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【新聞読み比べ】放射性物質拡散予測マップ いたずらに不安を煽るな
2012.10.25原子力規制委員会が24日、原発事故で福島第一原発に匹敵する事故が起きた場合に、放射性物質がどのように拡散するかを試算した「拡散シミュレーション」 を公表した。各自治体の防災計画づくりの参考となるよう作成したものだ。25日付新聞各紙、マップ入りで大きく取り上げている。
東洋建設買われる、水底の除染システム実用化、ビッグビジネスに - 12/10/24 | 11:19
東洋建設(1890)が買われ5%を超す値上り率となっている。「湖沼等における底質の除染システムが完成」と発表したことを好感している。放射性物質
(セシウム)が堆積した河川、湖沼、海洋、水路などの水域の底質除染システムを実用化し、環境省の実証事業において効果を確認したという。とくに、水底に
蓄積した放射性物質を拡散させることなく、98.7%という高い除染率で回収できる。マーケットでは、「放射性物質は地上の除染が進み、今は水底の堆積が
問題となっている。とくに、東京湾の海底にはかなりの量の放射性物質が積もっているといわれるだけに、同社にはビッグビジネスとして期待される」(中堅証
券)と、好感している。株式併合にともなう売買単位変更後の高値は236円(9月26日)で高値更新から上値が期待できる展開だ。
原子力規制庁 30キロ変更必要なし
10月25日 19時0分
国の原子力規制委員会が24日公表した原発事故が起きた際の放射性物質の拡散予測で、これまでの想 定を超えて原発から40キロの地点まで影響が及ぶとされた新潟県を、国の担当者が急きょ訪れ、「現時点で30キロという防災対策を重点的に行う目安の範囲 を変える必要ない」という考えを伝えました。新潟県を急きょ訪れたのは、原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁の金子修一原子力防災課長などです。
規制委員会が25日公表した原発事故が起きた際の放射性物質の拡散予測では、柏崎刈羽原発について、国が防災対策を重点的に行う目安の範囲としている30キロよりも遠い40.2キロの魚沼市でも、国際的な避難基準の放射線量に達するとされました。
これについて、金子課長は「あくまで試算結果であり、現時点で原発から半径30キロという目安の範囲を変える必要はないと考えている」と説明した一方で、「30キロを超えている魚沼市などでは、実情に応じて防災計画を作ってほしい」と述べました。
今回の試算結果については、事前にメールで知らされましたが、詳しい説明はなかったということで、新潟県の飯沼克英局長は「関係する市町村に国から十分に説明してほしい」と求めました。
説明のあと取材に応じた原子力規制庁の金子課長は「安心の観点から、自治体の判断で防災対策を重点的に行う目安の範囲を広げるという考え方もある」と話しました。
原子力規制委:全16原発の過酷事故シミュレーション 防災計画づくりの一助に
2012年10月25日原子力規制委員会が24日に公表した全国16原発での放射性10+件物 質拡散予測地図は、東京電力福島第1原発事故と同様の過酷事故が起きたとき、緊急避難の範囲はどこまで必要かを示している。過酷事故を前提にした予測地図 の公表は初めて。このうち東電柏崎刈羽など4原発では、国の「原子力災害対策指針」で住民避難などを充実させる30キロ圏を超えて拡散している。
地図は、地元自治体が来年3月までにまとめる地域防災計画の参考資料にするため、原子力規制庁と独立行政法人・原子力安全基盤機構が作製した。
対象は、福島第1原発を除く16原発で、(1)福島第1原発1〜3号機と同量の放射性10+件物 質が放出された場合(2)全原子炉で炉心溶融が起きた場合−−の2種類を試算。気象条件は一部原発を除き、昨年1年分のデータを使用。各原発の16方位 で、国際原子力機関(IAEA)が定める緊急時の避難の判断基準(事故後1週間の被ばくの積算線量が計100ミリシーベルト)に達する最も遠い地点を地図 上に表した。極端な気象条件を排除するため、上位3%のデータは除外した。
福島第1原発事故では、気象データを勘案することなく、政府は同心円状に避難指示を出し、拡散している方向に住民が避難する問題が発生した。
今回の地図は平均的な気象条件の下での試算であり、避難範囲がさらに広がることもあり得る。実際に事故 が起きたときは、うのみにすることなく、その時点の気象データを基にした柔軟な対応を考えなければならない。今後、原発周辺自治体は地域防災計画の策定作 業を本格化させるが、試算を示された地元の住民に不安が広がるとみられ、規制委は試算の限界を丁寧に説明し、より実効性ある防災計画づくりを支援していく 必要が求められそうだ。
◇福島第1原発、実態と試算に差
原子力規制委員会は、公表した試算の検証のために福島第1原発での拡散予測を実施した。実際の事故では航空機観測による測定で、福島県飯舘村のある北西方面に放射性10+件物質が広がったことが確認されている。これに対し、今回の拡散予測では北北西に流れていた。試算では、拡散に影 響を与える山岳地などの地形を考慮せず、放出時点での風向や風速で一方向に広がっていくという仮定で実施した。規制委事務局の原子力規制庁は「福島第1原 発での例から、試算は一定の評価はできる。しかし、架空の前提条件を基にした試算であり、実際の事故を想定したものではない。精度や信頼性には限界があ る」としている。
◆予測図の見方
◇青線−−福島第1事故と同量放出の場合
◇赤線−−全原子炉で炉心溶融が起きた場合
青線の図(左側)は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出 された場合。赤線の図(右側)は各原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力 比から算出した。例えば、東電柏崎刈羽原発7基の出力は821.2万キロワットなので、福島第1原発1〜3号機(計202.8万キロワット)の約4倍の放 出量と試算している。三つの同心円は原発からの距離。赤い点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で 100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。赤い点のない方位は、そちらの方向に吹く風の頻度が低 く、統計的に意味のある数値が出なかったことを示す。赤い点同士を結ぶ線は、原子力規制庁が便宜的に結んだもので、数値はない。
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石川町でリンゴ全箱検査へ 来月から県内初
石川町は11月から、町内産のリンゴの安全性をさらに証明するため、放射性物質を調べる全箱検査を始める。
検査結果をホームページで公表する際、生産者のコメントなどを併せて紹介し、町産のリンゴのPRにも役立てる。
県によると果物の全箱検査に乗り出すのは県内で初めて。
検査は町内赤羽のJAあぶくま石川果実共同選果場に設置した専用の検査機器1台で行う。
選果ラインの最終工程にあり、選果後の果実を収めた箱がベルトコンベヤーにより検査機器を通過する。
一般食品の放射性物質基準値(1キロ当たり100ベクレル)未満の箱に検査済みのラベルを貼る。
検査結果は番号で管理する。
番号はラベルに記してあり、消費者が町のホームページで番号を入力すれば生産者情報を閲覧できる。
検査機器はコメ全袋検査用の機器を生産している富士電機(東京)が、ラベルを貼る装置はサトー(東京)が、それぞれ無償で貸し出した。
検査機器はコメの検査で使っている機器の高感度型で、検出下限値は1キロ当たり25ベクレル。
検査結果をホームページで公表する際、生産者のコメントなどを併せて紹介し、町産のリンゴのPRにも役立てる。
県によると果物の全箱検査に乗り出すのは県内で初めて。
検査は町内赤羽のJAあぶくま石川果実共同選果場に設置した専用の検査機器1台で行う。
選果ラインの最終工程にあり、選果後の果実を収めた箱がベルトコンベヤーにより検査機器を通過する。
一般食品の放射性物質基準値(1キロ当たり100ベクレル)未満の箱に検査済みのラベルを貼る。
検査結果は番号で管理する。
番号はラベルに記してあり、消費者が町のホームページで番号を入力すれば生産者情報を閲覧できる。
検査機器はコメ全袋検査用の機器を生産している富士電機(東京)が、ラベルを貼る装置はサトー(東京)が、それぞれ無償で貸し出した。
検査機器はコメの検査で使っている機器の高感度型で、検出下限値は1キロ当たり25ベクレル。
30キロ圏外で避難線量 福島第二
原子力規制委は24日、東京電力福島第一原発事故クラスの過酷事故が、福島第一を除く全国の16原発で起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。
福島第二原発の合計出力からの予測では、避難が必要とされる線量(7日間で100ミリシーベルト)の、住民への影響が考えられる最も遠い地点は南方向32.5キロ(いわき市沖)だった。
福島第二原発は、全ての原子炉の合計出力に応じたケースのほか、福島第一原発事故と同じ放射性物質量のケースを計算した。
福島第二原発の合計出力からの予測で最も遠いのは、南南東方向32.8キロ(いわき沖)。
規制委は改定中の原子力災害対策指針で半径30キロ以内を緊急防護措置区域(UPZ)とする方針だが、範囲を超えた対策の必要性が浮き彫りとなった。
第一原発と同じ計77万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が放出した場合の試算では、最大が南方向22.3キロ(いわき市沖)で、避難が必要とする30キロ圏内に全て収まった。
予測には原発で実測した平成23年の1年間8760時間分の気象データを使用した。
福島第二原発の合計出力からの予測では、避難が必要とされる線量(7日間で100ミリシーベルト)の、住民への影響が考えられる最も遠い地点は南方向32.5キロ(いわき市沖)だった。
福島第二原発は、全ての原子炉の合計出力に応じたケースのほか、福島第一原発事故と同じ放射性物質量のケースを計算した。
福島第二原発の合計出力からの予測で最も遠いのは、南南東方向32.8キロ(いわき沖)。
規制委は改定中の原子力災害対策指針で半径30キロ以内を緊急防護措置区域(UPZ)とする方針だが、範囲を超えた対策の必要性が浮き彫りとなった。
第一原発と同じ計77万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が放出した場合の試算では、最大が南方向22.3キロ(いわき市沖)で、避難が必要とする30キロ圏内に全て収まった。
予測には原発で実測した平成23年の1年間8760時間分の気象データを使用した。
新潟県 原発防災計画見直しも
10月25日 16時47分
原発事故が起きた際、これまでの想定を超えて原発から40キロの地点まで影響が及ぶなどとする国の 原子力規制委員会の試算結果を受けて、新潟県の泉田知事は、防災対策を重点的に行う地域を、半径30キロ圏内に拡大する方針について、さらに見直すことも ありえるという考えを示しました。24日公表された原子力規制委員会の試算では、柏崎刈羽原発で福島第一原発と同じような事故が起き た場合、国が防災対策を重点的に行う目安の範囲としている半径30キロよりも遠い、原発から40.2キロの距離にある魚沼市でも、国際的な避難基準の放射 線量に達するとしています。
これについて、新潟県の泉田知事は25日の会見で、「魚沼市は豪雪地帯でもあり、住民にどう避難してもらうかが課題に なってくる」と述べて、現在、進めている県の防災計画の見直しで、防災対策を重点的に行う地域を原発から半径30キロ圏内に拡大する方針をさらに見直すこ ともありえるという考えを示しました。
また、試算結果の説明が事前に十分行われなかったことについて、泉田知事は「シミュレーションの前提や考え方を確認する必要がある。原子力規制委員会の委員には、住民の命と暮らしを守るという考えが欠けている」と述べて、不快感を示しました。
原子力規制委:放射性物質拡散予測地図 伊方原発「30キロ超えず」 信頼性には疑問の声も /愛媛
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日公表した、福島第1原発事故のような事故発生時の各原発の放射性10+件物質拡散予測地図で、四国電力伊方原発(伊方町)では放射線量が国際原子力機関(IAEA)の避難基準に達する最も遠い地点は南南西21・9キロの海上と示された。国の防災指針案で約30キロ圏とされる緊急防護措置区域(UPZ)に収まった。
IAEAの基準は事故後1週間の内部・外部被ばくの積算線量で計100ミリシーベルトと設定。予測地図 は昨年1年分の気象データから方位別に基準値到達の距離を出し、伊方原発では遠い順に▽南南西21・9キロ▽北北西11・7キロ▽南西10・8キロ▽北 9・9キロ−−などとなった。予測地図は自治体が防災計画策定にあたる際の参考資料だが、地形などは考慮しておらず、規制委も「精度や信頼性に限界があ る」と認めている。
県原子力安全対策課の大西範幸課長は「参考にするかを決める前に詳しい説明を受けたい」と評価を留保。 市民団体「伊方原発をとめる会」の和田宰事務局次長は「拡散は風や雨など偶然の状況でもたらされ、確率論で判断できない。1週間で100ミリシーベルトの IAEA基準も高すぎる」と信頼性に疑問を呈した。【中村敦茂】
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◇図の見方
左の図は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性10+件物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出された場合。右のは各原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性10+件物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出した。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。
原子力規制委:災害対策指針案 移動困難者対策など課題残る 避難先の確保は順調 /鳥取
毎日新聞 2012年10月25日 地方版24日の原子力規制委員会でまとめられた「原子力災害対策指針案」。原発事故が発生した際の住民の避難 対策などを充実させる地域を現行の8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大することなどが明記された。毎日新聞は30キロ圏に含まれる計21道府県を対象に原 発防災対策の準備状況についてアンケートを実施。鳥取は避難先の確保など避難計画の準備が順調に進んでいる一方で、自力で移動が困難な人たちの移動手段の 確保などではまだ課題が残っていることが明らかになった。【田中将隆】
■拡大が後押し
防災対策の重点区域が8〜10キロ圏から30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に拡大されたことを、 県は「評価する」と回答。昨年12月に、県は米子、境港両市と島根原発(松江市)についての包括的な安全協定を中国電力と結んだ。周辺自治体として安全協 定を結ぶのは全国で初めてだった。
「立地自治体」とは一定の差がある内容だったとはいえ、それまで交渉のテーブルに着こうともしなかった中国電が協定を締結した背景にあったのは、境港市全域と米子市の一部が30キロ圏に入っており、既に当時、区域の拡大が確実視されていたことがある。
現在は、協定の内容を「立地自治体並み」に深化させようと、来月1日にも改定を申し入れる方向で調整を進めている。
■地域防災計画
原子力防災についての内容を盛り込んだ地域防災計画の策定時期は、国が求める「3月までには策定でき る」とした。現在は、内容の一部となる「避難計画」の概要ができ上がった状況。年内に素案をまとめ、来年1月にはパブリックコメントを実施したい意向だ が、安全協定の改定内容も盛り込む必要があり、予定通りに進められるかは不透明な部分も残っている。
■UPZの対象範囲
UPZの対象となる範囲の線引きは「未定」とした。考え方は(1)市町村などの行政区に関係なく、30 キロ圏の同心円内に機械的に含まれるエリア(2)同心円にかかる市町村のうち、対象エリアを行政区ごとに区分(3)同心円に一部でもかかる市町村は全エリ アが対象−−の大きく三つが挙げられる。県内では、境港市は全域が30キロ圏に入るため、一部がかかる米子市の扱い方が焦点になる。県は現在、米子市と対 象エリアについて協議中だが、30キロ圏で機械的に線を引く(1)は難しいと考えており、(2)の線で検討を進めているという。
■避難計画
原発事故などが発生した際の避難先の確保は、一般避難者については「できている」と回答。両市合わせて6・5万人の住民を鳥取市や倉吉市などの公共施設に移すことを計画しており、受け入れ側の了解も取れているという。
一方で、介護施設の入所者など自力での移動が困難な人たちの輸送手段は「確保のめどが立たない」とし た。避難者の数に対して、患者を輸送する特殊車両などの数が絶対的に足りていないのが現状だ。これらの問題は、中国運輸局や民間にも協力を依頼する形で解 消を目指しているという。
自家用車による避難は「自家用車と公共交通機関の最適な避難の組み合わせを検討」と、実質的に容認する 方向で検討中。当初は、自家用車での移動は規制も検討したが、福島第1原発事故の際に約7割が自家用車で避難したというデータなどが明らかになったことか ら、実態に合わせて認めることにした。自家用車の利用をどの程度まで認めるかは、今後の検討課題という。
■安全協定の改定
原発の安全協定は既に締結済みだが、現行の安全協定では、増設計画や改造工事への事前了解や原発への立ち入り調査権などが完全には認められておらず、立地自治体と「格差」が残る。
県や両市は改定を目指しているが、再稼働の事前同意を電力会社に求めるかは「検討中」とする。23日の 定例記者会見で、平井伸治知事は「再稼働の同意は、立地自治体も協定では明文化されていない。事実上の慣習としてやっているような位置づけ」との認識を示 しており、改定でどこまでの内容を中国電側に求めていくのかが注目される。
■放射能対策
原発事故時の現地拠点となるオフサイトセンターは県内にないため、県は松江市のオフサイトセンターに職員を派遣し、情報収集に努めることにしている。センターの代替施設を県内に設ける可能性はゼロではなく、その場合は既存の施設に設備を増強する形で検討するとしている。
PPA(放射性ヨウ素防護地域)となる50キロ圏への安定ヨウ素剤の事前配布については「配布を検討し ている」とした。対象区域内の住民数を約16万人と概算しており、現在は医療機関などへの備蓄を基本とし、学校への事前配布を検討している段階。各戸配布 については、国の防災指針の中身を検討した上で、考えていくという。
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◇図の見方
左の図は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出された場合。右の図は各原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出した。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。
原子力規制委:放射性物質拡散予測 県・立地市町、反発相次ぐ /福井
毎日新聞 2012年10月25日 地方版「これを見て防災計画を作れと言われても……」。原子力規制委員会が24日、福島第1原発事故と同じような事故を想定した放射性10+件物質の拡散予測地図を公表し、県や立地市町から反発が相次いだ。一方、立地自治体の住民は事故の影響の大きさを改めて感じ取っていた。【佐藤慶、松野和生、柳楽未来】
◇県「現場を真剣に考えて」
「あいまいな試算結果で立地地域や国民を不安がらせるだけ」。県が規制委に提出した意見書には、厳しい 表現が並んだ。県庁で記者会見した石塚博英・安全環境部長は、現時点では地域防災計画の策定は困難との見解を示し、「国は真剣に現場のことを考えてほし い」と注文をつけた。県が問題視するのは、拡散予測と地域防災計画の関係の不明確さだ。県や市町は、月内に決定する原子力災 害対策指針を基に、防災計画を来年3月までに策定する予定。拡散予測は、防災対策を重点的に充実すべき地域を決める際の参考資料との位置づけだが、どのよ うに防災計画に反映させるかは書かれていない。石塚部長は「参考で出して、あとは地方で決めてというのでは(いけない)。国が責任を持って決めてほしい」 と批判した。
また、福島事故以上の事故が起きるという条件も問題視。石塚部長は「福島事故以上というと、どこまでも想定できる。根拠もはっきりしていないし、想定もおかしい」と話した。
◇立地自治体「説明受けてない」
敦賀市の河瀬一治市長は報道陣の取材に対し、「平地で計算してあるが、敦賀は山間部が多い。地域が混乱するだけで、これを見て防災計画をつくりなさいと言われても簡単にはできない。防災は国が前面に出て進めるべきものだ」と述べた。また、立地町の各町長も予測を疑問視するコメントを出した。
おおい町の時岡忍町長は「仮定については疑問点が多数見受けられる。今回の結果をどう位置づけ、取り扱 うかが不明で、国に対して十分確認したい」。高浜町の野瀬豊町長も「避難だけではなく、シビアアクシデント(過酷事故)などの事故を起こさない、起きた際 はどう制圧するかなど具体的な対策を示すことが先決ではないか」と指摘した。
美浜町の山口治太郎町長は「何ら説明を受けていない。原発立地自治体に対して、少なくとも公表前に詳細な説明があってしかるべきで、今般の手続き、手法については疑問を呈さざるをえない」と不快感を示した。
◇敦賀市民「逃げようがない」
敦賀原発や美浜原発の事故で、敦賀市の大部分に高線量の放射性物質が飛散するとされた。同市の主婦 (70)は予測地図を見て、「これでは逃げようがない。敦賀が福島のようになってしまう」と驚いた。原発には賛成というが、「道路は脆弱(ぜいじゃく) で、避難が放射性物質の飛散スピードに追いつかないと思う。原発の安全性を高め、事故が起きないことを願うしかない」と厳しい表情だった。市内の無職男性(79)は「逃げられたとしても、この地に住めなくなってしまう」と話した。福島第1原発が次々と水素爆発した映像が忘れられないという。「事故時の想定より、早く原発を止めてほしいという思いだけだ」
出産のため東京都から帰郷中の主婦(39)は「特に小さい子どもがいる人にとっては、避難だけでなく安全な水や食べ物の確保が重要になってくる」と話し、福島事故の時の経験を思い出していた。
志賀原発:放射性物質拡散予測 影響、懸念する声 自治体関係者「規制委は説明を」 /石川
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日公表した放射性10+件物 質の拡散予測は、北陸電力志賀原発(志賀町)で深刻な事故が起きると近隣の七尾、羽咋両市と中能登町まで住民が高い線量の放射線に被ばくする可能性を示し た。東京電力福島第1原発事故と同レベルの事故で、最大で志賀原発から約20キロの羽咋市内の地点までが国際原子力機関(IAEA)の避難基準に達すると 試算。自治体関係者らからは地域防災計画への反映のため国に説明を求めたり、予測が示した影響を懸念する声が上がった。【松井豊、宮本翔平】
■“詳細な説明を”
規制委の予測は風向を16方位に分け、どの地点で7日間の積算の被ばく線量がIAEAの避難基準の100ミリシーベルトに達するかを試算。地形は考慮していない。
志賀原発の出力を考慮した想定では、基準に達したのは同原発から南南東に19・6キロの羽咋市内の地点が最も遠かった。七尾市は同原発の東北東16キロの能登島近くの地点が含まれた。輪島市や穴水町では達した地点はなかった。
同日午後、谷本正憲知事は報道陣に「原発立地自治体には、原子力規制委から事前に詳細な説明があるべき だが、資料が送られてきただけ」と不快感を示した。志賀町の小泉勝町長は「現時点で国から説明はないが、十分に県と連携して町民の安全、安心に向け、地域 防災計画を見直す」とコメントした。
能登半島先端の輪島、珠洲両市と能登、穴水両町の奥能登地域は、志賀原発より北にあり、深刻な事故の発 生で陸路が分断され、孤立する可能性が指摘されている。輪島市の梶文秋市長は同日発表したコメントで「今回の予測で奥能登地域の孤立化が明白になった」と 指摘。その上で「市民の避難手段を国、県に確立してほしい」と要請した。
また、志賀町や中能登町の担当者からは「地域防災計画策定のため、国が指針を示すべき」「規制委は予測を『参考値』という。どうとらえたらいいか、説明してほしい」などの意見が出た。
一方、ヨウ素剤の配布活動などをする羽咋市の自主防災組織「命のネットワーク」代表、多名賀哲也さん (69)=同市=は「30キロ圏外の場所で高い線量を記録した福島の事故を考えると、警戒するべき影響が羽咋市内の19・6キロまでしか及ばないというの は疑問。想定が甘いのではないか」と疑念を浮かべた。
■近隣自治体との“安全協定”問題
拡散予測の公表で、UPZ内にある七尾、羽咋両市、中能登町の2市1町が北陸電に締結を求めている安全協定の行方に注目が集まる。同社は県、志賀町と協定を締結。“紳士協定”的な関係により、原発の再稼働など重要な行動を起こす場合、県と同町の事前同意が前提となる。
この協定で2市1町は「立会人」の立場で、事前同意を求められることもない。県や志賀町と同じ立場での協定締結を北陸電に求めているが、交渉は進んでいない。
七尾市の担当者は「市内に甚大な被害が出て、住民が故郷に帰れなくなる可能性もあることが確認された」 と話す。「引き続き、北陸電に安全協定締結を求めたい」とする。中能登町の担当者も「試算では町内に直接、影響が出るとされた。志賀町などと同等の安全協 定を結ぶ必要がある」と話し、協定締結の必要性を訴えた。羽咋市の担当者も同様の反応を示した。
原子力規制委:放射性物質、拡散予測 “別建て”で県活用 地形や気象、現実離れ /滋賀
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日発表した、全国各地の各原発事故を想定した放射性10+件物 質拡散シミュレーション。嘉田由紀子知事が「ようやく出した」と言及した国のデータだが、県が昨年、全国に先立って実施した独自の拡散予測とは前提が大き く異なる。県は“別建て”の試算として、地域防災計画や原子力安全協定の早期締結に生かす方針だ。【姜弘修、加藤明子】
■想定の違い
今回の国の試算は県が提供を求めている緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)ではなく、別の手法を使用。放射性10+件物質の放出量は県の想定より大きい。
県の予測を担当した琵琶湖環境科学研究センターの山中直・環境監視部門長によると、風向き、風速などが1週間一定で、地形も平たんという「あり得ない想定」を置き、現実の地形や気象を前提とした県とは大きく異なる。確率は低いが起こり得る一部の風向きも除外されている。
そもそも試算する線量の指標が県とは別物で「同じミリシーベルト(m〓)でも単純比較はできない」(山中氏)。国の方は放射性10+件物質が飛散する方向よりも「どこまで到達するか」に着目した方が良いという。
■琵琶湖
国が出した図A、B=右面参照=を眺めると、国の拡散予測でも琵琶湖汚染の可能性が示されているように見える。ただ、影響の度合いが数値で示されておらず、これだけで琵琶湖への影響を推し量るのは難しいという。琵琶湖への影響は放射性10+件物質の水面への降下と、河川などからの流入の双方を考慮する必要があり、同センターが昨年度行った拡散予測と同様、独自モデルを応用して琵琶湖への影響予測を進めており、その結果が待たれるところだ。
■安全協定
県は現在、関西電力など事業者側と原子力安全協定の締結を急ぐが、関西電力は今月17日、原発の立地自 治体と隣接していないことを理由に、長浜市を協定対象から除外する協定案を示した。今回の国の拡散予測は、県や長浜市が「被害と行政区域は関係ない」と反 発するさなかに示され、嘉田知事は「大気はつながっており、行政で区切る不合理さを関電にも自覚してもらいたい。国も責任を持って事業者を指導してほし い」と語った。
石川・志賀原発:放射性物質拡散 100ミリシーベルト以下も明示して IAEA判断基準、県内地域超えずも予測望む声 /富山
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日に公表した北陸電力志賀原発(石川県志賀町)からの放射性10+件物 質の拡散予測地図によると、県内では国際原子力機関(IAEA)が定める避難の判断基準(7日間の被ばく線量が100ミリシーベルト)を超える地域はな かった。行政の防災担当者は「一つの参考資料にはなる」とする一方、福島原発事故ではそれ以下の被ばく線量でも居住を制限していることから、「100ミリ シーベルト以下の拡散予測も示してほしい」との声が上がった。【大森治幸】
志賀原発の予測地図ではIAEAの避難基準に達する最も遠い地点は、石川県羽咋市内にある同原発の南南 西19・6〜20・2キロ地点だった。しかし、国は福島原発事故後、1年間の被ばく線量によって立ち入りができない「帰宅困難区域」(50ミリシーベルト 超)や一時帰宅できる「居住制限区域」(20ミリシーベルト超〜50ミリシーベルト以下)など3区域を設定し、居住を制限している。
このため、志賀原発から30キロ圏内に一部地域が含まれる氷見市の地域協働課は「今回のシミュレーショ ンは、三つの避難区域の基準とマッチングしていない」と指摘。「100ミリシーベルトにかからなかったからといって安心している訳ではない」と強調した。 堂故茂市長も「100ミリシーベルト以下の拡散データが示されておらず、委員会ではさらに調査を進めてほしい」とするコメントを発表した。
また、原子力規制委員会は原発事故が発生した際、住民の避難対策などを充実させる地域を30キロ圏に拡 大することなどの対応策を定めた「原子力災害対策指針案」をまとめた。これによって、富山県でも氷見市が30キロ圏に入ることから、県や市は来年3月まで に防災計画をまとめなければならない。計画策定作業が難航する行政を尻目に住民独自で避難について考える動きも出てきた。
同市八代地区では「高齢者の足に」と、コミュニティーバスを住民有志で運行している。このほど、避難時 にもこのバスを活用する方針を固めた。しかし、実際の避難時に高齢者が住む家を1軒ずつ訪ねるのは不可能。同地区の住民で組織する八代環境パトロール隊本 部長の森杉國作さん(71)は「実際は近くの公民館に集まってもらわないといけないが、高齢者が高齢者を避難させる状況に変わりない。完全に運びきれるの か、困った問題だ」と顔を曇らせた。現場は手探りが続きそうだ。
原子力規制委:放射性物質拡散予測 過酷事故時の予測「過小評価のお墨付きに」 県内の反原発グループ懸念 /佐賀
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が過酷事故が起きた際の放射性10+件物質の拡散予測を公表した24日、九州電力玄海原発(玄海町)を抱える県内の反原発グループからは、委員会の予測が、安全対策を弱める口実に使われることを懸念する声が聞かれた。【竹花周、渡部正隆】
市民団体「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」の野中宏樹共同代表は「万一の事故が起きても、この程度の被害で済むという過小評価のお墨付きに使われはしないか」と危惧を示す。
「福島第1原発のメルトダウンを上回る事故だって起こりうる。この規模の事故の安全対策さえすれば原発の再稼働は可能だという布石にされかねない」と指摘した。
一方、九電と原子力安全協定を結ぶための協議をしている県市長会長の横尾俊彦・多久市長は「地形情報も考慮されない分析で、有効な予想データと言えるのか」と指摘。「表示された線の位置で放射性10+件物質の影響が止まる訳ではなく、かえって誤解を与えはしないだろうか」として、規制委に「高度な分析シミュレーションを期待したい」と求めた。
また、九電との間で立地自治体と同等の安全協定締結を求めている伊万里市は、今回の予測を“追い風”と捉えている。
原子力規制委:放射性物質拡散予測 府内も広域に影響 知事「防災計画策定に全力」 /京都
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日公表した放射性10+件物 質拡散予測で、福井県の大飯、高浜両原発に事故があった場合に、府内に影響が及ぶ可能性が改めて示された。大飯原発でUPZ(緊急防護措置区域)30キロ 圏を超えて国際原子力機関(IAEA)の避難判断基準に達するとされた地点は、京都市と南丹市の境界付近。山田啓二知事は定例記者会見で「京都にも大きな 影響があることを確認した。専門家の意見を聞きながら、府や市町村の防災計画策定に全力を注ぐ」と述べた。
府は今年3月、国の「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)を使って、高浜原発での事故 を想定し、地形も考慮に入れた拡散予測を公表した。舞鶴市で避難基準に達したほか、UPZ圏を超える50キロ圏の右京区などが屋内退避基準の範囲に入って いた。山田知事は「SPEEDIの結果から、広域に影響が出ることは分かっていた」として、着手している避難計画の策定作業を継続する考えを示した。
来月2日に国が開く関係自治体を集めた会合で詳細な説明を求めるとともに、二つの予測結果の相違点などについて府原子力専門委員に意見を求める。
一方、関西電力との原子力安全協定締結に向けた協議は進んでいない。山田知事は「避難が必要な自治体に重要な情報が届かないのはおかしい」と述べ、通報などを含む安全協定の早期締結を求めた。
◇避難計画変更、南丹市「不要」
南丹市は、大飯、高浜両原発それぞれの30キロ圏を前提に今年3月、暫定的な避難計画を策定し、今月 21日に住民約150人や自衛隊などが参加する初の避難訓練を実施したばかり。ただ、高浜原発を想定した計画では、30キロ圏外も含む旧美山町全体を避難 区域としており、今回の予測を踏まえても、市総務課は「大きな変更は不要だろう」と冷静に受け止める。しかし、今後の国や府の方針次第で、対象区域が広が る可能性もあり、「来年3月までに本格的な計画を決めるには厳しい日程であることは変わりない」と話した。【古屋敷尚子、林哲平】'12/10/25
島根原発の対策拠点が被曝圏
原子力規制委員会が24日公表した放射性物質の拡散予測で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)で事故が起きた際の対策拠点となる島根県の オフサイトセンター(同市内中原町)が被曝(ひばく)エリアに入った。県は、被曝の影響を受けにくい安全な代替拠点を選定する必要性をあらためて突き付け られた。拡散予測によると、原発南東約9キロに位置する同センターは、1週間の積算被曝線量が100ミリシーベルトになるエリア。機能不全に陥った場合の代替拠点となる同13キロの県松江合同庁舎(同市東津田町)も同様で、エリアは最大24・2キロに達する。
「30キロ圏外に安全な代替拠点を確保する、との思いは変わらない」。県総務部の細田晃参事は予測結果を冷静に受け止める。
県は本拠地の安全性向上も重要として、11月に空気浄化フィルターの設置など放射性物質の防護対策に着手する。県庁に隣接し事故発生時の対応に好都合で「一定時間は移動させない」(溝口善兵衛知事)とする。
ただ福島の事故では原発20キロ圏が避難指示区域となり、原発約5キロのセンターが機能しなかった。事故発生時に指揮する原子力規制庁島根原子力規制事務所の竹広智治所長は「対策拠点を移動させる場合の基準を国が早急に示す必要がある」と認める。
【写真説明】放射性物質の拡散エリアに入った島根県のオフサイトセンター
'12/10/25
高線量、松江―安来市に及ぶ
原子力規制委員会は24日、中国電力島根原子力発電所(松江市)など全国の16原発で、東京電力福島第1原発のような過酷事故が起きた場合の放射 性物質の拡散予測を公表した。避難の基準となる事故後1週間の積算被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトに達する高線量エリアは、松江市中心部を含み 南東に24・2キロ離れた安来市まで及んでいる。政府が過酷事故を想定して各原発の拡散予測図を公表したのは初めて。国際原子力機関(IAEA)が避難の判断基準とする100ミリシーベルトのエ リアを示した。自治体が来年3月までに防災計画を見直す資料にする。島根県は対策拠点のオフサイトセンターが南東約9キロにあり、代替施設の選定にも影響 する。
島根原発では、100ミリシーベルトのエリアは陸上では南東の方角に広がる。一部は安来市に達し鳥取県境にも近い。
予測は、各原発の全原子炉で炉心溶融など過酷事故が発生した場合などを想定。各原発の過去の風向きや風速など1年分の気象データを基に試算した。地形などの条件は反映していない。
試算は既設原発が対象だが、原子力規制庁は「完成が近い」として島根原発3号機も含めた。
規制委は、事前に事故に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)圏に拡大する方針。
原子力規制委:柏崎刈羽原発の過酷事故想定 30キロ圏外も「避難」 40キロ超の魚沼市、防災計画見直しへ /新潟
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日に公表した柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)からの放射性10+件物質拡散の試算では、原発から40キロ以上離れた地域でも、避難が必要な量の放射線被ばくが想定された。30キロ圏を目安に、住民避難を考えてきた県内の自治体には戸惑いが広がった。【高木昭午、神田順二】
事故後1週間の被ばく量が、避難が必要な値の100ミリシーベルトに達し得るとされたのは、原発から東南東方向にあたる魚沼市内の距離40・2キロ地点や、南南東方向にあたる十日町市内の35・4キロ地点だ。
魚沼市はこれまで、30キロ圏内からの避難者を受け入れる側だった。大平悦子市長は「(試算結果を)大変重大なこととして受け止めている。(避難の準備が必要な)40キロ圏域に対応できる防災計画の練り直しを行いたい」と話した。
十日町市は20〜50キロ圏に位置する。「30キロ圏内に住む市民約5000人の避難では、市内の30 キロ圏外地点に集合場所を設けようと考えてきた。35キロだと避難者が増え、一方で集まれる場所は減る。市内で対応し切れるか分からない」と市防災安全課 は話す。そして「35・4キロは試算の最大値でなく『97%値』だというが、分かりにくい。最大値も含め全データがほしいとの声もある」と指摘する。
関口芳史市長は「試算はすべての事象をカバーしたのではない。一つの参考として県や県内の市町村と連携しながら対応したい」とコメントを出した。
原子力規制委は、極端な気象を排除するため、拡散分布地点の遠い上位3%に入るデータは除外し「97% 値」を示したとしている。同規制委事務局の原子力規制庁原子力防災課は「旧原子力安全委員会の指針に基づき97%値を公表した。自治体や住民の要望が強け れば最大値の公表もあり得る」と言う。
県内全30市町村で作る「原子力安全対策に関する研究会」で事務局を務める、長岡市原子力安全対策室は 「試算結果に基づけば魚沼市、十日町市で避難者が計2万〜3万人増えそうだ。研究会では、避難者を出す自治体は他からの避難者を受け入れないと決めてお り、他の市町村の避難先も変わり得る」と話す。
泉田裕彦知事は「試算結果の内容や考え方について、県を含む県内の自治体に対して丁寧に説明するよう、国に求めたい」とのコメントを出した。
◇試算結果に注意点 避難範囲再考、最大値考慮も必要
原子力規制委員会は原発の重大事故を想定し、放射性物質の広がりを試算して公表した。柏崎刈羽原発では、原発から40キロ離れても避難が必要な放射線被ばくがあり得るとの結果が出た。30キロ圏を目安に事故時の避難準備を進めてきた県や各市町村には衝撃的だ。試算結果を読むうえで、注意したい点が二つある。
一つは、公表された「事故後1週間で累積100ミリシーベルトの被ばくがあり得る距離」は、さまざまな 条件による試算中の最大値ではなく、最悪の場合は2倍以上の88キロにも延びかねないこと。もう一つは、試算期間が1週間に限られ、放射性物質が地表に沈 着して「1年間で100ミリシーベルト」などの被ばくをもたらす事態は考慮していないことだ。
国は今回の試算で、柏崎刈羽原発で昨年1年間に実測された気象データを使った。
まず、1月1日午前0時に事故が発生したと仮定。この時の風向きや風速が1週間そのまま続くとの条件 で、放射性物質が広がって住民に内部被ばくと外部被ばくを合わせ100ミリシーベルトの被ばくをさせる距離を、コンピューターで計算した。次に仮定する発 生時刻を午前1時、2時などにずらして同様に試算。12月31日まで365日×24時間分の気象データを使い、8760通りの試算結果を出した。
公表された「東南東方向の魚沼市で40・2キロ」などの数値は、原発からの方位別に、8760通りずつ ある試算結果のうち、距離の遠い方から数えて263位の値だ。上位3%にあたる1位から262位までを捨て、最下位から97%目の数値を採用しているため 「97%値」と呼ばれる。参考として東南東方向だけは1位の値「88・1キロ」も公表された。
原子力規制委事務局の原子力規制庁は「旧原子力安全委員会の指針に基づき、上位3%の値を切り捨てた。極端な気象条件を排除する意味だ」と説明する。
だが何を「極端」とみるかは人によって違う。切り捨てられた気象条件は年間11日余に相当する。最大値も知った上で避難計画を検討する必要はないか。
放射性物質の地表への沈着も無視できない。岐阜県は9月、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の事 故を想定した放射性物質拡散の試算を発表した。切り捨てをせず最悪の気象条件を想定すると、原発から約100キロの同県可児市や多治見市、約70キロの大 垣市などで沈着による空間放射線量が年20〜100ミリシーベルトに達し得ると出た。緊急避難は不要でも、いずれ住めなくなる値だ。
試算は、地形を考慮していないなど、現実を単純化した部分がいくつもある。結果が過大評価か過小評価か 分からない。だが30キロ圏を目安に避難を考えてきた行政に疑問を投げかけたことは間違いない。国も県も市町村も、もう一度慎重に、避難範囲を考え直すべ きだ。【高木昭午】
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■放射性物質の拡散予測■
原発からの方位 原発からの距離(キロ) 地点の所在地
北北東 5.1 柏崎市
東北東 8.7 〃
東 31.6 長岡市
東南東 ※40.2 魚沼市
南東 35.0 〃
南南東 35.4 十日町市
南 22.8 柏崎市
南南西 23.6 上越市
注・柏崎刈羽原発の全原子炉で炉心溶融が起きた場合の放射性物質放出量を仮定した計算。方位ごとに被ばく量が避難基準となる7日で100ミリシーベルトに達すると試算された地点。※陸側で最大地点
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◇図の見方
左の図は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出された場合。右は各原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された遠方の地点を表す。
過酷事故での放射性物質拡散予測 原子力規制委
2012年10月25日(木)
原子力規制委員会が24日公表した四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)周辺への放射性物質の拡散予測に対し、県原子力安全対策課は「資料が届いているだけ
で詳細は分からない。国の説明を早急に聞きたい」とコメント。今回の結果も踏まえ県は、地域防災計画原子力災害編を2012年度末までに見直す方針だが、
国の対応遅れで焦りの色がにじむ。
被害が広範囲に及んだ東京電力福島第1原発事故を受け、国は事故に備える防災対策重点地域の範囲を見直すため拡散予測を実施。3月に松山市で あった県原子力防災対策検討協議会では、旧経済産業省原子力安全・保安院の担当者が「できるだけ早期」と5月の連休前後にまとめる見通しを示していたが、 規制委の発足遅れでずれ込んだ。
被害が広範囲に及んだ東京電力福島第1原発事故を受け、国は事故に備える防災対策重点地域の範囲を見直すため拡散予測を実施。3月に松山市で あった県原子力防災対策検討協議会では、旧経済産業省原子力安全・保安院の担当者が「できるだけ早期」と5月の連休前後にまとめる見通しを示していたが、 規制委の発足遅れでずれ込んだ。
東日本大震災:放射性・指定廃棄物処分場、26市町村「受け入れない」−−毎日新聞調査 /群馬
毎日新聞 2012年10月25日 地方版◇県内自治体「住民の理解困難」
東京電力福島第1原発事故で発生した1キロ当たり8000ベクレル超の放射性10+件セ シウムを含む「指定廃棄物」の最終処分場の建設を巡り、毎日新聞が県内35市町村にアンケートを実施したところ、26市町村が最終処分場を「受け入れられ ない」と回答した。残る9市町も受け入れの可否について明言を避けており、国が進めている建設候補地の選定が難航するのは必至だ。【喜屋武真之介】アンケートは今月16〜23日に各自治体の担当にファクスで質問票を送信、中之条町を除く34市町村が回答した。設問は6問で、受け入れの可否やその理由などを尋ねた。
「受け入れない」と回答した市町村のうち、沼田市や安中市、神流町などの多くが「住民の理解を得られな い」などと住民からの反発を予想している。草津町や嬬恋村は観光や農業への風評被害を理由に挙げた。また、水源地の自治体は「万が一汚染された際の影響が 大きい」(上野村)と懸念を示した。
「指定廃棄物をどう処分するのが最適か」との質問では、太田市や川場村などが「指定廃棄物が排出された 自治体内に処分場を設置することが最適」などと、県が当初国に提案していた発生自治体ごとに処分場を分散させる方法を主張した。また、みなかみ町は「福島 第1原発周辺を最終処分地とすることが妥当」と指摘。「国の責任」による処分を強調する自治体も目立った。
また、受け入れの可否について回答しなかった自治体のうち、指定廃棄物を保管する前橋市は「客観的指標に基づき候補地の選定を進め、選定の経過も含めて住民理解を得るよう丁寧に事務を進めてほしい」と回答した。
県内で発生した浄水発生土や汚泥焼却灰など計約1039トンの指定廃棄物について、国は県内1カ所に最終処分場を新設して処理する方針を示している。しかし、国が建設地を示した栃木県矢板市と茨城県高萩市では住民の反発で、建設の実現は不透明な状況となっている。
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◇指定廃棄物最終処分場建設のアンケート結果
【受け入れない】太田市▽沼田市▽館林市▽富岡市▽安中市▽榛東村▽上野村▽神流町▽下仁田町▽南牧村▽甘楽町▽長野原町▽嬬恋村▽草津町▽高山村▽東吾妻町▽片品村▽川場村▽昭和村▽みなかみ町▽玉村町▽板倉町▽明和町▽千代田町▽大泉町▽邑楽町
【回答できない】
前橋市▽高崎市▽桐生市▽伊勢崎市▽渋川市▽藤岡市▽みどり市▽吉岡町
【無回答】
中之条町
原子力規制委:放射性物質拡散予測 東海第2原発、国説明なく地元困惑 UPZとの関連不明 /茨城
毎日新聞 2012年10月25日 地方版◇東海第2原発=日本原子力発電(東海村)
原子力規制委員会が24日公開した原発事故時の放射性10+件物 質拡散予測地図で、日本原子力発電東海第2原発(東海村)では、避難の必要な高線量レベルに達する地点で最も遠いのは同原発から13キロとされた。一方 で、同日まとめた原子力災害対策指針案では、避難が必要となる緊急防護措置区域(UPZ)を30キロ圏としている。両者をどう関連づけるのか国から説明は 一切なく、県や関係自治体は困惑している。【杣谷健太】拡散予測は、県が地域防災計画を策定するに当たり、重点的に防災対策を取る地域を決めるための参考情報 として試算された。東海第2原発で炉心溶融が起きた場合、避難の判断基準である1週間の累積被ばく線量100ミリシーベルトに達する地点として、ひたちな か、那珂、常陸太田、日立市と東海村の計8地点、原発からの距離1・5〜13キロと示された。しかし、原子力災害対策指針案では、住民の避難対策などを充 実させるUPZを「原子力施設からおおむね30キロ」とした。
県原子力安全対策課によると、拡散予測は2週間前にメールで送られてきたが、国からの説明はないという。県は「どういう状況で避難するのかが不明確。避難や防護対策が実効性を持つように具体的な指針を示してほしい」と訴える。
さらに本県の場合、東海第2原発以外にも、高速実験炉「常陽」(大洗町)や東海再処理施設(東海村)な ど、大地震が起きた場合重大な災害を引き起こすことが予想される原子力施設を抱える。県は国に対し、これらの施設を念頭に1年以上前から「原発以外の施設 についての考え方も早急に示してほしい」と求めてきたが、原子力災害対策指針案では「今後、原子力規制委員会で検討する」とされるにとどまっている。県は 「地域防災計画策定の上で最大の障害」と頭を抱える。
拡散予測で高線量が達する地点がある常陸太田市総務課は「今後どう活用すればいいのか、国や県から早く 方針を示してほしい」と求め、那珂市防災課は「シミュレーションも参考にしながら、周辺市町村や県とすりあわせて計画を作らないといけない」と話した。一 方、高線量が及ばないとされた水戸市地域安全課は「避難となると行政区の線引きでは無理」と、拡散予測を避難の判断基準とすることに疑問を呈した。
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◇図の見方
左の図は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出された場合。右の図は福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出した。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。
東通原発:放射性物質拡散予測、陸上で北西13.6キロまで 事故後1週間で100ミリシーベルト /青森
毎日新聞 2012年10月25日 地方版国の原子力規制委員会が24日公表した原発の過酷事故時の放射性10+件物 質拡散予測地図で、東北電力東通原発(東通村)では、事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる地点が陸上で原発の北西13・6キロまで 達することが判明した。国の原子力災害対策指針で住民避難が必要とされる半径30キロ圏は超えていないが、国は「精度や信頼性に限界がある」とした予測結 果について詳しい説明をしておらず、関係自治体は困惑している。
規制委は、原子炉で炉心溶融が起きた場合などを想定して拡散の影響を試算。昨年1年分の気象データを使 い、国際原子力機関(IAEA)が定める避難の判断基準100ミリシーベルトに達する最も遠い地点を16方位区分で地図に表した。その結果、東通原発で は、陸上で北西13・6キロ(同村)、西北西12・2キロ(むつ市)まで達することが判明。海上では東17・4キロまで到達した。
周辺自治体は、年度内に策定する防災計画にこの予測結果を反映させる方針。ただ、予測は迅速な試算のた め地形などを考慮しておらず、実際に事故が起きた場合にこの通りに飛散するとは限らないという。県原子力安全対策課は「事故時の風向きがどうなるか分から ない。専門性の高い問題だが国から説明がなく、どのように防災計画に反映させるか、市町村と協議する」と予測結果の扱いに苦慮している。
各市町村にも戸惑いが広がっている。むつ市防災政策課は「30キロ圏を前提に避難計画を策定するが、広 域避難には他の市町村や県との連携が必要。予測結果がどの程度影響するかが分からず、計画が立てにくい」と苦言。地形などを考慮した新たな予測地図の作製 を求めた。六ケ所村原子力対策課も「北風なら村内に多くの放射性10+件物質が広がる。事故時の影響は今回の地図だけでは判断できず、国は県を通して説明した方がいい」と訴えた。
一方、原発が立地する東通村は、事前に国から説明を受けたという。同村原子力対策課は「策定中の防災計画に影響はないが、国が詳しい対策指針を示さないと策定作業が進まない」と注文を付けた。
周辺住民にも不安が広がる。東通村の漁協幹部の男性は「事故が起きたら、漁業どころではな い。住民は離散状態になる」と深刻そうに語った。NPO法人「菜の花トラストin横浜町」の宮桂子事務局長(60)は個人の意見と断った上で「原子力施設 の近くに住む以上、万が一を想定した覚悟が必要。行政任せにせず、住民も予測結果について考える必要がある」と力を込めた。【高橋真志、鈴木久美】
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◇図の見方
左の図は福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質(77万テラベクレル、テラは兆)が放出された場合。右のは各原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出した。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。
浜岡原発:事故想定予測 防災計画策定へ本格化 農漁業関係者「風評心配」 /静岡
毎日新聞 2012年10月25日 地方版中部電力浜岡原発(御前崎市)で事故が起きた際の放射性10+件物 質の拡散シミュレーション結果が24日、原子力規制委員会から発表された。原子力災害対策指針も月内に正式決定される見込みで、地域防災計画策定のための 材料がそろう形となり、県は計画策定に向けた作業を本格化させる。一方、高い放射線量が予測された地元の農漁業関係者からは、「風評被害が起きないか心配 だ」と不安の声も上がった。【樋口淳也、山本佳孝、小玉沙織、舟津進】
シミュレーション結果は、浜岡原発の16方位で、国際原子力機関(IAEA)が定めている避難の判断基準(事故後1週間の内部・外部被ばくの積算線量が計100ミリシーベルト)に達する最も遠い地点を地図に表している。放射性物質は浜岡原発の東西を中心に広がる結果となった。
県は、原発事故の際の避難範囲や方法について、具体的な内容を盛り込んだ地域防災計画の策定を目指す。シミュレーションはその際の重要な参考資料で、県は結果の速やかな公表を求めていた。
海上に多くの放射性10+件物質が広がると予測されたことについて、相良漁協(牧之原市片浜)の萩原徳治組合長(71)は、「結果を出すなら、放射性10+件物 質を拡散させない対策も一緒に出してくれないと不安になるだけ」と憤る。東京電力福島第1原発事故による「風評被害」の影響で茶葉の価格が下落したとし て、東電に補償申請をしている掛川市内の茶農家の男性(64)も、「(同原発の)事故が解決していない中、実際に起こってみないと分からない仮定のことを 発表するのにどれだけの意味があるのか。風評被害が心配だ」と疑問を呈した。
一方、日本不動産研究所静岡支所の後藤雅文所長は、「浜岡原発は運転を停止しており、シミュレーション結果に現実感があるとは思わない。直ちに地価が変動することはないだろう。むしろ再稼働をするかしないかの方が影響が大きい」と指摘した。
◇3市1町が安全協定締結の意向 30キロ圏に拡大を
放射線量が高い地域が浜岡原発の半径30キロに達するシミュレーション結果を受け、30キロ圏内で中部電力と原子力安全協定を結んでいない5市2町に毎日新聞が取材したところ、焼津、藤枝、袋井の3市と森町が安全協定を締結したいとの意向を示した。「すでに協定を締結している10キロ圏の4市だけではなく、30キロ圏に拡大してほしい」とする森町のほか、「これからは意見を言わせてもらえる立場にしてほしい」(藤枝市)などの声があがった。
安全協定を結んだ自治体は、原発の新増設などに首長の事前了解を求めたり、立ち入り調査したりすることができる。
30キロ圏外「想定外」
2012年10月25日7基を抱え、一カ所の原発としての合計出力は世界最大の柏崎刈羽原発。その分、予測される放射性物質の拡散範囲は広かった |
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「田んぼは持って逃げられない。生活基盤が奪われる」。魚沼市のコメ農家の坂大貞次さん(64)は、厳しい表情で語った。
魚沼市は30キロ圏の外だが、市中心部だけでなく、原発から40・2キロ離れた山間部まで、1週間の被曝(ひばく)量を100ミリシーベ ルトとする国際原子力機関の避難基準に達する、と予測された。JA北魚沼の三浦哲郎理事長は「逃げなくてすむ農家があっても『魚沼産』というだけで売れな くなる。ブランドどころの話ではない」。
市中心部の南本町商店街でも、40代の男性会社役員が「どう避難するかを同時に示してくれないとパニックになる」と憤った。
十日町市は山間部の一部が30キロ圏内だが、5キロほど外側の市中心部近くまで放射性物質が広がるとされた。市の担当者は「想定外。避難対象者が倍以上に膨らむ」と話している。
◇
柏崎刈羽原発が立地する柏崎市の担当者は、5キロ圏内の即時避難区域(PAZ)の住民をスムーズに移動させられるかを案じた。
市は約1万6千人いる5キロ圏内の人を、上越・新潟・魚沼方面の50キロ圏外に避難させようと想定していた。市の担当者は「まずは5キロ 圏の人が逃げることになっていても、圏外の人が指示を待たずに避難するケースが出てくると思う」。魚沼市にも拡散すると予測されたことから「魚沼方面でも 渋滞が起き、5キロ圏の人が逃げられない状況にならないか」と漏らす。
市が原発事故の際の課題を洗い出したところ、避難先の確保のほか、原発から約7キロの市役所庁舎を移転させるかどうかなど、課題は約80項目に。拡散予測を受けて、市は避難時に、どこでどんな渋滞が起きうるか、といったシミュレーションをする必要があると考えている。
◇
原発から約60キロ離れた湯沢町でも不安が広がる。
今月、町内でとれた野生キノコから基準値超の放射性セシウムが検出された。3月に柏崎刈羽原発の再稼働を認めない決議を町議会に発議した 半沢利貞議員(71)は「福島から遠く離れた湯沢にも原発事故の影響が出ている。重点区域の範囲外だろうと事故が起きれば関係ない」と話す。
JR越後湯沢駅近くで温泉旅館を営む井口智裕さん(39)は「放射性物質が飛んでくる線引きが変わろうが変わるまいが、原発への危機感はずっともっている」。2007年の中越沖地震で同原発が火災に遭ったとき、予約のキャンセルが1週間続いた。
福島の事故による放射性物質の影響を心配して、福島県郡山市から小学生の一人娘と町内に避難してきた女性(39)は嘆いた。「どこに逃げても、結局、逃げられないのでしょうか」
事故想定、大飯など30キロ超も要避難-規制委、放射能拡散予測
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、各地の原発が東京電力福島第1原発事故並みの放射性物質を放出した場合、住民の避難が必要となる範囲を試 算した結果を公表した。規制委は改定中の原子力災害対策指針(防災指針)で、半径30キロ圏内を避難準備などの対策が必要な範囲としているが、試算では現 在唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)をはじめ、東電柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)などで30キロ以遠も避難が必要となる可能性が示 された。
田中委員長は同日の委員会で「今後、防災計画を作る上での基礎資料になる」と述べた。試算を参考に、原発周辺の自治体は事故時の避難や訓練計画を盛り込んだ地域防災計画を策定する。
規制委は、福島事故で1~3号機から放出された放射性物質の総量を基準に、全国16原発で(1)同じ量が10時間以内に一挙に放出された場合(2)放出 総量を各原発の合計出力に合わせ増減した場合-の2通りを想定した。1年間の風向と風速のデータから放射性物質が飛ぶ距離と方位を計算し、人がとどまった 場合に予測される内部・外部被ばくの総量を算出。原発からの方位ごとに、被ばく量が避難基準(7日間で100ミリシーベルト)を上回る確率が高い範囲を示 した。
試算結果では、出力の大きい柏崎刈羽原発で東南東に40・2キロ(新潟県魚沼市)までが要避難地域となったほか、大飯原発では南32・2キロ(京都市)まで、福島第2原発でも南32・5キロ(福島県楢葉町)までが避難地域に含まれる結果となった。
日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)、関西電力高浜原発(同県高浜町)でも、避難が必要となる地域がそれぞれ隣接する滋賀県、京都府に及んだ。規制委は「広域調整が必要な地域は、国が協議の場を作り、複数道府県で調整する」としている。
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防護計画は30キロ圏内-原発事故で規制委員長
原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の定例会見で、原発事故などの緊急時に避難や屋内退避ができるよう備える「緊急防護措置計画区域(UPZ)」について、原発から半径30キロ圏の範囲で十分との認識を示した。
同委員長は、30キロ圏外の自治体はUPZに入る必要はなく、放射性物質の実測値などから避難の判断をすることで対応できるとした。
規制委は同日、東京電力福島第1原発事故並みの放射性物質が放出された場合の線量想定を公表。柏崎刈羽原発では、40キロ余り離れた新潟県魚沼市でも高線量となる試算結果が出ていた。
一方、同委員長は原発再稼働の前提である安全性審査に当たっては、立地地域の防災設備なども考慮するとし、具体的には放射性物質の測定器や避難施設の整備状況などを挙げた。
規制委は同日の定例会合で、外部の有識者から意見を聞くことを決めた。同委員長は国会や政府の原発事故調査委員会メンバーのほか、「原子力に厳しい意見を持つ人」も検討しているとした。
原発放り出すのは愚か-石原都知事ら福島第1原発を視察
東京都の石原慎太郎知事、茨城県の橋本昌知事、群馬県の大沢正明知事は24日、福島県の東京電力福島第1原発を視察した。石原氏は視察後、原発事故対応 の拠点となっている楢葉町の「Jヴィレッジ」で、記者団に「大きな反省点はあるが、その事故をもって人間が開発した現代的な新しい技術体系を放り出すのは 愚かだ」と述べ、原発の必要性を強調した。 石原氏はまた「日本ならではの綿密な対処をしてくださっている」と福島原発の作業員をねぎらった。東電によると、視察には高橋毅所長らが対応、3人の知事は免震重要棟で状況説明を受け、その後、バスで1号機から4号機などを見て回った。
石原氏らは23日の関東地方知事会議のため福島県を訪問中で、当初の予定を変更して原発を視察した。都は東電の大株主で、東電によると、福島県以外の知事が視察するのは初めてという。
避難計画の完成急務 放射性物質拡散予測
2012年10月25日拡散予測によると、島根原発で事故が起きた場合、国際原子力機関(IAEA)の避難基準にあたる、7日間で100ミリシーベルトの積算被曝線量になると想定される地点は、原発から南東方向24・2キロの島根県安来市にまで達した。
予測は、建設中の3号機も含め1~3号機の3基の出力に対応した放出量を仮定した。鳥取県方向の東、東南東では、原発から東8・9キロ、 東南東23・8キロでも避難基準に達したが、いずれも県内に届かなかった。しかし、予測は原発敷地内の気象データに基づくもので、地形や各地域ごとの風 向、風速などを考慮しておらず、事故の規模などによっても拡散の範囲は変わる。原子力規制庁原子力防災課も「あくまでも予測は拡散傾向を示した目安」とし ている。
県にはまだ正式な説明がないが、県原子力安全対策室の水中進一室長は「30キロ圏内に収まったことで、防災の重点区域を30キロ圏内で作 る妥当性が示されたとも言える」と受け止める。一方、「地形条件を考慮していないなど、データをどう解釈すればいいかわからない点もある。どう地域防災計 画作りに使うのかも、規制委の説明を求めたい」と話した。
県は、島根原発の事故を想定し、原発から半径30キロ圏に入る境港市と米子市の住民を対象にした住民避難計画を作成を進めており、9月県議会に概要を報告した。
計画では、原発事故や津波など複合災害で弓ケ浜半島を通る国道431号が使用できない状況を想定した。同圏内の境港、米子両市計約6万5 千人のほか、島根県側の松江市、安来市の一部の避難者も含め、計約8万人を鳥取県内の30キロ圏外へ避難させる。境港市、米子市の避難先は、鳥取市、倉吉 市、岩美町、八頭町、東伯郡。島根県側の約1万5千人は、西伯郡、日野郡、若桜町、智頭町での受け入れも準備している。米子、境港両市の避難分については 自治会単位のマッチングもほぼ終わった。
福島第一原発の事故では自家用車で避難する人も多かったことから、移動手段として自家用車を基本としたほか、避難経路は国道9号、米子自 動車道、中国自動車道の3主要道路を通る経路を指定。避難途中の道路沿いには放射性物質による汚染状況を調べる「スクリーニング」会場を設けることなども 盛り込んだ。
一方、自家用車以外の避難手段の確保や、少なくとも約3300人に上る高齢者や障害者、入院患者ら30キロ圏内の災害時要援護者の対策な ど課題も山積する。水中室長は「来年3月までに策定が義務づけられる地域防災計画と並行して作る大事な計画。残された時間は少ないが、両市や島根県と連携 して万一の原発事故に対応できる実効性のある計画の完成を急ぎたい」と話す。(佐藤常敬)
となりの原発
避難必要範囲拡大も/県、独自予測と比較
2012年10月25日国の拡散予測について報道陣の取材に応じる嘉田由紀子知事=長浜市田村町 |
原子力規制委員会が24日に公表した放射性物質の拡散予測では、福井県内にある原発で重大事故が起きれば、滋賀県内にも影響が及ぶ可能性が示された。県は昨年に独自で実施した拡散予測との比較・分析を進め、防災計画の改定に生かす考えだ。
国の拡散予測では、全身への1週間の積算被曝(ひ・ばく)線量が、国際原子力機関(IAEA)の基準で避難が必要とされる100ミリシーベルトに達した地点を示しており、敦賀原発で長浜市余呉町付近、大飯原発では高島市西部の県境付近まで広がった。
県が昨年、独自に行った拡散予測では、甲状腺の被曝線量が屋内退避の必要な100~500ミリシーベルトになる範囲が、敦賀原発から最大 43キロの長浜、高島両市に拡大。安定ヨウ素剤の服用が求められる50~100ミリシーベルト未満の範囲が、県内のほぼ全域に広がる結果が出ていた。
担当した県琵琶湖環境科学研究センター環境監視部門の山中直部門長は、国と県の予測が異なる理由について前提条件の違いを挙げる。国の予測では地形情報を考慮せず、気象条件も国が1週間とも同じ風向、風速、天候で試算したのに対し、県は実際のある1日の条件でした。
山中部門長は単純比較はできないとしながら、「国はありえない想定で予測した」とし、県の予測の方が実態に即しているとの見方を示した。 ただ、今回の予測で重要なのは「放射性物質が最も遠くまで飛んだ距離だ」と指摘。架空の気象条件のため、今回は飛ばないとされた方向にも広がる可能性があ り、避難の必要な範囲がより広い範囲に及ぶおそれがあるという。
国が、予測の公表と併せて防災重点区域を30キロ圏内に拡大したため、県は来年3月までに地域防災計画を見直す必要がある。嘉田由紀子知事は「県が作ったデータとどう違うのか分析し、防災計画に生かせるようにしたい」としている。(千種辰弥)
【首長ら「行政境界無意味」】
拡散予測の公表後、長浜市内で報道陣の取材に応じた嘉田由紀子知事は「国が責任を持ってシミュレーションを出してくれたことは評価したい」と話した。
福井県の大飯原発では避難が必要な被曝線量に達する範囲が32.2キロ先の京都市まで及んだことを踏まえ、「大気はつながっており、行政 の境界で区切ることの不合理さを関西電力に自覚してもらい、被害予測に即して協定を結んでほしい」と要求。県が関電など3事業者と協議を進める原子力安全 協定をめぐり、事業者側が長浜市について美浜原発のある福井県美浜町と隣接していないことを理由に協定の対象外としていることを批判した。
長浜市の藤井勇治市長も「(原発の)立地市、隣接市という仕分けが意味を持たないことが改めて示された」との談話を発表した。
福井県敦賀市にある敦賀原発から最短13キロにある長浜市余呉町中河内地区。集落の35世帯48人のうち7割近くが65歳以上の高齢者 だ。21日には原発事故を想定した市の防災訓練があり、地区の住民らもバスで避難した。訓練に参加した小谷和男さん(80)は拡散予測について「原発の情 報が増えるのはいいことだ」と話す一方、「集落には独り暮らしも多い。万が一の時にきちんと避難ができるのか不安だ」と訴えた。
高島市の西川喜代治市長は「県が定めた防護対策地域43キロを基にした防災計画を立てている」とし、今回の発表については「国からの説明がまだないので、情報収集を進めて内容を検討したい」と話した。(成田康広、八百板一平)
原子力規制委:放射性物質拡散予測 「計画の参考にならず」 自治体、国の発表に困惑 /宮城
毎日新聞 2012年10月25日 地方版原子力規制委員会が24日に公表した、原発事故時の放射性10+件物 質拡散予測地図。県内の自治体からは、国の発表の仕方や説明不足についての困惑の声が広がった。また、国際原子力機関(IAEA)が定める避難の判断基準 (事故後1週間の内部・外部被ばくの積算線量が計100ミリシーベルト)に達する最も遠い地点は牡鹿(おしか)半島の石巻市沖18・3キロにとどまるとの 予測だったものの、地元漁業者からは改めて原発事故対策を求める声が上がった。【宇多川はるか、須藤唯哉】
県原子力安全対策課によると、同課に予測地図が示されたのは公表当日の24日。同課は「国から説明な く、いきなり公表されてもデータが独り歩きする」と困惑。「国としてどのように予測地図を使ってUPZ(緊急防護措置区域)の範囲設定をすべきだと考えて いるのか、説明してほしい」と求めた。県は予測地図を、県防災会議でUPZの範囲を検討する際の「一つの目安」にとどめる考えだ。
一方、市全体が原発から30キロ圏内に入る石巻市でも、担当者が予測地図を見ながら「これだけではどこまで避難したらいいか分からない。年度内に防災計画を作らなければならないが、参考にならない」と嘆いた。
◇漁師ら改めて原発事故不安
予測地図で影響が大きいとされた同市の漁港にも、改めて原発への不安が広がった。牡鹿半島・小渕浜(おぶちはま)では、漁業者たちが東日本大震災で壊滅状態になった水産加工施設を復旧 し、漁を再開したばかり。地元漁師の木村忠良さん(61)は「原発と共に生きて、恩恵も受けてきたので、原発絶対反対とは言わないが……」と言いつつも、 「もし福島第1原発事故と同じような事故が女川原発で起きたら、私たちが福島の人たちの立場になるということ。人ごとではない」と危機感を強めた。
半島部と市街地を結ぶ道路は東日本大震災でがけ崩れが相次ぎ、現在も復旧工事で片側通行の部分が多い。木村さんは「ここは、原発事故が起きればいち早く避難しなければならない地域になる。災害に強い避難道路を早く整備してほしい」と訴えた。
一方、予測地図の公表について女川原発を持つ東北電力は「東京電力福島第1原発事故を受けて、事業者と しての防災業務計画の修正・検討に取り組んでいる。今回の予測地図も踏まえた自治体の地域防災計画との整合性を取りながら、防災業務計画を検討して事業者 としての責任を果たしたい」としている。
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◇図の見方
女川原発の全原子炉で、福島第1原発と同程度の炉心溶融が起きたとし、放射性10+件物質の放出量は福島第1原発1〜3号機との出力比から算出した。三つの同心円は原発からの距離。点は、16方位ごとに、被ばく量が緊急時の避難基準となる7日で100ミリシーベルト(外部被ばくと内部被ばくの合計)に達すると試算された最も遠方の地点を表す。
コシヒカリ産地も懸念…放射性物質拡散予測
原子力規制委員会が24日公表した原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションで、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)など全国4原発では、高線量の放射性物質が防災対策の目安となる半径30キロ圏を超えて拡散すると予測された。
防災対策の重点区域を定めることになる周辺自治体からは戸惑いの声が上がった。今後、避難のあり方について検討を迫られることになる。「まさか、ここまで飛んでくるとは」。拡散エリアに入った新潟県魚沼市の中川太一副市長は驚きを隠さない。原発からは約40キロ離れている。同県や県内の 市町村は、独自に防災計画の策定を進めており、魚沼市は最近、避難住民の受け入れ方針を決めたばかりだっただけに衝撃は大きい。
予測では、市中心部まで放射性物質が及ぶとされた。大平悦子市長は「広域的な対応について(関係市町村でつくる)研究会で練り直し、地域防災計画に反映させなければ」と険しい表情で話した。
隣接する十日町市も事情は同じだ。市は、30キロ圏内の住民を市内の圏外地域にまずは避難させ、被害がさらに拡大した場合は市外へ逃げてもらう方針だっ
た。今回の予測で30キロ圏外の一部が対象となったことで、これら避難手順の仕切り直しを余儀なくされる。市の担当者は「市単独では動けない。国が細かな
方向性を示してくれないと先に進めない」と困惑している。問題は避難先の確保だけではない。魚沼、十日町市はともに「魚沼産コシヒカリ」産地だ。JA北魚沼(魚沼市)は「万が一の時の影響が心配。正確な情報を理解した上で、農家にも伝えて対策を考えていきたい」と話した。
(2012年10月25日 読売新聞)
原発防災、新たな難題
2012年10月25日女川原子力発電所=2月、女川町、本社ヘリから、堀英治撮影 |
○避難対象22万人に 計画、大幅な見直し必要
女川原発での事故を想定した拡散シミュレーションでは、1週間の被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトを超える距離は、女川原発から 西側で16・4キロ、南側では16キロに及んだ。海側には最大21・5キロ飛散する。石巻市の中心部近くまで達し、牡鹿半島は南端まで覆われる予測になっ た。
福島第一原発の事故をふまえ、原子力規制委員会は住民避難などの防災対策が必要な範囲を、原発から半径8~10キロから30キロに拡大。避難対象は2市町の約2万人から、7市町約22万3千人に膨れあがる。
この住民をどうやって安全な場所へ避難させるか。東日本大震災で大きな被害を受けた市町には難しい課題が突きつけられている。
「いま事故が発生したら、住民各自で逃げてもらう」と女川町幹部は言う。
原発から1キロしか離れていないところにも集落や仮設住宅がある。町中心部から避難のバスを出しても30分はかかってしまう。
離島の住民をどう避難させるかも未定だ。出島に住む70代の漁師は「風が強いと船は出せない。避難道路として橋がなければ、再稼働はしないでほしい」。
女川原発には震災後、17メートルの高さの防潮堤が設けられた。「それを超える津波という事態は、町がまたつぶれるということだ」と町幹部は話す。
石巻市は、30キロ圏内に市のほぼ全域が入る。1キロ圏内に住む漁師(70)は津波で被災した。「防災集団移転の予定地は、より原発に近くなる。移転していいか、わかんなくなった」
今回のシミュレーションで高線量が予測された市東部の石巻湾。漁港では、養殖ガキの水揚げが真っ盛りだ。「事故が起きたら、すぐに港に 戻って船を降り、車で逃げるしかない」と、カキを養殖する高橋文生さん(62)は言う。放射性物質が飛散するような事故が起きれば、ここでの漁業はできな くなる。「再稼働はしてほしくない」と願う。
事故に備える市総務部の原子力・防災担当、角張一郎次長は「どういう状況の時、どの範囲の住民まで避難させなければならないのか。それが 知りたい」と言う。震災前から避難に使う道路の整備が十分でなく、ヘリや船を使った住民避難も想定していた。さらに震災で、被曝を避けるために逃げ込むコ ンクリートの建物も破壊された。現行の地域防災計画は、大幅な見直しが必要になるという。
○30キロ圏市町も戸惑う 沿岸、震災の影響重く
原発事故に備える重点区域の拡大で、女川原発から30キロ圏内に入る東松島市、登米市、南三陸町、涌谷町、美里町も、来年3月までに住民避難の計画などを策定することになる。
沿岸市町では、震災の影響が重くのしかかる。
町の面積の約3割が30キロ圏に入る南三陸町。防災計画について町の担当者は「正直、いまはまだ真っ白」と話す。原案はまだ5行分しか書いていない。
震災で被災し仮設住宅に入る住民の数は流動的で、避難のためのバスをどの地域へ何台走らせたらいいのか見通せない。そもそも原発事故が津 波によるものなら、沿岸部を通る道路はおそらく破壊されているだろう。担当者は「歩いて山を越えて逃げて、なんて計画は作れない」と悩む。
町内の30キロ圏内で喫茶店を営む今野雄紀さん(54)は「町は放射能を避けるシェルターのような施設もつくってはどうか。財源は国に求めればいい」と話す。
東松島市も沿岸の被災地が30キロ圏内に入る。避難対象の住民を正確に把握するのは困難だが、さらに石巻市などから避難してきた住民の受 け入れも想定する必要があると見る。しかし、事態はそれで済まない恐れもある。「市役所は30キロ圏内にある。市役所そのものが避難せざるをえなくなった ら、どうすればいいのか」。担当者は言う。
美里町は、30キロ圏内に入る約30世帯の避難計画だけでなく、近隣市町の住民の受け入れも視野に入れることになりそうだ。3月には東松島市と応援協定を結んだ。佐々木功悦町長は「まずは町民の安全を確保し、そのうえで可能な限り受け入れたい」と言う。
町民ら約80人でつくる「女川原発再稼働ストップの会」の橋本史俊事務局長は「子どもの生命と健康を最重視する私たちも加わって、町とともに防災計画を作りたい」と話した。
○一部が50キロ圏内 仙台も対策作り
宮城野区と若林区の一部が女川原発から50キロ圏内に入る仙台市は、30日に有識者らを集めた「原子力防災部会」を設置し、事故時の対応 策を協議する。原発事故時には、女川町や石巻市からの避難者を受け入れる態勢作りなどが必要と見込み、来年3月までに暫定版の計画をまとめる方針だ。
防災対策の重点区域である30キロ圏から外れるが、市は事故対策が必要と判断。東日本大震災後に始めた地域防災計画の見直しに合わせ、原 子力災害対策編を新たに作ることにした。防災担当の藤本章副市長は「福島第一原発事故でも1千人以上が仙台に避難した。女川の場合は桁違いの避難者が来る だろう」と話す。
さらに、事故対応の拠点となる女川原発のオフサイトセンターは震災で壊滅したが、今後市内に「前線基地」が設けられることも想定。奥山恵美子市長は24日の記者会見で「国がセンターを仙台市内に設置するのが望ましいとなれば、検討する」と話した。
○拡散予想図の見方
原子力規制委員会によると、東京電力福島第一原発のような深刻な事故が各原発で発生した場合、周囲に放射性物質がどこまで拡散するか、年間を通じた現地の風向、風速などを考慮して予測した。
避難せずに屋外にいた場合、事故から1週間で100ミリシーベルトの被曝が予想される距離を16方位ごとに試算。100ミリシーベルトは国際原子力機関(IAEA)の避難基準だ。
なお、今回の予測では山などの地形を考慮せずに平らな地面を想定し、原発から一定方向に10時間放出し続けると仮定している。
9月も検出なし/県内放射性物質
2012/10/25 09:34
香川県は24日、高松市朝日町の県環境保健研究センターで、9月3日からの1カ月間に、蓄積された粉じんや雨などの大気中降下物から放射性20+ 件物質は検出しなかったと発表した。不検出は14カ月連続。
また、7月から9月の計6日間に採取した大気中の粉じんについても放射性20+ 件物質は検出されなかった。
また、7月から9月の計6日間に採取した大気中の粉じんについても放射性20+ 件物質は検出されなかった。
放射性物質の拡散、糸島まで 玄海有事の際 |
原子力規制委員会は24日、全国16カ所の原子力発電所で福島第1原発事故のような過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。玄海原発
(東松浦郡玄海町)では、住民の避難基準となる事故後1週間の積算被ばく線量100ミリシーベルトに達する範囲は、福岡県糸島市方向の東北東が最も遠い
27・5キロ地点まで達している。唐津市中心部方向の東南東は17・3キロ地点までと予測している。
試算は、(1)福島第1原発事故と同規模の77万テラベクレル(ヨウ素換算)の放射性物質が放出された場合(2)玄海原発4基全てが同時に、福島原発と
同程度のメルトダウン(炉心溶融)事故を起こした場合-を想定。いずれも山や河川などの地形は考慮せず、全て平地という仮定で行った。
気象条件は昨年1年間の1時間ごとのデータ(8760時間分の風向、風速、降雨量など)を基に、放射性物質が拡散する方位(16方向)と距離を計算。風
向きは常に一定という設定で、途中変化は考慮せず、国際原子力機関が、避難が必要としている「7日間で100ミリシーベルト(24時間屋外に滞在した場合
の内部・外部被ばくの合計)」に達する地点がどこまで及ぶかを方位別に試算した。
事故の影響が大きい(2)のケースでは、糸島方面の東北東が27・5キロで、最も遠くまで達すると予測。島を含む陸側方位では馬渡島方面の北西が19・
8キロ、加部島方面の北東が18・9キロと続いた。唐津市中心部方面の東南東は17・3キロで、同市のオフサイトセンターも含まれる。相知町方面は11・
7キロ、伊万里市方面は9・9キロとなっている。
全体的にみれば、規制委が事故に事前に備える緊急時防護措置準備区域(UPZ)の設定目安とする30キロ圏内に収まっている。ただ、影響が大きい(2)
のケースも福島事故程度の想定で、玄海原発4基にある使用済み核燃料を含む全ての放射性物質が放出されるという「最悪のケース」を想定した予測ではない。
また、急性外部被ばくの基準となる「10時間で1グレイ」に達する地点は東北東の1・1キロが最高で、規制委が放射性物質の拡散が始まる前に直ちに避難する区域(PAZ)の目安としている5キロ以内に収まっている。
規制委は今回の予測について、各自治体が来年3月末までにまとめる地域防災計画の参考資料として作成。ただ、地形などは考慮しておらず、全ての気象条件もカバーできないとし、限界があることを踏まえた上で参考にしてほしいとしている。
■【記者解説】誤解招かぬ説明不可欠
原子力規制委が公表した放射性物質の拡散予測は、佐賀県など関係自治体が策定する地域防災計画の参考資料として試算された。一定条件下での「拡散傾向」
を知るという点では参考になるかもしれないが、地形条件を考慮していないなど精度には大きな問題が残る。住民に誤解を与える可能性もあり、行政側の丁寧な
説明は不可欠だ。
今回の試算の問題は、地形条件と風向きの変化を考慮していない点だ。日本の原発は全て海に面している。玄海原発も周囲は複雑に入り組んだ海岸線があり、
後背地には山もあれば谷もある。原発を起点に一定方向に継続して風が吹くことはまずあり得ない。拡散途中では地形の影響を受け、飛散方向は大きく変化す
る。実際、福島第1原発事故でも30キロ以上離れた飯館村などで高線量を観測した。
玄海原発の拡散予測では、避難基準地点は規制委が目安とする30キロ圏内に収まっている。しかし、これは30キロ圏外の安全を保証したものではない。規
制委の田中俊一委員長は会見で「どこのサイトも30キロを超える事態は起こり得る」とした。今後、防災計画を策定する上では、拡散予測はあくまで一つの参
考としてとどめ、地形など地域の実情を十分に分析、考慮した計画が求められる。
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2012年10月25日更新 |
放射性物質拡散 初の予測
4原発 30キロ超も避難域
規制委が公表 柏崎刈羽や大飯など
原子力規制委員会は24日、各地の原発で放射性物質を放出する事故があった場合の拡散シミュレーションの結果を初めて公表しました。4原発で、緊 急時に避難が必要となる範囲が、原発から30キロを超えることがわかりました。シミュレーションは、原発周辺の自治体が地域防災計画を策定する際の参考と なるよう、規制庁と原子力安全基盤機構が、16原発と福島第1原発に対して実施したもので、同日開かれた第7回会合で報告されました。
福島事故なみ想定
規制委が検討を進めている原子力災害対策指針の素案では、原発から半径30キロの範囲を避難準備などの原子力災害への対策を講じる区域(原子力災害対策重点区域)の目安としています。シミュレーションは、福島第1原発1~3号機の推定総放出量と同じ量の放射性物質が放出された場合と、同じ推定総放出量に、福島第1原発1~3号機の合計出力に対する各原発にあるすべての原子炉の総出力に応じて増減させた場合の2通りで実施。
総出力比を乗じた場合、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)や全国で唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)などで30キロを 超えても、7日間で100ミリシーベルトを超える確率が高い範囲が出現しました。また、中国電力島根原発(島根県松江市)では、避難が必要な範囲に県庁所 在地が含まれるなど、対応が困難と予想される地域もありました。
各自治体は、来年3月末までに地域防災計画を策定することになっていますが、この日の会合で示された原子力災害対策指針の素案では、これまでのシミュレーションなどの予測的手法だけでなく、観測可能な指標に基づいた意思決定などが盛り込まれました。
しかし、予防的に避難などを開始するための判断基準の具体的内容など、先送りされている項目が目立ちます。
飛散の危険性裏付け
40キロ超で避難が必要とされた新潟県魚沼市の日本共産党市議、住安孝夫さんの話 魚沼近辺は、冬は柏崎・刈羽原発の方角から吹く風の風下になるので、放射能の飛散を伴う過酷事故が起きれば危険だと考えてはいましたが、それが裏付けられた形になります。北陸は雪が多いので、過酷事故が起きれば、放射能を含む雪が降って積もり、何カ月も消えないということも起きるでしょう。
原子力規制委員会の素案では、避難や屋内退避などの対策を取る区域は原発から30キロ圏までとされています。
しかし、より広い範囲まで避難が必要な量の被ばくがあるとする今回のシミュレーション結果をみても、柏崎・刈羽原発をなくすべきだと思います。
「誤解を与えないか」 放射性物質拡散予測 |
原子力規制委員会が24日に公表した玄海原発(東松浦郡玄海町)で事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測図。すぐに避難が必要な地域は原子力防災指針
案で目安とされた半径30キロ圏内に収まっているが、県内自治体からは規制委に詳しい説明を求める一方、「表示された線で放射性物質の影響が止まるわけで
はなく、かえって誤解を与えないか」(県市長会)と懸念する声も漏れた。
関係自治体は予測図を参考に、原子力災害対策重点地域の線引きをしなければならない。古川康知事は「試算結果が示されただけで、前提条件や解析過程など
は十分な説明を受けておらず、まずは詳しく説明を聞きたい」とコメント。木島毅之県消防防災課長は「指針目安の30キロ圏内に収まっているので、玄海でも
30キロ圏が基本になるのではないか。説明を聞いて検討し、早期に福岡、長崎両県とも相談したい」と述べた。
避難地域を30キロ圏内に拡大して防災計画を策定している唐津市の竹内御木夫総務部長は「これによって何かが変わるわけではない。新たに示される防災指
針に沿って見直しを進めたい」と冷静に受け止めた。福岡県境に位置する浜玉町などからは福岡への県外避難を求める声があるものの、試算ではその方向に放射
性物質が広がる可能性が高く、「国は他県避難を含めた自治体の計画を後押しするとしているが、実際にどこに、どう逃げ、受け入れ体制はどうなるのか。考え
るべきことは多い」と困惑の声も漏れた。
今回の高線量地域には入っていない伊万里市。防災危機管理室の古賀恭二室長は「風向き次第では伊万里市もほぼ全域が危険地域になり、住民避難の必要性が
出てくる。ヨウ素剤は20キロ圏内の住民分しか備蓄がなく、今後は全市民分を備える必要が出てくる」と話し、九州電力との安全協定協議で「立地自治体並み
を求める根拠になる」とした。
県市長会の横尾俊彦会長は「地形情報も考慮されない分析シミュレーションの方法で果たして有効な予想データと言えるのか。より精度の高いシミュレーショ
ンが必要だ」とコメントした。高線量地域に入る福岡県糸島市の三角孝志危機管理部長も「機械的に出された試算結果で参考になりにくい。風向き次第で大きく
変わる可能性が十分あると想定しておかなければいけない」と話した。
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2012年10月25日更新 |
東通、最大避難域13.6キロ
2012年10月25日放射性物質の拡散予測図。国際的な避難基準になる範囲は、北西~西方向に最大13キロ前後まで広がった=原子力規制委員会公表 |
規制委では、同原発1号機の原子炉が炉心溶融するなどの過酷事故を想定。1年8760時間分の気象データから、避難基準に達する陸地は、最大で北西13・6キロ、西北西12・2キロ、西13・4キロとなった。陸向きの風となる確率は3割強とみられる。
県では、東京電力福島第一原発の事故をうけ、今年度内に地域防災計画を見直す予定だ。同原発の半径30キロ圏となる緊急時防護措置準備区 域(UPZ)に住む約7万1千人を青森市と弘前市に避難させる計画。今回の拡散予測で30キロ圏外で避難が必要になる地域はなく、県原子力安全対策課は 「見直しに大きな変更は必要なさそうだ」とする。
ただ、県が下北半島から南への避難ルートと想定する国道279号は、一部が避難基準に達した。同課は「一度に大量に人を動かせる交通手段 は国道279号しかない」として、今後も避難道として使う予定だが、「むつ市民にとっては原発に一度近づくルートでもあり、心理的な負担はあるだろう」と 認める。
また、原子力規制庁原子力防災課は「東通原発が2基や4基体制になれば、放射性物質の拡散予測の範囲は確実に広がる」と指摘した。拡散予 測で排除した「3%の極端な気象条件」(同課)も加味すると、避難基準を超える地域は、原発1基体制の現状でも最大で西に43・4キロまで拡大するとい う。同課は「避難方法を検討しておく必要はあるのでは」とする。
一方、今回の拡散予測では、避難基準に達しない地域も含めて放射性物質がどう広がるかは示されなかった。拡散予測図は、下北半島中心に描 かれ、津軽半島への影響は分からないままだ。外ケ浜町の福井貢総務課長は「東風のやませが吹けば、東通原発の放射性物質は津軽半島を直撃する。こうした影 響も示してほしい」と話した。(別宮潤一)
志賀原発 放射性物資拡散予測
2012年10月25日志賀原発=2011年9月、本社ヘリから |
~*羽咋・七尾・中能登も避難地域に*~
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故の際の放射性物質拡散予測。北陸電力志賀原発(志賀町)では、被害の範囲が最大約20キロ先まで達する。高線量の区域は能登半島の東側の海にまで至り、住民が南北に寸断される事態は避けられなくなった。
~*七尾市長「被害は甚大協定を」*~
今回の予測は、国際原子力機関(IAEA)が避難を検討する基準としている「1週間で被曝(ひばく)量が100ミリシーベルト」を超える地点を16方位別で示した。
志賀原発の場合、最も遠方に達したのは南南東19・6キロの羽咋市中心部で、宝達志水町にも迫っている。東方向にも広がりは大きく、東北東16・0キロの七尾市、南東18・4キロの中能登町にまで到達した。
志賀町では南に2・8キロ。海側は、南西から西北西にかけて9・4~18・7キロの地点まで到達する。
東京電力福島第一原発の事故と同量の放射性物質が拡散した場合の予測では、100ミリシーベルトに達する地点は南南東20・2キロの羽咋市内が最大となった。
拡散の範囲は、県がこれまで想定してきた半径30キロ圏内に収まった。谷本正憲知事はこの日午後、報道陣の取材に応じ、「県がこれまでやってきた対策が間違いではないと実証された」と胸を張った。
今後については「国の防災対策指針がどう作られるかを見極めたうえで、地域防災計画への反映を検討していく」と話した。
一方、「立地自治体並み」の安全協定を求めている七尾市の武元文平市長は「事故が起きた場合、七尾市への被害が甚大であることが科学的に 証明された」とした上で、「七尾市も立地自治体と同様の権限が必要だ」と強調した。「今までどおり、当事者として北陸電力に協定締結を要請していく」とし ている。
~*輪島市長「避難手段確立して」*~
放射性物質の拡散予測は、原発から東北東へ16キロに及び、七尾西湾周辺にまで達した。避難に必要な能登有料道路や国道も範囲に含まれた。
県は今年5月、30キロ圏内8市町の住民15万人を、県内の7市町に割り振って避難させるプランをつくった。原発南側の住民(6市町約 12万人)は金沢市や白山市など南へ避難するが、原発北側の住民(4市町2万9200人)は、能登半島北部の珠洲市、輪島市、能登町に避難する想定となっ ている。
避難してくる住民に加えて、30キロ圏外の北側(珠洲市・能登町の全域と輪島市・穴水町の一部)には、約6万人の住民も生活している。
住民からは不安の声が上がった。
輪島市の朝市通りで漆器店を営む小西達雄さん(59)は「今でも観光客から『能登には原発があるんですね』と言われるのに、事故が起きたら能登は孤立どころか全滅してしまう。志賀原発は止めて、放射能に汚染されていない能登を残してほしい」と話す。
能登町で飲食店を経営する高市範幸さん(61)は、「経済優先の国策の代償であり、今さら孤立するのが不安とか言ってもしかたない」と言 う。「能登は長い間虐げられ、つらい生活をしながら日本の原風景を守ってきた。便利さや豊かさばかり追い求めてきたライフスタイルを一人ひとりが反省する 時期が来ている」と話した。
輪島市の梶文秋市長は「奥能登地域が孤立化することが明白となった。事故が発生した場合の明確な市民の避難手段を国と県で確立してほしい」とコメントした。
一方、谷本知事は「30キロ圏外に避難すれば影響を受けないことが明確になった。いざとなれば奥能登に避難できることがわかったということ」と述べ、現在の避難計画を維持する意向を示した。
(板倉吉延、広津興一、藤井満)
~*北陸電力地域広報部の話*~
シミュレーションの妥当性をコメントする立場にないが、今後、原子力規制委員会の検討内容を踏まえ、自治体とも協議して事業者として原子力防災対策に万全を期したい。
規制委が重大事故予測・指針案 「30キロ防災」混乱の恐れ
2012年10月25日 朝刊原子力規制委員会(田中俊一委員長)は二十四日、原発で重大事故が起きた場合にどう放射性物質が拡散するかの予測マップや、自治体がまとめる防災 計画の基準となる「原子力災害対策指針」の素案を公表した。指針の素案には検討中の項目が多く、重点的に防災対策を進める区域(原発から三十キロ圏、 UPZ)を超えて放射能汚染が広がる予測結果が出た原発もあった。自治体が対策を検討する中で、混乱が広がる恐れもある。
予測では、東京電力柏崎刈羽(新潟県)と福島第二(福島県)、中部電力浜岡(静岡県)、関西電力大飯(福井県)の四原発で、UPZを超えて深刻な汚染が広がるとされた地点があった。
指針では、防災区域を、従来の半径八~十キロ圏(EPZ)から三十キロ圏に拡大。住民への連絡手段や避難方法を確立し、被ばく医療の体制を整え、 事故時の対応拠点となるオフサイトセンター(OFC)を放射能汚染などにも耐えられるよう改修し、シナリオを伏せた防災訓練を実施することも求めている。
規制委は今月中に指針をまとめ、三十キロ圏にある自治体は、来年三月末までに防災計画を立てる。
ただし、予算の問題も含め、対策を進めるのが国なのか自治体なのか、住民が避難を始める際の判断基準はどうするのかなど、具体的な部分の多くについては「規制委で検討する」と、未定の部分が多い。
規制委は、具体的な指針内容が決まった部分から順次マニュアルにまとめて自治体に示す予定。避難の判断基準と医療体制の要件は年内にまとめ、他の検討項目は来年三月末までに結論を出し、指針を段階的に改定する。
この被ばく量は、一般人が百年間に許される被ばく線量を、たった一週間で浴びるという極めて高い線量。マップは、地形を考慮せず、気象条件も簡略化しているため、精度に問題がある。
規制委の田中委員長は記者会見で、UPZの範囲は「三十キロで提案する」と述べ、さらに拡大しない考えを示した。
三十キロ圏の外の対策について問われると、「拡散予測はあくまでも参考。避難や放射線防護は、実際に測定した値を踏まえて行う。予測ですべて解決するわけではなく、重層的な取り組みが必要」と述べた。
◆指針案のポイント
一、災害長期化も考慮し、情報提供する体系を構築。一、原子力事業者に事故収束の一義的な責任。災害対策にも大きな責務。
一、防災対策の重点区域は、原発から半径30キロ圏に拡大。5キロ圏は直ちに避難する区域とする。
一、緊急時の情報提供では、高齢者や乳幼児、障害者、外国人など支援が必要な人への配慮も必要。
一、緊急時の放射線モニタリングは原子力規制委員会が司令塔。
一、避難は規制委が輸送手段、経路、避難所などを考慮し判断。
一、安定ヨウ素剤の投与指示は規制委が一義的に判断する。判断基準は検討が必要。
一、福島第一原発事故の被災住民の健康調査や除染などでは、実情を踏まえた対応が重要。他の原発とは別に今後の検討が必要。
県、避難先確保を最優先
2012年10月25日原子力規制委員会が24日公表した放射性物質の拡散予測は、島根原発(松江市)についても示された。1週間の積算被曝(ひ・ばく)線量 が、国際的な避難基準となる100ミリシーベルトに達すると想定される場所は、原発事故の新たな防災重点区域となる30キロ圏内に収まった。県は住民の避 難先の確保を最優先に、30キロ圏での防災対策を進めているが課題は山積している。
拡散予測では、被曝線量が最も大きくなる方向は島根原発から南東で、安来市内の24・2キロの地点でも避難の基準値を超えることがある。次いで東南東。23・8キロ離れた中海でも大きな影響を受けることがある。
原子力規制庁原子力防災課によると、建設中の3号機も含め1~3号機の放出量を想定。敷地内の1年間の気象データから計算し、原発付近の局所的な風向きを反映した結果という。
山地などの地形も考慮しておらず、気象条件によって別の拡散パターンや、30キロを超えて広がることが考えられるとしている。
全域の避難計画を検討している松江市の松浦正敬市長は「どのように地域防災計画の参考とすればよいか不明。詳細な説明が必要だ」、溝口善 兵衛知事は「試算の位置づけや前提条件、設定など国に確認する必要がある。県内の30キロ圏4市や鳥取県と共に詳細な説明を求めたい」との談話を、それぞ れ発表した。
また原子炉増設時の事前了解などの権限がある松江市並みの安全協定の締結を、中電に共同で求めている30キロ圏の出雲、安来、雲南市は冷静に受け止めた。
安来市の松本城太郎・統括危機管理監は「風向によっては、市が影響を受けることは想定していた」、出雲市の森山靖夫・防災安全管理監は 「気象条件によっては、市内は影響を受ける」とした。雲南市の斉藤雅孝・統括危機管理監は「今回の予測で、市民が影響はないと安心しては困る」との考えも 示した。
◆物資補給や渋滞が課題◆
島根原発の事故を想定して、県が30キロ圏で策定を進める広域避難計画は、県境をまたいだ住民避難先の具体的な振り分け作業が詰めの段階にある。今月、事故時の対応や避難についてまとめた学校や福祉施設への素案も公表し、病院向けの指針も策定中だ。
島根、鳥取県のまとめでは、30キロ圏の6市(島根=松江、安来、出雲、雲南。鳥取=米子、境港)に計約46万1千人が暮らす。島根側の30キロ圏は松江市全域を含む4市の約39万6千人だが、県内に避難可能なのは最大16万人にとどまる。
昨年5月、両県と6市(当時は合併前の8市町)で連絡会議を作り、全国に先駆けて広域避難を想定した検討を始めた。直後の中国5県知事会議で、広島、岡山、山口県とも協力し合うことで合意した。
以来、島根県は3県で説明し、今年7月からは県内4市も加わって、避難先の候補とした県内と鳥取、広島、岡山の71市町村と調整を重ねて いる。国の方針が具体的に示されない中の作業で、「避難所の要員や物資について聞かれても『国の支援があるはず』としか言えないのがつらかった」(島根県 担当者)。
県は近く暫定避難計画を公表する予定で、公民館などの地域単位ごとの避難先を示す。入院患者の受け入れには、山口県にも協力してもらうと いう。ただ行き先が決まっても、避難手段など課題は山積みだ。県は今年度中に、自家用車とバスの避難を想定した渋滞や所要時間の試算を予定している。福祉 施設向けの指針案では、福島第一原発事故を教訓に、搬送手段や避難先の準備が整ってから高齢者や障害者らを避難させるよう求めた。原子力安全対策課の若槻 真二・避難対策室長は「災害時要援護者の避難手段や避難先でのケアは、自治体だけでは無理」と国の体系的な支援を訴えている。(斉藤智子)
避難・防災計画 知事見直し言及
2012年10月25日原子力規制委員会が24日公表した全国16カ所の原発で深刻な事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測。防災重点区域の目安を原発から半径30キ ロに拡大したが、関西電力大飯原発(福井県おおい町)や中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の周辺では、30キロを超える地点での拡散も予測される。た だ、三重県は特段の対策を講じていない。
県災害対策課によると、県内ではいなべ市の一部が大飯原発から半径80キロ圏内に入る。同課の田中貞朗課長は「県内は30キロ圏の緊急時 防護措置準備区域(UPZ)に含まれていないことから、住民の避難ルートや方法などのシミュレーションは行っていない。今後の予定もない」と話す。
東京電力福島第一原発事故では、原発周辺から多くの住民がほかの県などに避難した。福井や静岡の原発で深刻な事故が起きた場合には県内への避難者も見込まれるが、県は受け入れるための訓練やルート想定などは検討していない。
県は昨年度、関電、中部電などとそれぞれ情報提供の協定を結び、8月には名古屋大大学院の森泉純准教授(環境放射線学)を「原子力災害対 策アドバイザー」として委嘱。だが、事故発生時の情報収集は電力会社や国頼みなのが実情で、原発立地県や隣接県との独自の連絡態勢は構築していない。
田中課長は「東日本大震災以降、原発事故を不安視する県民は増えている。まずはモニタリングの態勢を整えることから始めたい」と話す。
鈴木英敬知事は「原発事故で受ける影響に応じたモニタリングや避難計画などについて、アドバイザーの助言を得ながら検討し、来年度中に行う地域防災計画の見直しに反映したい」とコメントした。(安田琢典、井上翔太)
浜岡原発避難線量予測、海上30.9キロに
2012年10月25日数字は被曝線量が1週間で100ミリシーベルトに達する地点の原発からの距離(キロ)=原子力規制委員会提供 |
中部電力浜岡原発(御前崎市)で事故が起きると、最大30・9キロまで避難が必要な積算被曝(ひばく)線量に達する――。国の放射性物質 の拡散予測が24日公表された。県と原発から30キロ圏の11市町は、防災対策重点区域を設定して新たに地域防災計画を策定するが、うち5市は市域全域を 含むよう求めている。30キロ圏だけで74万人が住み、いかに避難させるかなど課題は山積みだ。
◆特養施設「どこに逃げろと」
浜岡原発から東へ約7キロ。御前崎の岬にある特別養護老人ホーム「灯光園」(御前崎市御前崎)には80人の高齢者が暮らす。ほとんどが80~90代で寝たきりの人もいる。
浜岡原発で事故が起きた場合、積算被曝(ひばく)線量が1週間で100ミリシーベルトに達すると予測された地域にある。沢島久美子施設長(55)は「どこに逃げろというのか。避難手段や避難先でのケアはどうすればいいのか。全く見当もつかない」と困った様子だ。
福島第一原発事故で計画的避難区域に指定されたのは、年間20ミリシーベルトを超える恐れがある区域。1週間で100ミリシーベルトは非常に高い数値だ。
施設は標高約40メートルの高台にあり、屋上に出れば同原発の排気筒が見える。
東日本大震災後、入所者の移動を想定した避難訓練を月に1回、実施してきた。だが、寝たきりの人を横たわらせたまま運べるバスは、1台しかない。
「乗車できるのは1人か2人。やみくもに逃げるより、救助されるまで施設にとどまった方が安全かもしれない」と沢島施設長。水や米、トイ レットペーパーなどの備蓄を以前に比べ、多く用意しているという。「県内他市町の施設との連携も模索していきたい」「市や県が決めるのを待つだけでは、安 心できない。自分で探しておくしかない」と話す。
一方、今回の拡散予測では、西側に約15・5キロ離れた掛川市の遠州灘付近まで、1週間の被爆線量が100ミリシーベルトに達すると試算された。
掛川市大渕の自営業勝田隆雄さん(63)は「住民の間では、原発事故があればどこにも逃げられないという諦めさえある。津波と地震はどこに逃げるか考えられるが、放射能はどうすればいいか皆目分からない」。
◆県外避難視野に計画
拡散予測の結果を踏まえ、県は11月にも11市町と協議する。また、30キロ圏の74万人をどうすれば避難させることができるか、コンピューターによるシミュレーションの実施から、避難計画を組み立てていく方針だ。
圏外への避難や屋内避難、ヨウ素剤の備蓄のほか、場合によっては他県と連携した県外への広域避難も視野に入れている。避難方法などを盛り込んだ防災計画は来年3月にまとめる考え。
県危機管理部の岩田孝仁危機報道監は「ようやく原発事故の防災対策のスタートラインに立てた。周辺自治体と協議してまとめたい」と話している。
県内、避難基準下回る
2012年10月25日放射性物質の拡散予測が公表された志賀原発=2011年9月、石川県志賀町、本社ヘリから |
被曝の程度 想定示されず
原子力規制委員会が24日公表した北陸電力・志賀原発(石川県志賀町)からの放射性物質の拡散予測で、避難の基準となる被曝(ひ・ばく) 量に達する地点は最も遠くて原発から南南東約20キロとなり、富山県内を含まなかった。一方で、基準は下回ったものの、県内でどの程度の被曝が想定される のかは分からなかった。
予測は、東京電力・福島第一原発と同規模の事故が起きた場合、1週間の積算被曝線量が100ミリシーベルトになる地点を示した。
志賀原発では、能登半島を横切るように東側に広がった。出力の違いも考慮すると、最も遠い地点は南南東19・6キロで石川県羽咋市内だっ た。南東18・4キロ、東13・1キロ、北東8・6キロなどとされ、原発の南東方向にある県境に迫り、七尾湾に達していた。西側の日本海上にも9・ 4~18・7キロに広がっていた。
「危機感、従来通り」
今回の拡散予測は、原子力規制委員会から県への説明もなく、石井隆一知事は24日、「まず丁寧かつ明確な説明を求めたい」とコメント。地 形や気象の想定にも問題点を指摘し、「更に詳細なシミュレーションを実施し、原子力災害対策指針も責任ある内容のものを早期に示していただきたい」とし た。
原子力災害の重点区域が30キロ圏に広がると、県内は氷見市域の約3分の2、約2万人が含まれる。氷見市の池田士寿男防災・危機管理監は 「100ミリシーベルトが一つのラインで、市内にどれだけ拡散するのか盛り込まれてなかった。救われたとは思っておらず、これまで通り危機感を持って対応 していく」と冷静に受け止めていた。
一方、予測を見ると、七尾市民ら石川県からの避難も想定される。県は今後、石川県と広域連携について協議し、県境を越えた避難訓練も実施していく方針。池田防災・危機管理監も「必要であれば受け入れに協力したい」と話した。
30キロ圏に入る氷見市八代地区の自主防災組織「八代環境パトロール隊」の森杉国作本部長(71)は「県境の山は高くないし、冬は北風が吹くし、放射能は来ると思っている。原発事故は深刻で、しっかり対策したい」と話した。
北陸電力地域広報部は「シミュレーションの妥当性をコメントする立場にないが、今後、原子力規制委員会の検討内容を踏まえ、自治体とも協議して、事業者として原子力防災対策に万全を期したい」とした。(三島庸孝)
2012年10月25日08時36分 |
規制委が拡散予測 これで防災計画を作れと
(2012年10月25日午前7時55分)
原発の「新安全基準」を策定する原子力規制委員会は、原発事故時に放出される放射性20+ 件物質の拡散予測を初めて公表した。
東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が発生した場合を想定。最大40キロ圏まで広がると試算した。事故以前までの目安とされた重点区域8~10キロ 圏では不十分なことが裏付けられた点では成果として前向きにとらえたい。しかし、その予測に科学的精度と実効性がなければ、いたずらに不安と混乱をあおる 結果になりかねない。組織発足から1カ月余り。本格的な「仕事」を始めた規制委の能力と立ち位置が問われよう。
規制委は月内に原子力災 害対策指針を正式決定。立地自治体などの原子力防災計画見直しの重要なよりどころとなり、現実的な避難対策の根拠となる。原発事故に備え、事前に対策を取 るべき「原子力災害対策重点区域」は福島原発事故を教訓に、原発から30キロ圏を目安とすることを明記する方針だ。
今回公表した放射性20+ 件物質の拡散予測は、すべての原子炉でメルトダウン(炉心溶融)など過酷事故が発生したと想定。事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる地点を明示した。数値は国際原子力機関(IAEA)の避難基準に基づく。
全国16原発で、最大到達点は東電柏崎刈羽原発(新潟県)の40・2キロ、福井県内の原発は関西電力大飯原発の32・2キロが最大だった。全体では20キ ロ圏程度が大半を占めた。この数値をどう判断するかである。最悪を考えれば「想定内」であろう。出力が大きければ、また当該原発全基で事故が起きれば、拡 散範囲が広がるのも当然である。
今回予測で規制委の示す新たな重点区域30キロ圏を超える区域が4原発で出たことは重要な意味を持つ。区域設定の再検討が迫られることにもなるからだ。
ところが規制委は「あくまで参考にすべきデータだ」と強調する。事故時に避難の参考とする緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)と違い、使ったソフトが簡易版で精度に限界があり、地形の影響や拡散途中の風向きは考慮していないからだという。
この「大胆な仮定値」が信頼できるデータと言えるか。予測の活用方法は原則的に立地、周辺自治体が判断すべきというのが規制委の基本姿勢である。「さあ役立てて」と言われても計画の実効性を高めようがない。
福島原発事故では、情報が十分伝わらない中での無理な避難で、体力のない施設のお年寄りらが多数犠牲になった。住民の命が懸かっているのだ。
規制委は「福島の教訓」を基に原子力規制政策の再構築の使命をもって発足したはずだ。不正確な予測値を地域に丸投げしてどうなる。県安全環境部が指摘するように「立地地域を不安がらせるだけ」であり、これで計画の見直しは困難であろう。
今回の試算に関し、規制委から関係自治体に事前の説明もなかった。最も頼りになるべき規制委の責任能力が問われる。原発の安全確保はあくまで「住民目線」でなければならない。そのことを規制委に訴えたい。
東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が発生した場合を想定。最大40キロ圏まで広がると試算した。事故以前までの目安とされた重点区域8~10キロ 圏では不十分なことが裏付けられた点では成果として前向きにとらえたい。しかし、その予測に科学的精度と実効性がなければ、いたずらに不安と混乱をあおる 結果になりかねない。組織発足から1カ月余り。本格的な「仕事」を始めた規制委の能力と立ち位置が問われよう。
規制委は月内に原子力災 害対策指針を正式決定。立地自治体などの原子力防災計画見直しの重要なよりどころとなり、現実的な避難対策の根拠となる。原発事故に備え、事前に対策を取 るべき「原子力災害対策重点区域」は福島原発事故を教訓に、原発から30キロ圏を目安とすることを明記する方針だ。
今回公表した放射性20+ 件物質の拡散予測は、すべての原子炉でメルトダウン(炉心溶融)など過酷事故が発生したと想定。事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる地点を明示した。数値は国際原子力機関(IAEA)の避難基準に基づく。
全国16原発で、最大到達点は東電柏崎刈羽原発(新潟県)の40・2キロ、福井県内の原発は関西電力大飯原発の32・2キロが最大だった。全体では20キ ロ圏程度が大半を占めた。この数値をどう判断するかである。最悪を考えれば「想定内」であろう。出力が大きければ、また当該原発全基で事故が起きれば、拡 散範囲が広がるのも当然である。
今回予測で規制委の示す新たな重点区域30キロ圏を超える区域が4原発で出たことは重要な意味を持つ。区域設定の再検討が迫られることにもなるからだ。
ところが規制委は「あくまで参考にすべきデータだ」と強調する。事故時に避難の参考とする緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)と違い、使ったソフトが簡易版で精度に限界があり、地形の影響や拡散途中の風向きは考慮していないからだという。
この「大胆な仮定値」が信頼できるデータと言えるか。予測の活用方法は原則的に立地、周辺自治体が判断すべきというのが規制委の基本姿勢である。「さあ役立てて」と言われても計画の実効性を高めようがない。
福島原発事故では、情報が十分伝わらない中での無理な避難で、体力のない施設のお年寄りらが多数犠牲になった。住民の命が懸かっているのだ。
規制委は「福島の教訓」を基に原子力規制政策の再構築の使命をもって発足したはずだ。不正確な予測値を地域に丸投げしてどうなる。県安全環境部が指摘するように「立地地域を不安がらせるだけ」であり、これで計画の見直しは困難であろう。
今回の試算に関し、規制委から関係自治体に事前の説明もなかった。最も頼りになるべき規制委の責任能力が問われる。原発の安全確保はあくまで「住民目線」でなければならない。そのことを規制委に訴えたい。
原発事故予測 より細やかな説明を 10月25日(木)
原発でひとたび重大な事故が起きたら、どれほど広く影響が及ぶか。初のデータが示された。原子力規制委員会が公表した放射性物質の拡散予測だ。あらためて深刻さを感じさせる。今後の事故対策や原子力政策に生かさなくてはならない。福島第1を除く全国の16原発について、それぞれ二つの想定で予測している。各原発の全ての原子炉でメルトダウン(炉心溶融)などの過酷事故が起きた場合と、福島の事故と同量の放射性物質が拡散した場合だ。
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の全7基で起きた場合、とりわけ広範囲に及んでいる点が見過ごせない。40キロほど離れた魚沼市で事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる地点があった。
国際基準で住民の避難を要する量に当たる。規制委はあらかじめ事故に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を半径30キロ圏とする方針だ。予測に従えば、圏外でも対応を迫られる。他に3原発で30キロ超の地点があった。
今回の予測をどのように受け止め、対策を取ればいいのか。自治体の担当者からは戸惑う声が出ている。周辺自治体の住民に不安も広げかねない。規制委は丁寧に説明する責任がある。
予測の活用方法について規制委は、地元や周辺の自治体が判断すべきだとしている。30キロより遠くでも重点区域にするのかといった難しい問題を自治体任せにするのは疑問だ。国として検討し、方針を出す必要がある。
長野県内に100ミリシーベルトとなる地点はなかった。とはいえ、無関心ではいられない。新潟県境の近くなど、どの程度の拡散が予測されるのか、住民には気にかかる。避難の基準に達しない場所についてもデータを求める。
今回の予測は地形の影響や拡散途中の風向きの変化などを考慮していない。精度に限界があり、規制委は「あくまでも参考にすべきデータ」としている。地形を加味するなど今後、より現実に近い形での予測も示してもらいたい。
事故対策と合わせ、政府には脱原発に向けた取り組みを強めるよう求める。原発に伴うリスクの大きさが示されたことを重く受け止めなくてはならない。
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」とした革新的エネルギー・環境戦略の工程表を先ごろ決めた。立地自治体との協議を11月に始めるなどとしている。しっかり道筋を付けるときだ。
東西に放射性物質拡散/東通原発事故予測(2012/10/25
09:01) |
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国の原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が、全国の16原発で発生した場合の放射性物質の拡散予測 を公表した。東北電力東通原発(東通村)は、炉心から東西に「ちょうネクタイ状」に放射性物質が拡散すると試算。陸側では事故後1週間の積算被ばく線量が 100ミリシーベルトと高くなる地点が、原発から西と北西の方角約12~13キロに達し、むつ市の東側と東通村の西側が高い線量を受ける試算結果となっ た。 |
拡散マップ公開したが 自治体、遅れる防災整備
2012年10月25日原子力規制委員会は二十四日、重大な原発事故に備えた防災対策を進める参考にと、放射性物質の拡散予測マップや防災指針の素案を公表した。重点的 に対策を進める区域が大幅に広がり、各自治体からは「対応しきれない」と悲鳴も上がる。規制委の田中俊一委員長が原発再稼働の条件とする「実効性のある防 災計画」は本当に実現するのか、早くも疑問符が付いている。 (原発取材班)
大飯30キロ圏外も高線量予測 過酷事故を想定した放射能拡散
(2012年10月25日午前7時42分)
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が、福島第1を除く全国の16原発で発生した場合の放射性20+ 件物
質の拡散予測を公表した。東電柏崎刈羽原発(新潟県)では、事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトと高くなる地点が東南東40・2キロの同
県魚沼市まで到達したほか、関西電力大飯原発(おおい町)など3原発でも30キロ圏外に及んだ。政府側が過酷事故を想定し、各原発の拡散予測を公表したの
は初めて。
規制委は事前に事故に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)圏に拡大する方針だが、田中氏は記者会見で、予測結果を踏まえても重点区域は「30キロ圏で十分」との認識を示した。
国の方針を踏まえ関係自治体は来年3月までに原子力防災計画を策定する必要があるが、予測結果を計画にどう反映するかは明らかでなく、自治体に混乱が広がる恐れもある。福井県や県内の立地・周辺市町からは「今の状況で計画を見直すのは困難」との声が上がっている。
予測は地形を考慮しないなど簡略化した手法を用いており、精度の面でも課題を残した。
田中氏は30キロ圏外は事故時に「速やかに放射線量を測定し避難できるようにすることが重要だ」と指摘。「よく説明し理解を得たい」と述べた。
また原発の再稼働の前提として、自治体による適切な防災計画の策定を重視する考えをあらためて強調。「計画がなければ(安全性の判断は)なかなか困難」と述べた。
各原発の全基でメルトダウン(炉心溶融)など過酷事故が起きた場合、柏崎刈羽に加え、東電福島第2の南32・5キロの海上、大飯の南32・2キロ(京都 市)、中部電力浜岡(静岡県)の東30・9キロの海上が、30キロ超で100ミリシーベルトに達した。残り12原発で100ミリシーベルトになるのは30 キロ圏内だった。
30キロを超えたのはいずれも複数ある原子炉の出力の合計が大きい原発で、規制委事務局の原子力規制庁は「より過酷な事故が発生するリスクがある」と指摘している。
さらに福島事故と同量の放射性20+ 件物質が拡散した場合でも予測。全16原発で現行の10キロ圏を上回ったが、30キロ圏内だった。
また被ばく線量の予測から、放射性20+ 件物質の拡散が始まる前に直ちに避難する区域については、原発の半径5キロに設定すれば十分安全が確保されるとの結果だった。
事故1週間での被ばく100ミリシーベルトは、健康への影響から住民の避難を必要とする国際基準。予測は各地の1年間を通じた降雨量や風速などを考慮し、16の方角について拡散状況を試算した。
規制委は事前に事故に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)圏に拡大する方針だが、田中氏は記者会見で、予測結果を踏まえても重点区域は「30キロ圏で十分」との認識を示した。
国の方針を踏まえ関係自治体は来年3月までに原子力防災計画を策定する必要があるが、予測結果を計画にどう反映するかは明らかでなく、自治体に混乱が広がる恐れもある。福井県や県内の立地・周辺市町からは「今の状況で計画を見直すのは困難」との声が上がっている。
予測は地形を考慮しないなど簡略化した手法を用いており、精度の面でも課題を残した。
田中氏は30キロ圏外は事故時に「速やかに放射線量を測定し避難できるようにすることが重要だ」と指摘。「よく説明し理解を得たい」と述べた。
また原発の再稼働の前提として、自治体による適切な防災計画の策定を重視する考えをあらためて強調。「計画がなければ(安全性の判断は)なかなか困難」と述べた。
各原発の全基でメルトダウン(炉心溶融)など過酷事故が起きた場合、柏崎刈羽に加え、東電福島第2の南32・5キロの海上、大飯の南32・2キロ(京都 市)、中部電力浜岡(静岡県)の東30・9キロの海上が、30キロ超で100ミリシーベルトに達した。残り12原発で100ミリシーベルトになるのは30 キロ圏内だった。
30キロを超えたのはいずれも複数ある原子炉の出力の合計が大きい原発で、規制委事務局の原子力規制庁は「より過酷な事故が発生するリスクがある」と指摘している。
さらに福島事故と同量の放射性20+ 件物質が拡散した場合でも予測。全16原発で現行の10キロ圏を上回ったが、30キロ圏内だった。
また被ばく線量の予測から、放射性20+ 件物質の拡散が始まる前に直ちに避難する区域については、原発の半径5キロに設定すれば十分安全が確保されるとの結果だった。
事故1週間での被ばく100ミリシーベルトは、健康への影響から住民の避難を必要とする国際基準。予測は各地の1年間を通じた降雨量や風速などを考慮し、16の方角について拡散状況を試算した。
30キロ圏外「楽観できぬ」
2012年10月25日原子力規制委員会が24日に公表した、九州電力玄海原発で深刻な事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測。被曝(ひ・ばく)が重大な区域は原発か ら30キロ圏内に収まったが、便宜的なシミュレーションに過ぎないことから、県内の自治体は「楽観できない」「あくまで目安」と受け止めた。事故が起きる と避難を迫られる地域の住民からは、実情に応じた避難計画を臨機応変に策定するよう求める声があがった。
国が公表した拡散予測によると、県内では原発が立地する玄海町に加え、唐津市が1週間浴びる放射線被曝量が100ミリシーベルトを超える地域に含まれた。
唐津市は、人口約13万人のうち97%が玄海原発から半径30キロ以内。地理的にも、一番近い場所は原発から500~600メートルしか 離れていない。30キロ以内を前提に暫定避難計画を立て、訓練もしていることから、竹内御木夫総務部長は「拡散予測は30キロ以内に収まっているので、計 画をどうこうするわけでない」。
ただ、予測結果に違和感を覚える住民もいる。
原発から北に8キロほどの同市鎮西町の加唐(か・から)島。拡散予測では、被曝線量が100ミリシーベルトを超える地点は、原発の真北は「ゼロ」だった。統計上、傾向が示せなかったためだ。
「秋から冬にかけては北風が多いが、夏場は南の風も吹く」と話すのは島の区長、山口武雄さん(64)。島と同市呼子町を結ぶ船を約30年運転した経験と予測結果は合致しないという。
そもそも、市の避難計画では原則、船で呼子港などに渡り、白石町まで移動することになっており、一時的に玄海原発に近づくことになる。 「住民には原発に近づくことに不安がある」と話す山口さんは、風向きによっては拡散の可能性が低い、北の長崎県壱岐市に向かうことも考えるべきではないか と指摘する。
県境を越えた避難を求める声は、市東部で、原発から20キロ圏付近の同市浜玉町の東地区の区長常吉弘康さん(76)からも出ている。
約140世帯、約360人が避難対象で、市の計画では国道323号、263号などを通って脊振山地を抜け、県東部の鳥栖市に避難することになっている。
「どうして鳥栖なのかを説明してほしい」と話す常吉さんは、距離が近いだけではなく、生活圏としても一体感が強い福岡・糸島方面への避難が現実的ではないかとの思いを抱いていた。
今回、30キロ圏を超えて糸島方面に拡散する予測は示されなかった。「県境をまたぐ避難に問題がないのであれば、被害の広がり方なども考慮し、臨機応変に対応してほしい」と話した。
そもそも拡散予測をどう受け止めればよいのか、自治体の担当者や首長からは戸惑う声が相次いだ。
県には先週、事前に原子力規制委から拡散予測の文書がメールで送られてきたばかり。県消防防災課がメールや電話で規制委に説明を求めてい るが、十分な回答は得られていない。同課の木島毅之課長は、風速や降雨量などの設定条件などが明らかになっていないことや、避難対象区域外の線量値が不明 な点を指摘。古川康知事も「試算結果が示されただけで十分な説明を受けていない。詳しく説明を聞きたい」とコメントした。
佐賀市の秀島敏行市長は「ホットスポットはもうちょっと南に広がるかと思ったが、意外に北に寄った印象」としつつも、「これからの季節は西から強い風が吹く。気象条件の設定などを問い合わせたい」。
多久市の担当者は、福島第一原発の拡散予測では線量が高かった福島県飯舘村が今回、避難対象外となっている点を疑問視。「予測はあくまで 目安。予測を見て『安心だ』と勘違いする市民が出てくるのではないか。30キロ圏外でも、とても不安を払拭(ふっ・しょく)できたとは言えない」。小城市 の担当者も「今回の結果が絶対ではない。放射線は気象条件次第でもっと遠くまで飛んでくる可能性がある。とても楽観できない」と話す。
原発から半径30キロ以内にほぼ全域が入る伊万里市の古賀恭二総務課長は「放射性物質は27・5キロ先まで及ぶことが明らかになった」と 話す。その上で、「これで、30キロ圏内が緊急時防護措置準備区域(UPZ)となることが確定すると思う。そうなれば、市民全体が避難対象となり、対策を 考えなければならない」と話す。立地自治体並みの水準を求めている九電との原発安全協定については、「風向き次第では市まで影響が及ぶ。協定はさらに必要 になった」とした。
県市長会会長の横尾俊彦・多久市長は「30キロ圏外だから完全に安全とは言い切れない面が残る。情報を踏まえ、国、県、市町が相互に連携して対策や対応を早急に確立することが重要で努力したい」とのコメントを出した。
避難基準の放射性物質拡散、川内原発は最長21キロ 規制委予測
(2012
10/25 06:30)
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、東京電力福島第1原発事故と同程度の過酷事故が、全国16原発で起きた場合の放射性10+ 件物 質の拡散予測を公表した。川内原発(薩摩川内市)では、事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトになる地点が、風向きによって同原発から北北 東21キロ地点の阿久根市まで及ぶ予測結果となった。規制委が原子力災害対策重点区域の目安として検討する原発から半径30キロ圏(現行10キロ)には、 いずれの方位も収まった。
政府側が過酷事故を想定し、全国の原発の拡散予測を公表したのは初めて。国や自治体は今回の予測などを参考に、高線量が予測される地域住民の避難策など、防災計画に反映させる。
放射性物質拡散予測「詳しい情報欲しい」東北の関係自治体
原子力規制委員会が24日公表した原発事故時の放射性物質の拡散予測に対し、東北の原発立地地域や30キロ圏内の自治体からは「もっと詳しい情報が欲しい」との声が相次いだ。地形を考慮しないなど手法の精度をめぐっても困惑が広がった。
東北電力女川原発の地元の宮城県石巻市はこれまで、原発から半径16キロ圏を対象にした地域防災計画を運用してきたが、国の原子力災害対策指針の見直しに伴い、市内ほぼ全域に相当する30キロ圏の計画作りが必要となる。
角張一郎総務部次長は「どの地域の住民を優先的に避難させるべきかなどの基準が必要。今回の予測は地形などが考慮されておらず、より具体的なシミュレーションに基づく情報が欠かせない」と述べた。
村井嘉浩宮城県知事も「国から具体的な説明がなく、詳細な内容は把握していない」との談話を出した。緊急防護措置区域(UPZ)の在り方は「今回の予測を参考にしながら、県防災会議で検討していく」とするにとどめた。
東北電力東通原発(青森県東通村)の関係自治体も、規制委に詳しい情報提供を求めたい考え。
30キロ圏内のむつ市の防災担当者は、公表内容について「専門的で、このまま住民に説明して理解してもらえるだろうか」と戸惑う。青森県原子力安全対策課の石井輝彦課長も「公表された数値が防災上どんな意味を持つのか、国は住民の疑問に答えてほしい」と注文を付けた。
規制委は東京電力福島第2原発(福島県富岡、楢葉町)の拡散予測も公表した。県原子力安全対策課は「そもそも県は第2原発の4基を含む県内全ての原発廃炉 を求めている」と強調。ただ原発がある以上は防災計画を作る必要があるとして「公表結果も参考資料として使うことになるだろう」と話した。
2012年10月25日木曜日
16原発初の放射性物質拡散予測 女川、最大18キロに及ぶ
原子力規制委員会は24日、全国16原発で、福島第1原発のような過酷事故で放 射性物質が放出された場合の拡散シミュレーションを公表した。避難が必要とされる被ばく基準に達するのは、陸地に全くかからない方位を除き、女川原発(宮 城県女川町、宮城県石巻市)では原発から最大18.3キロ、東通原発(青森県東通村)では13.6キロ、福島第2原発(福島県富岡、楢葉町)では32.5 キロに及ぶと試算した。
政府側が過酷事故を踏まえた各原発の拡散予測を公表するのは初めて。立地道県が防災計画を策定する際、原子力災害対策を重点的に講じる区域を決める参考にしてもらおうと、各原発の全原子炉で過酷事故が起きたと想定して試算した。
年間の気象データを基に、国際原子力機関(IAEA)が避難の基準とした「1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルト」に達する距離を16方位ごとに計算した。
地形を考慮せず、原発立地点の気象条件しか当てはめていないため、規制委は「あくまで目安」と位置付けている。
女川原発では、主に北北東から南東にかけた海側と、陸側では南、北西から西南西の石巻市や女川町への拡散を予測した。最大は北東21.5キロだが、原発から陸地を全く通過しない海上。3方位で基準に達する地点がなかった。
東通原発では、北西の東通村やむつ市方面、東の海上に広がっている。福島第2原発では、北北西や南南東などに拡散。南、南南東の海上2地点で30キロを超えた。陸地でも北28.8キロ(南相馬市)、北北西24.1キロ(浪江町)などに及んだ。
規制委は事前に事故に備える重点区域の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)に拡大する方針。対象市町村は現行の45市町村から135市町村となり、対象人口は約73万人から約480万人(一部重複)に激増する。
福島第2のほか、最大40.2キロの柏崎刈羽(新潟県)、30.9キロの浜岡(静岡県)、32.2キロの大飯(福井県)の3原発でも30キロを超える地点があった。田中俊一委員長は「準備としては30キロで十分だと思う」と話した。
<図の見方>16方位ごとの数字は、基準線量(1週間で100ミリシーベルト)に達する原発からの最大距離(単位・キロ)。拡散の目安を示すため、便宜的に各地点を線で結んだ。数字のない方位は、基準線量に達する地点がないことを示す。
2012年10月25日木曜日
放射性物質拡散予測 県内陸側は南方に
原子力規制委員会が原発事故時に放射性物 質がどこまで拡散するか予測し、24日に公表した「拡散シミュレーション」で、県内4原発からは主に、南方の県境付近や京都府、滋賀県まで高線量の範囲が 広がることが分かった。場所によっては横長の県域が東西に分断される形になり、県や市町は、住民の避難方法などの見直しを迫られそうだ。(山崎光祥)
福島第一原発の3基(合計出力202万8000キロ・ワット)から放出された放射性物質の量を参考に、それぞれの原発ですべての原子炉が同時に炉心溶融を起こしたと想定。昨年1年間の気象データを使い、国際的な避難基準(7日間の積算被曝(ひばく)線量100ミリ・シーベルト)に達する地点がどこまで広がるかを計算した。
関西電力大飯原発(おおい町、合計出力471万キロ・ワット)では、陸側に限ると海からの風に乗って南方に広がる確率が高くなった。国道27号や 舞鶴若狭自動車道の一部を覆い、最も遠くて約32キロ南の京都府南丹市まで届いた。高浜原発(高浜町、同339万2000キロ・ワット)でも、南南東約 30キロの南丹市や東南東約25キロの小浜市まで広がった。
一方、日本原子力発電敦賀原発(敦賀市、151万7000キロ・ワット)からは、市街地や北陸道を越え、南東寄りの滋賀県長浜市にまで拡散。美浜 原発(美浜町、166万6000キロ・ワット)では、敦賀市や若狭町を含め、南西から南東まで半径約20キロの広い範囲で高線量の地点が予測された。
ただ、今回のシミュレーションでは、原発からどこまでも平地が続くと仮定している。実際の事故では建物や山地なども影響するため、今回の結果とは大きく違った形になる可能性もあるという。
(2012年10月25日 読売新聞)
県内避難基準地点なし 島根原発 県、地域防災計画反映へ
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故時の放射性物 質の拡散を予測するシミュレーションで、中国電力島根原子力発電所(松江市)で事故が起きた場合、県内では放射線量が避難の基準に達した場所はなかったも のの、原発から南東に24・2キロ離れた島根県安来市まで影響が及ぶことが分かった。原子力防災対策の重点区域(UPZ、30キロ圏内)内だが、放射性物質が拡散する方角や距離が具体的に示されたのは初めて。県や境港、米子市は、この予測を住民避難や地域防災計画の見直しに反映させる。
(野口英彦、加藤あかね、中村申平)
■拡散範囲 公表資料や県危機対策・情報課によると、島根原発の事故想定は、建設中の3号機(出力137・3万キロ・ワット)も含め、1~3号機の出力に対応した放射性物質量を仮定して計算した。
7日間で100ミリ・シーベルトに達する地点は海側と陸側で各4地点あり、陸側では安来市の24・2キロが最大で、県内で該当するものはなかった。風向の影響で、陸側では同市など南東方向に放射性物質が拡散する傾向があることも分かった。
■県の対応 県はこれまで原発から半径30キロ圏内を重点区域として避難計画や地域防災計画を検討。同課は「結果は想定の範囲内で、防災計画を根本 的に見直す必要はないが、今回、安来市で避難が必要とされたことから、半径24・2キロ地点を基に考えれば県内も対策が必要になる。今後、国の説明を聞き ながら地域防災計画を策定したい」としている。
また、この日、東京に出張中の平井知事は「県が要望していた予測がようやく示された。周辺地域でも安全対策の必要性が明らかになったと受け止めている」とのコメントを発表した。
■住民の反応 今回の予測について、県西部の住民からは不安の声が相次いだ。
米子市道笑町の会社員西田博さん(38)は「放射性物 質の拡散が30キロ圏内に収まると想定されても、事故が起きた時にはみんなパニックになって逃げるのではないか。自治体は今回の国の発表をうのみにせず、 慎重に避難計画を考えてほしい」と話し、同市皆生の主婦(78)は「足腰が弱く、素早く移動するのが困難な高齢者は、家にとどまる屋内退避しかできないの では」と不安を募らせた。
UPZに全域が入る境港市では、市民約3万6000人に加え、水木しげるロードを訪れる観光客の避難誘導対策も求められる。市は防災無線の整備な どで対応する考えだが、自治防災課の担当者は「県と連携して、観光客を安全に避難させることなどを避難計画に盛り込みたい」と話した。
■業務継続 県警は、島根原発から半径30キロ圏内にある境港署(境港市)や近くの米子署(米子市)が使えなくなる事態を想定。災害時には、50キロ以上離れた県中部の八橋、倉吉、黒坂各署に指揮機能などを移し、業務を継続する方向で検討している。
主な機能を移す八橋署(琴浦町)は、築40年で老朽化していたこともあり、防災機能を備えた新庁舎への建て替えを決定。現在、2016年度の新築移転を目指し、町内で候補地を探している。
県警は「住民や観光客の避難状況を見ながら、段階的に機能を移転することになる。八橋署だけで補完しようと思うと相当大きな施設が必要になるので、周辺の署も活用して、対応していきたい」としている。
(2012年10月25日 読売新聞)
女川30キロ圏外「飛散せず」…放射性物質拡散予測
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故時の放射性物質拡散シミュレーション。東北電力女川原発(女川町)については、防災対策の新たな目安となる「半径30キロ圏」外には、高濃度の放射性物質が飛散しないという結果が出た。県や自治体は今後、この結果などを基に新しい防災計画を定めるが、30キロ圏外の仙台市が独自の対策を始めるなど、国の原子力政策への不信感は根強い。
シミュレーションは、女川原発の原子炉3基がすべて炉心溶融(メルトダウン)した場合を想定。昨年1年分の風向きや降雨量などの気象データを基 に、国際原子力機関(IAEA)が避難すべきとする判断基準(事故後1週間の内部・外部被曝(ひばく)の積算線量が100ミリシーベルト)に達する最も遠 い地点を算出した。人口が集中する原発西側で最も遠くまで飛散するのは16・4キロ地点で、石巻市の中心部に近い。
これを受け、県や30キロ圏内の7市町は来年3月までに新しい防災計画を作ることになる。石巻市のこれまでの計画では、市東部の一部で事故時の対 応が明記されていたが、30キロ圏では市のほぼ全域が入ることになり、大幅な改訂を余儀なくされる。担当者は「避難先が足りなくなるかもしれない」と不安 顔。同じく30キロ圏内の美里町は「シミュレーションは地形を考慮していない。事故が起きたら、もっと遠くまで飛散するかもしれない」と心配する。
防災計画の基になるのは、規制委が今月中にも策定する「原子力災害対策指針」だ。指針の素案は既に公表されているが、県の担当者は「あいまいな表記だらけ。成案を早く作ってもらわないと、こちらの作業が遅れる」と話す。
一方、女川原発から約50キロ離れた仙台市。奥山恵美子市長は24日、規制委の指針とは別に、独自の防災計画作りを進める方針を明らかにした。専 門家を集め、子どもの放射線検査の実施や、市外から避難者を受け入れる態勢作りなどを検討してもらう。奥山市長は、「国や県の判断を待っていられない」と 話した。
ただ、こうした自治体は限られている。30キロ圏内には震災で大きな被害を受けた自治体もあり、震災対応で手が一杯なのが現状だ。南三陸町は「専門知識を持った職員が乏しい。短期間で作ることは不可能だ」と頭を抱えている。
(2012年10月25日 読売新聞)
クローズアップ2012:原発事故・線量試算 拡散予測、精度に課題
毎日新聞 2012年10月25日 東京朝刊
拡大写真
◇30キロ圏外の境界「単純視は危険」 柔軟な対応必要
原子力規制委員会が24日、東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえた新たな「原子力災害対策指針案」 と、原発の過酷事故時に緊急避難が必要になる可能性のある範囲を試算した結果を公表した。新たな指針案では、避難など事前対策の重点区域が従来の8〜10 キロ圏内から30キロ圏内に大幅に広がり、対象の自治体は具体的な地域防災計画策定に追われている。しかし、試算では東電柏崎刈羽原発など4原発では30 キロを超えて緊急避難が必要になる可能性が浮上、規制委側の説明不足も相まって混乱が広がる恐れもある。
「福島第1原発事故で(住民が避難した)福島県飯舘村などは30キロ圏外だった」。拡散予測の公表後、記者会見した原子力規制委員会の田中俊一委員長は強調した。
試算では、柏崎刈羽原発(新潟県)で7基の原子炉すべてが炉心溶融した場合、緊急避難が必要な区域が東 南東に40・2キロの魚沼市にまで延び、原子力災害対策指針案で導入される緊急防護措置区域(UPZ)の半径30キロ圏を大きく超える、との結果が出た。 福島事故や今回の試算が示したように、放射性10+件物質は同心円状に拡散せず、自治体に柔軟な対応の必要性を改めて示した。
一方で、試算対象とした16原発のうち12原発は拡散範囲が30キロ圏に収まった。田中委員長は「国際的な水準に照らしても、事前に対策を準備する区域は30キロ圏で十分だ。その圏外では、事故後の放射性10+件物質の測定を踏まえて(避難指示判断などに)迅速に対応したい」と語った。
もちろん、試算には課題がある。山岳地など地形の影響を考慮せず、放射性10+件物 質は放出時の風向き、風速で一方向に飛ぶという単純化した仮定で計算されている。このため、試算結果は実際に事故が起きた時と状況が異なる。自治体や住民 に丁寧に説明しなければ混乱や風評被害を招きかねない。規制委事務局の原子力規制庁は「試算の信頼性には限界がある」と認める。
山澤弘実・名古屋大教授(環境放射能)も「重点対策を取る範囲の目安にはなる。しかし、被ばく線量の 100ミリシーベルト境界線の内側だから危なく外側ならば大丈夫という見方をすべきではない。外側でも避難が必要になる場合があると考えて対応を練ってほ しい」と提言する。
今後、規制委は原子力災害対策指針案に残された不十分な部分で詰めの作業を行う。例えば、住民が避難などの行動を開始する基準の決定だ。このほか、事故後の放射線モニタリングをどのくらいの時間内に行うか、汚染地域から出る人や物に付着した放射性10+件物質をどの程度まで許容するのかも検討する。
規制委には多くの自治体から地域防災計画策定に当たり、国の主体的関与を求める意見が寄せられている。田中委員長は「自治体が計画を作る際のマニュアルも近く作成したい」と支援を約束。11月には試算結果に関する説明会も開催する予定だ。
役立つ防災計画になるかは、これからの規制委と自治体双方の取り組みにかかる。【西川拓、岡田英】
◇活用法、悩む自治体
原発立地県は、来年3月までに地域防災計画をまとめなければならない。今回のシミュレーションでは、避 難が必要な地域が原子力災害対策指針案で示された半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)をはみ出たり、より狭い範囲だったりした。初めて公開され た予測情報に戸惑う担当者も少なくなかった。
7基の原子炉で同時に事故が起きると避難が必要な地域はUPZより大きくはみ出すとの結果が出た柏崎刈羽原発がある新潟県。泉田裕彦知事は「試算結果の内容や考え方について、県を含む県内の自治体に対して丁寧に説明するよう、国に求めたい」とのコメントを出した。
大飯原発(原子炉4基、福井県おおい町)では、南32・2キロの京都市が1週間の被ばく量が100ミリ シーベルトになり得るとされた。京都府は今年3月、国のSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)を使った拡散予測を公表しており、山田啓二・京 都府知事は「広域に影響が出ることは分かっており、策定中の避難計画を根本から変える必要はない」と話した。滋賀県の嘉田由紀子知事は「ようやく国がデー タを出してくれた」と評価しつつ、今回と手法が異なるSPEEDIによる試算結果も「早く提供してほしい」と求めた。
シミュレーション結果が30キロ圏内だった県でも、その情報をどう防災計画に生かすべきか、担当者が頭を悩ませている。
茨城県の東海第2原発(同1基)は、1週間の被ばく線量が100ミリシーベルトに達する最大距離は13 キロだった。同県の原子力安全対策課の担当者は「拡散予測に合わせてUPZも13キロでいいという単純な話ではなく、UPZとしては30キロとしておいた 方がいいと思う。今後、予測とUPZをどうリンクさせるのかについて国の説明を聞いて調整し、検討する」と話した。
女川原発(同3基)を抱える宮城県の原子力安全対策課の担当者は「データだけ独り歩きしてしまう。UPZの範囲設定の考え方をしっかり示した上、シミュレーションをどう使っていくか、説明があってしかるべきだ」と発表方法に疑問を投げかけた。
東通原発(同1基)がある青森県は、原発の他にも核関連施設が存在する。同県の原子力安全対策課の担当者は「県内には六ケ所村の再処理工場もあるが、防災重点地域の範囲が未定。決定を急いでほしい」と語った。【高橋真志、宇多川はるか、杣谷健太、樋口淳也】県、予測結果市町に6日間伝えず
地方自治体が原発事故に備えた地域防災計画を策定する際に活用してもらう目的で、原子力規制委員会から提供された放射性物質の拡散シミュレーションなどの資料を、県が入手から6日間、関係市町に配布していなかったことがわかった。県の担当者は「市町に説明できる程度に内容を把握するのに時間がかかった」と釈明している。
県によると、規制委から資料が届いたのは17日。だが、シミュレーションの位置付けや想定などに関する解説がなかったため、問い合わせを繰り返 し、内容を把握した。結局、計画策定が必要になる原発30キロ圏内の12市町に提供されたのは、正式発表前日の23日午前に県庁で開かれた説明会でだった という。
東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県は18日には県内の全市町村に配布。一方、四国電力伊方原発のある愛媛県は、福井県と同様の理由で23日まで提供しなかった。
(原典子、藤戸健志)
(2012年10月25日 読売新聞)
防災計画に原発対策追加へ 県・氷見市
原子力規制委員会が24日公表した放射性物 質の拡散シミュレーションで、県内には、国際原子力機関の避難基準(7日間の積算被曝(ひばく)量が100ミリ・シーベルト)に達する地域はなかった。志 賀原発(石川県志賀町)から30キロ圏内の「緊急防護措置準備区域(UPZ)」に市域の半分以上が入る氷見市や県は、地域防災計画を改定して原発対策を盛 り込む方針だが、「データが不十分」と戸惑いが広がっている。
シミュレーションでは、志賀原発1、2号機で炉心溶融が起きて放射性物質が漏れる場合などを想定。台風など極端なケースを除いて平均化した昨年1年間の気象データを基に、地形の起伏は考慮せず、16方位で算出した。積算被曝(ひばく)量が100ミリ・シーベルト未満のエリアも示されておらず、実効性に乏しい面もある。
国はUPZを抱える都道府県や自治体に対し、来年3月までに新たな防災計画を策定するよう求めているが、氷見市の池田士寿男(しずお)防災・危機管理監は「シミュレーションは現実的なデータと言えるのだろうか」と疑問を呈し、「一つの参考資料にすぎない」とした。
同市の堂故茂市長も「規制委はさらに調査を進めてほしい」などとコメント。石井知事も「試算結果の内容や、条件設定の考え方などについて丁寧かつ明確な説明をするよう、国に求めたい」とのコメントを出した。
(2012年10月25日 読売新聞)
放射性物質拡散予測 地域防災計画の見直し急務
自治体の境は発表のまま。□は7日間で100ミリ・シーベルトに達する地点(浜岡原発3~5号機の合計出
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故に伴う放射性物 質の拡散予測で、中部電力浜岡原発(御前崎市)では最悪の場合、同原発から30キロ以上離れた海上で、「7日間で100ミリ・シーベルト」に達する地点が 2か所あるとの試算が示された。風向き次第では内陸側に吹き込む可能性もあり、関係機関は試算結果を深刻に受け止めている。
規制委は最悪のケースとして、廃炉措置中の浜岡原発1~2号機を除く、3~5号機の3基の合計出力から積算して拡散予測を試算した。気象条件だけを当てはめ、地形は考慮していない。
この結果、国際基準で避難を求められる「7日間で100ミリ・シーベルト」となる8地点が示され、同原発から東に30・9キロと西に30・2キロの海上で、規制委の新防災指針案で重点区域とする半径30キロを超えた。
このため、30キロ圏内の焼津市危機管理課の担当者は、「市内の数値は上がっていないが、問題は30・9キロまで届くという結果だ。風向きが変われば市内に届いてしまう」と危機感を抱く。
予測は1年間の風向きや風速などの気象データを基に試算されたが、同原発の永久停止を求めている牧之原市の西原茂樹市長もこの日の記者会見で、 「風向きでどこにでもいく。結果は365日の中で一番確率が高いかもしれないが、確率論ではない」と、内陸に広がる可能性に懸念を示した。
今回の予測を受け、各自治体は来年3月までに新たな防災計画を策定することになるが、規制委は具体的な指針を示しておらず、市町の困惑も広がるば かり。30キロ圏内の藤枝市は「原子力に関する防災はまったくのゼロからのスタート。計画は期限までには策定するが、より実効性あるものにするには、来年 度にまた見直さなければならないだろう」と指摘する。
県の岩田孝仁・危機報道監は「本来は県が策定した防災計画を受けて市町が防災計画を作るのが望ましいが、あまりに時間がない。作業は県と市町が同時に進めていくことになる」と説明する。
今回の予測について、浜岡原発が立地する御前崎市の石原茂雄市長は「5キロ圏内の詳細な資料が不足していて、直ちにこれを市の防災計画に反映する ことは難しい」とコメントした。また、川勝知事は「おおむね想定の範囲内だ。国は今後も、防災体制を強化するとともに、関係自治体の地域防災計画の策定支 援などに取り組んでほしい」と注文した。
◇安定ヨウ素剤6市町で備蓄
浜岡原発から30キロ圏内にある全11市町のうち、放射性ヨウ素による甲状腺がんの発症を予防する安定ヨウ素剤を備蓄している市町は、6市町に上る。
半径10キロ圏内に位置し、防災対策の重点地域に指定されている御前崎、掛川、菊川、牧之原の4市は、国の支援を受け、安定ヨウ素剤の効果が期待 される40歳未満のすべての人々に行きわたる分を確保している。だが、現行では国の支援がない30キロ圏で確保しているのは島田、袋井の2市だけ。残る5 市町のうち吉田町などは「現在は県と協議中。早期に備えたい」としている。
(2012年10月25日 読売新聞)
放射性物質拡散予測 知事「防災計画に生かす」
原子力規制委員会が24日、原発事故時の防災対策の目安を原発所在地から「30キロ圏」とする方針を決め、事故時の放射性物 質の「拡散シミュレーション(想定)」を公表した。国のシミュレーションでは、県内で深刻な事態に見舞われるのは、長浜市北端の一部地域だけ、との想定が 示されたが、県の担当者からは「国の予測だけで楽観視するのでなく、より深刻な事態が起こり得ると考え、対策を考えていく必要がある」との声が上がった。 (久米浩之)
◇琵琶湖への影響も懸念
県によると、福井県に立地する日本原子力発電の敦賀、関西電力の美浜、大飯の計3か所の原発30キロ圏には、高島市で約9300人、長浜市では約 8800人の計1万8100人が住んでいる。市境と原発との距離を見た場合、高島市は最も近いのが美浜原発で20・2キロ、長浜市は敦賀原発で13キロと なる。
規制委が発表した拡散予測のうち、滋賀県に特に関係する三つの原発で最悪のケースを考えた場合、事故後1週間の累積放射線量が国際基準で退避を求 められる100ミリ・シーベルトに達する地点は、敦賀原発の南西22・4キロと、東南東19・3キロの、いずれも長浜市北端のみだった。美浜、大飯の両原 発に絡み、県内で100ミリ・シーベルト超になる地点はないと示された。
ただし、県の担当者は規制委の予測に対し、「今回の規制委の予測では十分、風向きの情報が加味されていない。風向きにも留意すれば、美浜、大飯原発でも100ミリ・シーベルト超になる地点が長浜、高島両市で発生する可能性はあるのでは」と指摘する。
嘉田知事はこの日、長浜市で記者会見を開き、「規制委の出した予測と、県が独自にシミュレーションした予測では(前提としたデータが違うので)違 いもある。二つの予測がどう違うか分析し、今後の防災計画に生かしていきたい」と述べた。また琵琶湖への影響について、規制委の予測では「深刻な影響は出 ない」とされている点について、「(琵琶湖に注ぐ)河川を通じて放射性物質が琵琶湖に入ってくる可能性を考えなくてはいけないだろう」と語った。
一方、今回の規制委の発表を受け、長浜市の藤井勇治市長は「内容の詳しい説明はまだ受けていないが、(原発の)『立地市』と『隣接市』という仕分 けが意味を持たないことが改めて示されたと考えている」とコメント。高島市の西川喜代治市長は「国から詳細な説明がないので、情報収集をして内容を検討す る」との談話を発表した。
(2012年10月25日 読売新聞)
避難基準超 全て30キロ圏内・・・島根原発
<放射性物質拡散予測>
全国16か所にある原発で事故が起きた際、放射性物 質がどれくらい拡散するかを予測し、原子力規制委員会が24日公表した「拡散シミュレーション」。島根原発(松江市鹿島町)では、国際原子力機関 (IAEA)が避難を求める基準である7日間の積算被曝(ひばく)線量が100ミリ・シーベルトを超える地点は、すべて同原発の半径30キロ圏内だった。
シミュレーションは、地域防災計画を作る県などへの参考情報として提示した。県などは既に30キロ圏の住民避難計画の策定を進めており、今回の予測による大きな影響はないとみられる。
規制委によると、島根原発で重大事故が発生し、放射性物質が同時に大量放出された場合、風向や風速、降雨量などの気象データを基に試算。1週間で100ミリ・シーベルトに達する地点で最も遠いのは同原発の24・2キロ南東の安来市内だった。
県幹部は「方位によって拡散する予測距離が大きく異なり、地域防災計画を作る上でどのように参考にすれば良いか分からない」と、国に詳しい説明を 求める方針。松江市の松浦正敬市長も「解析結果をどのように参考とすれば良いか不明で、(国の)詳細な説明が必要」との談話を発表した。
安来市の松本城太郎・統括危機管理監は「放射性物質の拡散に立地市も周辺市も関係ないことが明確になった。中国電力に今後も立地自治体並みの安全協定の締結を求めたい」と話した。(矢沢慎一)
(2012年10月25日 読売新聞)
「どこまで参考に」悩む市町
◇放射性物質 拡散予測
原子力規制委員会が24日公表した原発事故時のシミュレーションで、四国電力伊方原子力発電所では高線量の放射性物 質が拡散する範囲は、国の防災対策の目安となる半径30キロに収まる結果となった。最も遠い地点は原発から南南西21・9キロの宇和海だった。ただ今回の 予測は、山、湾、盆地などの地形は考慮されておらず、県や周辺の市町は「どこまで参考にすればいいのか」と戸惑ったり、「これまで通り防災計画づくりを しっかり進める」と淡々と受け止めたりした。(梶原善久、蛭川眞貴、松本裕平)
予測では、伊方原発1~3号機全てで放射性物質が拡散した場合を想定。国際原子力機関(IAEA)の避難基準である7日間の積算被曝(ひばく)線量が100ミリ・シーベルトに達する地点はどの範囲かを、1年間の風向きや降雨量などの気象データを基に算出した。
結果は、佐田岬半島の北の伊予灘と南側の宇和海で特に高線量になり、南南西21・9キロまでに次いで、北北西11・7キロが遠い地点となった。南東側9・6~6・6キロの八幡浜市沿岸にも及ぶとした。
ただ、今回の予測だけで「安全」「危険」を判断できる材料とはならない。風の向きや強さは、地形に大きく左右され、季節や天候によっても変わるためだ。原発の近くでも影響を受けない場合もあれば、予測より遠くへ高線量の放射性物質が飛散する可能性も捨てきれない。
松山地方気象台によると「伊方原発が立地する佐田岬半島や周辺の南予地域は、山間地が多く、風は影響を受けやすい」とする。
また今回は、予測地点とした16方位のうち、原発から30キロに人家のない西側や、風が吹くことがまれな東側などの6方位は、予測をしなかった。
◆防災計画 着実に策定へ
県や市町は今回の予測も踏まえ、原発事故に備えた防災計画づくりを担うことになる。
避難や屋内退避などを準備する緊急防護措置準備区域(UPZ)の30キロ圏内にわずかにかかる内子町。これまで防災計画をつくっておらず、策定を進めており、福島第一原発事故を受けてヨウ素剤6000人分を町の予算で発注した。
今回の予測では、町の方向には高線量の放射性物質は拡散しないとされたが、町危機管理班の鹿野昌明班長は「あくまでも想定で、一つの目安にほかならない。福島では実際に遠くへも飛散しており、町民の安全のため、気を引き締めて計画を練っていく」と話した。
一部が20キロ圏内の大洲市では、原発事故に備えた要綱は、市外からの避難住民の受け入れを中心にしていた。現在、市民の避難を想定した原子力防災計画を練っており、危機管理課は「しっかり計画を策定するだけ」とした。
県は地域防災計画を修正中。規制委は11月、今回の予測について説明する予定で、県の担当者は「数字をどのように防災計画づくりの参考にするのか、説明を受けて検討する」と話した。
(2012年10月25日 読売新聞)
福島のコメ初の新基準値超え
2012.10.25 05:00
福島県は24日、コメの全袋検査で、須賀川市の農家が出荷したコシヒカリの玄米1袋から、食品の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える110ベクレルの放射性10+ 件セシウムを検出したと発表した。新基準値になってから、福島のコメが100ベクレルを超えたのは初めて。検査段階のため、流通はしていない。
県はこの農家がある地域の出荷自粛を要請。この地域から既に出荷されているコメもあるが、県は「全袋検査で基準値以下であることを一袋ずつ確認しており、安全性は確保されている」として回収はしない。
県によると、この農家の320袋を検査したが、ほかに100ベクレルを超えたものはない。コメは天日干ししていたといい、田んぼの土壌など原因を調べる。
【滋賀】
知事「防災計画の基礎に」 原発事故拡散予測
2012年10月25日
原子力規制委員会が二十四日公表した原発事故時の放射性物質拡散シミュレーション。福井県内の原発で過酷事故が起きた場合、高島市や長浜市では避 難が必要な線量基準(七日間で百ミリシーベルト)に達する恐れがあることが示された。これを受け、嘉田由紀子知事は、データを原発災害から県民を守る防災 計画づくりに生かす考えを強調した。
今回の予測では、人体の組織や臓器ごとに放射線の影響を計算し、外部・内部被ばく合計の「実効線量」が、国際原子力機関(IAEA)で避難が必要 とする線量基準の「七日間で百ミリシーベルト」となる地点の最大距離を試算。県内に最も影響を与える地点は、直線距離で敦賀原発から二二・四キロ、美浜原 発から一九・九キロ、大飯原発から二六・二キロ、高浜原発から二六・三キロとそれぞれ算定された。
県による拡散予測に続き、国のシミュレーションでも県域に影響する恐れが示されたことに、嘉田知事は「より実効性のある防災計画を作るための基礎 データにしたい」とコメント。国に対しては「行政境界で汚染物質の拡大は止まらないことが見えてきた。被害を受けるかもしれない自治体が納得できる政策を 進めてもらいたい」と要望した。
長浜市は、関電美浜原発から三十キロ圏内にあり、とりわけ事故の影響が心配される。しかし、福井県美浜町と境を接していないことを理由に、関電な ど原発事業者側は、原子力安全協定の締結対象から除外している。これに反発している藤井勇治市長は同日、談話を出し「内容の説明を受けていないため、現段 階でのコメントは差し控える」としつつも「立地、隣接という仕分けが意味を持たないことが、あらためて示された」とくぎを刺した。
高島市の市民団体「見張り番」滋賀の沢忠起代表(73)は「国がこういった情報を出してくるのは歓迎したい。県のシミュレーションと比較するなどして、県や市の防災計画づくりに生かしてほしい」と語った。
同市の西川喜代治市長も談話を発表し「市はこれまで、県が定めた防護対策地域(四十三キロ圏内)を基に防災計画の策定を進めている。本日、公表された結果については、国からの詳細な説明がないので、情報収集して内容を検討したい」とコメントした。
(梅田歳晴、中尾吟)
【岐阜】
県、「参考にならず」と再調査要求へ 原発事故拡散予測
2012年10月25日
もっと詳細なデータを-。国の原子力規制委員会が二十四日公表した原発の重大事故による放射性物質拡散予測で、県は「参考にならない」と困惑して いる。データがおおまかすぎて、岐阜への影響が分からないからだ。県は、九月に独自に公表したいっそう緻密な“岐阜方式”の被害予測調査の実施を国に求め る。
「得られるものは少ない。もっと詳細なデータがあれば活用できるかもしれないが」。県原子力防災室の大脇哲也室長は顔をしかめた。
今回の放射性物質拡散予測では、県境に最も近い日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で大事故が起きた際、一週間後に被ばく線量が百ミリシーベルトに達する場所は岐阜県内にはないとされた。
だが、県によると、これは放射性物質が最も遠くまで広がる極端な気象条件はあえて省いた上での試算。さらに放射性物質の拡散が見込まれたとしても、被ばく線量が百ミリシーベルト未満の場所は明示されなかった。
山など地形の影響を考慮せず、気象データの精度も低いという根本的な問題も指摘されている。小川敏大垣市長は二十四日の会見で「地形や風向きで (拡散は)変化する。実態にそぐわないのではないか」と疑問を呈した。国も「信頼性に限界があることを踏まえ、あくまで参考とすべきだ」(原子力規制庁) と認めている。
県独自の被害予測調査では、季節と天候次第で、大垣市や関ケ原町、揖斐川町の一部で外部の被ばく線量だけでも年間百ミリシーベルトに達するとされた。一キロ四方の地形情報や五キロ四方の気象データを反映させるなど、国よりも緻密な計算によって導き出した結果だ。
県は「手法としては、地形や気象条件を細かく含めた岐阜の方が進んでいる」と指摘。全国知事会などを通じて、再調査を国に働き掛けていく考えだ。
(多園尚樹)
県、対応策を検討へ 原子力規制委の拡散予測 ヨウ素剤配布など課題に
(10月25日)
原子力規制委員会が24日に公表した全国16原発の放射性20+ 件物 質の拡散予測を受け、県は1日に決定した県地域防災計画「原子力災害対策編」に、具体的な対応策を盛り込むよう検討に入る。拡散予測によると、本県には住 民避難が必要とする国際基準を上回る地域はなかった。ただ本県県境から最短距離にある東海第2原発(茨城県)までは32キロと近く、今後県が今回の予測を どう計画に反映させるかが注目される。
福島第1原発事故による放射能被害を踏まえ、県がまとめた県地域防災計画は、福島第1、福島第2、東海第2、柏崎刈羽(新潟県)で事故が発生した場合を想定して対策を盛り込んだ。本県県境から4原発までの距離は32~93キロ。
県は今回の拡散予測公表を前に計画をまとめたため「具体的な影響や想定」については、現時点で計画に記載されていない。今回の拡散予測など国が示す指針を踏まえ、県は具体的な検討に入る。
第二原発、30キロ圏外にも 放射性物質「最悪」拡散予測
原子力規制委員会が24日公表した全国16原発の放射性物質の「拡散シミュレーション」で、東京電力福島第二原発が、原発災害に備える「防災対策重点地域」とされる半径30キロ・メートル圏を超えて広がる結果が出た。県や地元自治体は「今後対応を検討したい」と冷静に受け止めている。
シミュレーションは、〈1〉福島第一原発事故(1~3号機)と同量の放射性物質(77万テラ・ベクレル。テラは1兆)が放出〈2〉実際の原子炉の合計出力に応じた放射性物質が放出――の2種類で計算。第二原発の風向きや降雨などの気象データを考慮し、7日間の累積被曝(ひばく)線量が100ミリ・シーベルトに達する場所を予測した。
その結果、ヨウ素131やセシウム137などの放射性物 質は第二原発の北北西と南南東方向を中心に広がり、〈1〉では30キロ圏内に収まった。一方、〈2〉では陸上部分が南相馬市の28・8キロが最大だった が、海上ではいわき市の32・8キロと圏外に達した。第二原発の合計出力は1~4号機で440万キロ・ワットと、第一原発1~3号機の2倍以上あり、拡散 範囲も広くなるためだ。
県は9月、重点地域を従来の第一、第二両原発の半径10キロ圏内6町から、いわき市など、ほぼ30キロ圏に含まれる13市町村に広げる方針を明ら かにし、現在、地域防災計画の見直しを進めている。新重点地域には30キロ以上離れた川俣町も対象とするなど範囲を広く設けており、今回のシミュレーショ ン結果が計画の見直しに大きな影響を与える可能性は低いとみられる。
県は11月にも、まずは災害時の初動対応に関する見直しを行い、来年3月に全体的な改正を行う考え。県の小山吉弘原子力安全対策課長は「当初の方 針で対応できると考えるが、県防災会議原子力防災部会での議論を踏まえながら対応していきたい」と話す。また、いわき市原子力災害対策課の担当者も「参考 にすべき情報で、今後、国や県と連携しながら市の地域防災計画を作っていきたい」と語った。
(2012年10月25日 読売新聞)
石原新党・維新・みんな 「第三極連合」、険しい政策一致
2012.10.26 23:54 (1/2ページ)
定例会見に臨む、石原慎太郎東京都知事=26日午後、東京都庁(松本健吾撮影)
新党結成を表明した石原慎太郎東京都知事は26日、次期衆院選に向け、日本維新の会やみんなの党も含めた「第三極連合」の必要性を強調した。維新 とみんなも同日、政策協議を本格化させるなど連携に向けた動きが活発化した。ただ、石原氏と維新では憲法のほか原発や環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP)交渉参加などの主要政策で対立点がある。「官僚支配打倒」(石原氏)という大目標だけで連携するのは容易ではない。
「薩長土肥も関心、考え方は違ったけど、幕府を倒して新しい国家をつくるということで大連合があった。一緒にやったらいいんだ、選挙は。みんなで大連合をつくって…」
石原氏は26日、都庁での記者会見でこう述べ、現在の政治状況を幕末と重ね合わせて、第三極による大連合の「大義」を訴えた。
さらに「政策が違うとかじゃないんだ。大眼目は官僚支配を壊していくことだ。原発をどうするとか、消費税をどうするとかはある意味、ささいな問題なんでね」とも述べ、大同団結を呼びかけた。みんなの党の渡辺喜美代表との会談にも意欲をみせた。
石原氏が「第三極連合」を訴えたのには、足元で維新の会代表の橋下徹大阪市長に対する懸念が噴出していることも一因にある。
25日夕、石原氏はたちあがれ日本の党本部で平沼赳夫代表らと会談したが、たちあがれ側からは維新との連携について「政策が違う」「譲歩しすぎたら 政党の意義がなくなる」との声が続出した。石原氏が「もうちょっと大きな視野で考えられないか」と平沼氏らを説得する場面もあった。
橋下 氏も26日、「石原氏と一致していると言えないところは、エネルギー政策と憲法だ」としながらも、「憲法改正をしなきゃいけない思いは同じだ。憲法問題が 連携の支障にはならない」と石原氏への配慮を示した。もっとも、維新幹部は「(橋下氏が)石原氏を心の中では尊敬しても政策の中身が違えば違うと言うしか ない」と言い切った。
渡辺氏も26日の記者会見で、石原氏の会談呼びかけに対し「消費増税を容認するのであれば話にならない。基本政策も政治理念も違うと政界再編の対象にはならない」と否定的な姿勢を示した。
一方、維新とみんなの協議は和やかな雰囲気で始まった。維新幹事長の松井一郎大阪府知事が「誰とどう組むではなく、何をやるかを政治の中心に据えている」 と説明すると、みんなの江田憲司幹事長も「政策を一致させない限り連携もない」と応じ、11月末までに共通政策を取りまとめることで合意した。
ただ維新も増税そのものを反対するみんなに対しては「年間予算の半分が赤字国債の中で、何でもかんでも反対というのはどうか」(松井氏)と不満を示してい る。これに対しアジェンダ(政策課題)の最初に「増税の前にやるべきことがある」と掲げるみんなとしても消費税問題は譲れない一線であり、両者の協議も難 航する可能性がある。(松本学)
2012年10月25日(木)
東海第2最大13キロ 規制委予測、放射性物質の拡散
大事故1週間後、100ミリシーベルト 知事「避難対象減る」
原 子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が、福島第1を除く全国の16原発で発生した場合の放射性物質の拡 散予測を公表した。東海村の日本原電東海第2原発で発生した場合、事故後1週間の積算被ばく線量で住民避難が必要な100ミリシーベルトに達する地点 は、南南西13キロのひたちなか市が最も遠く、事前に備える重点区域「緊急防護措置区域(UPZ)」の半径30キロ圏を大幅に下回った。橋本昌知事は「東 海第2で避難範囲を30キロにする必要があるのか、国の見解を聞きたい」との考えを示し、圏内の自治体は結果に戸惑いを見せた。
福島第1を除く全国16の原発で、過去1年の風向きなど気象データを基に放射性物質の拡散を予測。全原子炉でメルトダウン(炉心溶融)などが発生した場合を想定した。
東海第2は、南から西の方角にかけて100ミリシーベルトに達する地点が多く、北1・5キロが最も近かった。
県は本年度、福島第1の事故を踏まえ、地域防災計画の原子力編をまとめる方針。半径30キロ圏内で約100万人の避難計画を立てなけれならず、拡散予測の公表は圏内各自治体の計画に影響を与える可能性もある。
橋本知事は茨城新聞の取材に対し、「1週間で13キロなら(東海第2原発の)UPZを半径30キロにする必要がないのではないか。13キロなら対象人口はぐっと減る。今回の予測が避難計画の策定に影響するのかどうか、その辺の見解を国に聞く必要がある」と語った。
圏内の自治体は「単独では防災計画は立てられない」と口をそろえる一方、予測結果をどう扱うかは意見が分かれた。
東海第2原発が立地する東海村の村上達也村長は「情報が出されたのは非常に良い。東海村では事故が起きれば当然逃げなくてはならないが、防災対策の参考に なりうる情報」と評価。水戸市は「予測結果は指針の一部なのだろう。今後の指針を踏まえ準備を進めていきたい」とし、那珂市は「予測結果を防災計画に反映 させるのか示されていない」と推移を注視する。
拡散予測に入っていない自治体は「これまで通り30キロ圏を想定する」(茨城町)、「確率が低いと言っても、事故が起きたらどうなるか分からない。しっかり計画は立てたい」(日立市)との考えを示した。
公表を事前に知らされていない自治体も多く、ひたちなか市の鈴木幸男市民生活部長は「国からの連絡がない中、どう評価していいか分からない」と戸惑いを見せた。
石川のニュース 【10月25日02時40分更新】
七尾、羽咋、志賀、中能登で高線量 規制委の志賀原発事故予測
原子力規制委員会が24日に公表した全国16原発の放射性物質の拡散予測で、志賀原 発の事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトと高くなる地点は七尾、羽咋 、志賀、中能登の4市町に到達した。結果について、田中俊一委員長は会見で「試算結果 だけが独り歩きするのは困る。(自治体に)よく説明して理解を得たい」と強調した。
石川県や各市町は拡散予測を参考に3月までに原子力防災計画を作るが、規制委の説明 不足を指摘する声が相次いだ。田中委員長は「丁寧に説明するのは時間的に無理だった。 (自治体が)計画を作る段階でよく相談したい」と釈明した。
拡散予測では、志賀1、2号機でメルトダウン(炉心溶融)などの過酷事故が発生した 場合を想定。昨年1年間の風向などを基に16の方角で100ミリシーベルトに達する地 点を試算した。地形などは考慮せず簡略化した手法を用いた。
その結果、100ミリシーベルトに達する地点は南南東19.6キロの羽咋市が最も遠 く、次いで南東18.4キロの中能登町、東北東16.0キロの七尾市、南2.8キロの 志賀町となった。海側は南西から西北西にかけて9.4~18.7キロだった。いずれも 「原子力災害対策重点区域」(UPZ)の目安となる原発の半径30キロ圏(現行10キ ロ)に収まった。
事故後直ちに避難の必要がある「予防防護措置区域」(PAZ)に該当する被ばく線量 が予測される地点は志賀原発から半径700メートル以内になり、規制委が目安とする原 発の半径5キロに入った。
全国の原発では、東京電力柏崎刈羽(新潟県)の東南東40.2キロをはじめ、東電福 島第2、関西電力大飯(福井県)、中部電力浜岡(静岡県)の4原発が30キロ超で10 0ミリシーベルトに達したが、田中委員長は「あくまで計算。UPZは30キロ圏で十分 だ」との認識を示した。
原子力安全協定案 国の拡散予測受け知事見直し要求 滋賀
2012.10.25 02:08
■「事業者は不合理自覚を」
原子力規制庁が24日福島第1原発事故並みの事故が発生した場合の放射性物質拡散シミュレーションを 提示したことを受け、嘉田由紀子知事は同日、県などが3原発事業者に求めている原子力安全協定で事業者側の協定案に関西電力美浜原発(福井県美浜町)の締 結対象自治体に長浜市が除外されたことについて「放射性物質が自治体の境界を超えて飛散することがはっきりと示された。事業者側は行政区域で分ける不合理 を自覚してほしい」と見直しを強く求めた。
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長浜市内で報道陣の取材に応じた。知事は、「国は責任を持って(安全協定を結ぶよう)事業者を指導してほしい」とも強調した。
事業者側が今月17日に示した協定案では原発の現地確認の権利など“準立地自治体並み”の内容が盛り込まれたが、長浜市が美浜原発から最短15キロの距離にありながら立地する美浜町に隣接していないことを理由に、締結対象自治体から外されていた。
一方、シミュレーションについて、嘉田知事は「ようやく国がデータを公表したことは歓迎する」と述べる一方、県が昨年独自に実施した放射性物質拡散予測と は前提が異なるとし、「県の前提に近い国の放射性物質拡散予測システム『SPEEDI』のデータ公表を求める」とした。
長浜市山階町の無職、田辺徳三さん(61)は「大切なのはシミュレーションではなく、国や自治体が何かあったときにどう対処してくれるかということ。最終的には自分で見極めて行動するしかない」と話した。
原発事故・拡散予測 府独自で結果検証へ 京都
2012.10.25 02:00
■山田知事、「地形想定外」を批判 京都市「ゼロからのスタートではない」
原子力規制庁が24日公表した放射性物質の拡散予測の シミュレーションマップ。同日開かれた記者会見で山田啓二知事は「原発事故が、府内に影響するのを再確認した」と評価し、関西電力に立地県並みの安全協定 の締結を求める方針を改めて表明する一方、「拡散予測に地形を入れていないのは問題がある」と批判、今回の予測結果の検証を府独自で行うことを明らかにし た。(栗井裕美子、五十嵐一、原田純一)
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拡散予測によると、府内では、稼働中の大 飯原発から南に32・2キロにある京都市でも、国際原子力機関(IAEA)が避難の判断基準として使用している「7日間で100ミリシーベルトの被曝(ひ ばく)」を超えるなど、一部地域では、現在設定している原発から30キロ圏内の緊急防護措置地域(UPZ)の範囲を超えて被害が広がる可能性があることが 明らかになった。
府内の自治体は、昨年3月、国が公表した「SPEEDI(スピーディ)」によるシミュレーションを地域防災計画に反映している。
山田知事は「スピーディより、放射性物質が西に広がる範囲が小さいと感じた。今までやってきたものが根本的に無駄になるものではないと思う」と述べる一 方、「素人なので、今回の予測とどこがどう違うか分からない。予測に地形が入っていないのは問題。国からも11月に説明があるが、府の原子力防災専門委員 にも検証してもらう」と話した。
当初、原子力規制庁は大飯原発の南32・2キロの拡散予測地域を南丹市としていたが、地元の指摘を受け同 日夕、京都市右京区に訂正。同市の担当者は「今後対応を検討するが、左京区の一部がUPZの圏内になっており、右京区が対象になってもゼロからのスタート ではない」と話した。
高浜、大飯原発に近く、事故の大きな影響が予想される舞鶴市の今儀浩一危機管理・防災課長は「シミュレーションは市 としても勉強するが、これを受けて市が単独で、地域防災計画の内容を変更することはできない。シミュレーションより、具体的な防災指針を出してほしい」と 話す。
多々見良三市長も「今後、国、府の説明を受ける中で、地域防災計画の見直しを進めたい」とコメントするにとどめた。
宮津市の担当者は「これまでの想定通り、全市民の避難計画を策定することに変わりはない」と冷静な反応。ただ、影響が及ぶ範囲に、ズレがあることについて「できるだけ近くで安全な場所に避難することを考えると、補正する必要があるかもしれない」としている。
中山泰・京丹後市長は「拡散シミュレーションは示されたが、規定の方針通り、年度内の早期に原子力防災計画を策定する」。松山正治・福知山市長は「今回は 一定のシミュレーションが示されたものと冷静に受け止めたい。今回の結果を踏まえ、現在策定中の地域防災計画への反映や住民避難計画の内容に盛り込みた い」とコメントした。
全国14原発、放射性物質の拡散予測地図
2012/10/24 23:15
■地形や建造物は考慮せず
全国の原子力発電所で東京電力福島第1原発と同程度の事故が起き、10時間にわたり放射性物質が漏れ出たと仮定した。各原発の年間の風向き や風速、降雨量などの気象データをもとに、放射性物質がどう拡散するかについて原発を中心とした16の方角ごとに試算。1週間の被曝(ひばく)線量が 100ミリシーベルトに達する地点を四角で表示した。
この地点を結んだ内側(赤い部分)は1週間の被曝が100ミリシーベルトを超えると見込まれる。山や谷などの地形、ビルなどの建造物につい ては考慮していないため、実際の拡散は異なる場合がある見通しだ。事故当日の風向きなどによっても放射性物質の動きは変わるためだ。最悪に近い事態で拡散 の傾向を示した地図と位置付けられる。
原発事故拡散予測 県、“参考”扱いに不満 規制委に意見書 福井
2012.10.25 02:08
原子力規制委員会が24日発表した原発の放射性物質の拡散シミュレーション。県は、「曖昧な試算結果を参考と示すだけでは立地地域や国民を不安がらせる」と批判的な意見を規制委に提出した。規制委は11月2日に立地自治体などへの説明を行う。
24日、取材に応じた県安全環境部の石塚博英部長は今回のシミュレーション結果を“参考”扱いとした点について「原子力は国の政策。責任を持って避難基準 を示してもらわないと、近隣府県との防災連携にも国の方針が土台に必要で、今回の結果から防災指針を策定するのは難しい」と不信感を示した。
また、シミュレーションの条件としてあげられている、福島原発事故で67時間で放出したものを10時間で高濃度に放出されるとしている▽各サイトのすべて の原子炉が同時に壊れる▽各サイトですべての原子炉が稼働中としている-など3つの想定について、「仮定を重ねた机上のもので根拠も不明」と批判した。
西川一誠知事は23日の記者会見で、「原発事故制圧の指針を作成せずに避難だけを先に議論するのはナンセンス」と規制委の議論の進め方に疑問を呈してい た。一方、避難や屋内退避を準備する地域を、従来の原発8~10キロ圏内から30キロ圏内に拡大したことには「リスクが高い5キロ圏内の議論を優先すべき だ。漠然と30キロ圏というだけでは実効性のある議論にならない」と述べていた。
県は6月、独自に暫定の原子力災害対策を定めた。しか し、国の原子力防災指針が定まっていないため、近隣府県との連携は盛り込まれず、避難先はすべて県内。このため、関西電力大飯原発の事故時には最大8時間 20分を要するなど非効率な対策となっており、国の早急な指針策定を求めていた。
3市の一部で避難必要 30キロ圏7市町関与強化へ 静岡
2012.10.25 02:06 (1/2ページ)
浜岡原発で行われた全電源喪失を想定した緊急事態対策訓練の様子=3月、御前崎市
浜岡原発で福島第1原発クラスの事故が起きれば最大30・9キロ圏で住民避難が必要になるという国のシミュレーション結果は、「想定の範囲内」 (静岡県危機管理部)とはいえ、原発周辺自治体や関係機関の今後の避難計画策定に大きな影響を与える。今回の試算によって、これまで国が漠然と示してきた 緊急防護措置区域(UPZ)の30キロ圏拡大が一定の根拠を得たことになり、各自治体は早急な原子力災害対策の見直しを迫られている。
国のシミュレーションによると、浜岡原発で事故が起きれば、放射性物質は東西にリボン状に拡散する。
福島第1原発事故と同量の放射性物質が漏れた場合、住民の避難が必要な「7日間で100ミリシーベルト被曝(ひばく)する」範囲は、浜岡原発の東側に最大23・8キロ、西側に最大22・6キロ。南北にはほとんど広がらない。
福島第1原発より規模が大きい浜岡原発の出力に応じて放射性物質の量が増えると仮定すれば、「避難必要地域」は最大で東側30・9キロ、西側で30・2キロとなり、UPZを超える計算だ。
しかし、風向きを考慮すれば、放射性物質はほとんどが海に向かって拡散する。陸地で「避難必要地域」に入るのは、御前崎、牧之原、掛川3市の一部のみ。いずれも、中部電力と安全協定を結ぶ「地元4市」の一翼だ。
福島第1原発事故以降、30キロ圏の7市町(磐田、島田、袋井、藤枝、焼津の各市と森町、吉田町)は、周辺4市と同様に、浜岡原発に関する意見を 述べたり情報提供を受けたりしたいと望んできた。国の試算による「避難必要地域」がUPZの30キロ圏とほぼ重なったことで、今後7市町は浜岡原発への関 与を強める一方、原発事故を想定した避難計画の早急な策定を求められることになる。
災害対策重点区域「30キロ目安」 原子力規制委が試算
2012年10月25日 01:27 カテゴリー:社会 九州 > 福岡 九州 > 佐賀 九州 > 鹿児島
原子力規制委員会は24日、東京電力福島第1原発のような深刻な事故が起きた場合、九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)と川内原発(鹿児島県薩摩川内市) では、原発から20キロ以上離れた地点でも緊急避難が必要な被ばく線量に達するとの試算を公表した。規制委の田中俊一委員長は記者会見で「あくまでシミュ レーション」としたが、各自治体が試算を踏まえて行う地域防災計画の策定には混乱も予想される。
規制委は原子力災害対策重点区域の目安を原発から30キロ圏とする方針。全国の原発の試算では30キロ圏より離れていても避難が必要な地域があったが、田中委員長は「30キロ圏でいいと思う」との認識を示した。
試算は、福島の事故と同規模の事故が起きたと仮定し、各原発の総出力に応じて放出された放射性物質がどう拡散するかを予測した。
玄海原発では玄海町や福岡県糸島市が、緊急避難を必要とする事故後1週間の積算被ばく線量100ミリシーベルトに達した。要避難距離は東北東27・5キロ に及んだ。川内原発では北北東21キロが最大で、鹿児島県阿久根市、薩摩川内市、いちき串木野市の一部で避難が必要となった。
全国では東電柏崎刈羽原発(新潟県)▽関西電力大飯原発(福井県)▽中部電力浜岡原発(静岡県)▽東電福島第2原発-の4原発で避難が必要な地域が30キロ圏を超え、柏崎刈羽は40・2キロに及んだ。
◇ ◇
規制委事務局の原子力規制庁は24日、川内原発事故の際に避難が必要な北北東21キロは「出水市」ではなく「阿久根市」と訂正した。
=2012/10/25付 西日本新聞朝刊=
原発事故放射性物質拡散予測 4原発で30km超える範囲に拡散
原子力規制委員会は24日、全国16カ所の原子力発電所で重大な事故が起きた場合の、放射性物質の拡散についてのシミュレーション結果を公表した。
今回のシミュレーションは、それぞれの原発で、「原子炉全てが炉心溶融を起こした場合」を想定した。
その結果、柏崎刈羽原発、大飯原発、福島第2原発、浜岡原発の4つの原発周辺で、避難準備などの対策が必要となる半径30km圏を超えたところでも、7日間で100ミリシーベルト(mSv)の被ばく量に達することがわかった。
中でも、新潟県の柏崎刈羽原発では、30km圏からさらにおよそ10km離れた魚沼市の西、原発から40.2kmの地点でも、避難基準値に達している。
全国屈指の米どころにも戸惑いをもたらす今回の試算結果、防災計画の策定などをめぐり、今後、再検討を迫られることになるとみられる。
コシヒカリの産地として知られる、新潟・魚沼市。
米作りをする農家などからは、不安の声が聞かれた。
魚沼市の農家は、「食べ物は、確実に風評被害が出るでしょうね」、「できるならば、再稼働はしてほしくないよね。無理かもしれないけど」と話した。
24日、原子力規制委員会は、全国16の原子力発電所で、福島第1原発と同じ程度の事故が起きた場合、どの程度の距離まで放射性物質が拡散するかの試算を初めて公表した。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は「このシミュレーションの位置づけですけれども、今後、防災計画を作っていくうえでの基礎資料にしようということで」と述べた。
過去1年間の気象データをもとに、風向きや風速などから試算を行い、国際的な避難基準である7日間の被ばく線量が、積算で100ミリシーベルトを超える地点を地図上に表示している。
一般の人が1年間に浴びてもよいとされる追加被ばく線量は、1ミリシーベルトとされており、それをはるかに上回る値となっている。
最も広範囲に拡散すると予測されたのが、新潟県の柏崎刈羽原発で、事故が起きた場合、40.2km離れた魚沼市まで達するとしており、避難準備などの対策が必要とされる、半径30km圏を大幅に超える結果となった。
魚沼市の大平悦子市長は「(対策は)全くしておりません。これから、避難経路・避難場所というものを考えていかなければなりませんので、大変大きな問題になります」と述べた。
ほかにも、現在国内で唯一稼働している福井県の大飯原発では、1週間に100ミリシーベルトを超える地点が、32.2km離れた京都市まで到達すると予測。
さらに、福島第2原発、静岡県の浜岡原発とあわせ、4つの原発で、30kmを超える範囲にまで放射性物質が拡散すると予測された。
京都府の山田啓二知事は「京都にとりまして、大きな影響があることを再確認できたわけでありますから。いっそう原子力防災について、全力を挙げて取り組んでいきたい」と述べた。
ただし、原子力規制委員会では、試算に山など地形の起伏は考慮しておらず、気象条件も変わる可能性があるため、「あくまで参考資料として活用してほしい」としている。
原子力規制委員会の田中委員長は「やたらと、そこを不安に思わないでいただきたい。シミュレーションだけが1人歩きするということが、一番、わたしどもとしては困る」と述べた。
一方、規制委員会が示した防災指針案には、原発事故が起きた場合、入院患者の避難が困難なため、原発周辺の病院を放射性物質から防護できるつくりにしておくことや、病院の近くに一時避難所を設置することなども、新たに盛り込まれた。
原 子力規制委員会の田中委員長は「(病院に)とどまっても、ある程度、被ばくを避けられるようなシステムというものを考えないと。放射線とは関係ないところ で、(福島は)お亡くなりになられた方が出ている。そういうことは、絶対避けたいなというところはありますので」と話した。
東日本大震災の時、原発からおよそ4kmの福島・大熊町の双葉病院では、寝たきりや高齢患者の避難が遅れ、移動中や搬送先で、多数の犠牲者を出したことを教訓としている。
静岡県にある焼津市立総合病院は、原発事故の被災者の治療を行う「初期被ばく医療機関」に指定されている。
焼津市立総合病院は、浜岡原発から、およそ28kmの距離にある。
焼津市立総合病院では、10台以上の線量計が常備され、緊急時に備えている。
また、患者の対応には、ビニールシートを敷いて、汚染が広がらないようにするという。
ずらりと並ぶ、放射線測定器。
防護服を着用し、床には汚染拡大を防止するビニールシートが敷かれる。
初期被ばく医療機関では、軽度の被ばく患者を受け入れ、被ばくが確認されれば、除染し、治療を行う。
配備にかかった費用は、県と市が半額ずつ負担した。
焼 津市立総合病院の杉山 禎診療技術部長は「原発に本当に近い病院というのは、たぶん診療を続けられないのではないかという予想でいれば、そういった患者さんが、たくさん押し寄せ てきてしまうんではないかと。大きなけがをされている方っていうのは、うちで引き受けて、助けてあげなくては」と話した。
原発周辺の自治体は、今回のシミュレーションを参考にして、2013年3月までに防災計画を策定する予定。
(10/25 00:31)
30キロ圏外でも100ミリシーベルト 「福島級の事故」で4原発
原子力規制委員会は24日、福島第一原発と同じような事故が他の原発で起きた場合、放射性物質がどこま で拡散するかについての試算を公表しました。試算では、柏崎刈羽原発など4つの原発で30キロを超えた地点でも事故後1週間の被ばく線量が100ミリシー ベルトに達するとされています。現在、規制委員会が策定中の防災計画では原発から半径30キロ圏内を事故に備える地域としていますが、今後はさらに広い範 囲で備えが必要となる可能性があります。
原子力規制委の拡散予測:万が一の事故に備え「楽観は禁物」と県/神奈川
2012年10月25日
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故による放射性10+ 件物質の拡散予測。いずれの試算でも神奈川は到達圏内に含まれていないが、県は「緊急避難を必要としない低レベルの放射線量でも市民生活に影響が生じる可能性はある」として、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた広域的な原子力災害対策を進める考えだ。
神奈川に最も近い中部電力浜岡原発(静岡県)は、県西部から約100キロの距離。昨年の福島第1原発事故では、300キロ近く離れているにもかかわらず農作物などの被害が生じたため、風向きなどによっては警戒が必要となる。
県は今回の予測について「厳しい事故想定には冷静な対応が必要」としながらも、「農作物被害や環境汚染などに対応する対策は練らなければならない」と楽 観視しない姿勢を強調。年内に策定する原子力災害対策計画(修正版)に位置付けたモニタリング監視などで、万が一の事故に備えるとしている。
2012年10月24日23時56分
玄海原発30キロ圏、避難手探り 3県、計画連携「必要」
玄海原発の拡散予測
放射性物質の拡散予測は玄海原発(佐賀県玄海町)分も公表された。避難基準を超す積算被曝(ひばく)線量は、重点区域の目安とされる30キロ圏内に収まった。それでも30キロ圏内は佐賀、福岡、長崎の3県にまたがり、25万5千人が住む。避難の方法は煮詰まっていない。
玄海原発の拡散予測では、佐賀県唐津市の市街地や、複数のダムを含む地域が避難基準を超えた。
佐賀県では重点区域の人口が、従来の10キロ圏3万1千人から、30キロ圏では19万2千人にふくらむ。「いかに円滑に避難させるかが課題」(県消防防 災課)。9月定例県議会で、避難のシミュレーション費4千万円を予算化したばかり。「マイカーによる避難も計画しているが、どの道路がどのくらい渋滞する か分からない」という。
防災計画なければ「原発再稼働は困難」 規制委員長
2012/10/24 23:00
原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の記者会見で、原子力発電所の周辺自治体がつくる地域防災計画について「再稼働の条件ではない が、(つくってもらわないと)再稼働はなかなか困難になる」との見解を明らかにした。規制委は避難区域をこれまでの8~10キロ圏から30キロ圏に広げる 方針だが、自治体の防災計画づくりが遅れれば原発の再稼働にも影響が出るおそれがある。
規制委は24日、東京電力福島第1原発のような事故が全国の16原発で起きた場合の放射性物質の拡散を予測した地図を公表した。東電柏崎刈羽、関西電力大飯など4原発で、国が避難の目安とする30キロ圏を超えて放射性物質が広がると分析した。
原発周辺の自治体の防災計画づくりにも影響が及ぶ可能性があるが、田中氏は「予測はあくまで計算。(避難区域は)30キロ圏で十分だ」と強 調。今回の予測は山や谷などの地形を考慮していない点に触れ「シミュレーションが独り歩きしても困る。やたらと不安に思わないでほしい」と述べ、関係自治 体に冷静な対応を呼びかけた。
規制委が避難の目安を30キロ圏に定めても、最終的に地域の避難区域を決めるのは自治体にゆだねられる。特に今回の予測で30キロ圏より放射性物質が拡散する懸念があると指摘された地域では、避難区域をさらに広げようとする動きが出る可能性がある。
避難場所の確保や避難民の誘導など、近隣自治体の間で調整が難航しかねない。田中氏は「協議の場を設けたい」と語り、規制委が自治体間の調整役を担う考えを表明した。
規制委は年内にも原子力災害対策指針をまとめる。自治体は指針をもとに、来年3月までに防災計画をつくる方針。一律30キロ圏になれば135自治体、のべ480万人が対象になる。
重点区域「30キロ圏で十分」 拡散予測踏まえ規制委員長
(2012年10月24日午後9時07分)
記者会見する原子力規制委員会の田中俊一委員長=24日午後、東京都港区
原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の記者会見で、原発事故を想定した放射性20+ 件物 質の拡散予測の結果を踏まえても、原発の周辺自治体の「原子力災害対策重点区域」の設定は「30キロ圏で十分」との認識を示した。予測では一部の原発で 30キロ圏の外側で避難が必要となる結果が出ており、原子力防災計画の策定をめぐり、関係する自治体に混乱が広がりそうだ。
また田中氏は原発の再稼働の前提として、自治体による適切な防災計画の策定を重視する考えをあらためて強調。
県教委:給食で放射性物質検査 「確認のため」3月まで /鳥取
毎日新聞 2012年10月24日 地方版
県教委は29日から、学校給食の放射性10+件物質のモニタリング検査を実施する。「給食の安全を改めて確認する」のが目的で、来年3月1日まで。
文部科学省の委託を受け実施する。対象は鳥取市など7市町村の公立小中学校の給食と、鳥取盲学校など県立学校の給食。調理場などで集めた1週間分をまとめて検査機関に送り、放射性10+件セシウム134、同137を検査する。期間中に計63回実施する予定。
結果は県や各市町村のホームページで随時公表される。1キロ当たりで1ベクレル以上が検出された場合、原因特定のための再検査が実施されるという。【高嶋将之】
原子力規制委 放射性物質拡散の試算を公表
(新潟県)
原子力規制委員会は、福島第一原発並みの事故が起きた場合、放射性物質がどこまで拡散するかを試算したシミュレーション・マップを公表した。柏崎刈羽原発では、最大で40キロの範囲まで放射性物質が広がる可能性があるとしている。
試算は、福島の原発事故をもとに、7日間の積算被ばく量が100ミリシーベルトとなる地点を風向きなどの条件をもとに算出した。それによると、柏崎刈羽原発では最大で原発から40.2キロの地点、魚沼市まで放射性物質が及ぶとしている。
県は福島の事故後に見直した地域防災計画で、30キロ圏内を「即時避難区域」や「避難準備区域」に設定しているが、さらなる見直しが必要になる可能性もある。
[ 10/24 13:55 テレビ新潟]
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「説明不足」自治体は不信感
2012.10.24
22:02 (1/2ページ)
東京電力柏崎刈羽原子力発電所=3月、新潟県柏崎市
原子力規制委員会が24日公表した原発事故による放射性物質の拡散予測。各自治体では、原発事故対策の変更や強化を余儀なくされる可能性もあり関 心は高い。規制委は事前に試算結果を自治体に示したが、「国からは説明を受けていない」「疑問点がたくさんある」と原発立地自治体からは国の説明を求める 声が次々と上がった。
「重大な情報と受け止め、対策を強化する」。東京電力柏崎刈羽原発から東南東に約40キロの新潟県魚沼市。大平悦子市長は24日午前、緊急会見で表情を引き締めた。
同市は、同原発が福島第1原発と同じレベルの事故が起きれば避難が必要となる可能性が指摘された。市ではすでに福島第1原発事故後、初の原子力防災計画を策定中。屋内退避や避難者の受け入れ対策を柱に作業を進めている。
これまで30キロ圏内には入っていなかった同県南魚沼市でも事故対策を迫られる結果に。防災担当の星野一夫総務課長は「福島第1原発事故の検証もまだなので、不明瞭な部分の説明を求めなければならない」と国の対応を促した。
規制委の公表のやり方に疑問を投げかける自治体は多い。大飯原発など県内に多数の原発を抱える福井県の石塚博英安全環境部長は「各サイト(発電所)のすべ ての原子炉が同時に壊れると仮定するなど机上のもの。責任を持って避難基準を示してもらわないと、地方が困る」と憤る。原発3基を抱える福井県敦賀市の河 瀬一治市長も「想定は混乱を呼ぶ。国はまず重大事故を起こさせない原発の防護策を決めるのが優先だ」とした。
東海第2 原発の30キロ圏内に約94万人が居住する茨城県。県は現在、国の原子力災害対策指針案などに基づき、地域防災計画の策定を進めている。県原子力安全対策 課の黒沢一男副参事は「国からの説明が何もない中で結果だけを出されても、どう使っていいか分からない」と話した。
シミュレーションに「一喜一憂必要ない」の声
2012.10.24
21:37 (1/2ページ)
原子力規制委員会は放射性物質拡散シミュレーションマップを公表した=24日午前、東京都港区(荻窪佳撮影
原子力規制委員会が24日に提示したシミュレーションマップは、地形を考慮せず、風向が一定とするなど多くの仮定を含むものだ。専門家の間では 「大変意義がある」と評価する一方、公表に批判的な声も聞かれる。原発から半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)を超える範囲まで放射性物質の拡 散が予測されたが、住民や自治体に冷静な対応を求めることで一致している。
九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)は「すべての原発でこうした予測を出すのは大変意義のあるものだ」と評価。地震や洪水など自然災害の被害予測図である「ハザードマップ」の“原子力版”とみなし、「住民が知っておいた方がよい」と話す。
放射性物質が40キロを超えた地点まで拡散していることについては、「住民側は一喜一憂する必要はない。国にさらなる正確な予測を求めたらいい。自治体側は自ら精密な計算をしたり対策を考えるきっかけになる」と促した。
東通原発(青森県)で事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測をしたことがある鳥取大大学院の栗政明弘准教授(遺伝子医療学)は「放射線は目に見えないもので、測定装置がなければ被害も分からない。住民は非常な恐怖感を持っており、積極的に予測を公表すべきだ」と語る。
栗政准教授の予測では、3次元地形データや地表温や海水温データなどを入れているため、規制委の予測と単純に比較できないといい「どのように条件を置くかで予測は大きく変わる。40キロという数字を評価するのは難しい」と話した。
これに対し、東北大大学院の岩崎俊樹教授(大気科学)は「40キロ以上の住民も安心してはならない」と指摘する。福島第1原発事故では遠く離れた首都圏で も高い放射線量が計測された「ホットスポット」が形成された。今回の予測では7日間で積算被曝(ひばく)線量100ミリシーベルトという仮定を置いている ため、「低線量の被害が見落とされており、見かけ上の図に惑わされてはならない」とクギを刺した。
一方、宮崎慶次大阪大名誉教授(原子力工学)は「最悪の状況を示すという意味はあるだろうが、今の時期になぜ公表するのか。一般住民に恐怖心や警戒心を誘発することになりかねず、無用な混乱を招く可能性がある」と公表そのものを批判した。
地形考慮なく「精度に限界」
2012.10.24
21:21
原子力規制委員会が公表した放射性物質拡散シミュレーションマップなど=24日午前、東京都港区(荻窪佳撮影)
原子力規制委員会が示した原発事故シミュレーションマップは、各原発で事故が起きた際の影響範囲を目に見える形で表した初の試みだ。福島第1原発 事故以降、全国の原発周辺の自治体や住民にとって、事故の影響がどの範囲まで及ぶかは最大の関心事の一つで、こうした要望に応えた。
シ ミュレーションでは東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)で影響範囲が最も広域に及んだが、これは原発規模が影響している。同原発は計7基の原子炉があり総出 力は全国最大の約820万キロワット。福島第1の1~3号機は約200万キロワットなので4倍以上の規模だ。シミュレーションは出力に応じて再計算してお り影響範囲も広がったが、「実際に7基すべてが同時に事故が起きるかは、議論が残るところ」(規制委)だ。
試算は米国の原子力規制委員会 が使用するコンピューターを使用。計算プログラムの改良が必要となるため、山や河川などの地形は考慮しなかった。このため、風向は原発が立地する地点の データのみで、地形に起因する風向変更は加味されていない。シミュレーションとしては簡素なものになっている。
シミュレーションの性質上、放出量など条件が変われば影響範囲も変動する。規制委も「精度や信頼性に限界があることを踏まえてほしい」と、限界を認めている。結果を受けて一喜一憂するほどの正確性はなく、あくまで参考資料としてとらえるべきものだ。
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- 2012年10月24日21時4分
浜岡原発周辺、「大動脈」に新たな課題 放射線拡散予測
「日本の大動脈」といえる東名高速道路や新東名高速道路、東海道新幹線。浜岡原発で大事故がおきれば、断たれかねない。
「浜岡原発で重大な事故が発生した場合に日本社会全体に及ぶ甚大な影響も考慮した」。昨年5月、当時の菅直人首相は浜岡停止を中部電力に要請した際、そう話した。近くを通る東名や新東名、東海道新幹線を想定したものだった。
福島第1と同じ事故なら… 糸島1週間で100ミリシーベルト 放射性物質規制委試算
試算は、福島第1を除く全国16原発で(1)福島事故と同じ量の放射性10+ 件物質を放出(2)全炉心が溶融したとして原発の総出力に応じて放射性10+ 件物質放出量を増減-の2パターンを想定。1年間の風向きや風速、降雨量などの気象データを用い、16方位別に1週間の積算被ばく線量で避難が必要となる距離を計算した。地形の影響は考慮しなかった。
玄海原発は(1)では玄海町や唐津市の一部で避難が必要で、方位別の距離は東北東の21・3キロが最大。(2)では東北東の要避難距離は27・5キロに延
び糸島市姫島や糸島半島付近に及んだ。九電川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で避難が必要となる方位別距離は(1)は北北東22・4キロ(2)は同21キロ
が最大で、鹿児島県出水市に到達。薩摩川内市、阿久根市、いちき串木野市の一部で避難が必要となった。規制委が策定中の原子力災害対策指針では、原発から半径30キロが事故に備えて対策を取るべき「原子力災害対策重点区域」の目安。今回の試算では玄海、川内両原発とも避難が必要な地域は半径30キロ内に収まった。
全国では、東電柏崎刈羽原発(新潟県)▽関西電力大飯原発(福井県)▽中部電力浜岡原発(静岡県)▽東電福島第2原発-の4原発では(2)で避難が必要な地域が半径30キロ圏を超え、柏崎刈羽は東南東40・2キロに及んだ。
各自治体は、指針を基に来年3月までに住民の避難方法などをまとめた地域防災計画を作るが、今回の試算結果を踏まえ、区域の設定が30キロ圏外に及ぶケースも予想される。
=2012/10/24付 西日本新聞夕刊=
全国16原発の放射性物質拡散予測地図:原子力規制委が公表
2012年10月24日原子力規制委員会は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が発生した場合、全国の16原発について、どの程度の距離まで避難範囲が広がるかを試算した放射性10+件物質の拡散予測地図を公表した。
福島第1原発を除く16原発で、(1)福島第1原発1〜3号機と同量の放射性10+件物 質が放出された場合(2)すべての原子炉で炉心溶融が起きた場合−−の2種類を試算。気象条件は一部原発を除き、昨年1年分のデータを使用。各原発の16 方位で、国際原子力機関(IAEA)が定めている避難の判断基準(事故後1週間の内部・外部被ばくの積算線量が計100ミリシーベルト)に達する最も遠い 地点を地図に表した。極端な気象条件を排除するため、上位3%のデータは除外した。
規制委事務局の原子力規制庁は「架空の前提条件を基にした試算であり、精度や信頼性には限界がある」としている。地図は、地元自治体が来年3月までにまとめる地域防災計画の資料にするため、規制庁と独立行政法人・原子力安全基盤機構が作製した。
◇地形考慮せず試算
放射性10+件物 質が最も多く出た東京電力福島第1原発2号機と同様、約10時間にわたって放出が続いたと設定。風向、風速、降雨量などについて、1年分の気象データ 8760パターン(365日×24時間)を地図上に積み重ねた(一部原発を除き、気象データは昨年1年分を使用)。ただし、極端な気象を除外するため、拡 散分布地点の遠い上位3%に入るデータは除いた。計算システムの制約上、山間部や河川、湖沼などの地形を考慮しておらず、それに伴う風向などのデータも加 味されていない欠点がある。放出源は地表面に設定しているため、実際の飛散状況とは異なるとみられる。試算では、米国の原子力規制委員会(NRC)が使用 しているコンピューターシステムを使用した。※地図データは、Googleマップを使い原子力規制庁などが作成した。
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原発事故拡散シミュレーション・マップ公表
(富山県)
原子力規制委は24日志賀原発など全国の原発で福島第一原発と同じような事故がおきた場合の放射性物質の拡散を予測したシミュレーション・マップを公表。富山県は避難基準の範囲には含まれていないが志賀原発に近い氷見市からは「十分ではない」という声。
[
10/24 19:51 北日本放送]
放射性物質拡散予測:「国の説明ない」…周辺自治体に困惑
毎日新聞 2012年10月24日 12時09分(最終更新 10月24日 13時41分)
全国17原発
原子力規制委員会が24日に公表した原発事故時の放射性10+件物
質拡散予測地図。避難の必要な高線量レベルに達する地点がどう広がっているかを示したもので、原発の周辺住民らの注目度は高い。原子力規制庁は「架空の前
提条件に基づく試算だ」と衝撃を和らげるのに懸命だが、「国から何の説明も受けていない」という立地自治体もあり、困惑が広がった。【高木昭午、杣谷健
太、樋口淳也、山本佳孝】「この結果だと避難する側になるかもしれない。新潟県内全30市町村でつくる原子力安全の研究会で検討したい」。同県魚沼市の総務課は戸惑いをあらわにした。魚沼市は原発から30〜50キロ圏にあり、人口は4万人余り。「米どころ」として知られている。
これまで30キロ圏からの避難者を受け入れる側として、他自治体と話し合ってきた。ところが今回のシ ミュレーションでは、7基が集中する東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)で同時に事故が起きると、避難が必要になる地域は原子力災害対策指針で示 された半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)より南東側に大きくはみ出すとの結果が出た。
事故後1週間の被ばく量が100ミリシーベルトに達する可能性がある陸側の地点で最も遠いのは東南東40.2キロ。これは魚沼市内に当たる。総務課の担当者は「数字の意味の説明がなく対応を決めかねている。国に対し、自治体への直接説明を要請中だ」と語った。
西に隣接する同県十日町市は20〜50キロ圏に約5万9000人が居住。原発から35.4キロ離れた市 内で1週間の被ばく量が100ミリシーベルトになり得るとされた。市防災安全課は「30キロ圏内の市民約5000人の避難を考えてきたが、35キロだと市 街地に近づき避難者はかなり増える」と懸念する。
規制委の開催前に、国からデータを渡されたという新潟県原子力安全対策課は「規制委はUPZを30キロ 圏と定める見通しだが、被害が30キロ圏外に及ぶとの試算を示して対応は地方任せではどうかと思う。今後、国から試算の設定や解釈を詳しく聞き、市町村と 相談して対応を考えたい」と話した。
また、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)を抱える同県原子力安全対策課も「『国が責任を持つので参考までに』とメールで2週間前に送られてきたが、説明はない。シミュレーションをどう活用するのか、はっきり説明してほしい」と訴えた。
拡散予測は、県とUPZ圏の市町村が地域防災計画を策定する際の参考資料として作製されたもの。しかし、県は「予測とUPZをどうリンクさせるのか国の説明が必要」として、関係市町村には知らせていないという。
一方、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)がある同県原子力安全対策課は「放射線量の高い地域が半径30キロ圏に達する可能性があることは予想の範囲内。国からの詳細な説明を聞き、UPZの具体的な線引きや避難計画について関係市町と協議していく」と冷静な受け止め。川勝平太知事は「結果はUPZを設定するための材料を示したものに過ぎない。国は今後とも防災体制の強化に積極的に取り組んでもらいたい」とのコメントを出した。
浜岡原発、海域で高線量顕著 規制委が拡散予測公表
(2012/10/24
15:10)
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、中部電力浜岡原発(御前崎市佐
倉)など全国16の原発で、東京電力福島第1原発と同様の事故が起きた場合を想定した放射性物質の拡散予測を公表した。1週間の積算被ばく線量が要避難の
100ミリシーベルトに達する高線量の範囲が、最大で浜岡原発の東30・9キロの地点まで広がるとの試算結果を示した。同地点は駿河湾上に位置し、陸域に
比べ、海域に拡散する傾向が顕著な試算となった。
政府側が過酷事故を想定し、全国の各原発の拡散予測を公表したのは初めて。規制委事務局の原子力規制庁の担当者は「年間を通じた拡散の傾向を示したもの。前提条件によって結果は大きく異なる」としている。
拡散予測は、全国の原発を対象に、放射性物質が拡散する方位や距離を計算した。浜岡原発の場合、2009年度に同原発敷地内で観測された気象データを基にした。3〜5号機の運転中に過酷事故が起き、放射性物質が放出されたと仮定して影響を予測した。
その結果、16方位ごとの高線量の範囲は、原発からの方位・距離が東30・9キロ、西南西30・2キロ、西26・6キロ、東北東20・4キロの地点まで達 することが分かった。一方、使用したソフトの精度に限界があり、北側の北西〜北北東、南側の南東〜南南西の方向は算出されなかった。
県は拡散予測の結果を参考に周辺市町と協議し、緊急防護措置区域(UPZ)などの「原子力災害対策重点区域」を定める。その上で、浜岡原発での原子力災害を想定した地域防災計画の策定作業を進めていく。
浜岡原発から、UPZの目安として示された半径30キロの線上にあるのは焼津、藤枝、島田、磐田、袋井、吉田、森の7市町。
浜岡以外では、東電柏崎刈羽(新潟県)で、100ミリシーベルトに達する高線量の地点が東南東40・2キロの同県魚沼市まで到達する結果となった。東電福 島第2の南32・5キロの海上、関西電力大飯(福井県)の南32・2キロ(京都府南丹町)でも、100ミリシーベルトに達した。
地域防災計画策定国は積極支援を
川勝平太知事の話 拡散シミュレーションは(浜岡原発からの)放射性物質の影響を受ける範囲が東西に広く分布するなどおおむね想定の範囲内だが、原子力災害に備える範囲 (UPZ)を設定するための材料を示したものにすぎない。事故による地域への長期的な影響や避難の基準の検討はこれからだ。国は今後も、各種の技術的検討 やシミュレーションを行って防災体制を強化するとともに、関係自治体の地域防災計画の策定支援などに積極的に取り組んでもらいたい。
政府側が過酷事故を想定し、全国の各原発の拡散予測を公表したのは初めて。規制委事務局の原子力規制庁の担当者は「年間を通じた拡散の傾向を示したもの。前提条件によって結果は大きく異なる」としている。
拡散予測は、全国の原発を対象に、放射性物質が拡散する方位や距離を計算した。浜岡原発の場合、2009年度に同原発敷地内で観測された気象データを基にした。3〜5号機の運転中に過酷事故が起き、放射性物質が放出されたと仮定して影響を予測した。
その結果、16方位ごとの高線量の範囲は、原発からの方位・距離が東30・9キロ、西南西30・2キロ、西26・6キロ、東北東20・4キロの地点まで達 することが分かった。一方、使用したソフトの精度に限界があり、北側の北西〜北北東、南側の南東〜南南西の方向は算出されなかった。
県は拡散予測の結果を参考に周辺市町と協議し、緊急防護措置区域(UPZ)などの「原子力災害対策重点区域」を定める。その上で、浜岡原発での原子力災害を想定した地域防災計画の策定作業を進めていく。
浜岡原発から、UPZの目安として示された半径30キロの線上にあるのは焼津、藤枝、島田、磐田、袋井、吉田、森の7市町。
浜岡以外では、東電柏崎刈羽(新潟県)で、100ミリシーベルトに達する高線量の地点が東南東40・2キロの同県魚沼市まで到達する結果となった。東電福 島第2の南32・5キロの海上、関西電力大飯(福井県)の南32・2キロ(京都府南丹町)でも、100ミリシーベルトに達した。
地域防災計画策定国は積極支援を
川勝平太知事の話 拡散シミュレーションは(浜岡原発からの)放射性物質の影響を受ける範囲が東西に広く分布するなどおおむね想定の範囲内だが、原子力災害に備える範囲 (UPZ)を設定するための材料を示したものにすぎない。事故による地域への長期的な影響や避難の基準の検討はこれからだ。国は今後も、各種の技術的検討 やシミュレーションを行って防災体制を強化するとともに、関係自治体の地域防災計画の策定支援などに積極的に取り組んでもらいたい。
【拡散予測公表】原発事故対策、県・市町本格議論へ
(2012/10/24
15:00)
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)などでの過酷事故を想定し、原子力規制委員
会が24日に公表した放射性物質の拡散予測結果。規制組織の始動の遅れに引きずられ、緊急防護措置区域(UPZ)など事前に事故に備える「原子力災害対策
重点区域」の設定や、住民の避難計画作りは停滞していたが、県と関係市町は早期に具体的な議論を本格化させていく。
「これでようやく検討を始めることができる」。岩田孝仁県危機報道監は予測結果を冷静に受け止めた。試算では、事故後1週間の積算被ばく量が100ミリ シーベルトに達して「避難が必要」とされる範囲が、原発からおおむね半径30キロ程度となり、規制委が原子力災害対策重点区域に盛り込む目安として示した 30キロ圏内に収まった。
原子力規制庁のまとめによると、浜岡原発から30キロ圏内の対象自治体は11市町で、人口は約74万人。国内では最も周辺人口の多い原発の一つとされる。
岩田危機報道監は「避難を考える上で一番問題なのは、避難者の収容先。福島の事故を教訓に、避難ルート、避難方法に関する態勢も整える必要がある」と課題を見据える。
旧原子力安全・保安院が拡散予測の実施方針を示したのは昨年。組織改編などの影響で、結果の公表はここまでずれ込んだ。県は11月初めにも結果の詳細につ いて国から説明を受けた上で、30キロ圏の11市町を含む29市町が参加する「市町原子力防災対策研究会」を開催する。
「これでようやく検討を始めることができる」。岩田孝仁県危機報道監は予測結果を冷静に受け止めた。試算では、事故後1週間の積算被ばく量が100ミリ シーベルトに達して「避難が必要」とされる範囲が、原発からおおむね半径30キロ程度となり、規制委が原子力災害対策重点区域に盛り込む目安として示した 30キロ圏内に収まった。
原子力規制庁のまとめによると、浜岡原発から30キロ圏内の対象自治体は11市町で、人口は約74万人。国内では最も周辺人口の多い原発の一つとされる。
岩田危機報道監は「避難を考える上で一番問題なのは、避難者の収容先。福島の事故を教訓に、避難ルート、避難方法に関する態勢も整える必要がある」と課題を見据える。
旧原子力安全・保安院が拡散予測の実施方針を示したのは昨年。組織改編などの影響で、結果の公表はここまでずれ込んだ。県は11月初めにも結果の詳細につ いて国から説明を受けた上で、30キロ圏の11市町を含む29市町が参加する「市町原子力防災対策研究会」を開催する。
柏崎から50キロ 栄村警戒感 放射性物質拡散予測 10月24日(水)
同村長は、福島第1原発の30~50キロ圏にある福島県飯舘村が全村避難を余儀なくされたことを踏まえ、「栄村も逃げなければいけない」と説明。「た だ、住民約2千人がどこに逃げればいいのか、現段階で案はない。(隣接する新潟県の)十日町市や津南町と話し合いながら対応を進める」とした。
村議会で原発事故への対応を取り上げたことがある村議の島田伯昭さん(66)は「私も2千人で逃げるべきだと思う。ただ、避難に時間がかかってはいけないので、山にトンネルを掘ってみんなでしばらく暮らせる環境を整えることが現実的だ」と話した。
放射性物質拡散予測 大飯など4原発30キロ超
原子力規制委員会は24日、全国16か所にある原子力発電所で事故が起きた際、放射性物
質がどれくらい拡散するかを予測した「拡散シミュレーション」を公表した。柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、大飯(福井県)、福島第二(福島県)の4
か所では、規制委が示した新防災指針案で重点区域とされた原発から半径30キロ圏を超え、国際原子力機関(IAEA)が避難を求める基準である7日間の積
算線量の100ミリ・シーベルトに達する結果が出た。国がこうした試算を公表するのは初めて。ただし、予測は気象条件だけをあてはめたもので、地形は考慮していない。
福島第一原発事故では、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の予測結果が公表されず、住民避難に生かされなかった。今回のシミュレーションは、地域防災計画を作る自治体の求めに応じ、福島第一原発を除く全国16か所の商業用原発を対象に参考情報として米国の手法で試算した。
それぞれの原発で、〈1〉福島第一の事故と同量の放射性物質が漏れるケース〈2〉すべての原子炉で炉心溶融が起きて放射性物質が漏れる最悪のケース――で実施。原発から16方位の直線上に、7日間の積算被曝線量が100ミリ・シーベルトに達する地点を地図上に示した。国際放射線防護委員会の推定では、100ミリ・シーベルトを浴びると、がんなどで死亡するリスクが0・5%高まる。
平地や山といった地形はまったく考慮に入れず、昨年1年間の風向き、風速、降雨量といった気象データを基に試算した。その結果、最悪のケースで
は、柏崎刈羽で約40キロ離れた新潟県魚沼市まで広がるなど、4か所の原発では半径30キロの重点区域を超えた6市に達することがわかった。一方、福島第一と同量のケースでは、すべての原発で拡散は30キロ圏内だった。
重点区域を超えた地域では今後の避難計画作りなどで再検討を迫られそうだ。
規制委事務局の原子力規制庁は24日、近く自治体向けの説明会を開いて助言していく方針を示した。
(2012年10月24日 読売新聞)
玄海の事故想定、放射性物質拡散は最大27・5キロ
玄海原発の試算では、16方位のうち拡散が最も大きいのは東北東の方向で、原発から27・5キロ離れた糸島半島(福岡県糸島市)沖の地点まで 100ミリ・シーベルトを超える。南側は年間を通じて風が弱いことから10キロ程度の広がりとなり、陸上部での拡散は佐賀県内が中心になるとの結果が示さ れた。
川内原発の試算では、高線量範囲は鹿児島県内となった。拡散が大きいのは北北東の方向で、原発から21キロの出水市まで100ミリ・シーベルトを超える。南側のいちき串木野市でも高線量地点が示された。
原子力規制委が事故時拡散予測発表
柏崎原発から40キロ超でも高線量と試算
原子力規制委員会は24日午前に開いた会合で、全国の原発で事故が起きた際に放射性物質がどう拡散するかのシミュレーション結果を公表した。東京電力柏
崎刈羽原発の場合、避難が必要な基準とされる被ばく線量100ミリシーベルト(事故後1週間の積算)に達する地点は、最長で原発から東南東に40・2キロ
離れた魚沼市まで及ぶと試算。全国で最も広範に拡散する可能性があることが示された。
規制委が現在策定している原子力災害対策指針では、事故に事前に備える重点地域として原発から半径30キロ圏を目安としている。しかし、本県では同市など30キロ圏外の地域も、避難計画を作るなど重点的な対策を採る必要に迫られそうだ。
新潟日報2012年10月24日
規制委が現在策定している原子力災害対策指針では、事故に事前に備える重点地域として原発から半径30キロ圏を目安としている。しかし、本県では同市など30キロ圏外の地域も、避難計画を作るなど重点的な対策を採る必要に迫られそうだ。
新潟日報2012年10月24日
大飯は30キロ超、京滋に拡散 事故規制委が予測
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が、福島第1を除く全国の16原発で発生した場合の放射性物質の拡散予測を公表した。政府側が過酷事故を想定し、全国の各原発の拡散予測を公表したのは初めて。同委員会が公表した放射性物質の拡散予測では、京滋に近い福井県内の4原発のうち、3原発で南丹市や長浜市などでの拡散を推定した。このうち関西電力大飯 原発(おおい町)では、事故に備え防災対策を充実させる目安とされる半径30キロの範囲を超え、京都市近くに至る地点も出ている。
試算は、事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルト超となる最も遠い地点を16の方角で表出した。福島事故と同量の放射性物質が拡散した事故と、各原発のすべてで過酷事故が発生した事故の2パターンで想定した。
4原発のうち過酷事故のケースで、16の方角中の最も遠い地点は、国内で唯一稼働中の大飯が南へ32・2キロの南丹市となり、京都市右京区山間部近くにまで達する。
関電高浜原発(高浜町)では、南南東へ29・7キロの南丹市に当たり、西方向の舞鶴市にも拡散するとされた。日本原子力発電敦賀原発(敦賀市)では南東19・9キロの長浜市が一番離れた地点となる。一方、関電美浜原発(美浜町)では、京滋の市町を含む地点はなかった。
原発の過酷事故の試算は、京都府が高浜について、風向きにより原発から30キロ圏外の府や滋賀県にも広がると公表。また、滋賀県も独自予測で、美浜について高島市や長浜市への拡散があり得るとするなど、今回の国の予測とずれが出ている。
規制委事務局の原子力規制庁は「地形を考慮しておらず、あくまで自治体が防災対策をつくる際の参考データだ」としている。
国は詳細説明を
山田啓二京都府知事の話 拡散予測により、事故が起きれば京都にも大きな影響があることがあらためて確認された。緊急防護措置区域(UPZ)の範囲の見直 しは今後の国の対応もみて検討したい。ただ今回の予測は(今年3月に府が公表した)緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の結果 と異なっており、国は詳細に説明してほしい。
国のデータ評価
嘉田由紀子滋賀県知事の話 国が責任を持ってシミュレーションのデータを出したことは評価したい。今後は県の独自データとどう違うかをしっかり分析し、今後の防災計画に生かしたい。
【 2012年10月24日 13時53分 】
-->
4原発 30キロ超拡散 重大事故の高線量予測図
2012年10月24日 14時11分原発の周辺自治体が来年三月までにつくる防災計画の参考としてもらうのが狙いで、防災対策を重点的に進める区域や医療体制の整備方針を定めた原子力災害対策指針の素案も同時に公表した。
予測マップは(1)原発の規模は考慮せず、福島事故と同程度(ヨウ素換算で七七万テラベクレル、一テラは一兆)の放射性物質が放出(2)各原発の合計出力 を考慮-の二パターンで作成。国際原子力機関(IAEA)が避難判断の基準とする「七日間で一〇〇ミリシーベルトの被ばく」に達するとみられる場所を、方 角別に割り出した。
七基で計八百三十万キロワットの出力がある柏崎刈羽では、原発の東南東四〇・二キロの魚沼市でも避難判断基準の値に達するとの結果だった。新たな指針の素案では、原発事故の防災対策重点区域が半径八~十キロ圏から三十キロ圏に拡大されたが、それより遠くに及んだ。
東海第二(茨城県)では南南西一三・〇キロで避難判断の基準値に達すると予測された。
予測は山などの地形は考慮せず、年間を通じた風や雨の条件を使った。方角によっては、風があまり吹かないために計算上は放射性物質が飛ばないとされた地点もある。
規制委は「(飛ばないとされた地点でも)対策をしなくてよいわけではない。あくまで目安」としているが、このマップをどう活用すればいいか、原発周辺の自治体からは困惑する声も出ている。
避難基準の「七日間で一〇〇ミリシーベルト」は、一般人の年間被ばく限度の「年間一ミリシーベルト」の百年分を、たった一週間で浴びる高い数値。立地自治体が、これほど高い値を頼りに柔軟な防災計画を立てられるのか疑問も残る。
福島第一については今回の拡散予測が妥当かどうかを検証するために実施し、原子力安全基盤機構(JNES)が事故後に放射線量の実測値で行った推計と比 較。JNESの推計では七日間で一〇〇ミリシーベルトに達したのは原発から約二十キロ以内で、今回の予測も同程度だった。
(東京新聞)
'12/10/24
島根原発24キロで高線量予測
原子力規制委員会は24日、中国電力島根原子力発電所(松江市)など全国の16原発で、東京電力福島第1原発のような過酷事故が起きた場合に放射 性物質がどう拡散するかをシミュレーションした予測図を公表した。事故後、1週間の積算被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトと高くなる地点は松江市 中心部を含み、南東に24・2キロ離れた安来市に達する。政府側が過酷事故を想定し、各原発の拡散予測を公表したのは初めて。原発が立地する自治体が地域防災計画を策定する参考資料にする。避難経路の検討に加え、島根県では対策拠点のオフサイトセンターが南東約9キロに位置しており、代替施設の選定にも影響しそうだ。
基準の100ミリシーベルトは外部、内部被曝の合計で、避難が必要となる。島根原発の場合、松江市中心部を含む南東の方角にエリアが広がる。過去のデータに基づく風向きなどが影響した。
予測は、各原発の全原子炉で炉心溶融(メルトダウン)など過酷事故が発生した場合を想定。各原発の過去の降雨量や風速などの気象データを基に試算 した。地形条件などは反映しておらず、個別条件に基づいて放出予測をする緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)とは異なる。
試算は既設原発が対象だが、島根原発は「完成が近い」(原子力規制庁)3号機も含めて試算した。規制庁は「個別な事故後の予測拡散でなく、全体的な傾向を示した試算。自治体に丁寧に説明し、防災計画の策定を支援する」としている。
大飯など30キロ超も要避難=事故想定、放射能予測―防災計画策定の基礎に・規制委
田中委員長は同日の委員会で「今後、防災計画を作る上での基礎資料になる」と述べた。試算を参考に、原発周辺の自治体は事故時の避難や訓練計画を盛り込んだ地域防災計画を策定する。
[時事通信社]
[時事通信社]
規制委:原子力防災で「新指針」…対象地域拡大
毎日新聞 2012年10月24日 13時06分(最終更新 10月24日 13時42分)原子力規制委員会は24日の定例会で、原発事故が発生した際の住民避難などの対応策を定めた「原子力災害対策指針案」をまとめた。広範に放射性10+件物質が拡散した東京電力福島第1原発事故を踏まえ、住民の避難対策などを充実させる地域を、現行の8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大することなどが柱。また、住民の視点に立った防災対策の必要性と、国や電力会社などに対策の責任があることを明記した。 規制委は月内に正式決定するが、具体的な基準などについては、今後順次策定する。各自治体は来年3月までに、具体的な避難手順などを示した地域防災計画を策定する。
新指針では、(1)事故の初動時点ですぐに住民避難させる「予防防護措置区域」(PAZ、5キロ圏)(2)事故進展の度合いや放射線量によっては避難・屋内退避する「緊急防護措置区域」(UPZ、30キロ圏)−−の2段階で対応する。【中西拓司】
「対策計画を練りたい」 大村愛知県知事
2012.10.24
12:50
中部電力浜岡原子力発電所=2011年11月、静岡県御前崎市
愛知県の大村秀章知事は24日、原子力規制委員会が公表した原発事故での放射性物質拡散予測について「しっかり検証し、原子力災害対策の計画を練りたい」と述べた。県公館で記者団の取材に応じた。
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は、静岡と愛知の県境から最短で約55キロに位置しているが、公表されたデータでは、県内で事故後1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトに達する地点はなかった。
現在
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原子力規制委、予測データ公表
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この予測では、県内はエリアに含まれていません。 これは24日、原子力規制委員会が明らかにしたシミュレーションです。 それによりますと、志賀原子力発電所で福島第一原発と同じ量の放射性物質が放出される事故が起きた場合、事故後1週間の合計の被ばく線量が 100ミリシーベルトを超えるのは、最も遠いところで南南東の方角に20.2キロで、これは石川県羽咋市の国道159号線、七尾街道あたりです。 富山県内はこのエリアに含まれていません。 原子力規制委員会が放射性物質の拡散予測を公表するのはこれが初めてで、各自治体が策定している原子力災害対策に影響を与えそうです。 |
放射性物質、4原発で30キロ圏外拡散 規制委予測
東電・柏崎刈羽や関電・大飯など地図公表
- 2012/10/24 10:55 (2012/10/24 12:04更新)
4原発で30キロメートル圏を超える
原発 | 予測する最大の拡散距離 |
---|---|
泊 | 19.9キロメートル |
東通 | 13.6 |
女川 | 18.3 |
福島第2 | 32.5 |
東海第2 | 13 |
柏崎刈羽 | 40.2 |
浜岡 | 30.9 |
志賀 | 19.6 |
敦賀 | 19.9 |
美浜 | 18.2 |
大飯 | 32.2 |
高浜 | 29.7 |
島根 | 24.2 |
伊方 | 21.9 |
玄海 | 27.5 |
川内 | 21 |
福島第1事故と同量の放射性物質が出る場合と、各原発の出力に応じて放射性物質がより深刻な事態を招く場合の2通りを予測した。具体的には 10時間の放出が続き、事故後1週間で被曝(ひばく)量が計100ミリシーベルトに達する範囲を示した。これは住民の緊急避難が必要な水準とされる。
拡散予測が30キロを超える地点があったのは東電の柏崎刈羽と福島第2、中部電力浜岡、関電大飯の4原発。いずれも原子炉が複数あり出力は事故を起こした福島第1より大きい。柏崎刈羽だと東南東方向に40.2キロ、新潟県魚沼市まで届く。
福島第1事故と同量の放射性物質が拡散する予測は17.7キロ(東北電力女川)~23.8キロ(中電浜岡)で、いずれも30キロ圏におさまった。
JNESは福島第1事故の際、1週間の被曝量が計100ミリシーベルトとなったのは20キロ以下だったと推計。今回の予測を福島第1に当て はめると18.7キロになる。24日の会合で規制委の島崎邦彦委員長代理は「防災関係者で共有できる知識として重要な成果だ」と指摘。田中俊一委員長は 「福島事故では十分に情報が行き届かなかったことが問題だった。(今後の対応は)自治体とも十分相談していきたい」と述べた。
規制委は24日、避難区域の目安をこれまでの原発周辺の8~10キロ圏から30キロ圏に広げることなどを盛り込んだ原子力災害対策指針の素 案を提示した。自治体は国の指針をもとに来年3月までに計画をまとめる方針だ。一律30キロ圏になれば135自治体、のべ480万人が対象になる。
実際の範囲は自治体が裁量に基づいて決める。今回の予測を参考に、30キロ以上に拡大する自治体が出ることもあり得る。対象の範囲を広げれば、県境をまたいだ避難時の調整や避難の指示、物資の確保といった対応が難しくなる懸念もある。
放射性物質の拡散想定図 被曝基準半分の値で作成 年内に県
原子力災害への対応を話し合う県の専門部会の会議が22日、岐阜市内で開かれ、県は、放射性物質がどれくらい広がるかについて、国際原子力機関(IAEA)などが定めた放射性物質の被曝(ひばく)基準の半分の値を用いて、年内に新たな想定図をつくることを決めた。
IAEAの基準は、内部被曝の場合、週50ミリ・シーベルト以上の放射性物質を吸入すると、健康被害を予防するために安定ヨウ素剤を服用する必要があるとしている。県はこの基準をもとに、先月、県境から最も近い敦賀原発(福井県)の事故を想定した独自の拡散想定を公表したが、より厳しい基準での想定を求める声が一部の県民から出ていた。
この日の会議では、「半分程度の基準なら想定図の作成は可能」「住民にとってある種のハザードマップにもなりうる」などの意見が出たため、新たな想定図をつくることにした。また、農水産物への影響やその対策についても、国などと協議していくことを決めた。(2012年10月23日 読売新聞)東日本大震災:福島第1原発事故 食品細かく切らず放射性物質を測定 簡易、安価な測定器発売 /神奈川
毎日新聞 2012年10月24日 地方版◇横浜の自然食品店導入、利用者が高評価
「食品中の放射性10+件物 質測定がもっと簡単にできないか」。生産者や消費者が抱く思いだ。そんな中、食品を細かく切らずにそのまま測定でき、測定後も利用できる放射線測定器が今 月発売された。価格も従来品の1台数百万円から、180万円まで下がった。横浜市の自然食品店など利用者も高く評価している。【福井聡】測定器は、放射線検出器の設計・製作をするジーテック(埼玉県入間市)と原子力物理実験装置製造のテクノランドコーポレーション(東京都瑞穂町)が共同開発したガンマ線スクリーニング計数機「ガンマテック」。
従来のNaI型測定器は食材を細かくみじん切りにして、円筒形の容器に入れ測定していた。手間と時間がかかる上、放射能汚染がある場合は、包丁やまな板から別の場所に移るリスクもあった。
ガンマテックは30センチ四方のプラスチック製検出器に食材を容器ごと載せて測る方式で、手間がかからず、食材を廃棄せずに済む。汚染値が出た場合も試料が5キロなら3分で結果を得られるという。
ジーテック社の後藤昌幸社長によると、食材からガンマ線を感知する方法は同じだが、ガンマテックの検査効率はNaI型の4分の1。代わりに検出器の面積を広くして測定量を増やしており、検出結果は変わらない。
ガンマ線は光に変換され、電気信号化して、パソコン画面に数値が表れる。この部分を担当したテクノランド社の清水孝志社長は「温度変化などに関わらず安定して検出できるようにするまで、テストの繰り返しだった」と振り返る。
ガンマテックを導入した自然食品店「すこやか広場」(横浜市戸塚区)の安田亜紀子店長は「福島第1原発事故以降、店長としても、3歳と5歳の子の親としても、より精度が高くて手間がかからず、安価な機器を探していた。子供の食材を扱う場所は使ってほしい」と話す。
ガンマテックはこれまで▽東京都日ノ出町の学校給食センター▽福島県相馬市のJA2店▽福島県内の老人ホーム−−などに設置され、高評価を得ている。後藤社長は「木材やがれきの放射線測定器も、この方法で製作したい」と話している。
原発事故シミュレーション 直後に高線量が石川・羽咋市まで
(2012年10月24日 11時46分) 原子力規制委員会は、全国16の原子力発電所で福島第一原発事故並みの放射性物質が放出した場合に住民の避難が必要となる範囲を試算した結果を公表しました。北陸電力・志賀原発については陸地の最も遠いところで志賀原発より19・6キロにある石川県羽咋市が含まれています。
拡散シミュレーションは、志賀原発で重大事故が起き、福島第一原発事故と同じ程度の放射性物質が放出したと想定。
去年1年間の志賀原発周辺の気象データをもとに放射性物質が拡散する方位や距離を計算し、事故発生後の1週間に国際基準で即時避難を要する放射線量100ミリシーベルトの被ばくが予想される地域を示しています。
志賀原発の出力を考慮したシミュレーションでは、志賀原発から南東方向に放射性物質がより遠くまで拡散する傾向があると試算。
即時避難を要する地点は、陸地の最も遠いところで志賀原発の南南東、19・6キロの石川県羽咋市、次いで、南東18・4キロの中能登町まで及ぶとしています。
今回のシミュレーションについて専門家は。
一方、原子力規制委員会は、事故に備えて対策をとるべき原子力災害対策重点区域UPZを原発から半径30キロに拡大する方針で、県内の自治体で対象とな る富山県と氷見市は、今回のシミュレーションを参考に住民の避難方法などを盛り込んだ地域防災計画を来年3月までに見直すことになります。
柏崎刈羽で40キロ超も高線量…原発事故の試算(10/24 11:52)
原子力規制委員会が、全国16の原発で大きな事故が起きた際、放射性物質がどのように広がるかをシミュレーションしました。 このうち、福島第一原発事故と同じ規模の事故が新潟県の柏崎刈羽原発にある7つの原子炉すべてで起きた場合、事故から7日間で放射線量が100ミリシーベ ルトに達し、避難が必要な地域は最大で約40キロ先にまで広がるという試算が出ました。福島第一原発と同じ規模の事故がそれぞれの原発 のすべての原子炉で起きた想定で、事故から7日間で放射線量が100ミリシーベルトに達するところが公表されました。7つの大型の原子炉がある柏崎刈羽原 発では、福島第一原発事故の4倍の放射性物質が放出されるとして、100ミリシーベルトに達する地域が最大で約40キロ離れた場所まで広がるという試算が 出ました。ほかにも、福井県の大飯原発では南の方向に約32キロなどとなっています。ただし、風向きや風速は1年間の平均値のみを使っていることなどか ら、原子力規制委員会は「あくまでも推定にすぎず、防災計画を作るための目安にしてほしい」としています。
4原発 30キロ圏外で基準超の試算
10月24日 11時18分
全国の16の原発で東京電力福島第一原子力発電所と同じような事故が起きた場合に影響が及ぶ範囲を試算した結果を、国の原子力規制委員会が23日、公表しました。新潟県の柏崎刈羽原発など全国の4つの原発では、半径30キロの外側でも国際的な避難基準の放射線量を超えており、今後、全国の自治体が避難などの対策が必要となる範囲を決める際に議論を呼びそうです。
試算は、全国に16ある各原発のサイトごとに、福島第一原発と同じような事故が起きて大量の放射性 物質が一度に放出されるという条件で、去年1年間の実際の気象条件も考慮して行い、国際的な避難基準である1週間の積算の被ばく量が100ミリシーベルト に達する地点を地図上に示しています。
その結果、北海道電力の泊原発や愛媛県の伊方原発など12の原発については、100ミリシーベルトに達する地点が、いずれも原子力規制委員会が福島第一原発の事故を受けて防災対策を重点的に行う範囲を拡大する目安として示している原発から30キロ以内に収まっていました。
一 方で、7つの原子炉が集中する新潟県の柏崎刈羽原発では、原発から東南東の方向に40.2キロの魚沼市内まで影響が広がり、このほか福島第二原発と福井県 にある大飯原発、静岡県にある浜岡原発の3つの原発でも、100ミリシーベルトに達する地点が30キロの外側に及んでいました。
今回の試算は、原 発の立地自治体などが来年3月までに作る地域防災計画の中で、避難などが必要となる範囲を決める参考にするものですが、原子力規制委員会は、「放射性物質 の拡散に影響する地形の起伏などの条件を入れておらず、放射性物質の広がりを傾向として示したもので、あくまで目安として活用してほしい」と話していま す。
今後、全国の自治体が行う避難などの対策が必要となる地域を決める際に議論となりそうです。
原発事故の影響 試算の方法は
原子力規制委員会が公表した原発事故が起きた際の影響の範囲の試算は、どのように行ったのでしょうか。試算は、2種類行っています。
1つは、福島第一原発の事故の際に1号機、2号機、3号機から放出されたとされる77京ベクレルの放射性物質と同じ量が一度に放出されると仮定したもの。
もう1つがこの77京ベクレルの放出量を各原発の出力の合計に応じて、福島第一原発の1号機から3号機の合計の出力との割合から換算した量で試算するというものです。
例えば柏崎刈羽原発の場合、7つの原子炉の出力を合わせると820万キロワットで、これは福島第一原発の1号機から3号機までの合計の202万キロワットの4倍に当たり、放射性物質の放出量も4倍とみなして試算しています。
実際の試算では、去年1年間の1時間ごとの風向きや風速、降雨量の気象条件を入れて放射性物質が拡散する方向をシミュレーションし、16の方位ごとに1週間その場に居続けた場合、積算の放射線量が100ミリシーベルトに達する最も遠くの地点を割り出しています。
この100ミリシーベルトは、IAEA=国際原子力機関の安全基準で、一時避難させる目安の放射線量です。
ただ、今回の試算は、地形の起伏を考慮せずに放射性物質が地表をまっすぐに進むと仮定するなど実際の自然条件と大きくかけ離れた仮定のもとで行われています。
このため原子力規制委員会は「試算の精度や信頼性に限界があることを踏まえてあくまで参考資料として使ってほしい」と強調しています。
国が処分場早期整備を 関東知事会議で福田知事
(10月24日)
10都県が参加する関東地方知事会(会長・川勝平太静岡県知事)の定例会議が23日、福島県郡山市の多目的ホール・ビッグパレットふくしまで開かれた。放射性20+ 件物質を含む指定廃棄物の最終処分場の早期設置について、国が責任を持って推進することを求める特別要望を決定。本県の福田富一知事は、国の震災復興予算見直しで本県の酒蔵の復旧支援事業が執行停止になりかねない状況について、国の対応を批判した。
同県開催は原発事故の影響が続く同県の観光支援の一環で、5月に続き2度目。「公債発行特例法案の早期成立」や、矢板市のシャープ栃木工場の大幅縮小問題を踏まえて本県が提案した「緊急雇用創出事業の延長」も特別要望として決めた。
また、矢板市の国有林が指定廃棄物処分場候補地に選定された問題については「県内の与党国会議員でも(処分場を)『福島に造れ』と言う人がいる。 国会が全会一致でスタートした問題なのに、白紙撤回を求める政党も多く、しっちゃかめっちゃか。全国会議員に共通の問題として取り組んでもらいたい」と強 い口調で批判した。
大飯など30キロ超も要避難=事故想定、放射能拡散予測―防災計画に影響・規制委
- 2012年
10月
24日
11:27
JST
原発周辺の自治体は今後、地域防災計画の中で事故時の避難や訓練計画などを策定する。試算結果は各自治体が参考にするため、対象範囲の選定などに影響を与えそうだ。
[時事通信社]
ニホンジカで高濃度セシウム検出 埼玉県が出荷自粛要請
2012.10.23
20:16
福島第1原発事故を受けて実施している放射性物質検査で埼玉県は23日、秩父市で捕獲された野生のニホンジカの肉から基準値(1キロ当たり100 ベクレル)を超える820ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県は、県内全域で野生ニホンジカの出荷自粛を要請する。
県によると基準値を超えたのは21日に秩父市浦山で捕獲された野生のニホンジカ。県は23日までに秩父市周辺の野生のイノシシとニホンジカ計11検体を検査した。県内で捕獲されるニホンジカは年間約1500頭で、一部は市場に流通する可能性もあるという。
文部科学省が昨年11月に行った航空機によるモニタリング調査で、秩父市浦山周辺は1平方メートル当たり300キロベクレルの比較的高い値を計測。県は、 落ち葉や草に沈着した放射性物質をニホンジカが継続的に食べた結果、体内に蓄積されて高濃度になった可能性があるとみている。
福島第1原発事故を受けて実施している放射性物質検査で埼玉県は23日、秩父市で捕獲された野生のニホンジカの肉から基準値(1キロ当たり100 ベクレル)を超える820ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県は、県内全域で野生ニホンジカの出荷自粛を要請する。
県によると基準値を超えたのは21日に秩父市浦山で捕獲された野生のニホンジカ。県は23日までに秩父市周辺の野生のイノシシとニホンジカ計11検体を検査した。県内で捕獲されるニホンジカは年間約1500頭で、一部は市場に流通する可能性もあるという。
文部科学省が昨年11月に行った航空機によるモニタリング調査で、秩父市浦山周辺は1平方メートル当たり300キロベクレルの比較的高い値を計測。県は、 落ち葉や草に沈着した放射性物質をニホンジカが継続的に食べた結果、体内に蓄積されて高濃度になった可能性があるとみている。
日本産規制を緩和 放射性物質検査 一部品目に限定 EU (2012年10月23日)
欧州連合(EU)は、日本産食品の輸入規制を緩和する方針を固めた。東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて東北・関東地方の全食品に求めていた放射性物質検査を一部の品目に減らす。11月1日から適用する。
基準値超す放射性物質=ソバ、ナメコから-岩手県
岩手県は23日までに、同県一関市大東町の興田地区で生産されたソバから国の定める一般食品の放射性セシウム基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える250ベクレルが検出されたと発表した。県によると、ソバの基準値超過は県内で初めて。
同県によると、今年度産のソバについて検査が終了するまで出荷の自粛を県内全域に要請していたが、今回の検査を受け、一関市と「いわい東農業協同組合」に出荷自粛の継続を要請した。
また、県は陸前高田市の露地栽培された原木ナメコからも、国の基準値を超える280ベクレルが検出されたとして、同市に対し出荷自粛を要請した。(2012/10/23-21:11)
同県によると、今年度産のソバについて検査が終了するまで出荷の自粛を県内全域に要請していたが、今回の検査を受け、一関市と「いわい東農業協同組合」に出荷自粛の継続を要請した。
また、県は陸前高田市の露地栽培された原木ナメコからも、国の基準値を超える280ベクレルが検出されたとして、同市に対し出荷自粛を要請した。(2012/10/23-21:11)
静岡・浜岡原発:事故想定、放射性物質の拡散調査 風船、県内確認なし 静岡県内30個 /長野
毎日新聞 2012年10月23日 地方版運転停止中の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)付近から1000個の風船を飛ばし、事故発生時の放射性10+件物質の拡散を調べようと県内有志らが取り組んだ「みんなで飛ばそう 赤い風船 夏の風プロジェクト」の結果がまとまった。発見できた風船は30個。いずれも静岡県内で、長野への飛来は確認されなかった。近く報告会を開き発表する。
風船は8月18日午前9時〜午後1時40分、御前崎市の白羽海岸から飛ばした。当時は東もしくは南東の風で、風速約3メートルだった。
地上に落ちた風船は当日午後から見つかり始めたが、9月12日を最後に確認されていない。発見場所はいずれも静岡県内で、浜松市20▽菊川市3▽掛川市3▽磐田市2▽湖西市2−−だった。
活動の中心となった高森町の市民団体事務局長、中川賢俊(まさとし)さん(60)は「午後からの雨で多 くの風船がたたき落とされ、遠くまで飛ばなかったのではないか」と推測。「今回は県内での発見がなかったが、飯田市まで拡散した時に雨が降れば飯田が(放 射線量が局所的に高い)ホットスポットになる可能性もある」と指摘する。
静岡県の浜岡原発廃止訴訟弁護団の弁護士らも、風船による調査を計画中。現地付近では1年のうち約7割は西風が吹くことから、西風の日を選んで早ければ11月にも実施する。【石川宏】
国の責任で処分場確保を=原発事故対応で要望-関東知事会
東京、神奈川など1都9県で構成する関東地方知事会議が23日、福島県郡山市で開催され、東京電力福島第1原発事故による放射性物質に汚染された廃棄物
の処分場について、国の責任で確保することを求める要望書をまとめた。原発事故の風評被害に苦しむ福島県を支援する意味を込め、5月に続き同県で開催し
た。
放射性廃棄物の処分場に関しては、環境省が栃木県は矢板市、茨城県は高萩市をそれぞれ候補地に選定したが、両市は強く反発し白紙撤回を要請 している。要望書はこうした事情を踏まえ、処分場選定に当たって、住民の理解を得るため国が安全性について十分説明する必要があるとした。
知事 らは会議後、郡山市内で放射性物質の濃度を調べるコメの全量全袋検査の現場を視察。東京都の石原慎太郎知事は記者団に対し「日本人じゃなければ、これだけ 緻密な対応はできない」と感想を述べ、福島県の佐藤雄平知事は「福島のコメは安全だと感じていただいたと思う」と語った。(2012/10 /23-20:11)
放射性廃棄物の処分場に関しては、環境省が栃木県は矢板市、茨城県は高萩市をそれぞれ候補地に選定したが、両市は強く反発し白紙撤回を要請 している。要望書はこうした事情を踏まえ、処分場選定に当たって、住民の理解を得るため国が安全性について十分説明する必要があるとした。
知事 らは会議後、郡山市内で放射性物質の濃度を調べるコメの全量全袋検査の現場を視察。東京都の石原慎太郎知事は記者団に対し「日本人じゃなければ、これだけ 緻密な対応はできない」と感想を述べ、福島県の佐藤雄平知事は「福島のコメは安全だと感じていただいたと思う」と語った。(2012/10 /23-20:11)
ブログ:「核のゴミ」から考える原発の限界
2012年
10月
23日
16:06
JST
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と、野田政権が9月に発表した脱原発政策の行方が不透明だ。 自民党や財界は「非現実的」と批判する中で、野田内閣はこの政策自体の閣議決定を、事実上見送った。近く行われるであろう総選挙で自民党が政権復帰すれば 脱原発が撤回される可能性もある。
原発問題は極めて複雑で、しばらくは紆余曲折が見込まれる。
とはいえ、原発には「核のゴミ」をどう処分するのかというアキレス腱がある。万年単位の管理が求められる高レベル放射性10+ 件廃
棄物を無制限に出し続けることを技術的にも社会的にも可能とみなすのか。それとも、不確実性を払拭できない限り核のゴミの量には上限を設ける必要があり、
それ故に将来の原発からの撤退を視野に入れて準備を進めるべきなのか。どちらの立場を選択するかは、この問題を考える上での、究極の価値判断といえる。
日本学術会議は9月、放射性廃棄物の量には上限を設ける
べきとする、以下の見解を、内閣府原子力委員会に提出した「高レベル放射性廃棄物の処分について」という報告書で示している。脱原発が非現実的と主張する
ならば、この国の知の総本山からの警告にも正面から向き合う必要があるはずだ。
「これまでの日本政府の政策に対する批判と不信の根底には、(放射性廃棄物の)総量管理の考え方が欠如しており、高ベル放射性10+ 件廃棄物が無制限に増大することに対する歯止めが効かなくなるのではとする危惧がある。総量管理という考え方は、今後の原子力発電の大局的政策を策定する上で重要な要因であるだけでなく、社会的合意に基づいて高レベル放射性10+ 件廃棄物問題を解決するためには、極めて重要な条件である」――。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、2000年以降、電力業界が設立した「原子力発電環境整備機構(NUMO)」が候補地探しにあたっているが、全く目処が立っていない。脱原発に強硬に反対する日本経団連の米倉弘昌会長に、「高レベル放射性10+ 件廃棄物の最終処分場の候補地選定で期限を設けて、経団連が汗を流す用意はあるのか」と9月の記者会見で尋ねたところ、「政府がやること。当たり前のことだ」との答えが返ってきた。
現実的な対応としては、使用済み核燃料は金属製の円筒形の容器(ドライキャスク)を用いて地上で乾式貯蔵するしかないのではないか。実質的
には半永久的な管理になる可能性が高い。枝野幸男経済産業相は、最近の出版した著書の中で、原発の恩恵を受けてきた東京など大都市部で使用済み核燃料を受
け入れるのが筋だと主張している。実現のための手続きが動き出せば、核のゴミに無関心だった大都市部の住民も問題の難しさを実感するだろう。原発の限界がリアリティーをもって理解されるはずだ。枝野氏は東京都の石原慎太郎知事に直談判してみてはどうだろうか。
(東京 23日 ロイター)
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