと」「次の事故があれば、日本は終わる」「1人ひとりができることはたくさんあります」と30年以上この運動 にかかわって来た経験から訴えます。
 右京原発ゼロネットワークは来年1月26日(土)には、右京ふれあい文化会館で『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』上映と、「ガレキはなぜ問題なのか?」熊本一規さん(明治学院大学教授)の講演のつどいを行います。1000円(前売り800円)、高校 生、障がい者500円、中学生以下無料。問い合わせ先はTEL090・2280・9450。(事務局・山﨑依子)
2012年12月3日12時55分

プルサーマル3年、反原発団体が集会

:  拡大  
 【東郷隆】2日は、九州電力玄海原発3号機で日本で初めてプルサーマルの営業運転が始まって3年目。市民団体「プルサーマル裁判の会」が佐賀市で集会を開き、約70人が参加。終了後には九電佐賀支社前や知事公舎前などをデモ行進した。

 集会では、石丸初美代表(61)が「福島の事故から時間が経ち、世間の関心も低くなってきた。反原発の灯を消さないためにも運動を続けないといけない」と訴えた。

 社会風刺漫画家の橋本勝さん(70)=神奈川県逗子市=は、従来の原子力政策や原発で働く人の問題などを取り上げた自作の紙芝居「脱原発しかない」を上演。「市民の力で原発が止められることを証明しよう」と呼びかけた。

 

「脱原発」掲げて出馬へ 山本太郎氏の“勘違い”

2012.12.3 08:14 (1/2ページ)甘口辛口
 俳優の山本太郎が「脱原発」を掲げて衆院選出馬の意向を表明し、「新党今はひとり」と、どこかで聞いたような名前の新党を立ち上げるそうだ。威勢 はいいが「政治家になりたい気持ちは、はっきり言ってない」という言い方はどうかと思うし、「橋下徹さんに出馬してもらって、ガチンコでけんかしたい」と は勘違いではないか。
 選挙とは相手を“口撃”するのではなく、まず自分の主義主張や具体的な政策、それらを実現させていくプログラムを選挙民にわかりやすく説明しながら、進めていくものだろう。そんなにけんかしたいなら、選挙でなく大阪市庁に乗り込んで直談判した方が手っ取り早い。
  12党も乱立し、それぞれ相手を口撃し足を引っ張り合う今回の選挙。野田首相が街頭演説先で「自民党の安倍総裁は…」と言うべきところを、「安倍総理」と 言い間違え苦笑したシーンをテレビニュースで見た。選挙の“惨敗恐怖症”に加え「こんな悪い状況にしたのはあなたたち…」と口撃ばかりに気をとられ、つい 出てしまったと思われても仕方ない。
 4日の公示とともに、各党入り乱れての“悪口合戦”が始まりそうな気配だが、ジャッジを下す審判員はあくまでも国民だ。プレーヤーである候補者たちが「お前はイエローカードだ」「お前たちこそアウトだ」などと、プレーしながらジャッジまでしなくていい。
 選挙にかかる費用はざっと800億円。有権者数は約1億人で、ひとりあたり800円の負担となる。これだけ税金を使って国民のために本当に身を粉にして働いてくれる人がどれだけ選ばれるのか。悪口合戦に惑わされず、信念と実行力を見抜いて1票を投じたい。(今村忠)
2012-12-02 23:00 この記事を転送する この記事を印刷する

衆院選候補、63%がTPP反対

 共同通信社は第46回衆院選の立候補予定者を対象に政策アンケートを実施し、2日までに1193人から回答を得た。すべての物品の関税を原則撤廃する環 太平洋連携協定(TPP)への参加には63・2%が反対を表明した。エネルギー政策をめぐり「早急に脱原発を目指すべきだ」は40・3%に上った。消費税 増税法に基づく税率10%への引き上げについて、日本維新の会では賛成46・9%、反対49・0%と賛否が二分された。

共同通信社

「会津電力」構想 自然エネで“独立運動”

 衆院選の争点である「脱原発」の行方は定まらないが、すでにはっきり原発との共存を拒否しているのが福島県だ。原発事故の苦しみの渦中で、県民た ちは自然エネルギーによる復興を模索する。会津地方の蔵元らが呼び掛ける「会津電力」構想もその一つ。反骨の地で湧き起こる脱原発の機運とは。(中山洋 子)

世代をつなぐ 12衆院選  エネルギー民主主義 独占排し 市民の手へ

署名活動するBETのメンバー=ベルリン市で(杉山範子さん提供)
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 名古屋市に事務局を置く「中部エネルギー市民会議」。福島第一原発事故と、中部電力浜岡原発の全面停止をきっかけに、今年三月設立された。研究者、電力会社員、元首長らに交じり、幼子を持つ母親、学生ら若い世代が、呼び掛け人に名を連ねる。
 原発事故までは、国民の多数が「エネルギー政策は国が決めること」と思い込み、国と電力会社のなすがままだった。原発事故は、国民の意識を変えた。「地域のエネルギーは、地域で決める」
 市民会議は、月一回程度自由に集まって、地産地消のエネルギーを、誰が、どのように生み出して、どうやって使っていくかを話し合う。二年後をめどに提言をまとめ、公表する予定だ。
 呼び掛け人の一人、国際基督教大二年の関口詩織さん(20)は事故後、脱原発デモに参加。電力会社に原発停止を申し入れ、ハンガーストライキや関西電力大飯原発前の座り込みにも加わった。ただ、そんな自分に最近、違和感も感じ始めた。
 「原発を造り続けた人たちに、いろいろ言いたいことはある。でも、大切なエネルギーを“人任せ”にしてきたのは、私たち自身ではなかったか。私たちがどうだったのかを振り返り、どうしたいのかを考えなければ、それは民主主義じゃない」
     ◇
 中部エネルギー市民会議が志を同じくするのが、ドイツの「ベルリン市民エネルギー会議(BET)」だ。二〇一一年の夏に設立された。
 十年後の脱原発を目指すドイツでは、すでに一九九八年に電力市場が完全自由化された。しかし、主要都市で電力、ガス、熱など、エネルギー供給を担うのは、自治体が運営する「都市事業団」だ。
 首都ベルリンには事業団がない。市とエネルギー供給契約を結ぶ民間二社が、寡占状態で電力を供給してきた。来年でその期限が切れるのを機に、BETは「エネルギー供給を市民の手に取り戻そう」と活動する。
 ベルリンの州法では、一定以上の署名を集めると、議会に条例の制定、改廃の発議(市民発議)ができる。ベルリン市に都市事業団をつくる条例を制定するのが、BETの目的だ。
 BETは「市民事業団化」について、以下の利点があると訴える。
 (1)エネルギー情報が公開され、市民が関心を持つ(2)市民の意思で100%クリーンエネルギーにできる(3)エネルギー供給による利益がベル リンの中にとどまる(4)市民が経営に参画できる(5)省エネがしやすくなり、気候対策にも貢献できる(6)低所得者対策がしやすくなる(7)経営の透明 性が高くなる-の七点だ。
 欧州の環境政策に詳しい名古屋大環境学研究科特任准教授の杉山範子さんは「自治体は、市民自らがコントロールすべきもの。エネルギー供給も省エネも、自治体を通じて市民がコントロールできる。BETの背景には、民主主義への信頼と強い自治の意識がある」と指摘する。
  (飯尾歩)

◆脱原発と温暖化対策はセット

 衆院選で、エネルギー・環境問題に関する各党の政策、有権者の関心は原発問題に集中し、地球温暖化問題が置き去りにされている。
 カタールのドーハで現在開催中の「気候変動枠組み条約第十八回締約国会議(COP18)」が、佳境に入る。
 温室効果ガス削減の国際ルールである京都議定書は、年末で期限が切れる。二〇二〇年までに新たなルールをつくることが決まっているが、その“つな ぎ(京都議定書第二約束期間)”をどのような中身にするかを決める重要な局面だ。気候変動が原因とみられる異常気象が頻発するなど、ルールの空白期間は許 されない。
 省エネは、すなわち温暖化対策であり、温暖化問題は、エネルギー問題。温暖化対策は、原発増設の口実にもされてきた。
 エネルギー問題、温暖化対策、脱原発は、セットで考えるべきだ。

女性の国政進出 未来のため増やしたい

 四日公示の総選挙で女性議員を増やせるだろうか。国政は原発事故の対応をはじめ、この国の未来を左右する問題が山積みだ。多様な民意を反映させなければならない。女性の力が必要だ。
 二十九日に告示された都知事選には九人が立候補したが、女性は一人もいない。女性の視点があまりにも示されなかったことに落胆した有権者は少なくないだろう。
 男女共同参画社会だと言われながら、今なお政治の場で女性は少数派だ。戦後改革で女性に参政権が認められて以来、国会議員は大量当選した時期も あったが、解散前の割合で11%。地方議会では比較的多い市議会でもその割合は全体で15%ほどにすぎない。国や身近な街の問題を話し合い、将来像を決め る場に、有権者の半数を占める女性の経験や感性が生かされないのでは、議論の幅や厚みを失わせてしまう。
 議員としてでなくても、地域の問題に取り組んでいる女性は大勢いる。福島第一原発事故後は放射能の被害から子どもを守ろうと、地元の行政や議会に働きかけ、放射能を自主的に測ったりして、懸命に行動する人が目立っている。
 女性の国政進出が伸び悩んだ原因には、男女の性によって役割が決められがちで、政治も他の公的分野と同様に、女性が頼りにされないような風潮もあっただろう。だが、最たる原因は各政党に女性議員を増やそうとする努力が足りなかったことだ。
 世界では男女差をなくすために「クオータ(人数割り当て)制」を導入し、議員や候補者の一定割合を女性にするように決めた国が多い。政党法や選挙 法の改正によって、比例代表の女性比率を一定以上にしたり、名簿に載せる候補者の半数を女性にしたり、奇数順位を女性にしたりする。韓国では二〇〇五年に 女性議員の比率が一割を超え、今では15%近い。北欧やドイツなどは女性の国会議員が三割を超えている。
 一九八九年の参院選で当選し、その後、千葉県知事を務めた堂本暁子さんは、「国の意思決定の場に女性が存在することの意味、予算と権限を持つことの意味」を実感したという。
 震災や原発事故をきっかけに暮らしや命に寄り添った政治に変えようといううねりが始まった。社会保障も、経済対策も、安全保障も、教育も、どの分野でもその解決に女性の視点はなくてはならない。女性議員をもっと増やすよう、各党は競い合ってほしい。

温暖化対策会議 脱原発と両立できる

 脱原発は省エネとともに進む。ドーハの気候変動枠組み条約第十八回締約国会議(COP18)は、ポスト京都議定書への橋渡しをする重要な会議だ。フクシマを経た日本こそ、存在感を示すべきだ。
 重要な節目の会議である。
 温室効果ガスを削減するための唯一の国際ルール、先進国にまず削減義務を課した京都議定書は、この年末で約束の期限が切れる。ところが、それに続くルールは、途上国と先進国の利害がかみ合わず、いまだに決まっていない。だが、少しずつ前へは進んでいる。
 一昨年のメキシコ・カンクン会議(COP16)では、気温上昇を国際社会全体で、産業革命前と比べて二度以内に抑えるという南北共通の長期目標を確認できた。
 昨年の南アフリカ・ダーバン会議(COP17)では、京都議定書の延長を決めた。ただし、単純延長ではなく、参加各国が自主的な削減目標を提出 し、それを達成する義務を負う。南北すべての国が削減に参加する新たなルールは、二〇一五年までに採択し、二〇年の発効を目指すことにした。
 どの国もルールの空白期間は望んでいない。ドーハ会議は、先進国の削減目標に合意して、第二約束期間の船出を図る場所である。
 ところが日本は、中国などの参加なしには温暖化防止の実効性がないとして、第二約束期間の削減義務受け入れを拒否している。
 昨年世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、過去最高を記録したという。京都議定書を離脱した米国でも、十月末に東部で猛威を振るったハリケーンな どの異常気象を体験し、気候変動への危機感を強めている。近い将来、南北を問わず高い削減義務を受け入れなければならない時が来る。
 原発停止による化石燃料消費の増加が、高い削減義務を掲げられない理由にされている。しかし、原発停止は、企業や家庭に省エネを定着させた。省エネすなわち、温暖化対策ではないか。
 オフィスビルや事業所に独自のCO2削減義務を課す東京都では、3・11以降、削減率が大幅にアップした。中には全体で四割減らしたビルもある。
 九〇年比25%減という国際公約の看板を、やすやすと下ろすべきではない。脱原発と温暖化対策を両立させ、低炭素社会へ向かう自治体レベルの取り組みをアピールしつつ、政府には、ポスト京都の交渉をリードするきっかけを、ドーハでつかんでもらいたい。

責任あるエネルギー論議を

2012.12.3 07:33 (1/2ページ)
 福島支局から1年ぶりに青森支局勤務となった。9月までの福島勤務では東京電力福島第1原発事故関連の取材に東奔西走する毎日だったが、さまざま な人との出会いを通して「賛成」「反対」という短絡的な議論ではなく、将来のエネルギー政策はどうあるべきかを改めて考えさせられた。
 原 発を取り巻く情勢は大きく異なるとはいえ、同じ原発立地県である青森県も核燃料サイクル施設(六ケ所村)、東通原発(東通村)、大間原発(大間町)、使用 済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の建設が進められ、日本のエネルギー政策の要と言える。だが、民主党政権が新たなエネルギー戦略として掲げた「2030 年代の原発ゼロ」目標と建設中の原発については容認するという矛盾に、どうしても納得がいかない。
 電源開発(Jパワー)の大間原発は福島 第1原発事故の影響で建設工事が中断され、進捗(しんちょく)率は現在約40%で、事業者が目指していた平成26年の完成は困難な状況。しかし、建設が認 められたことで工事が再開され、稼働が認められれば2050年代半ば以降まで運転が可能になる。
青森県幹部は「大間の稼働が認められたのは前進だが、他がどうなるのか全く見通せない」と困惑する。東通村幹部も「原発をやめればこれまで国策に協 力してきた村の立場はどうなるのか」と憤る。民主党政権で一段と鮮明になった“絵に描いた餅”のほころびが立地自治体を翻弄していることだけは確かだ。  しかも、原発では使用済み燃料がたまり続け、六ケ所村の使用済み燃料受け入れ貯蔵施設では9月末現在で、3千トンの貯蔵容量に対して約2900トン(使用 済み燃料に含まれる金属ウラン量)を受け入れ、ほぼ満杯状態だ。県と六ケ所村、日本原燃は平成10年、再処理事業の継続が困難になった場合は使用済み燃料 を排出元の原発に戻すという覚書を締結している。もし、そうなれば大混乱に陥ることは火を見るより明らかだ。
 脱原発を標榜(ひょうぼう)しながら核燃料サイクルを維持することは、大量のプルトニウム保有につながりかねず、核不拡散防止上、国際的にも問題がある。
 衆院が解散し、公示を前に事実上の選挙戦に突入している。各立候補予定者にはこと原発問題に関しては、ポピュリズム(大衆迎合)に走ることなく、将来を見据えた責任あるエネルギー政策の論戦を期待したい。(青森支局長 福田徳行)

嘉田代表、原発責任問う 「戦後政治の決算を」

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 日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は2日、本紙などのインタビューで「原発問題は日本の戦後政治の一つの決算だ」と、原子力政策を衆院選で最大の争点にしたい考えを強調した。
 嘉田氏は「福島で苦しむ方々がまだいるのに、もう(東京電力福島第一原発事故を)忘れようとしている。責任は誰にあるのか」と戦後に原発立地を進め、なお維持に傾く自民党を批判した。
 中学生までを対象とした手当の必要性では「子育てへの投資は未来への投資だ」と説明。財源は「滋賀県知事としてダム、新幹線をやめ、600億円のお金を生み出した」と実績を訴え、税金の無駄遣いの洗い出しなどで捻出する考えを示した。
 環太平洋連携協定(TPP)への参加に反対を打ち出した理由については「TPPで無条件に日本の農業基盤を壊すべきではない」と述べた。

衆院選調査 「原発ゼロに」59%

 本紙は四日に公示される第四十六回衆院選を前に、有権者の投票行動を探るため、全国三千六百人を対象に電話世論調査を実施した。「日本の原発政策はどうすべきだと思うか」と聞いたところ、原発ゼロを求める回答は59・8%に上った。 
 原発ゼロを求める時期については「二〇三〇年代よりも前倒してゼロにする」が27・4%で、民主党政権が決めた「三〇年代ゼロ」を支持する17・6%を上回った。速やかな脱原発実現に対する期待が高まっている現状が明らかになった。
 「原発は減らすが、ゼロにはしない」は27・6%だった。
 消費税増税については反対55・6%で、賛成42・3%を上回った。依然として強い抵抗感があることが浮かび上がった。
 憲法九条改正については、賛成40・9%と反対41・4%がほぼ拮抗(きっこう)した。環太平洋連携協定(TPP)への日本の参加については、賛成50・2%、反対34・9%だった。
 最も重視する政策は「年金・医療などの社会保障」が30・8%でトップ。景気・雇用対策29・4%、原発・エネルギー政策11・4%、消費税増税10・5%と続いている。
 ▽調査方法 調査は十一月二十九日から三日間。過去の選挙結果がその都道府県の結果に近い市区町村を選んだ上で、全国で三百の調査地点を決定。無 作為抽出の電話番号を使い、各調査地点に割り当てた回答数が得られるまで聞き取りした。性別、年代は偏らないよう割り振った。有効回答数は三千六百人。

敦賀原発 新たな地層の変形確認

 日本原子力発電(原電)敦賀原発(福井県敦賀市)の断層(破砕帯)を調べる原子力規制委員会の専門家チームは二日、現地調査を終えた。敷地内にあ る活断層「浦底断層」と原子炉直下を走る「D-1破砕帯」が交わる場所の近くで、比較的新しい地層の変形を確認した。変形部の下にある、まだ見つかってい ない活断層が変形を引き起こした可能性があり、十日の会合で検討する。
 調査は、D-1破砕帯が浦底断層と連動して動くかどうかに主眼が置かれていたが、新たな活断層が認定されて、原発の再稼働が認められなくなる可能性も出てきた。
 二日目の調査には、チームの専門家五人のうち四人が参加し、D-1破砕帯の近くに掘られた試掘溝(トレンチ)を中心に調べた。地層の変形は、西側の試掘溝で確認され、大きく乱れていた。
 調査後の会見で、チームの宮内崇裕千葉大学教授は「一、二回の変形が起きている。その変形は複雑で、もう一つの断層構造を考えないと(説明は)難 しい」と、別の活断層が存在するかもしれないと指摘した。規制委の島崎邦彦委員長代理は変形について「変形が確認されたこと、(変形部には)浦底断層を動 かしている力と同じような力がかかったことの(チームの)認識は共通している」と述べた。
 チームは十日に会合を開き、調査結果について議論する。島崎氏はこの日に結論を出そうと意欲を示すが、鈴木康弘名古屋大学教授は追加調査の必要性を強調している。敦賀原発は停止中でもあり、再調査の上で結論を出す可能性もある。

敦賀原発の破砕帯、上層に変形 規制委調査団が活動性示唆

(2012年12月3日午前7時10分)
拡大 日本原電敦賀原発の敷地内断層の調査で、試掘溝内の「D―1破砕帯」を調べる原子力規制委員会の調査団=2日午前、福井県敦賀市 日本原電敦賀原発の敷地内断層の調査で、試掘溝内の「D―1破砕帯」を調べる原子力規制委員会の調査団=2日午前、福井県敦賀市

拡大 原子力規制委員会の調査団による断層調査 原子力規制委員会の調査団による断層調査

 原子力規制委員会の現地調査団は2日、日本原電敦賀原発1、2号機(福井県敦賀市)直 下を通る破砕帯(断層)が活断層かどうかの調査を続行。敷地内を縦断する活断層「浦底断層」に近い場所で、2号機の原子炉建屋直下に延びるD―1破砕帯の 試掘溝を中心に地層の確認をした。団長役の島崎邦彦委員長代理(地震学)は、破砕帯の上に乗る地層に、活動性を示唆する変形が認められたとの見解を示し た。ただ、浦底断層との連動性や年代は特定できなかった。

 調査団は10日に評価会合を開く。島崎氏は「予断は許さないが、結論が出るといい」と述べ、早期の結論取りまとめに期待感を示した。

 1日の調査では、メンバー5人は浦底断層が非常に活動的との見方で一致したが、浦底断層に伴い破砕帯が連動するかは確証が得られなかった。2日目は4人で2号機北側のD―1破砕帯の試掘溝、山の斜面を削った部分でD―1破砕帯の上に乗っている地層や割れ目などを調べた。

  原電は破砕帯の上に乗る地層にずれや変形がないことを理由に活動性を否定してきたが、宮内崇裕千葉大教授(変動地形学)は調査後「上の層には何らかの変形 がある。少なくとも1回、もしくは複数回動いたかもしれない」と言明。堤浩之京都大准教授(同)も「浦底断層の運動に付随するような地層の変形は確認でき た」と述べた。ただ、ともに活動の同時性や年代は確認できていないとした。

 一方、活断層評価の甘さを指摘してきた鈴木康弘名古屋大教授(同)は「今の段階で『クロ』という情報はないと確認した」と説明した上で「さらに追加の調査も必要。できる条件は整っている」と述べた。

 島崎氏は、追加調査を求める可能性はあるとしながらも、できれば10日の会合で結論を得たいとした。

 国の耐震審査の手引では、活断層の上に原子炉建屋など重要施設を造ることを認めておらず、原子炉直下を通る破砕帯が活断層と確認されれば、規制委は敦賀原発の再稼働は認めない方針で、廃炉になる可能性もある。

中小政党、第三極の勢い認め警戒 衆院選、多党乱立も「やりがい」

(2012年12月3日午前7時03分)
 衆院選の福井県内3小選挙区はいずれも民主、自民の二大政党の対決に第三極勢力が絡む 構図となり、既存の中小政党は埋没しないか懸念を募らせている。候補を擁立する共産、社民両党の陣営は、脱原発や消費税増税反対の政策を明確にし、存在感 を懸命にアピールしている。小選挙区に候補を立てない公明党は、有権者との対話活動で政策実現力を訴え、比例票の確保を目指す。

 「『維 新の会ってどんな政党』と聞かれることが多い。関心は高く、期待する声も聞かれる」。1区に出馬する共産党の金元幸枝氏の陣営幹部はこう語り、第三極の勢 いを率直に認める。1区では日本維新の会から前県議の鈴木宏治氏の出馬が決まり、1996年以来となる計5人の候補が集中。多党乱立で埋没する可能性はさ らに強まる。

 これに対し、金元陣営は「どこの政党も政策や主張がぶれている。やりがいのある選挙になりそうだ」と強調。街頭演説では消 費税増税の反対などをさらに訴え、一貫した党の姿勢を際立たせていくという。2区で立候補を予定する藤岡繁樹氏も「第三極といっても民主、自民と同じ古い 政治の上に立っている」と批判する。

 公明党県本部の石橋壮一郎代表は「埋没しがちで危機感がある。民主、自民両党の支持率が伸びない中、第三極が離れた支持の受け皿になる恐れがある」と警戒。県内比例票4万5千票を目標に掲げ、市町支部や地区単位の会合を開いて支援を呼び掛けている。

 ただ、新党が乱立する現状には「果たして政策の一致ができているのか。まさに野合と言わざるを得ない」。現実と向き合い、政策の現場に接してきた既存政党の力を訴えていくとする。

 「民主党は2030年代の原発ゼロを掲げたが、シナリオが描けていない。自民党は経済のために原発を動かし続けると言っている」と語るのは社民党の山崎隆敏氏。「脱原発」を最大の旗印に掲げ、二大政党との対決姿勢を鮮明にする。

 また、第三極勢力に対しても、保守色の強い維新の会の石原慎太郎代表を意識し、護憲の訴えを柱の一つに加えた。若山樹義党県連合代表は「新しい政党というのは、県民にはあまりなじまないのではないか」と影響を注視する。

  共産、社民両党にとっては、脱原発で主張が重なるだけに、互いにどう差別化を図るかも大きな課題。山崎氏は「欧州では社民党が中心となって脱原発を進めて いる」と主張。一方の共産党は「思想信条の違いは保留して、原発ゼロという一点では協力していく」(南秀一県委員長)との立場だ。

 第三 極勢力内でも、「卒原発」を掲げる日本未来の党ができて競合するため、維新は違いをアピールする必要に迫られそうだ。1区の鈴木氏は、未来の党代表の嘉田 由紀子滋賀県知事と、同党に合流する「国民の生活が第一」の小沢一郎代表のコンビを「いかにも違和感がある」と指摘。維新が擁立した3区の塚本崇氏も「卒 原発の理念は理解するが、やや急進的で根拠に乏しい」として、維新の公約である「脱原発依存体制の構築」との違いを強調した。

「卒原発」未来が公約 衆院選4党中心

2012年12月3日 07時12分
 日本未来の党代表の嘉田(かだ)由紀子滋賀県知事は二日、都内で記者会見し、衆院選公約を発表した。十年以内に完全に原発稼働をゼロにする「卒原 発」が柱。小選挙区の第一次公認候補百九人も発表した。十二党が乱立するが、未来の党は民主、自民両党の次に多い前衆院議員を抱え、日本維新の会と合わ せ、四党を中心とした衆院選の構図が固まった。未来の党は他の三党に比べ、リベラル色が鮮明なのが特徴だ。
 嘉田氏は会見で「(東日本大震災が起きた)3・11が日本政治の転換点。未来への政治をつくる」と表明した。
 卒原発は、十年以内に国内で原発を稼働させる必要がない電力需給体制を確立することを目指す。公約とともに発表した工程表では助走期と離陸期に分け、三年で再生可能エネルギーの開発・普及計画などの道筋をつけた上で、残り七年で実行に移すとしている。
 稼働中の関西電力大飯(おおい)原発(福井県)の即時停止も打ち出した。
 子育て支援策の目玉は、中学生までの子どもに一人あたり年間三十一万二千円の手当を支給する制度の創設。一定額は現金でなく「応援券」にする。
 デフレ下での消費税増税は「消費を冷え込ませる」と凍結方針を掲げ、財源は特別会計の全面的な見直しなど政治改革、行財政改革で捻出すると説明。環太平洋連携協定(TPP)は交渉入り反対を明記した。憲法問題は明記しなかった。
(東京新聞)

活断層可能性否定せず=破砕帯上の地層に変形―敦賀原発の現地調査終了・規制委


 日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)敷地内の岩盤の亀裂(破砕帯)に活断層の可能性が指摘されている問題で、原子力規制委員会の専門家調査団は2 日、1日に続き現地調査を行った。終了後、記者会見した島崎邦彦委員長代理は2号機原子炉建屋直下を通る破砕帯「D―1」の上にある地層で変形が確認でき たことを明らかにし、活断層の可能性を否定しなかった。
 2日間にわたる現地調査はこれで終了し、調査結果は、10日の評価会合で議論する。活断層と判断されれば、規制委は再稼働を認めない方針。日本原電は「活断層ではない」としており、評価会合では同社の担当者から説明を求める予定。
 D―1は敷地内の活断層「浦底断層」との連動が指摘されている破砕帯の一つ。島崎代理は地層の変形がD―1によるものか証拠はないとしつつ、浦底断層を 動かしたのと似た力が加わっているとの見方を示した。変形の年代が、原発の耐震設計審査指針で活断層と定義される12万〜13万年前以降かは明言を避け た。 
[時事通信社]

脱原発:オーストリアからの報告/上 輸入分もゼロへ 「風力」普及に力

毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊
 原発禁止を憲法に明記しているオーストリアは、国内に稼働中の原発が1基もない。さらに、15年までに原発電力の輸入ゼロを目指し、再生可能エネルギーを強力に推進している。現地を歩くと、「原発ゼロ」へ向けた日本の課題が見えた。2回に分けて報告する。【奥山智己】
 一面に広がる小麦畑に、高さ約135メートルの風車が数百メートルおきに並ぶ。3枚羽根のプロペラはさまざまな方角を向き、穏やかな風が吹き抜けるとゆっくりと回り続けた。オーストリア東部ブルゲンラント州バイデン。「エネルギー・ブルゲンラント」社の風力発電所だ。
 同州は広大な平地と風に恵まれ風力発電が盛んな地域。97年創業のエネ社は、わずか15年で州内に147基の風車を持つ国内最大手に成長した。
 オーストリアは、北海道とほぼ同じ面積の約8・4万平方キロに約840万人が暮らす。年間発電電力量 (10年)は711億キロワット時で、59%を水力発電で賄う。一方で年50億キロワット時前後を周辺国から輸入、うち原発で発電した分が3〜4%を占め るが、15年までにゼロにする方針だ。
 ■20年に2倍以上に
 脱原発を進めながら、年々増える電力需要に応えるため、オーストリア政府などは、再生エネの中でも風力 発電の普及に力を入れている。現行では風力は年間発電電力量の3%に過ぎないが、経済・家庭・青少年省は「同州などの開発を進めれば、現在の出力120万 キロワットが18〜20年には倍以上の300万キロワットになる」と見込む。
 同州で風車を建てる場合、州が決めた発電に適した区域に限られる。さらに景観や地下水、鳥の飛行進路に悪影響を与えないかなど環境アセスメントで15項目の基準を満たさなければならない。
 ■買い取り制度で後押し
 アセスはエネ社にとって負担だが、担当者は「それでも買い取り制度のおかげで、建設費など1基あたり約1400万ユーロ(約14億9700万円)を十数年で回収できる。電気代は九つある州の平均程度です」と話す。
 買い取り制度とは、エコ電力法に基づき、電力会社に一定期間、固定価格で再生エネによる電力の買い取り を義務づけるもので、03年1月にスタートした。現在の買い取り価格は13年間で1キロワット時当たり9・5〜9・7セント(約10・1〜10・3円)。 電力卸市場の約2倍の値が設定されている。
高い価格で買い取っても、電気代に直接跳ね返らないのは、政府が年5000万ユーロ(約53億3100万円)を助成しているからだ。ただし、日本貿 易振興機構(ジェトロ)によると、再生エネの発電事業には継続的な公的支援が不可欠で、今後再生エネの拡充に伴い電気代が上昇する懸念もあるという。  ■日本では0・01%未満
 オーストリアの発電電力量(10年)の電源別内訳は、水力に次いで▽火力31%▽バイオマス6%▽風力3%−−などとなっている。水力が多いのは、山間地が多くダムで貯水できるためだ。さらに、国土をドナウ川が横切り、沿岸に大規模な水力発電所が10カ所ある。
 一方、福島原発事故前の10年度、日本は火力が59%と最も多く、原子力33%、水力7・7%で、風力は0・01%に満たない。
 政府は9月に「30年代に原発ゼロ」とのエネルギー・環境戦略を決め、原発に代わる電源の柱の一つを風 力と位置づけた。風力は発電電力量を年間43億キロワット時から903億キロワット時へと増やす必要がある。そのためには、7月に始まった再生エネの固定 価格買い取り制度の価格をさらに優遇することや、19兆円以上の追加投資などが必要としている。
 ただし、狭い日本での建設には、騒音・低周波対策や野鳥への影響、景観問題などの課題も多い。三菱総合 研究所環境・エネルギー研究本部の寺澤千尋研究員は「風力発電の普及のためには、周辺住民の理解が不可欠で、丁寧な説明と合意形成が重要だ」と指摘する。 さらに導入量の拡大には、洋上風力が必要で(1)技術開発(2)漁業者の理解(3)地域経済・雇用への貢献−−などの課題をあげる。

山本太郎の新党“いまだにひとり”

1人で「新党 今はひとり」の結成と衆院選出馬を1日に表明した俳優の山本太郎(38)が一夜明けた2日、メンバーは増えず、党名は「今はひとり」のままであることを明らかにした。
 この日午後、報道各社用の選挙写真を撮影。前日の結党会見後、ツイッターを通じての反響は大きかったというが、「まだ“ひとり”のままですね」と照れ笑いした。
 また、日本維新の会の橋下代表代行に、改めて挑戦状を突き付けた。「(橋下氏は)脱原発という言葉を利用した政治家の一人だと思う。維新はポリ シーをコロコロ変えている。(衆院選に)出てもらって、討論会とかをやりたいですね」と対決を要望。ツイッターでも、この日、橋下氏にあて「出馬されない のですか? ガチンコで勝負しませんか? 橋下さんの指定する選挙区でぶつかりたいです」と呼びかけた。

未来の党、公認109人 10年で「卒原発」公約発表


日本未来の党のポスターを発表する(左から)飯田哲也代表代行、阿部知子副代表、嘉田代表、森裕子副代表
日本未来の党の嘉田由紀子代表(62)=滋賀県知事=は2日、都内で会見し、衆院選公約を発表した。公約を「未来への約束」として〈1〉10年後 の原発ゼロ〈2〉ムダ排除による消費増税の凍結〈3〉中学卒業まで子供1人に年間31万円の手当ての支給(一部を子育て応援券)―などを盛り込んだ。
 公認候補109人も発表。飯田哲也代表代行(53)=環境エネルギー政策研究所=を山口1区、小沢一郎氏(70)を岩手4区、亀井静香氏(76)を広島6区とした。3日に2次公認、比例代表候補を発表予定。4日の公示日まで擁立作業を進めていくという。
 公約ではほかに、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加反対、天下りの全面禁止、政府関係法人の廃止を明記。「卒原発」に向けた工程表の骨子も発表した。

衆院選:原発消滅「公約でない」 再稼働、基準満たせば−−橋下氏

毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊
 日本維新の会の橋下徹代表代行(大阪市長)は2日、民放の報道番組に出演し、「既存の原発は30年代ま でにフェードアウト(消滅)する」などと記した衆院選公約の付属文書・政策実例について、「議論のたたき台であり公約ではない」と明言した。また、停止中 の原発の再稼働については、安全基準などを満たせば容認する考えを示した。
 政策実例は、原発の「フェードアウト」などを盛り込み、衆院選公約「骨太」とともに先月29日に発表した。しかし石原慎太郎代表は同30日、「フェードアウトってどういうことか。それは違う」などと不快感を示し、記載を見直す考えを示していた。
 橋下代表代行はテレビ朝日の報道番組で、「骨太の方が公約だ」と強調。「政治家が示すのは何年にゼロと いう話ではない」として、年限や工程表は官僚組織や専門家が作るものだと主張した。フジテレビの報道番組では、原発の再稼働について「世界最高水準の安全 基準を作り、チェック体制もきちんとでき、使用済み核燃料の処理方法が定まってくれば、短期的には当然あり得る」と話した。【藤田剛、津久井達】

原発避難者情報届かず 衆院選・再建の思い託しづらく

東京都内の避難先で新聞を読む稲元さん。衆院選と同日選の都知事選に紙面が割かれ、福島の選挙情報は載っていない
 福島第1原発事故で福島県から県外に避難している有権者が、衆院選の県内選挙区 に関する情報から隔離されている。避難先に情報が届かず、誰が立候補するのか分からない人も。候補者を紹介する選挙公報が着くのは選挙期間終盤で、避難先 で不在者投票する有権者は、選択材料に乏しいまま投票先を決めざるを得なくなっている。
 福島県浪江町の無職延城百合子さん(50)は大阪市に避難している。住民票は移していないため福島5区の投票権を持つが、「新聞やテレビは関西の情報が中心で、福島5区の立候補予定者は一人も知らない」という。
 不在者投票するつもりで町選管から選挙公報が届くのを待っている。到着は13日前後。不在者投票の期限は15日で、数日間で投票先を決断しなければならない。
 「こんな状態で投票して何になるのかと思うが、投票しないのも無責任。浪江にいた時は候補者の人柄や政治姿勢を見て判断したが、今回は政党の政策で選ぶしかない」と語る。
 福島5区は浪江町のほか、富岡町など避難区域が集中する。有権者のうち約1万6000人が県外に避難している。
 富岡町から東京都江東区のアパートに避難した無職稲元浩幸さん(52)は「東京のメディアでは福島の選挙情報が入ってこない。インターネットで調べようと思うが、どのサイトを見れば候補者の主張を知ることができるのか分からない」と話す。
 町では総菜店を営んでいた。町は住民を5年間帰還させない方針で営業再開を断念。「生活再建には政治の力が必要だ」と感じた。不在者投票で意思表示しようと思っているが、「立候補予定者が誰かも分からない状態では投票権も行使しにくい」と嘆いている。

2012年12月03日月曜日

経済動向試算し原発問題対応を 石原氏、横手で演説

 日本維新の会の石原慎太郎代表は2日、秋田県横手市内のホテルで演説し、原発問題について「経済の動向をシミュレーションしてから決めるべきだ」と持論を展開した。
 石原氏は「原発反対と言えば聞こえはいいが、感情論で済む問題ではない。全廃して石油や石炭をたいたら温暖化が進む。もし電気料金が20%上がれば企業が全滅する」と述べた。演説会は約1000人が参加した。

2012年12月03日月曜日

日本未来が109人公認 公約に卒原発、脱増税

12・16 衆院選
 日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は2日の記者会見で、衆院選公約を発表した。10年以内に原発ゼロを実現する「卒原発」を柱とし、デフレ下での 消費税増税を凍結する「脱増税」も盛り込んだ。また、中学卒業までの子供1人当たり年間31万2000円の手当を支給する。

 その後、代表代行の飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長を山口1区、小沢一郎氏を岩手4区、亀井静香氏を広島6区などとする小選挙区の第1次公認候補109人も発表した。
[ 2012年12月3日 06:00

風知草:ほんものは誰だ?=山田孝男

毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊
 脱原発政党の集散めまぐるしい。「日本未来の党」と「日本維新の会」だ。今後の風向きしだいで大量の議席を奪い、政権参加の可能性もある。
 脱原発へ「未来」はアクセルを踏み、「維新」はブレーキをかけた。方向は逆だが、寄せ集めの軍勢に即席党首でタガをはめた構造は似ている。
 スケジュールはともかく、この2勢力は脱原発を達成できるか。難しかろう。党首のイメージと舌先だけでは脱原発の前に立ちはだかる「青森県」「イギリス」「アメリカ」の壁を突破できないからである。
 「未来」「維新」と同じように寄せ集めから出発し、曲がりなりにも結束した民主党は脱原発に挑み、三つの壁にはね返された。経緯を見よう。
 まず、青森県だ。ここには各原発から出る使用済み核燃料の再処理工場がある。日本ではここだけ。脱原発なら、青森県は使用済み燃料の搬入を引き受けてくれない。なぜか。
 脱原発で再処理の必要がなくなるのに、引き続き使用済み燃料が持ち込まれれば、青森県が核のゴミ捨て場になる。だから拒否。だが、そうなると、原発を抱える自治体が困る。原発敷地そのものが核のゴミ捨て場になってしまうからだ。
 危険ゴミの持って行き場がない。だから目をつぶって自転車をこぎ続ける。この危うい構造を変えられなかった。
 次にイギリス。日本は英仏に使用済み燃料の再処理を委託している。このうちイギリスの再処理工程で出た高レベル核廃棄物が、この年末から順次、これも青森県の中間貯蔵施設に戻ってくる。脱原発では青森が荷受けできず、そうなれば船がイギリスを出港できない。
 じつは、この点こそ、野田政権が「原発ゼロでも再処理は継続」という矛盾した決定(9月19日)に追い込まれた急迫の原因だった。関係者によれば、閣僚が問題に気づいたのは決定の半月前だったという。
 最後にアメリカ。核拡散に神経をとがらせるアメリカは「再処理継続」に反発した。「再処理加工したプル トニウムを原発で燃やさないなら、核兵器をつくる気か」と。イラン、北朝鮮に示しがつかぬ−−と言われたかどうかは知らないが、「今まで通り、原発も動か しましょうや」と意見された。
 以上、野田政権の「原発ゼロ戦略」閣議決定が微妙にトーンダウンした背景である。再生可能エネルギーの将来性や、経済活性化方策についてはビジョンを示せても、内外の産業・軍事基盤を揺るがす根っこの構造には斬り込めなかった。
 ならば「未来」「維新」は斬り込めるか。疑問だ。
 「未来」の主張には濁りが少ない。が、我々は、清新な新政権が善意の公約を守れなかった現実を見たばかりだ。
「維新」は幅を広げた分、主張が濁った。代表代行は脱原発で、代表は「脱原発は暴論」だと言う。濁り過ぎだ。  公平を期して加えれば、主要政党の中で唯一、脱原発にまったく触れない自民党と「原発ゼロ」の公明党の連携も濁っている。自・公両党の隔たりは「国防軍」だけではない。
 どんな政権になるにせよ、産業基盤と核物質の国際管理を揺るがす改革に簡単に踏み込めるものではない。 根底の問題に目を閉ざして電気代の心配をしていればよいという事態でもない。論戦を通じ、核のゴミの深刻さを学ぶ選挙だ。(敬称略)(毎週月曜日掲載)= 次回は24日に掲載します。

衆院選:未来公約発表 代替策欠く卒原発 「再稼働」巡り記述混乱

毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊



















故郷の埼玉県で結党後初の街頭演説に立つ日本未来の党の嘉田由紀子代表=2012年12月2日午後3時24分、杉本修作撮影
故郷の埼玉県で結党後初の街頭演説に立つ日本未来の党の嘉田由紀子代表=2012年12月2日午後3時24分、杉本修作撮影

日本未来の党(嘉田由紀子代表)が2日公表した衆院選公約の「卒原発カリキュラム」は、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の即時停止など、急進的な「原発ゼロ」を打ち出した。だが、代替エネルギー普及の具体策などは明確でない。【笈田直樹】
 公表されたカリキュラムはA4判、4ページ。より具体的な計画の公表時期は「未定」(飯田哲也代表代 行)だ。原発ゼロに必要な代替エネルギーは「発送電分離を含む電力システム改革を断行」とのみ記述され、取りまとめに当たった飯田氏は「代替(エネル ギー)は順次拡充していく」と語るにとどまった。
 当初の3年間で、使用済み核燃料の中間貯蔵場所を選定するとの政策も盛り込まれたが、自治体からは猛反発が予想される。飯田氏も「最大の一番しんどい議論だ」と発言。中間貯蔵が決まらなければ、計画はたちまち壁に突き当たる。
 公約策定はドタバタを繰り返した。会見で配布された文書には「世界最高水準の原子力規制体制の確立」と記述されていたが、「明け方に文言を入れ替えた」(飯田氏)として「放射性物質・廃棄物規制」に修正された。
 混乱には伏線がある。嘉田氏は1日、読売テレビの番組で一定の条件で「再稼働を認める」と発言し、その 後に撤回した。再稼働しないなら原子力規制は不要のはずだ。文書にはほかにも「炉の寿命は最長40年」など再稼働を前提とした記述が残る。嘉田氏の発言の ぶれが混乱につながっている。
 嘉田氏は滋賀県知事として原発政策を積極的に提言し、4月には原発事故で被害を受ける可能性がある「被 害地元」との考え方を提唱。大飯原発の再稼働では放射性物質の拡散予測を県独自に実施した。最終的に事実上容認に転じたが、10月には「計画停電の責任は 一知事では持ちきれない。あの判断しかなかった」と発言。この経験が新党設立のきっかけになった。
 しかし、国政に候補者を出すことで政策の実現可能性は厳しく問われる。野田佳彦首相は2日、千葉県四街 道市の街頭演説で「すぐにゼロにして本当に経済が持つのか。現実的に進めていく民主党を選ぶのか、無責任なエネルギー政策に陥っている他党を選ぶのか」と 強調した。日本維新の会の橋下徹代表代行も2日、原発立地県の福井県敦賀市で街頭演説し「嘉田さんのプランは立地(地域)に何も触れていない」と批判し た。
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 ◇原発を巡る嘉田氏の発言

11年
3月28日 数十年にわたる琵琶湖の水質改善も、原発事故があればあっという間だ(関西電力の原発安全対策の説明に、滋賀県庁で)  6月21日 脱原発と言うとそれだけでイデオロギーになる。原発からの卒業、今どの段階にいるかによって何年かかって卒業するかということで「卒原発」は大事な表現かなと思う(定例記者会見)
12年
 4月 2日 (原発がある立地地元に対し)被害を受けるかもしれない「被害地元」を新たな概念として提示したい(定例記者会見)
   13日 被害地元の切り捨てだ。政権にブレーキの仕組みがない(閣僚会合の再稼働妥当判断に、滋賀県庁で)
 6月21日 警鐘に耳を傾けなかったことが福島原発事故の一つの反省だったはず。オオカミ少年と言われても、警鐘を鳴らし続けるしかない(毎日新聞のインタビューで)
 9月18日 折れるべきところは折れる。それが現実的な判断(定例記者会見で原発立地県並みの原子力安全協定の事実上断念を表明)
11月20日 原発ゼロを強調していた橋下徹大阪市長がかなり後退した。仲間を失った感じ(定例記者会見で日本維新の会と旧太陽の党の合流に)
   27日 福島の原発事故を確実に終わらせて、確実に原発から卒業できる道を示さなければならない(新党結成会見で)
12月 1日 原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める(読売テレビの番組で。のち撤回)

2012衆院選:未来公約、全原発10年で廃炉 子ども「手当」2.6万円

毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊



















公約を発表する日本未来の党の嘉田由紀子代表=東京都千代田区で2012年12月2日、久保玲撮影
公約を発表する日本未来の党の嘉田由紀子代表=東京都千代田区で2012年12月2日、久保玲撮影
日本未来の党の嘉田(かだ)由紀子代表(滋賀県知事)は2日、東京都内で記者会見し、衆院選(12月4 日公示、同16日投開票)の公約「未来への約束」を発表した。10年以内に全原発の廃炉を決める工程表を盛り込んだ「卒(そつ)原発カリキュラム」の骨子 を発表。消費増税法を凍結するとし、子ども1人あたり年間31万2000円(月額2万6000円)の手当を支給するとした。
 嘉田氏は会見で「(民主党が訴える)2030年では遅すぎる」と述べ、積極的な「原発ゼロ」を強調した。
 目玉となる「卒原発カリキュラム」では、原発の再稼働を認めず、関西電力大飯(おおい)原発(福井県お おい町)を即時停止し、Jパワー(電源開発)大間(おおま)原発(青森県大間町)の建設を中止。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)や青森県六ケ 所村の使用済み核燃料再処理施設も即時廃止する。
 当初の3年間を「原発ゼロ」の環境整備を行う「助走期」と位置づけ、その後の7年間を「離陸期」とした。
 助走期には、原発停止に伴う電気料金の値上げ抑制のため、政府が電力会社に、必要なときに現金化できる「交付国債」を給付▽「発送電分離」など電力システム改革の断行▽東京電力の法的整理−−を行うとした。
 公約は環太平洋パートナーシップ協定は交渉入りに反対を明記。税を財源とする最低保障年金を創設するとした。子どもへの手当については一部を「子育て応援券」として現物支給する。高校授業料無償化、農業の戸別所得補償は維持する。
 また同党は、衆院選の第1次公認候補109人(前職53、元職4、新人52)を発表した。前職のうち、合流する「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)が45人を占めた。また、飯田哲也(てつなり)代表代行は山口1区からの出馬を表明した。【横田愛、杉本修作】

[衆院選]1区公開討論会 6人が政策熱弁ヘルプ

衆院選の宮崎1区に立候補を予定している6人による公開討論会が2日、宮崎市内で開かれ、消費税の税率引き上げや原発の対応などについて論戦を交わした。
 川村秀三郎氏(民前)と武井俊輔氏(自新)、外山斎氏(未新)、中山成彬氏(維元)、松本隆氏(共新)、松村秀利氏(社新)が出席。主要な政策課題について、各自の考えを述べてもらう形式で行われた。
 TPPについて、全員が「国内の農業が壊滅する」などと述べ、反対を唱えた。消費税率の引き上げについては外山、中山、松本、松村の4人が「今は 増税よりデフレからの脱却が必要」などと反対したが、川村氏と武井氏は「今、手を付けないと子や孫にツケを回すことになる」「責任ある政党として正面から 向き合う」などと賛成した。
 党の公約と自らの考えが異なる場合の対応について「同じでなければならない」「個人の政治信条に従って行動することもある」などの意見が出された。
(2012年12月3日  読売新聞)

維新・橋下氏が街頭演説ヘルプ

日本維新の会の橋下代表代行が2日、衆院選の同党候補予定者を応援するため福井、敦賀両市で街頭演説した。敦賀では原発問題に絞って約35分間演説、「他の政党はバーゲンセールのように脱原発、脱原発の大合唱」などと「日本未来の党」などを名指しで批判した。
 橋下氏は同日午後5時頃、敦賀市のショッピングセンター前に到着。県内の原発から電力消費地の大阪などに送られた安価で安定した電気が関西の発展を支えたことへの謝意を示した。
 日本未来の党が10年後をめどに原発をゼロにする「卒原発」を掲げたことに触れ、「民主党は沖縄の米軍普天間基地を『最低でも県外(移設)』と言って結局できず政治不信を招いた。同じことを繰り返すのか」と批判した。
 さらに「原発や使用済み燃料、原発で仕事をする人たちをどうするのか計画を示さず原発ゼロと言うのは無責任」と強調。維新としては、一定の時間をかけて雇用対策などの計画をまとめた上で自然エネルギーに切り替え、2030年代の原発ゼロを目指す、との考えを示した。
(2012年12月3日  読売新聞)

断層解析作業大詰め




  • ヘルプ

2日間の調査を終えて取材に応じる原子力規制委調査団(敦賀市の敦賀原発で)
日本原子力発電敦賀原子力発電所(敦賀市明神町)の現地調査の最終日となった2日、原子力規制委員会調査団は、原子炉直下まで続く破砕帯(断層) の周辺で敷地内の活断層に付随したとみられる地層の変形を確認した。破砕帯が活断層であると証明するためには、その変形と破砕帯の動きとの因果関係に加 え、変形の時期の確認が必須で、調査による解析作業は大詰めを迎えた。
 調査団は午前中、2号機直下を走る破砕帯「D―1」と、近くの活断層「浦底断層」との交点付近に大規模に掘られた調査溝(トレンチ)を集中して確認。午後は浦底断層が動いた際、周辺の地盤にどういった力がかかるのかを調べた。
 活断層の調査では、破砕帯の上の地層に変形がないか確認する。今回、D―1の上の地層で見つかった変形は局所的だったが、調査団は「浦底断層と似た動きをしており、浦底断層が動いたことでできた」との見解で一致した。
 上下の位置関係から、その変形はD―1が動いたことで生じた可能性もある。調査団は「直接の証拠はない」と明言を避けたものの、これが証明されれ ば、D―1が過去に浦底断層に引きずられて動いたことを示す。最後の課題は変形した時期で、原発の耐震設計審査指針が定める活断層の基準(12万~13万 年前)より新しいかどうかが最大の焦点。変形は9万5000年前の火山灰を含んだ地層より古い層で見つかったが、島崎邦彦委員長代理は「(一般的に活断層 と定義する)40万年前よりは新しい」と述べた。
(2012年12月3日  読売新聞)

[衆院選]原発ゼロへ 過半数が「賛成」ヘルプ

読売新聞社が衆院選(4日公示―16日投開票)の候補予定者を対象に実施したアンケートで、過半数が中長期的には原発ゼロの方向性に賛成した。原 子力施設が立地する下北半島の市町村長らの多くは原発継続を訴えており、温度差が浮き彫りとなった。一方、環太平洋経済連携協定(TPP)参加への賛成は なかった。
 中長期的に「再生可能エネルギーなどの発電量を増やして原発をやめるべき」との考えに「近い」または「やや近い」と答えたのは10人。「原発を継 続すべき」に「近い」は4人で、「どちらともいえない」が2人だった。原発継続派は自民党の江渡聡徳、大島理森、木村太郎の3氏と民主党の中村友信氏。津 島淳氏は自民党で唯一、原発ゼロに「やや近い」とした。
 ただ、民主、自民、日本維新の会3党の候補者全員が当面は「経済への影響を考えて原子力に頼ってもやむを得ない」との考えに「近い」か「やや近 い」と回答。日本未来の党の横山北斗、山内卓両氏と共産党の4人は「節電して原発は直ちにやめるべき」に「近い」か「やや近い」とした。
 TPP参加に関しては、「どちらともいえない」と答えた升田、大島両氏と「国内対策を明示して議論する」との民主党の津島恭一氏以外は「反対」か 「やや反対」。TPPを巡っては、県農協農政対策委員会と県漁業協同組合連合会、県森林組合連合会が候補予定者と所属政党が共に交渉参加に反対することを 衆院選の推薦基準としており、県内での強い反発が背景にありそうだ。
 選挙戦の争点として取り上げたい問題(三つまで回答可)は、「景気・雇用対策」が9人で最多。「消費税など税制改正」(8人)、「原発などエネルギー政策」(7人)、「TPP」(6人)、「東日本大震災からの復興・防災対策」(6人)が続いた。
 外交政策では対アジア重視に「近い」と「やや近い」が7人で、対米重視に「近い」と「やや近い」の5人を上回った。自民党では津島淳氏が対アジア重視に「やや近い」とし、民主党では中村氏以外は「どちらともいえない」と回答した。
(2012年12月3日  読売新聞)2012.12.3 05:04

橋下氏、未来「原発ゼロ」はバナナの叩き売り(1/2ページ)

記者会見する日本維新の会の橋下徹代表代行
記者会見する日本維新の会の橋下徹代表代行【拡大】
 日本維新の会の橋下徹代表代行(43)=大阪市長=は2日、金沢市の街頭演説で、10年以内の「卒原発」を掲げる日 本未来の党の政策に関し「バナナのたたき売りや、バーゲンセールじゃない」と発言。嘉田由紀子代表(62)=滋賀県知事=率いるもう一つの「第三極」の政 策を厳しく批判した。橋下氏の弁舌は鋭かった。「卒原発」を公約の柱に掲げた日本未来の党の政策を、安易過ぎるとして批判した。
「10年後にゼロとか、バナナの叩き売り、バーゲンセールじゃない。今の段階でいつ原発ゼロにするか、言えるわけがない」。
 同時に、鳩山由紀夫元首相(65)が米軍普天間飛行場の県外移設を主張し、断念した経緯を引き合いに出し、「言うのは格好いいが、原発ゼロにするのかという議論はまさにこれと一緒だ」と指摘した。
 衆院選公約で、注目を集めるエネルギー政策。各党は原発依存を減らす方針を打ち出しているが、目標には幅がある。未来の党は「10年以内」という具体的数字を示したものの、橋下氏は大風呂敷を広げただけと批判を展開したわけだ。
 石原慎太郎代表(80)もこの日、秋田県横手市の講演で「原発賛成といえば、とんでもない悪人にされる。反対だと聞こえはいいが、原発を全廃したらどうなるのか」と疑問を呈した。
  ただ、エネルギー政策については、当の維新の会も足元がおぼつかない。11月29日に発表した公約では脱原発依存体制の構築を掲げ、「結果として原子力発 電は2030年代までにフェードアウト」との見通しを示した。ところが、翌30日に石原代表は「大阪の連中が一生懸命考えた(から認めた)。非常に未熟な ところがある」とし、完全に納得していないことをうかがわせた。
 民主党の菅直人前首相(66)は2日、山口県周南市の街頭演説で「日本維新の会は(当初)原発ゼロと言っていたが、石原氏が代表になると『維持する』となった。政党として成り立つのか」と批判した。
 衆院選の公示は、いよいよ4日。エネルギー政策を巡る各党の攻防は、激しさを増していきそうだ。
(紙面から)

[衆院選]8陣営準備大詰め あす公示

4日に公示される衆院選で、県内の3小選挙区には、民主、自民、共産の計8人が立候補を予定している。原発・エネルギー政策、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の対応などを争点に、各陣営とも衆院解散後に集会や街頭演説を重ね、支持拡大に懸命だ。
 全国的には第3極勢力の消長が注目されているが、今のところ県内の選挙区には第3極からの立候補予定者はおらず、既成政党同士が舌戦を展開している。
 前回「政権交代」のムードに乗り、2選挙区を制した民主は党の再生を強調。政権奪還を目指す自民は野田政権への批判を強めて対決姿勢を打ち出している。共産は原発の再稼働、TPP交渉参加、消費増税への反対を鮮明にしている。
 県内の3小選挙区への立候補予定者は2日現在、1区に3人、2区に3人、3区に2人。新旧別では前議員、新人共に4人。
 1区は、9月の民主党代表選に立候補するなど高い知名度を誇る同党前議員・原口一博氏、若さを強調する自民党新人・岩田和親氏、共産党新人・大森斉氏が激突。佐賀、鳥栖の両市などに多い無党派層の動向が勝敗のかぎを握りそう。
 2区は、民主党を中心とした政権で中枢の役職を歴任した同党前議員・大串博志氏と、与党の外交姿勢、経済対策を真っ向から批判する自民党前議員・今村雅弘氏がしのぎを削り、共産党新人・上村泰稔氏は消費税増税反対などで2大政党との違いを際立たせようと躍起。
 3区は、民主、社民の両党がいずれも候補者擁立を見送った。12選を目指す自民党前議員・保利耕輔氏と、「即時原発ゼロ」を訴える共産党新人・山口勝弘氏の一騎打ちの公算が大きい。
    ◇
 立候補の届け出は4日午前8時半から午後5時まで、佐賀市の県庁新行政棟11階大会議室で受け付ける。
(2012年12月3日  読売新聞)

汚染廃棄物処分従事者/厚労省/放射線障害防止へ対策/来春に改正電離則

厚生労働省は、原発事故で放出された放射性物質に汚染された廃棄物などの処理・処分業務に従事する労働者の放射線障害防止措置がないことから、専門家に よる検討会を設置して、放射線障害防止対策の検討に着手する。2013年2月に検討成果を報告書としてまとめ、電離放射線障害防止規則(電離則)に規定す る。13年4月にも改正電離則を公布し、同年夏の施行を目指す。
 検討会の初会合は4日に開く。対策検討対象施設は、汚染廃棄物の中間処理に当たる焼却施設や破砕施設(減容濃縮施設)、福島県内に設置予定の中間貯蔵施 設、汚染廃棄物の最終処分場施設。除染などが進み、今後こうした施設での処理・処分業務が本格化するため、労働者に対する特別教育の内容や非密封放射性物 質の取り扱い方法などを検討する。管理区域内での業務となることから電離則の改正で対応する。中間貯蔵施設建設に当たる労働者は、改正除染電離則で対応す るものとみられる。
[ 2012-12-03  1面]

<衆院選2012>「景気・雇用」争点6人・・・本社アンケヘルプ

4日の衆院選公示を前に、読売新聞が全国の立候補予定者に行ったアンケートには、県内3小選挙区の10人全員が回答を寄せ、主な争点として、最も 多い6人が「景気・雇用」を挙げた。消費税増税や原発の再稼働、環太平洋経済連携協定(TPP)については意見の違いが浮き彫りになった。
 【争点】
 選挙戦で取り上げたい問題を三つ(優先順)記入するよう求めた設問で、「景気・雇用」を挙げたのは自民3人、民主2人、維新1人。原発再稼働などをめぐる「エネルギー問題」は、民主1、共産2、社民1の計4人が挙げた。
 自民の2人は、現政権の総括を主張した。
 【消費税】
 税率引き上げについて、自民3、民主2、維新1の計6人が「やむを得ない」と答えたのに対し、「そうは思わない」が共産3、社民1の計4人で、政党別にはっきり分かれた。
 【原発】
 安全性が確認された原発の運転再開は、共産3、社民1の計4人が「反対」。民主1、自民1の計2人が「賛成」し、ほか民主、自民1人ずつも「やや賛成」とした。
 しかし、中長期の電力供給のあり方については、自民、民主1人ずつが「どちらともいえない」としたほかは、「やや近い」を含め8人が脱原発を主張した。
 【TPP】
 「反対」が共産3、自民1、社民1の計5人。自民2人は「やや反対」を選び、賛成は民主1人、「やや賛成」が維新1人。民主1人は「どちらともいえない」とした。
(2012年12月3日  読売新聞)

【福井】

大飯原発道路計画にくすぶる不満

県の計画に住民の不満の声が相次いだ説明会場=おおい町大島のはまかぜ交流センターで
写真
 全国で唯一稼働する関西電力大飯原発3、4号機(おおい町大島)の事故時の備えをめぐり、地元住民の間で不満がくすぶっている。県は11月、住民 に65億円(概算)をかけたトンネル道路の整備計画をあらためて提示。理解を求めたが、計画の不備を指摘する住民との話し合いは物別れに終わった。
 「高潮で道路が冠水したらどうするんだ」。おおい町大島で渡船業を営む井本喜市さん(62)が、席上で警鐘を鳴らす。他の住民からも、県の計画では実際の大津波に対応できないとの意見が相次いだ。しかし県は現行計画が妥当との結論を頑として譲らなかった。
 大飯原発は若狭湾に面したおおい町大島半島の北岸に立地。町中心部との間を結ぶ青戸大橋(全長七百メートル)、高浜町側からおおい町犬見に入る県 道の二路線を過ぎると、約四・五キロの間、半島には陸上の連絡道路が県道一本しかない。東京電力福島第一原発の事故後、放射性物質が拡散する原子力災害に 対する不備が指摘されていた。
 対策として県は山にトンネルを掘り同町犬見を起点に、大島(南浦区)へと抜ける全長約三・四キロの「原子力災害制圧道路」の新設を計画。だがトンネル口付近の県道(犬見)の海抜は二メートル程度。住民の不安は根強い。
 地元住民が要望するのは新たな橋の設置。山腹を貫く現行計画の「原子力災害制圧道路」を延伸し、そのまま新設の橋で海を渡る。このルートならば、海沿いの既存の県道を通る必要がないので安全性が高まる。住民は再三、計画を見直し二本目の橋を新設するよう求めた。
写真
 県の担当者はこれに対し「ご要望に百パーセント応えることは無理。まずは道路を多重化し、安全対策を着実に進めたい」と回答。県道路建設課による と、橋の設置に関しては町からの正式な要請がなく、九月に県が発表した津波予測の試算からも、該当区間に浸水被害は出ないと判断したという。
 同町大島の民宿経営森下弘治さん(55)は「嶺北には新幹線が通るのに、原発がある地元の災害対策には、橋の一つも架けてくれないのか」と憤り「県の姿勢はおかしい」と非難した。
 原子力災害制圧道路は国の補助事業。事故時の収束作業用の資機材や作業員の輸送ルートを多重化することを目的とする。事業の名目に「避難道」とは明記されておらず、住民らは「避難より収束作業が優先になるのでは」との不安も抱える。
 (帯田祥尚)

[衆院選]ほぼ全員「復興」「原発」争点ヘルプ

<TPP民自とも党内で差>
 衆院選の公示(4日)を前に読売新聞社が全国の立候補予定者を対象に行ったアンケートで、島根1、2区で立候補を予定している6人も回答。東日本 大震災後初の国政選挙となる今回、計5人が復興・防災対策や原発・エネルギー政策を争点に挙げた。環太平洋経済連携協定(TPP)を巡っては、自民、民主 とも党内で考え方に温度差が見られた。(矢沢慎一)
<争点>
 争点(三つ以内で回答)として、自民党の細田博之氏と竹下亘氏が「東日本大震災からの復興・防災対策」を挙げ、民主党の小室寿明氏や共産党の吉儀敬子氏、向瀬慎一氏が「原子力発電などエネルギー政策」を選ぶなど、ほぼ全員が復興や原発政策を取り上げた。
 「景気・雇用対策」は民主党の石田祥吾氏ら4人が選択。「年金・医療制度など社会保障改革」も3人が選んだ。
<原発>
 安全性が確認された原発の運転再開には、島根原発(松江市)のある1区で意見が分かれた。細田氏は「賛成」、小室氏は「やや賛成」、吉儀氏は「反対」だった。2区の竹下氏、石田氏は「賛成」、向瀬氏は「反対」を選んだ。
 当面の電力供給については、細田氏と石田氏が「経済への影響を考えて原発に頼ってもやむを得ない」との考えに近く、小室氏と竹下氏は「やや近い」 を選ぶなど、自民、民主とも同じ党内で差があった。中長期的には、小室氏と共産2人が「脱原発に近い」と回答。自民2人と石田氏は原発継続に近い考えを示 した。
<TPP>
 TPPへの参加には、石田氏は「やや賛成」で、小室氏は「どちらともいえない」とした。2人ともTPPへの参加で「経済成長が望める」とした。
 一方、細田氏と共産2人は反対の立場。TPP参加により「日本の農家の収入を脅かすのでよくない」と懸念を示した。竹下氏は「どちらともいえない」と慎重な回答を寄せた。
<消費増税、歳出>
 2段階の消費増税には、社会保障・税一体改革関連法の成立に関わった民主、自民の計4人が「やむを得ない」と答え、共産2人は「そうは思わない」と反対した。
 税率を引き上げる場合に、生活必需品などの税率を低くする軽減税率を導入するべきかどうかの問いでは、自民、共産の計4人が導入を主張し、民主2人は反対した。
 歳出額に対する考えで、公共事業費については、細田氏と竹下氏が「増やすべき」と回答。小室氏は「現状でよい」を選択。石田氏と共産2人は「減らすべき」と答えた。
(2012年12月3日  読売新聞)12/03 00:16

 第46回衆院選は4日公示され、11月の衆院解散で事実上スタートした選挙戦は今月16日の投開票に向けて終盤戦に入る。 民主党政権の実績に審判が下される政権選択選挙。共同通信の集計によると、2日時点での立候補予想者数は12政党に諸派、無所属を加えて約1470人に上 る。民主、自民の二大政党のぶつかり合いに、日本維新の会など第三極勢力が割って入ろうとする構図で、各党攻防は激しさを増している。
  与野党幹部は2日、街頭演説などで論戦を展開した。野田佳彦首相(民主党代表)は千葉県柏市などで演説し「3年間では、歴代(自民党)政権の負の遺産を清 算するには時間が足らない」と政権継続に意欲を表明。自民党のエネルギー政策を「『続原発』となる。無責任だ」と批判し、2030年代の原発ゼロを目指す 政策への支持を訴えた。
 自民党の安倍晋三総裁は山口県下関市で「3年前に政権を失った反省に立ち、強い、美しい日本を取り戻す」と強調。物価上昇率2%を目指すインフレ目標導入を掲げ「パワーアップしたデフレ脱却の経済政策を実行する」と呼び掛けた。
 日本維新の会の橋下徹代表代行は福井市などで「自民党は10年間で200兆円の公共工事をしようとしている。昔の政治だ」と批判。民主党についても「原発ゼロの掛け声はいいが、具体的なプランがない。持っているなら閣議決定すればいいのに、逃げている」と指摘した。
 このほか日本未来の党、公明党、共産党、みんなの党、社民党、新党大地、国民新党、新党日本、新党改革も幹部らが支持拡大に努めた。
 兵庫県内の12選挙区では、1996年の小選挙区制導入後2番目に多い8党が公認候補を擁立する予定。無所属も含め、50人前後が立候補の準備を進めている。
2012年12月3日00時49分

維新・橋下氏、社民・福島氏が石川に来県

写真:橋下徹・日本維新の会代表代行=金沢市香林坊2丁目拡大橋下徹・日本維新の会代表代行=金沢市香林坊2丁目
写真:街頭で演説する福島瑞穂・社民党党首=加賀市拡大街頭で演説する福島瑞穂・社民党党首=加賀市
■維新・橋下氏が「卒原発」を批判
 日本維新の会の橋下徹・代表代行が2日、衆院選の立候補予定者の応援のため来県し、金沢市の香林坊交差点で街頭演説をした。約35分の演説の3分の1をエネルギー政策にあて、「卒原発」を打ち出した日本未来の党の政策を「まったく具体的なプランがない」と批判した。
 橋下氏は、大阪維新の会が過半数を占める大阪府議会で、議員定数や報酬の削減を実現したと強調。国政でも定数削減を主張すると訴えた。日本維新の会の原 発政策については「変わっているとか言われているが、何も変わっていない」と主張。「2030年代に原発ゼロを目指しながら、新しいエネルギー供給体制で 国家を運営できるようなプランを作れないか検討しているところ」と述べた。
 日本維新の会幹部の来県は初めて。日曜日とあって聴衆約2500人(主催者発表)が詰めかけた。
■社民・福島氏は「脱原発」を強調
 社民党の福島瑞穂党首は2日、加賀市内で街頭演説し、演説会にも参加した。脱原発を掲げ、憲法を守る党としての存在感をアピールし、「脱原発の声をどうか国政に届けてほしい」と訴えた。
 福島氏は、志賀原発について「原子炉建屋直下に活断層があり、県民の命を守る観点から、廃炉が必要だ」としたうえで、各党の原発政策のあいまいさを指 摘。「政治が廃炉を意思決定し、雇用を確保しながら産業構造を転換させていく」と訴え、「3・11以前から脱原発を貫いてきたのは我々だけだ」と強調し た。
 また、雇用確保や格差是正、消費税増税撤回、TPP交渉参加の反対などの主張を紹介。「第三極というが、自民と維新は、同じような主張をしている一極といえる。その対極にあるのは社民党。命と雇用を守る政党としてがんばっていく」と訴えた。
2012年12月3日00時33分

2号機直下の破砕帯を集中調査 福井・敦賀原発

写真:敦賀原発2号機の原子炉直下に続く「D―1断層」(中央付近の斜線)をみる原子力規制委員会の専門家ら=敦賀市拡大敦賀原発2号機の原子炉直下に続く「D―1断層」(中央付近の斜線)をみる原子力規制委員会の専門家ら=敦賀市
写真:敦賀原発2号機の原子炉直下に続く「D-1断層」をみる原子力規制委員会の調査団=敦賀市拡大敦賀原発2号機の原子炉直下に続く「D-1断層」をみる原子力規制委員会の調査団=敦賀市
写真:敦賀原発の敷地内を走る活断層「浦底断層」(斜面右上を斜めに走る線)を調べる原子力規制委員会の専門家ら=敦賀市拡大敦賀原発の敷地内を走る活断層「浦底断層」(斜面右上を斜めに走る線)を調べる原子力規制委員会の専門家ら=敦賀市
【室矢英樹、堀川敬部】日本原子力発電敦賀原発敷地内の断層問題で、原子力規制委員会の調査団は2日、2号機の原子炉直下を走る「D―1断層」を集中的 に調べた。島崎邦彦・委員長代理は10日の評価会合で、D―1断層が活断層「浦底断層」と連動するか結論づける考えを示した。
 2日目となる調査には、東京学芸大の藤本光一郎准教授を除く専門家4人が参加。D―1断層の上の堆積(たいせき)物のずれなどを中心に詳しく調べた。4 人は、D―1断層一帯の堆積物が浦底断層と同じ方向に動いたとの見解で一致。島崎氏は浦底断層とD―1断層との連動について「直接の証拠はない」としつ つ、「浦底断層と破砕帯(D―1断層)は近い」と話した。
2012年12月3日00時33分

橋下氏、敦賀で街頭演説 原発問題に内容絞る 福井

写真:演説する日本維新の会の橋下徹・代表代行=福井市大手3丁目拡大演説する日本維新の会の橋下徹・代表代行=福井市大手3丁目
【小堀龍之、堀川敬部】日本維新の会の橋下徹代表代行が2日午後、福井、敦賀両市で公認候補予定者の新顔とともに街頭演説。多くの市民が聴き入った。
 橋下氏は、福井市では高齢者の介護や年金、若者の雇用問題を中心に演説。「政治にあきらめを抱いてませんか。本気でやったら政治は動きます」などと訴えた。原発政策は「シミュレーションをして具体的な計画をつくってから発表する」と述べるにとどめた。
 坂井市の主婦川端紀美恵さん(50)は「老後の年金、就職活動する娘を思って身にしみた。期待したい」と話した。
 逆に敦賀市では、ほぼ原発問題に絞って演説。「雇用のため、地域のためだけに原発をずっと動かすのは、皆さんには申し訳ないが考え方が違う」と述べ、将 来的に原発ゼロを目指す考えを表明。一方で「敦賀の経済・雇用はどうするのか、計画に入れないでゼロというのは無責任」と訴え、使用済み燃料の問題や立地 地域の振興策を含めて具体的に検討するとした。
 同市内の飲食店経営山本喜代子さん(66)は「当面は原発は必要だが、福島の事故で怖い思いはある。徐々になくした方がいい」と一定の理解を示した。同市内の会社員和田直也さん(39)は「正論だ。敦賀も原発一本からの転換期に来ている」と話した。

石川のニュース 【12月3日01時58分更新】

石川1区に日本未来・熊野氏擁立 全原発廃炉訴え 

熊野盛夫氏
4日公示の衆院選で日本未来の党は2日、金沢市の喫茶店主、熊野盛夫氏(42)=同 市松村7丁目=を石川1区の公認候補として擁立すると発表した。熊野氏は3日、石川県 庁で会見を開く。  熊野氏は金沢市下近江町のライブ喫茶「メロメロポッチ」を経営。反原発の啓発運動に 取り組んでおり、昨年3月の東日本大震災以降、シンポジウムや写真展などを開催してい る。2004(平成16)年の参院選では「みどりの会議」の比例代表候補として出馬し 、落選した。
 熊野氏は2日、記者団に「全ての原発の廃炉を訴えたい」と話した。

石川のニュース 【12月3日01時57分更新】

金沢に橋下代表代行、聴衆2500人 嘉田氏を批判

街頭の声援に手を振って応える橋下代表代行=金沢市香林坊
4日に衆院選公示を控え、日本維新の会の橋下徹代表代行は2日、石川県入りし、金沢 市香林坊で街頭演説した。橋下氏は日本未来の党の原発政策について「10年後にゼロと か、バナナのたたき売り、バーゲンセールじゃない。今の段階でいつ原発ゼロにするか言 えるわけがない」と述べ、代表の嘉田由紀子滋賀県知事を批判した。  日本未来の党は10年以内に原発ゼロを実現する「卒原発」を公約の柱に掲げている。
 橋下氏は、鳩山由紀夫元首相が米軍普天間飛行場の県外移設を主張し、断念したことを 引き合いに「言うのはかっこいいが、いつ原発ゼロにするかという議論もこれと一緒だ。 中身が詰めきれていない」と指摘。卒原発に争点を絞って支持拡大を狙う未来に対抗心を むき出しにした。金沢市香林坊の沿道には約2500人(主催者発表)が集まり、橋下氏 らに声援を送った。

未来の党公約 大飯原発停止は無責任だ

2012.12.3 03:27 (1/2ページ)日本未来の党
 日本未来の党の嘉田由紀子代表が「10年以内の原発完全廃炉」など「卒原発」を中心とした衆院選公約を発表した。
 最大の問題は、10年間の工程を定めた「卒原発カリキュラム」で最初の3年間を「助走期」と位置付け、再稼働中の関西電力大飯原発を即時停止し、他の原発の再稼働も認めないとしたことだ。
 原発に代わる安定的な電源を見いだせない段階で原発をすべて止めてしまえば、日本経済や国民生活への重大な影響は避けられない。極めて無責任な主張だ。
 嘉田氏は滋賀県知事として、7月の大飯原発の再稼働を容認した経緯がある。「代替エネルギーがない」などの判断からだ。原発ゼロまでの期間を競うのではなく、より現実的な原発・エネルギー政策を論じるべきだ。
 嘉田氏は1日のテレビ番組で、原発再稼働について「原子力規制委員会が安全性を担保し、必要という判断を政府がした場合には再稼働になる」と語った。
 妥当な判断だ。ところが、「卒原発」路線が後退したとの受け止め方が広がると「どういう手続きが必要かを言った。個別の容認ではない」と発言を修正した。
 看板政策をめぐる見解が揺れ動くのは、「卒原発」がスローガンにすぎず、具体的な道筋を描けていないからではないか。
電力料金の値上げを抑制するため、値上げ相当分を交付国債で給付するとした。その償還については発送電分離の実施を前提に「送電料に上乗せして回収する」という。だが、発送電分離により電気料金がどの程度下がるかも不透明だ。説得力に乏しい。 その他の政策では、子供1人当たり年間約31万円の手当支給や最低保障年金の創設、後期高齢者医療制度の廃止などが目立つ。
  配偶者暴力に刑事罰を科す法改正など嘉田氏が独自色を出した点もあるが、民主党が政権交代時に掲げたばらまき政策が、小沢一郎氏らの「国民の生活が第一」 との合流で日本未来の党に持ち込まれた印象が色濃い。その多くは実現できずに頓挫したものであり、再び並べても有権者の理解を得ることは難しいだろう。
 日米同盟に触れず、東アジア外交重視をうたった外交方針も疑問だ。知事と党首の両立も難しい。首相候補をどうするのか。嘉田氏は責任ある政策を語るべきだ。

維新 福井、敦賀で橋下氏演説

2012.12.3 02:16 福井県
 日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は2日、衆院選に出馬を予定している維新の立候補者応援のため福井市と敦賀市を訪れ、支持を訴えた。福井市内では登場時には拍手が起こるなど盛り上がりを見せた。
  橋下代表代行は、福井市内で行われた応援演説で、既成政党は選挙目的で高齢者に負担を求めてこなかったと批判。「今の子供は生まれた瞬間に借金を背負うと いう異常な状況。社会保障制度を見直して若者や子供にお金を回し、日本を引っ張る力になってもらわないといけない」と訴えた。
 また、原発が立地する敦賀市内では原子力政策について演説。原発ゼロを含めたエネルギー戦略について「立地地域の今後や代替エネルギーを含めて考えれば計画策定に2、3年はかかる。今の時点で原発ゼロを公約に掲げる方が無責任になる」と主張した。

原発破砕帯調査が終了 敦賀、規制委調査団 福井

2012.12.3 02:04
 原子力規制委員会の専門家調査団が日本原子力発電敦賀原発(敦賀市)の敷地内を通る断層の一種「破砕帯」が活断層かどうかを調べる現地調査は2日行われ、終了した。この日は地質学専門の藤本光一郎東京学芸大准教授が欠席し、地震学と活断層の専門家4人のみで続行された。
 2日目の調査に参加したのは、地震学専門の島崎邦彦・規制委員長代理(東京大名誉教授)、活断層専門の鈴木康弘・名古屋大教授、堤浩之・京都大准教授、宮内崇裕・千葉大教授の計4人。藤本氏は仕事を理由に欠席した。
  1日の調査後、堤氏と宮内氏は、敦賀2号機の原子炉直下を通る「D-1破砕帯」が見える層より上の地層に「変位が見られる」とし、破砕帯の活動性を示唆し ていた。また、鈴木氏も「(破砕帯の)問題意識は共通」と述べ、島崎氏も「かつて活発に動いたのは確か」などと指摘しており、4人とも破砕帯が動いたこと を前提として2日目に臨んだとみられる。
 2日は、D-1破砕帯の試掘溝(トレンチ)で、調査団は破砕帯より上の地層が見える山の斜面などに注目。原電の説明に対し、調査メンバーの一部は「山で傾斜している地層が、低地で平らになっていること自体が異常だ」と否定した。
 調査団は10日に東京都内で評価会合を開き、活動性が認められれば、敦賀原発は2基とも廃炉となる可能性がある。

原発ゼロは無責任-橋下氏が福井での演説で嘉田新党批判

2012.12.3 00:44
街頭演説する日本維新の会の橋下代表代行=2日午後、福井市
街頭演説する日本維新の会の橋下代表代行=2日午後、福井市
 日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長が2日、多数の原発が立地する福井県の福井市と敦賀市で街頭演説を行った。「脱原発」が争点にあがるなか、 橋下氏は「卒原発」を掲げた「日本未来の党」を念頭に批判を展開。維新の脱原発計画は「検討中」と明言しなかったが「原発で仕事をしている人や施設はどう するのか、考えをまとめない限りゼロというのは無責任」と強調した。
 地元経済が原発で支えられているだけに聴衆の関心も高く、熱心に聞き入る人も多かったが、福井市内の男性(83)は「脱原発を目指すなら、何年後がめどなのかは掲げてほしい」とポツリ。
 一方、敦賀市内の主婦、重田麻千子さん(42)は「今のまま原発をゼロにすれば町が死んでしまう。原発に依存する町は全国にたくさんある。きちんとした計画と実行力がなければ票は入れられない」と話していた。

田原総一朗氏が吼えた! 新政権への提言 ~原発はいつ動くのか!?~ 1/3

2012年12月03日 00:33

片山さつき議員・田原総一朗氏(撮影:濱田敦子)
片山さつき議員・田原総一朗氏(撮影:濱田敦子) 写真一覧
アゴラ研究所が、第一線の専門家、政策担当者を集めて行ったシンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」第一夜。

2011年に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故により、原発を始めとするエネルギー問題の在り方に注目が集まっています。新政権で、再稼働は行われるのか?日本は脱原発に向かうべきなのか?

日本が抱えるエネルギー問題の課題について、2時間議論しました。

【出演】
司会:池田信夫(アゴラ研究所所長)
ゲスト:田原総一朗(ジャーナリスト)
片山さつき(自民党参議院議員)
石川和男(東京財団上席研究員)
水野義之(京都女子大教授)

映像アーカイブ


自民党の原発に対する考えは?

池田: 次期、与党と言われている自民党は原発に対してどのように考えているのか。片山さんからお答えいただけますか?

片山: 原発を日本の産業のため、経済発展のために使おうとしたのは自民党政権です。活断層の問題も含めて、アクシデントを軽く見ていた部 分の責任を自民党政権を負うべきだし、真摯にお詫びをするべきだと思うんですね。ただ、いつまでも過去の話ばかりしていても仕方がないので、やはり安全第 一主義というのを、今度政権をとったら掲げます。ですから、今までの要素の上に、安全第一主義を掲げ、その安全性確保に向けた取り組みが、今、民主党が やってきた取り組みではどうなのかなと。突然言いだしたストレステストが、我々から見ると、極めてあやふやなものだったし、安全性評価に対しての意見聴取 会もわかりにくい部分があったし。

それから何十年も経ってもうじき引退のようなものなのと、原子炉の型によって変化をつけるようなこともしない。万が一、爆発したり、外部から圧力がかかっ たり、普通は起きない状況で、地震以外でも起きた場合に、放射能がどちらに流れるのか。いわゆるSPEEDIの問題ですね。これを事前に公表して、避難路 ができているのかと。そこを優先しろと言ったんですが、結局、大飯原発でも優先されなかったんですよ。実はここが一番、コストも時間もかかるんですね。

今の政権との違いは、再生可能エネルギーを過信しないこと。これは、アメリカのオバマ政権でグリーン・エコノミーがブレイクしなかったことを考えると、今の日本で太陽光パネルの量産というのは、GDPのプラスはあまりもたらさない。

他の再生可能エネルギーについては、国がもっとイニシアティブを取れるもの。あるいは、省エネ・新エネ、メタンハイドレートやシェールガスのような自前の 化石エネルギー。これらを全部やって、総合計画を作るのは“半年で出来る”と言ったら、またウソつきになっちゃうんですね。

国民が今一番イヤなのは“ウソつき”だと思うので、安全第一主義のもとで新基本計画を作ります。今、民主党のエネルギー基本計画で、原発は2020年に59基、2030年に64基ですから、まずこれをただちに撤廃します。

池田: 当面の再稼働についてはどういう風にお考えですか?

片山: 再稼働については、今の安全対策・安全性評価のやり方。それから4大臣に責任を負わせるというやり方。この4大臣は、はっきり言っ て専門家ではないですよね。おっしゃっていることも非常にあやふやで、余計に不安を煽った。今は我々の方で提案した独立の規制委員会があるわけだから、こ こでさらにきちっとした安全性基準を作っていただいて、客観的に、クールに、技術的にどうなのかということをやる。今の民主党政権と同じやり方ではありま せん。

田原: じゃあ、原子力規制委員会が再稼働を認めたらやるということ?

片山: いえ、そんなことないですよ。

田原: 規制委員会は、再稼働を認めるなんてことはしないと言っているよ。じゃあ、誰が決めるの?

片山: 最終的には、対応する官庁や専門家委員会を我々も作りますから、その判断なんですが。

田原: 政治家はなにもしない?

片山: そんなことないですよ。役所のトップには政治家がいますから。

田原: だから、自民党は何をするんだって聞いてるの。再稼働をするのかしないか。するとすれば、どういう形でするのか。それを聞きたいわけでしょ。


片山: 絶対に安全だと認められたら…

田原: 誰が安全だと認めるの?

片山: 最終的には政府ですよね。

田原: 政府って誰?

片山: 民主党は大臣って言ってるんだもん。

田原: 民主党じゃないのよ。これから選挙が終わって、自民党が政権をとったら、どうするんだって聞いてるの。

片山: 政府としてですね。あるいは最終的な責任は、内閣が負うんでしょうね。

田原: あなた自民党でしょ!そんな評論家みたいなこと言わないで!

片山: いえいえ、評論家じゃない。評論家は田原さん。話を戻しますが、政権として決定するならば、閣議決定ですよ。これは4大臣でしょ?

田原: 民主党は4大臣が決定したことを、閣議決定すると言ったんだよ。

片山: でも、閣議決定してないんですよ。なぜできないかって教えましょうか?エネルギー基本計画を変えてないからですよ。

田原: そんなのカンタンよ。9月14日に、2030年代に原発をゼロにすると言ったけど、9月19日に閣議決定ができなかったのよ。

片山: それは恐らく、民主党の中で、確信が持てない、自信が持てないことを、選挙目当てで言ってしまったってことじゃないですか。

田原: 選挙目当てじゃなくて!自民党はどうするかって聞いてるの。

片山: 自民党は現時点で、ゼロにするとは言っていないけれども、確実に安全性を考えるという点でいえば、原発依存度は下げていくわけですよね。

田原: なんで下げるの?

片山: 現時点で、確実に安全ということは言えないですから。

田原: 自民党はバカにするけど、民主党は2030年代に原発をゼロにすると言ったの。それに対して自民党はなんていうの?ないの?

片山: 自民党は中長期的に新しいエネルギーの計画を作ると…。

田原: あのね、甘利さん(※自民党 甘利明政調会長)は、僕の番組で「原発ゼロなんてありえない」と言ったよ。政調会長だよ!

片山: 甘利さんは政調会長かもしれないけれども、我々が党として決定したのは“安全第一だ”と。安易に動かさないと。それは決定してるんです。

田原: 彼は政調会長よ。

片山: でも、政調会長は個人として発言したんだと思います。

田原: いや、個人じゃないよ。政調会長として言ったのよ。ダメ?あんなもの信用しない?

片山: だって、我々は党として決定しているのは、この政権公約だけで、その中では“安全第一主義”と。安易に動かさないと言っているんだから。

田原: かつては3年間で考えていたのが、1年間で考えるようになったでしょ?なぜ、3年が1年になったの?

片山: それはまさにできるだけ急いでやらないといけないという総裁の判断だと思いますよ。

田原: 総裁は専門家じゃないよ。さっき、4大臣は専門家じゃないから、こんなやつの言うことはあてにならないって言ったじゃん!安倍さんなんて全く専門家じゃないよ。

片山: でも、この4人に比べたら…

田原: なんで3年を1年にしたんだと?

片山: それは早い結論を望むという、今の選挙の議論の中でそうしたんですよね。


意見

2012年06月18日 

自民党は女性の視点を完全にバカにしてるのがよく判るやりとりだ。
組織票があれば女なんか切り捨てられるってか?

政権与党は方針が決まっていれば、官僚に専門委員にプロセスを考えてもられるだろうが、野党は自分たちで方針からプロセスまでを決めなければならない。片山氏も解っているように、政治家は素人だから、そんなことできる訳無いのに無理してなんとかしようと思うからすぐにボロがでる。こういう内容で討論するのがわかっているのなら、党内で最も理解できている人がでてこないと話にならない。

方針やプロセスを決めたいという心がけは評価できるかもしれないが、素人集団がいくら討議しても変な国民感情にだけ対応した内容にしかならない。そういう意味では、分からないから対策をうちたてない橋下氏の方が潔い。それで期待されるかは別だろうが。

中国までわざわざ出かけて行き、現地で「多くの日本人は南京事件はあったと思っており、申し訳ないことをしたと思っている」などと、気が振れたとしか思えないような発言を中国に放映したり、朝鮮総連から金成日から電話があると聞いて号泣した民主党の辻元清美の応援演説をしている田原と池田氏が同じ場所にいることが不思議でならない。
冷戦時代に先進国で起こった赤狩りをうまくすり抜けた残党と自由主義者が同じ場所にいるのはあまりにも異様な光景に映る。 一水会の者が北朝鮮で田宮高麿と会談したがフラッシュバックしてくる。

原発に関しても、田原のような原発の構造の説明されても理解できない文系の者が、我々の代表である国会議員と同列に並び会談するのは世間に誤解を与えるだけ害悪以外の何者でもないわけで、でしゃばって出てくるべきではない。 国家議員の時間は国民の時間。 田原のようなものと会談して無駄に国民時間を使うべきではない。


田原は赤の残党仲間と一緒に北朝鮮へ移住し、そこで理想的な社会主義国家をつくったらどうだろう。 清美も忘れずに連れていくこと。  さようなら。 
■「福島事故天災説」が、脱原発を加速する -原発世論の捩れと総選挙-

12月16日投開票の衆院解散総選挙を控え、原発政策が中心テーマに成りつつある。
自民党以外の主要政党は、濃淡は在れど、「脱原発」という点では足並みを揃えている。

本来、今後の原発政策の将来像は、危険性、経済性、エネルギー安保、使用済み燃料処理、潜在的核抑止力等についての利害得失を、時間を掛け数値を基に組み立てて冷静に判断すべき問題である。

しかしながら、そう成っていないのには、いわゆる「原子力村」とそれを取り巻く経済界等が福島第一原発事故について「天災説」の立場を取っている事に原因がある。

福島事故は、様々な段階で防ごうとすれば防げた「人災」事故である。
そして、人災であるからこそ、合理的で有効な事故対策を打て、原発継続の選択肢が生まれるのであって、「天災」であればそもそも事故の再発を防げない。

表立っては、「痛切な反省の上に立って」等々の謝罪の言葉は聞かれるが、本音では原子力村の住人の多くは「仕方がなかった、想定外だった」と天災説を取っている。
その表れとして原子力村は、一部各組織のトップが形式上更迭されただけで、殆ど実質的な責任を取っていない。
ここに、日本の原発世論の捩れの元がある。

このため、政府の発表する諸情報の信頼性と今後の安全体制が明確な責任原理によって担保されない事が、心情的なものを含め世論の多くを脱原発に向かわせている。

特に、全電源喪失対策と警告されていた大津波対策の不作為、原発規制行政の経産省傘下への移行改悪、福島事故処理での混乱した指揮と情報隠蔽が重大である。
最低限これらについて、当該政権、原子力安全委、経産省、資源エネルギー庁、旧原子力安全・保安院、東電の各責任当事者が、刑事、民事、及び政治責任を取る必要がある。
総選挙の趨勢は混沌度を増している。
各党は、原発維持、推進、脱原発に係わらず、事故責任追及に切り込む姿勢を明示し国民の審判を仰ぐべきだ。
如何なる政権となっても、今後の原発政策の未来像は、その前提の下に策定されなければならない。
安全を理由に原発の廃止を考えるなら、近隣諸国の原発も廃止する必要がある。

近隣諸国が受け入れられる、代替発電技術と、放射性同位体の処分技術が必要。

2030年迄に廃止と言う議論は、この状況に持ち込むには、どれほどの新技術が必要かを考えない、空論。

必要な技術開発を、2030年迄に達成することを「目標とする」と言う話なら、まだしも。

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